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シリーズ最大サイズ、18型「Alienware m18」は最強のゲーミングノートなのか

Alienware m18

 デル・テクノロジーズ株式会社のゲーミングブランド「Alienware」から、18型のゲーミングノートPC「Alienware m18」が発売された。ノートPCとしては最大級のサイズで、現行のAlienwareのノートPCでも最も大きい。デスクトップPCの代替も想定される製品だ。

 本機はCPUに第13世代Core i7/9 HXシリーズまたはRyzen 7/9 7000HXシリーズ、GPUにGeForce RTX 4060~4090を採用している。大型筐体だけあって、ノートPCの最上位スペックを導入できるのが魅力だ。

 今回はCore i9-13900HXとGeForce RTX 4070を搭載したモデルをお借りして、性能や使用感を見ていきたい。

カスタマイズ幅が広い大型筐体

 今回の試用機は、Core i9-13900HXとGeForce RTX 4070を搭載した標準モデルをベースに一部カスタマイズしたものとなっていた。スペックは下記の通り。

【表1】Alienware m18(試用機)の主な仕様
CPUCore i9-13900HX
(Pコア×8+Eコア×16/32スレッド、Pコア5.4GHz+Eコア3.9GHz)
チップセットIntel HM770
GPUGeForce RTX 4070(8GB GDDR6)
メモリ32GB DDR5-4800(16GB×2)
SSD2TB(M.2 NVMe)
光学ドライブなし
ディスプレイ18型非光沢液晶(2,560×1,600ドット/165Hz/3ms、G-SYNC)
OSWindows 11 Home
汎用ポートThunderbolt 4×2、USB 3.0 Type-C、USB 3.0×3
カードスロットSDカード
映像出力HDMI 2.1、Mini Display Port 1.4、Thunderbolt 4×2
無線機能Wi-Fi 6E、Blunetooth 5.3
有線LAN2.5Gigabit Ethernet(Killer Ethernet E3100)
その他前面207万画素IRカメラ(Windows Hello対応)、デュアルマイク、ヘッドセット端子など
本体サイズ410.3×319.9×24.1~25.1mm
重量4.23kg
価格41万3,380円(上記構成時)

 CPUはPコア×8+Eコア×16のCore i9-13900HX、GPUはGeForce RTX 4070。かなり豪華なスペックではあるが、本機の標準構成の中では5つあるうちの3番目と中間的な位置付けになる。なお、メインメモリは標準モデルで16GB、SSDは1TBのところを、試用機ではそれぞれ32GB、2TBに倍増してあった。標準構成のままの場合、価格は36万4,980円となる。

 ディスプレイはWQXGA(2,560×1,600ドット)で、リフレッシュレートは165Hz。G-SYNCにも対応する。最近のノートPCでは16:10のアスペクト比、ゲーミングモニターではWQHD(2,560×1,440ドット)のハイリフレッシュレートがそれぞれ流行だと言えるが、その両方を落とし込んだような性能だ。

 インターフェイス類も充実しており、2基のThunderbolt 4と1基のUSB 3.0 Type-Cで、計3基のType-Cポートを搭載。前面カメラはWindows Hello対応で、顔認証によるWindowsのログオンが可能だ。ネットワーク周りはWi-Fi 6Eと2.5Gigabit Ethenetとこちらも隙がない。

 構成のカスタマイズにも対応しており、メインメモリは最大64GB、SSDは最大8GB(4TB×2)まで対応。ディスプレイは標準仕様の165Hz/WQXGAのほか、480Hz/WUXGA(1,920×1,200ドット)も選べる。またCherry MXウルトラロープロファイルの英語キーボードにも有料で変更できる。

 本体サイズはかなり巨大で、フットプリントはA4ファイルを2枚並べたより僅かに小さいくらい。重量も4.23kgと、ノートPCとしては最重量級となっている。

高解像度&高リフレッシュレートのディスプレイを活かせる高性能

 次に実機のパフォーマンスをチェックする。ベンチマークテストに利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2600」、「3DMark v2.26.8125」、「Cinebench R23」、「VRMark v1.3.2020」、「BLUE PROTOCOL ベンチマークソフト」、「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.4」。

 本機にはカスタマイズツール「Alienware Command Center」がプリインストールされており、動作モードの切り替えができる。動作モードは「バッテリ」、「静粛」、「バランス」、「パフォーマンス」、「オーバードライブ」の5つのプリセットと、手動設定の「カスタム」が選択できる。

 初期設定は「静粛」。「パフォーマンス」と「オーバードライブ」ではCPUとGPUのいずれか、または両方がオーバークロックで動作するとしており、設定時に警告が表示される。さらに「オーバードライブ」選択時には、4基の搭載ファンが全て100%で回る。

