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一足飛びのCore Ultraシリーズ3搭載、いきなりAIマシンになった「VAIO SX14-R」

VAIO SX14-R

 VAIOは4月23日、ノートPCのフラグシップ機「VAIO SX14-R」の最新モデルを発表した。発表当日より受注が開始され、個人向けモデルの発売は5月22日以降順次となる。事前にCPUがCore Ultra X7 358Hで、メモリが64GBのハイスペック仕様機を借用できたので、どんな仕上がりになっているのかチェックしてみよう。

最新世代のCore Ultraシリーズ3を搭載

 現在のVAIOノートの最上位に位置付けられるVAIO SX14-R(以降SX14-R)は、昨今のビジネス用途においてスタンダードな14型液晶を採用しつつ、最軽量構成で1kgを切る高性能軽量モバイルノートだ。

VAIO SX14-R(勝色特別仕様)

 2024年に初登場した時点ですでに高い完成度とスペックを誇っていたためか、その後目立ったアップデートはなかったが、今回は大規模モデルチェンジといってもいいほどの変更が加わっている。

 一番の大きなアップデートは、CPUが現時点で最新世代となるIntel Core Ultraシリーズ3を搭載すること。前モデルは2024年発売当時すでに世代遅れ気味となっていたCore Ultraシリーズ1だったが、新しいSX14-Rは一足飛びの最新世代に載せ替えられた。

試用機はIntel Core Ultra X7 358Hを搭載

 VAIOの調査によれば、前モデルのCore Ultra 7 155Hに対し、新型のCore Ultra 7 356Hは123%のCPU演算性能を持つとのこと。NPUのAI性能も11TOPSから50TOPSへと5倍近くにジャンプアップしている。

 今回お借りした試用機は、一段スペックの高いCore Ultra X7 358H(16コア16スレッド、最大4.8GHz、Processor Base Power 25W)搭載の「勝色(かちいろ)特別仕様」に準じたモデル(ディスプレイ解像度のみ本来の仕様と異なる)。さらなるハイパフォーマンスが期待できるだろう。

試用機と前モデルのスペック
VAIO SX14-R(試用機)VAIO SX14-R(前モデル)
OSWindows 11 ProWindows 11 Pro
CPUCore Ultra X7 358H
(16コア16スレッド、最大4.8GHz、Processor Base Power 25W)
Core Ultra 7 155H
(16コア22スレッド、最大4.8GHz、Processor Base Power 28W)
GPUIntel Arc B390 GPU(CPU内蔵)Intel Arc Graphics(CPU内蔵)
メモリ64GB(LPDDR5X)64GB(LPDDR5X)
ストレージ2TB(PCIe 5.0 x4、NVMe M.2 SSD)512GB(PCIe 4.0 x4、NVMe M.2 SSD)
ディスプレイ14.0型液晶(1,920×1,200ドット、60Hz)14.0型液晶(2,560×1,600ドット、60Hz、タッチ対応)
インターフェースUSB4(Thunderbolt 4、Type-C) 2基
USB 3.2 Gen 1 2基
HDMI出力、ヘッドセット端子
USB4(Thunderbolt 4、Type-C) 2基
USB 3.2 Gen 1 2基
HDMI出力、ヘッドセット端子
通信機能Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、有線LAN(1GbE)Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、有線LAN(1GbE)
カメラ921万画素921万画素
サウンドステレオスピーカーステレオスピーカー
セキュリティ顔認証、指紋認証(いずれもWindows Hello対応)顔認証、指紋認証(いずれもWindows Hello対応)
同梱品ACアダプタ(最大65W)ACアダプタ(最大65W)
サイズ約312×226.4×13.9~18.9mm約312×226.4×13.9~18.9mm
重量約958g~約999g~
カラー勝色(ほか、ファインブラック、アーバンブロンズ、ブライトシルバー、ディープエメラルド、ファインレッド、オールブラック)ファインブラック、アーバンブロンズ、ブライトシルバー、ディープエメラルド、ファインレッド、勝色、オールブラック

ユニファイドメモリで30GBのAIモデルをフル読み込み

もはやCPUパフォーマンスはどのPCも十分。今求められているのはAI性能

 とはいえCPU性能としては、Core Ultra以前からWebブラウジングやMicrosoft Officeといった実務アプリケーションにおいて不足を感じることはほぼ皆無になっている、というのがみなさんも実感しているところだろう。

 しかも、この1~2年だけをみても重視するポイントはCPUというより、GPU、あるいはメモリ(メインメモリとVRAM)の搭載量へとシフトしている。ビジネス向けPCとして業務のパフォーマンスを高めるためには、CPUだけでなく昨今のAI処理をカバーする総合的な性能向上が不可欠だ。

 そうした視点で見ると、SX14-Rでもう1つ注目すべきなのが、内蔵GPUにIntel Arc B390 GPUを搭載し、VRAMがメインメモリと共有するユニファイドメモリとなっていること。最上位構成の最大メモリ容量は64GBで、その一部をGPUから高速・大容量のVRAMとして利用できるのだ。

 試用機(メモリ64GB)では、GPU側から使えるVRAM容量表示は36.14GB。ローカルAIを扱えるツール「LM Studio」を立ち上げてみると、30GBを超えるAIモデルであってもVRAMにフルでオフロード可能と判定される。

VRAM容量は36.14GBと表示

 たとえばAIモデルに「GPT-OSS 20B」(12.11GB)を選んで試してみると、30トークン/秒超えの速度に。また、「Qwen3.5」(35B A3B、29.42GB)では25.85トークン/秒、最近リリースされたGoogleの「Gemma 4」(26B A4B Instruct Q8_0、28.05GB)でも19.13トークン/秒となった。

