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Unihertzの小型キーボードスマホ「Titan 2 Elite」。使い勝手はどう進化した?
2026年5月7日 06:07
Unihertzのハードウェアキーボード付きAndroidスマートフォン「Titan 2 Elite」が編集部にやってきた。同社のTitanシリーズは、言わずと知れたキーボード付きスマートフォン。“変態”Androidスマートフォンを多数リリースしている同社だが、Titanは超小型の「Jelly」と双璧をなすといってもいい代表的なシリーズだろう。Titan 2 Eliteはその中で最新モデルにあたる。
3月にKickstarterでクラウドファンディングを開始。4月末にサンプルが到着した。今回、短期間の試用ではあるがレビューをお届けする。なお、出資者向けには6月より出荷を開始する予定となっており、記事執筆時点(5月6日)で製品を入手するために必要な最小出資額は3,180香港ドル(送料込み、約6万4,030円)となっている。
実は、同社は昨年(2025年)に「Titan 2」をリリースしたばかりだ。ようやくこなれてきて、これから買おうと心に決めた矢先に、いきなり“Elite”を投入することに驚きを隠せないユーザーも少なくないと思われる。
だが結論から述べてしまおう。Titan 2 Eliteは名前こそ“Elite”と上位モデルっぽいネーミングとなっているが、実際はTitan 2より小型な姉妹モデルである点で差別化がされている。そして、これまでのシリーズとはキーボードの使い勝手が異なるため、悪く言えば慣れが必要、良く言えば新規ユーザーも手に取りやすい野心的なモデルだった。
実質は「Titan Pocket」の後継
まずはTitan 2 Eliteの位置づけについて改めて整理しておこう。先述の通り、Titan 2 EliteはTitan 2より小型なのだが、この関係は2021年に投入した「Titan Pocket」と2019年に投入した「Titan」に似ている。画面に余裕があってキーボードも広々として使いやすいTitan 2に対して、Titan 2 Eliteはチマチマ操作する小型版といった印象だ。
| 機種 | Titan 2 Elite | Titan 2 Elite Pro | Titan 2 | Titan Pocket |
|---|---|---|---|---|
| CPU | Dimensity 7400 | Dimensity 8400 | Dimensity 7300 | Helio P70 |
| メモリ | 12GB LPDDR5 | 6GB | ||
| ストレージ | 256GB | 512GB | 128GB | |
| メインディスプレイ | 1,080×1,200ドット/120Hz表示対応4.03型 | 1,440×1,440ドット表示対応4.5型 | 716×720ドット表示対応3.1型 | |
| サブディスプレイ | - | 410×502ドット表示対応2型 | - | |
| OS | Android 16(20までアップデート保証) | Android 15(17までアップデート予定) | Android 11 | |
| Wi-Fi | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 5 | ||
| Bluetooth | 6.0 | 5.4 | 5.1 | |
| 背面カメラ | 5,000万画素メイン+5,000万画素望遠 | 5,000万画素メイン(OIS)+5,000万画素望遠 | 5,000万画素メイン+5,000万画素望遠 | 1,600万画素メイン |
| 前面カメラ | 3,200万画素 | 800万画素 | ||
| 本体サイズ | 75×117.8×10.4mm | 88.7×137.8×10.8mm | 73.2×132.5×16.8mm | |
| 指紋センサー | 電源ボタン一体型 | 独立型 | ||
| バッテリ | 4,050mAh | 5,050mAh | 4,000mAh | |
| 重量 | 163g | 235g | 214g | |
物理的な仕様だからというのは理解の範疇だと思うが、チマチマ感の大半は画面の文字の小ささから来る。実は本機の横幅は一般的なスマートフォン並みなのだが、標準のdpiが高く設定されているためであろうか、文字などはだいぶ小さく見え、それがチマチマしている感じなのだ。