 ベンチマークは「静粛」で実施しつつ、「PCMark 10 v2.1.2600」と「3DMark v2.26.8125」については「バッテリ」を除く4つのプリセットを切り替えて実施した。

カスタマイズツール「Alienware Command Center」
【表2】ベンチマークスコア(PCMark 10 v2.1.2600)
動作モード静粛バランスパフォーマンスオーバードライブ
PCMark 107,4557,7947,9627,975
Essentials9,77411,37111,47011,497
Apps Start-up score10,96915,76416,02716,143
Video Conferencing Score7,8018,5198,5358,553
Web Browsing Score10,91510,95011,03311,007
Productivity10,94610,81411,20011,340
Spreadsheets Score14,43114,18214,71714,953
Writing Score8,3038,2478,5548,601
Digital Content Creation10,50910,44910,64210,560
Photo Editing Score8,1548,2388,3898,012
Rendering and Visualization Score18,60718,00918,34718,848
Video Editing Score7,6517,6537,8327,799
Idle Battery Life6時間10分---
Modern Office Battery Life3時間14分---
Gaming Battery Life58分---
【表3】ベンチマークスコア(3DMark v2.26.8125)
動作モード静粛バランスパフォーマンスオーバードライブ
Speed Way
Score2,8742,8882,9122,914
Port Royal
Score7,1357,1877,2507,257
Time Spy
Score12,44412,69012,74712,796
Graphics score11,82112,09512,15512,184
CPU score17,74717,60317,60717,888
Fire Strike
Score26,12825,82926,24126,376
Graphics score28,95428,62229,82329,595
Physics score42,61942,37442,26743,787
Combined score11,29911,14510,62610,936
Wild Life
Score60,25368,59268,33769,234
Night Raid
Score54,76771,27871,67172,381
Graphics score85,410143,009144,253144,217
CPU score18,05718,55118,61018,935
CPU Profile
Max threads12,45012,17912,21513,543
16-threads10,3759,0759,37810,000
8-threads7,6616,8296,9177,254
4-threads4,1183,9104,0704,114
2-threads2,1842,0902,1642,139
1-thread1,1141,0031,0541,021
【表4】ベンチマークスコア(VRMark v1.3.2020)
Orange Room
Score12,834
Average frame rate279.79fps
Cyan Room
Score7,534
Average frame rate164.24fps
Blue Room
Score3,276
Average frame rate71.41fps
【表5】ベンチマークスコア(ゲーム系)
BLUE PROTOCOL ベンチマークソフト(最高画質)
2,560×1,600ドット13,186
1,920×1,080ドット20,153
STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
HIGHEST 1,920×1,080ドット100/100
PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator(簡易設定6)
2,560×1,600ドット11,902
1,920×1,080ドット28,321
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(高品質)
3,840×2,160ドット4,627
2,560×1,440ドット8,268
1,920×1,080ドット11,066
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(最高品質)
2,560×1,600ドット16,080
1,920×1,080ドット22,667
【表6】ベンチマークスコア(Cinebench R23、10minutes)
CPU(Multi Core)20,777pts
CPU(Single Core)1,987pts

 トータル24コアのCPUはさすがの高性能。マルチスレッドで並のデスクトップPCを上回りつつ、シングルスレッドでも負けていない。「Cinebench R23」のMP Ratioは10.45、「3DMark」の「CPU Profile」も1スレッドと最大スレッドでも10倍以上の差があり、Pコアの数を上回っている。

 ゲーム系ベンチマークでは、最新の「BLUE PROTOCOL ベンチマークソフト」と「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」において、どちらも最高画質設定で最高評価を獲得。スコアが出にくい「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の4K・高画質設定でも、「やや快適」という評価が出た。GPUもデスクトップの代替になり得る高性能さだ。

「BLUE PROTOCOL ベンチマークソフト」もディスプレイのネイティブ解像度で余裕のスコア

 動作モードに関しては、「静粛」から「オーバードライブ」まで段階的にパフォーマンスの向上が見られるものの、概ね10%程度の範囲に収まっている。筐体が大型で冷却に余裕があるため、あまりファンを回さなくてもそれなりに冷却できているのかもしれない。

 あとはオーバークロック分の性能向上で、「オーバードライブ」だと実測値でCPUが約100MHz、GPUが約15MHzのクロック向上を確認できた。CPUは標準でも5GHzを超えるので、相対的にオーバークロックの上げ幅が小さくなっているとも言える。

 バッテリ駆動時間は、ディスプレイの輝度50%で実行。アイドル時で6時間強、オフィスユースで3時間強、ゲームユースだと1時間弱という結果になった。バッテリ容量は6セル97WHrとされており、特に大容量でもない。大型筐体だけに、長時間持ち出してバッテリ駆動することは考えていないのだろう。