「Gemma 4」は最大28.05GBあるが、それでもVRAMにフルに読み込める
LM Studioでプロンプト実行
各AIモデルで一定のプロンプトを実行したときの速度。これなら実用できる

 これは、特にVAIOのようなビジネスノートにおいて大きな意味を持つ。一般的なクラウド型のAIサービスは高性能だが、情報漏洩の可能性があるものは業務では使えない。しかし高速にローカルAIを処理できるSX14-Rなら、安全性を保ちつつ実用性も確保できる。

 オープンなAIモデルも日々進化し続けており、実用度はこれからもまだまだ高まっていくはずだ。大容量メモリを搭載するSX14-Rは、まさしく最新のAIマシンとして業務で幅広く活躍してくれるだろう。

Copilot+ PCに準拠し、省電力に向けたさらなる取り組みも

 NPUが最大50TOPSとなり、Copilot+ PCに準拠したことも大きなアップデートといえる。Webカメラにぼかしや自動フレーミングなどの効果を加えられる「Windows スタジオ エフェクト」はもちろんのこと、再生中の音声をリアルタイムに字幕化する「ライブキャプション」(同時翻訳にも対応するが、現在は英語への翻訳のみ)も利用できる。

NPUを活用して音声をリアルタイムに字幕化する「ライブキャプション」。日本語音声を英語にリアルタイム翻訳したところ

 また、Windowsキー+クリックで画面内要素のコピーや保存、検索などのアクションが行なえる「クリックで実行」、過去の作業履歴を振り返ることができる「リコール」も使える。NPUの担当範囲が広がることで、CPUやGPUをほかのタスク処理に振り分け、全体的な快適性アップを狙えるわけだ。

画面内要素に対してさまざまなアクションを行なえる「クリックで実行」

 快適性という部分では、VAIOシリーズに共通でプリインストールされている「VAIO オンライン会話設定」をはじめ、Web会議で役立つ独自機能を引き続き利用できることも特徴として挙げられる。

 周囲のノイズを低減し、自分の声だけを拾えるようにする設定も可能な「AI ノイズキャンセリングマイク」、Windows スタジオ エフェクトにはないバーチャル背景や効果的な明るさ補正などの独自カメラ設定もある。

3つのマイクを利用して正確なノイズキャンセリングや音声フォーカスを可能に

 加えて、省電力への取り組みも拡大している。今回のSX14-Rではカメラ設定に「エコ撮影モード」が新たに加わり、オンにすることでWebカメラのフレームレートを抑えるなどして消費電力を低減する。

 実際に試してみたところ、Webカメラ使用時のCPU負荷が平均で半分程度になった。映像の方は確かになめらかさが低下しているように感じるが、通常のWeb会議であれば相手側にとってはまったく気にならないレベルの変化だろう。外出時、急きょWeb会議が必要になったけれどバッテリ残量が気になる……といった場合でも不安感は少なくなりそうだ。

「エコ撮影モード」をオンにすることで、14~20%だったCPU負荷が8~13%に(バーチャル背景オン時)

インターフェイスをバランス良く配置し、本体を40g軽量化

 それ以外の部分では、最軽量構成時の重量が約958g(個人向け)と、前モデルから40gほど軽量化している。SSDはPCIe 4.0からPCIe 5.0接続に高速化され、最大容量は2TB。バッテリ持ちは動画再生時に約20.5時間となり、4.5時間延長した。

 ほかの要素は前モデルをほぼ受け継いでいる。液晶ディスプレイは最大2,560×1,600ドットのタッチパネル(1,920×1,200ドットのタッチ非対応も選択可)で60Hz。Thunderbolt 4(USB4)ポートとUSB 3.2 Gen 1ポートは左右側面にバランスよく2基ずつ、計4基用意され、有線LAN(1GbE)、HDMI出力も備える。

左側面にThunderbolt 4(USB4)とType-Aのポートが1つずつ
右側面にもThunderbolt 4が。HDMI出力や有線LANポートもある

 ネットワークはWi-Fi 7で、4G/5G対応のWAN搭載モデルも選択可。Webカメラは約920万画素で変わらず、指紋センサー一体型の電源ボタン、VAIOならではのリフトアップヒンジといったあたりも継承しており、従来のVAIOユーザーにとっても安心感のあるつくりだ。

物理シャッター付きのWebカメラ
指紋センサー一体型電源ボタン
VAIOらしさの1つであるリフトアップヒンジ
ディスプレイ部を180度開くことも可能

性能、拡張性、デザインのすべてで隙のない1台

 VAIOのコーポレートカラーである「勝色」を施した勝色特別仕様の高級感は相変わらず。表面のしっとりとしたマットな質感と、天板にあるゴールドのVAIOロゴやオーナメントとの組み合わせは所有感を高めてくれる。

高級感のある「勝色特別仕様」

 キーボードは、キートップの文字が目立たない隠し刻印を選択することもでき、バックライトをオフにすればプレーンな見た目が玄人感をかもし出す。キーボード面はもちろんこれまで通り、剛性感の高いアルミ一枚板だ。性能、拡張性、デザインのあらゆる面で隙のない1台であることは間違いない。

バックライトオフだとキートップの文字が目立たない
バックライトオンでうっすら見えるように

 メモリ・ストレージの価格高騰によって本体価格も上振れしているのが唯一気になるところではある。ローカルAIの活用でクラウドサービスのコストを抑えられる可能性があることや、国産ならではの信頼性の高さ・充実したサポート体制なども考慮に入れて判断したい。