これは、不足する絶対的な画素数を補うためだろう。Titan 2 Eliteに搭載されているディスプレイは、解像度が1,080×1,200ドットのOLEDとなっているのだが、画素数にして1,296,000ドットしかない。一方、筆者が常用しているゲーミングスマートフォン「REDMAGIC 9S Pro」は1,116×2,480ドット、画素数にして2,767,680ドットと優に2倍以上ある。このままだと情報量が少なすぎて使い勝手が悪いので、埋め合わせのためあえてdpiを高く設定しているのだろう。
旧機種のTitan Pocketでもこのチマチマ感はあったのだが、本機のほうがさらに凝縮感が高い。というのも、Titan Pocketのディスプレイは3.1型と小さかったが、解像度は716×720ドットだったので画素密度は328dpiだった。一方、本機は4.03型に大型化したが解像度は1,080×1,200ドットに引き上げられたので、画素密度は401dpiに達する。そのため、表現できる文字の精細さがさらに増す。
一方で、Titan 2にあった背面のサブディスプレイは完全に排除された。本体の小型化を目指すうえでサブディスプレイをなくすというのは至って妥当な判断だが、頑張って搭載してくれたらそれはそれで本当の姉妹モデルっぽくてよかった気がする。
サイズの小型化により、手のひらへの収まりもTitan 2と比較してかなりよくなった。誤解のないように言っておくと、Titan 2 Eliteの本体サイズ(公称値)は75×117.8×10.4mmであり、幅と厚みだけで言えばハイエンドゲーミングスマートフォンに匹敵する。それでも本機が「小さい」と感じられるのは、画面サイズが4.03型と小さいのと、筐体の3分の2を占めるのがハードウェアキーボードだからだ。
また、一般的なスマートフォンは片手でホールドしてもう1つの手でタップ操作するが基本スタイルだが、Titanシリーズは基本的に両手でつかんで操作しろというスタンスだ。こういった違いで、本機が小さく感じられるのだ。特にTitan 2と並べてみると、Titan 2 Eliteのほうがガジェット感が強いのは、スタンスゆえの結果だろう。
Titan 2から小型化されたことで、ポケットへの収まりがよくなり、ポケットから取り出す際の引っ掛かりも減った。また、重量は実測169gと大幅に軽量化された。これは両手で掴んで操作するには軽いぐらいの重量で、ここも良いと感じた。
一方、「Titan Pocketの後継」だと評したのだが、Titan Pocketのようなタフネスっぽい外観から、普通の外観となったのも大きな変化である。もっとも、TitanにあったIP67防塵防水のタフ仕様はTitan Pocketにはなかったので、あくまでも外観だけTitanを踏襲したに留まっていた。Titan 2でもそのような要素はないので、Titan 2 Eliteも必然的に普通の見た目になったのだろう。
キーボード、新規にはうれしいが古参は要吟味
ディスプレイサイズや本体サイズは、実は筆者個人的には「ああバリエーションモデルなのね」とわずかなことだったりするのだが、一番衝撃を受けたのはキーボードのレイアウトが刷新されたことだ。
これまでのTitanシリーズでは、「Shift」、「Sym」、「戻る」、「アプリ切り替え」、「Fn」、「Alt」といった機能的なボタンは、数の変更こそあれ、すべて最上段に配置されていた。変則的かつ特徴的なのは「スペース」で、最下段の「V」と「B」の間となっていた。この特殊なレイアウトは初代からTitan 2まで受け継がれていた。
ところがTitan 2 Eliteでは最上段がQWERTYの列となり、最下段は左から順に「左Shift」、「ホーム」(新設)、「戻る」、「スペース」、「アプリ切り替え」、「Fn」、「右Shift」となった。そして「Sym」ボタンは、「M」と「Enter」キーの間になった。つまり、従来から大幅にレイアウトが変更されたのだ。
Unihertzとしては「よりクラシックなスマホスタイルに設計されています。懐かしい感覚がタイピングをより早く、すぐ馴染むように」と説明しているのだが、筆者はかなり戸惑ってしまった。実は2年ほどTitanシリーズを使っていなかったので、キーボードの使い勝手や慣れなんざとっくに忘れてしまっているだろうと思ったのだが、どうも気づかないうちに身に染み付いていたらしい。……というより、Titan Pocketのキーボードのレイアウトが、すんなり受け入れられたと言ったほうがいい。それに対してTitan 2 Eliteは逆に違和感を持った。
念のため言っておくと、配列としては確かにTitan 2 Eliteのほうが合理的なはず。そもそも従来のように「V」と「B」の間に「スペース」を入れるほうが異例だし、従来は左にしか「Shift」キーがなかったので、たとえば大文字の「Q」を入力する際は、窮屈なタイピングを強いられ、右手の親指を左側に持ってくる必要があった。この問題は今回、「右Shift」の導入により解消されたからだ。