 SSDはキオクシア製「KXG80ZNV2T04」が使われていた。PCIe 4.0 x4接続のSSDで、実測でもシーケンシャルリードが7GB/s、ライトも6GB/sを超える。もちろん実使用でも十分に快適だ。

CrystalDiskMark 8.0.4の結果

 また実際のゲームプレイのテストとして、「フォートナイト」のバトルロイヤル1戦と、「エーペックスレジェンズ」のチュートリアル1周のフレームレートを、NVIDIA FrameViewで計測した。解像度はディスプレイと同じWQXGAと、フルHD(1,920×1,080ドット)でそれぞれ実施。画質はいずれも最高設定で、動作モードは標準の「静粛」とした。

【表7】ゲームのフレームレート
フォートナイト
WQXGAフルHD
平均61.237fps68.185fps
下位10%50.899fps56.878fps
下位1%42.131fps49.26fps
エーペックスレジェンズ
WQXGAフルHD
平均169.319fps210.528fps
下位10%133.127fps164.65fps
下位1%108.127fps137.929fps

 「フォートナイト」では、DirectX 12でクオリティプリセットを最高、レイトレーシングは不使用とした。フレームレートはWQXGAで平均で61fps、下位1%でも約42fpsで、プレイ中に違和感はない範囲。ただディスプレイのリフレッシュレートが165Hzなので、もう少し画質を下げてフレームレートを稼ぐ方が無難だ。

 「エーペックスレジェンズ」では、144Hzのリミッター上限を解除し、画質設定を全て最高に設定。ただしスポットシャドウディテールを「極」にするとVRAM不足とされたので、1段階下の「最高」にしている。フレームレートはWQXGAでも平均約169fpsで、ディスプレイのリフレッシュレートを上回っている。本機で十分に快適なプレイが可能だ。

強固な筐体にゲーマーに配慮した豊富な端子類を装備

ディスプレイを開いて横から見ると。筐体後部が出っ張った形になっているのが分かる。Alienwareの特徴だ

 続いて実機を見ていこう。AlienwareのノートPCは伝統的に、ディスプレイのヒンジ部分の奥がさらに伸びたような形状をしている。この部分があるおかげで高い冷却性能、つまりは高い性能を得ているが、代償として筐体サイズは大きくなる。もっとも本機のように18型にもなれば、少々の大きさの違いはどうでもよいかもしれないが。

 ディスプレイ部を畳んで手に持つと、さすがに4kg超の筐体は重く、片手で小脇に抱えるサイズではない。だが両手で持って運ぶ分には、筐体の剛性は極めて高く、また厚さが最厚部で25.1mmと割と薄いこともあって持ちやすい。落下時のダメージが大きそうなので、あまり頻繁に動かさない方がよいようにも感じる。

 18型のディスプレイはかなり巨大で、WQXGAという高めの解像度も違和感なく使える。また発色がよくコントラストも良好で、かつ視野角も極めて広い。Webブラウザのスクロールの挙動も滑らかで、残像感も少ない。応答速度は3msとしているが、ほかのゲーミングモニターと比較して遅いという感覚もない。最高品質のディスプレイと言っていいだろう。

 大型のディスプレイを支える天面パネルも極めて剛性が高く、押さえた時のへこみもほとんどないし、ディスプレイを開いた時などのたわみもかなり少ない。ただ大きいだけでなく、ずっしり重くてがっちり堅い、という手触りだ。

ディスプレイは大型で高精細。色味やコントラストも文句なし
視野角も極めて広い

 キーボードはアイソレーションタイプ。キーピッチはテンキーを含めて約19mmだが、中央下段のいくつかのキーのみ約1mmほど横幅が狭くなっている。日本語キーボードにしたときのスペースの都合と思われるが、注意深く見ないと気づかない程度の差だ。大型筐体だけあって、テンキーありでも余裕がある。

 キーストロークは一般的なノートPCと同等の浅さながら、クリック感が強くメリハリが効いた感触だ。キーボードバックライトも搭載しており、専用ソフトウェア「ALIENFX」でキーごとにフルカラーで調整できる。

キーボードはテンキーありでも余裕が感じられる配置
キーボードバックライトは付属のソフトウェア「ALIENFX」で1キーごとにカスタマイズ可能
タッチパッドはボタン一体型。サイズもかなり大きいが、筐体サイズが大きいので違和感はない

 インターフェイス類は、左側面に2.5Gigabit Ethenet、USB 3.0×2、ヘッドセット端子。右側面にUSB 3.0 Type-C。そして背面にThunderbolt 4×2、USB 3.0、HDMI、Mini Display Port、SDカードスロット、電源端子が並ぶ。マウス使用時に邪魔になりやすい右側面の端子が1つだけで、左側面にヘッドセット端子やUSBを配置しているのが、ゲーマーの利用環境をよく分かっていると感じる。