本来、こうした改善はうれしいはずなのだが、結局筆者としては違和感が拭いきれなかった。約2週間ほど原因を探ってみると、どうも筆者は「Shiftキーが最下段にある」、「Enterキーが下から2番目にある」のが許せないらしい。理想としては、「左Shift」はその上にある「Alt」と入れ替え、「右Shift」もその上にある「Enter」と入れ替えだ。
特に筆者がいるPC業界の場合、入力する文章の中で英文単語がよく混じる。その際、とっさにShiftキーを押しながら英単語の頭文字を入力して英単語入力モードにしたいのだ。従来モデルは、「Z」の横には何もないので、自然と左上にある「Shift」に指が伸びるが、Titan 2 Eliteでは「Z」の横に「Alt」があるので、そちらを押してしまう。おそらく、PCのキーボードのレイアウト感覚に変わってしまうのだろう。
「右Shift」に関しても同様に、「Enter」キーが下から2番目という配置よりは、一番下にあったほうがとっさに入力しやすい。「日本語に英単語が混じる」、「入力を頻繁に確定する必要がある」筆者にとって、スペースバーの位置よりShiftキーの位置のほうがよほど重要だったわけだ。Titan 2 Eliteを試用してから1週間経ってみたが、慣れず違和感は消えなかった。
一応、Titan 2 Eliteの「設定」の「ショートカット」で、「Alt」を「左Shift」と入れ替えることが可能だったので入れ替えてみたところ、確かに操作感は向上したが、刻印が逆なので、やっぱり一瞬戸惑ってしまいギクシャクする。そして右側の「Enter」と「右Shift」は今のところ入れ替えようがないので、どうしようもない。
あくまでも個人的な感想なので、ユーザー次第というところはあるし、もっと長期間利用したら慣れるかもしれない。また、新規ユーザーなら影響は少ないだろう。しかし「やった!俺が愛用しているTitan Pocketの後継モデルが出た~!早速乗り換えるぜ!」と喜んで飛びつこうとしている古参ユーザーは、一度冷静になって吟味したほうが良いと思った。
そして、Unihertzにはさまざまなニーズのユーザーに適応できるよう、キー入れ替え機能をさらに実装してほしかったりもする。上記の「右Shift」と「Enter」以外にも、たとえば、「アプリ切り替え」や「Fn」などは、正直なところ利用頻度が低いので、変換文節をすぐに切り替えられるよう、カーソル左右に割り当ててもいいのでは?と思った。
キーボードのレイアウトや機能についてやや苦言を呈する形となったが、キーの完成度は抜群にいい。Titan 2からの本体の小型化と左右のキー増加に伴い、配列的には窮屈となっている印象だが、絶妙に斜めにカットされたキートップにより、隣接しているキーを誤操作することはなかった。また、反発力もTitan 2から若干弱くなったのか、高速なタイピングがしやすくなったように思う。
背面ディスプレイがなくなってシンプルに
サイズとキーボードの変化以外のところでは、Titan 2から背面ディスプレイがなくなったことが大きなポイントの1つ。Titan 2では、メイン画面を裏返して机に置いても、サブディスプレイで時間や着信の状態が確認したり、背面カメラを使った自撮りの際のプレビュー画面として使えるのが特徴の1つだったといえるが、Titan 2 Eliteではバッサリ削除された。
同社は過去に「TickTock-E」という、サブディスプレイを搭載しながら低価格を実現したモデルを投入していた。そのため、今さらコスト増を理由にサブディスプレイを排除した可能性は低く、純粋に本体の軽量化や小型化、機能の簡素化を図るためだと思われる。ただ、カメラ部の出っ張りがTitan 2より厚くなったのは少し気になった。幸い、出っ張りが横長なため、机の上に置いてもがたつくことはないのだが……。
ちなみに小型化という意味ではディスプレイ上部のデザイン変更も見逃せない。Titan 2はディスプレイ上部が大きなベゼルとなっており、スピーカーやUnihertzのロゴ、前面カメラなどを配置していたのだが、ファンのコミュニティからは「今どき無駄なスペース」と厳しい目を向けられることもあった。Titan 2 Eliteではパンチホール式の前面カメラとなったことで“今風”となった(もちろん、これはこれで賛否両論はあるだろうが)。
カメラの出っ張りについて述べたところで、ついでにカメラも見ていこう。カメラはUnihertzの端末に共通して言えることだが、画質が良い云々評価できる代物ではない。メインカメラのほうは、発色については、全体的に黄が強めで、今どきの端末としてはダイナミックレンジがやや狭い。一方2倍の望遠カメラはホワイトバランスが黄または青に転がりがちで、暗所ではピントも合わせにくい印象を受けた。こちらは「QRコードが読めればいい」、「写ればいい」と割り切るべきだろう。
そのほかの機能については、Titanシリーズを受け継いでいる。たとえば側面のホットキー、キーボードの表面をなぞるとスクロールできる機能、キーボードショートカットの割り当て機能、赤外線リモコンの機能などだ。この辺りは以前のレビューでも触れているので、参考にしてほしい。
Dimensity 7400採用機としては平均的な性能
最後に簡単にベンチマークを行なう。Titan 2 EliteではDimensity 7400というプロセッサが採用されている。型番的にはTitan 2やJelly Maxに採用されたDimensity 7300より新しいのだが、基本的にCPUのクロックが向上しただけのモデルであり、5G対応プロセッサとしてはエントリーに近いレベルだ。そのためベンチマーク結果もおおむねTitan 2のものを踏襲している。
実際のゲームでの挙動もTitan 2と共通で、画質設定などに特にこだわりがなければ、「崩壊スターレイル」や「ゼンレスゾーンゼロ」のような3Dタイトルも普通に動作する。ただし長時間のプレイで本体が熱を持ち始めるとカクツキ始めるので、チューニングと放熱不足は否めない。とはいえ当初よりゲーム用途を想定した端末ではないため、問題はないだろう。
上位モデルの「Titan 2 Elite Pro」では、CPUにはより高速なDimensity 8400を採用している。CPUはCortex-A725が8基のオールビッグコア仕様(クロックとL2キャッシュ容量だけが違う)、GPUがMali-G720 MC7なので、ある程度ゲーム性能も期待できそうではあるのだが、想像するに発熱がよりシビアになるはずで、長時間のゲームプレイには向かないと思われる。いずれのモデルも、断続的もしくは一時的な負荷を想定していると思われる。
ちなみにDimensity 7400でも普段の操作はいたって快適だ。本機はメモリとして12GBのLPDDR5を搭載しているが、容量的には各社のフラグシップに並ぶレベルだ。そのため複数のアプリを起動している状態でもサクサク操作できる。アプリ「PocketPal」を使って2BクラスのLLM(SLMと言ったほうがいいかもしれないが)を10tok/sの速度でローカルで実行することも可能だった。
なお、UnihertzはTitan 2 Eliteに対して5年間にわたるソフトウェアサポートを提供し、Android 20へのOSアップデートおよび2031年までのセキュリティパッチの提供が保証されている。同社の過去の製品ではあまり積極的にアップデートされてこなかったし、XiaomiやOPPO、Huaweiといった大手以外の中国メーカーもアップデートには消極的なので、そのあたりを疑問視するユーザーが多かったようだが、Titan 2 Eliteはひとまず安心してよさそうだ。
つべこべ言わずに衝動買いすべき?
Titan 2 Eliteは、かつてのTitan Pocketのガジェットとしての要素を受け継ぎつつ、新しいデザインを取り入れ、キーボードを再構築したユニークな製品だ。ディスプレイサイズの拡大や解像度の向上、Dimensity 7400による日常利用で十分な性能など、Titan Pocketの後継として名乗るのに必要な実力は十分備わっており、「小型」で「ハードウェアキーボード付き」というニッチな需要を満たすように設計されている。
一方、最大のハイライトであるキーボードについては、新規ユーザーには直感的で使いやすいと評価されるかもしれないものの、従来のTitanシリーズを愛用してきた古参ユーザーには、レイアウト変更によって違和感と大きな慣れを強いるものとなった。つまり、Titan 2 Eliteは「過去作の単純な進化系」ではなく、「小型のキーボード付きスマートフォンの新しい基準」を提示しようとする野心的なモデルだ。せめて柔軟なカスタマイズ性があればと思うと、まだソフトウェア的に改善の余地を残している印象だ。
とはいえ、本機は小型でハードウェアキーボード付きのスマートフォンとして唯一無二の貴重な存在であることに変わりはない。また、キーボードのタイピング感もトップクラスで、ついついテキストエディタや端末エミュレータ、PocketPalを起動して何かしらテキストを打ちたくなってしまうのも確か。とにかく手元にあるとキーボードの利用頻度が高まるので、1カ月以上のスパンで利用してみたら慣れちゃった、という可能性も否定できない。そういう意味で、QWERTYキーボードへの依存度が高いユーザーなら、あまり深く考えずに衝動買いするべき製品だと思った。





















