左側面は2.5Gigabit Ethenet、USB 3.0×2、ヘッドセット端子
右側面はUSB 3.0 Type-Cのみ
前面に端子やインジケータはない
背面はThunderbolt 4×2、USB 3.0、HDMI、Mini Display Port、SDカードスロット、電源端子
天面にはLEDが仕込まれたロゴがある。剛性はかなり高い
底面は広くスリットが開けられている

 スピーカーは底面の手間側左右に配置されているようだ。音質は低音がほとんどなく、中高音が中心のノートPCにありがちな音が出るが、耳触りな感じではなく自然に聞ける。

 ここで付属のソフトウェア「Dolby Access」を使うと、一気に音の印象が豊かになる。特にサラウンドバーチャライザー機能が秀逸で、機能を切っている時と比べて音の広がりや厚みが格段に増す。こういうソフトウェアに頼った音質向上はいかがなものかとも思うが、本機に関してはよくチューニングされており、素直に使っておきたい。音質はゲームや音楽など状況に応じて変更できるようになっている。

「Dolby Access」でコンテンツに合わせた音質調整ができる

 エアフローは、底面吸気、背面と側面から排気。4基のファンによる冷却システムはとても贅沢で、それぞれの風量もかなり大きい。先のベンチマークの結果から見ても、冷却能力は相当高いようだ。

 騒音に関しては、アイドル時はほぼファンが止まっており無音に近い。負荷に応じて時々ファンが低回転し、やや甲高い音が混じるが、オフィスユース程度なら周囲を気にするほどの大きさにはならない。

 高負荷になるとファンが高回転で回りだす。騒音はゲームの音を邪魔するほど大きくはなく、ヘッドフォンなしでも十分遊べる範囲。ただ動作モードを変えてファンの回転数が100%まで上がると、低い風切り音がかなり強くなり、ゲームの音の邪魔になってくる。ファンの騒音は耳触りな感じが少なく、総じて騒音のストレスは少ない。

動作モードを「オーバードライブ」にすると、4基のファンが100%で回転する。騒音は大きいが音質は低め

 キートップへの熱伝導は、高負荷が続くと若干感じられるようになる。キーボード中央部はほんのり温かく、W/A/S/Dキー付近も僅かに熱を感じる。ゲーミングノートPCとしては十分うまく熱処理ができている方だが、この筐体サイズならもう少しキートップを冷やして、特にW/A/S/Dキー付近は完全に熱を遮断して欲しいと思ってしまう。

 ACアダプタは330W出力。過去にはACアダプタを2つ使うようなノートPCもあったが、1基でまかなうものとしては相当強力だ。その分サイズもそれなりに大きいが、大出力を思えば控え目だろう。また厚さが筐体サイズとほぼ同等で、さらに角を取った丸い形状にもなっており、使用感やデザインへの配慮もされているのが分かる。

ACアダプタは330W出力とかなり強力。サイズは出力の割には小さく感じられる

 あとはAlienwareの伝統とも言えるLED装飾も備えている。本機の場合はキーボード右上部分にある電源ボタンと、天面にあるロゴ、そして背面にある排気口などの周囲を囲うような楕円形の装飾だ。いずれも「ALIENFX」でカスタマイズが可能。

 背面の楕円形装飾は使用者からは見えないのだが、最近のAlienwareはこれが定番になっている。確かに後ろから見ると、近未来感を出しつつも派手過ぎず、ほかにないデザイン性を強調している。

「ALIENFX」でLEDライティングを調整できる

現状最高のゲーミングノート。ただし気になる部分も

後ろから見た時のデザインが近未来的で格好よく、所有欲を満たしてくれる

 筆者は過去に何台ものAlienwareのノートPCを見てきており、そのたびに「やはり最高級のゲーミングノートPCだ」と感心させられてきた。その気持ちは今回も揺るがないが、若干の不満点もある。

 まずハードウェアとしては間違いなく最高級のものだ。筐体の剛性は完璧だし、近未来的なデザインはいつも所有者を満足させてくれる。パーツ単位で見ても、Killer NICやキオクシア製SSDの採用など、ゲーミングに適した高品質なものを選んでいると感じられる。

 またソフトウェア面も充実している。簡単にオーバークロックまで可能な「Alienware Command Center」や、サウンドを調整する「Dolby Access」、アップデートやトラブルシューティングを一括して行なう「My Alienware」など、便利でUIにも優れたものが用意されている。

 ではゲーミングノートPCとして使ってどうかというと、性能と使用感の両面でトップクラスの品質を持っているのは疑いない。ただ18型という巨大な筐体であることを思うと、性能はもちろん、キートップへの熱伝導や静粛性についても、もう少し頑張ってほしかった。デスクトップPCを不要にする最高のゲーミングノート環境を期待すると、使用感はパーフェクトとは言えない。

 もっとも、筆者がそういう厳しい目で見てしまうのは、過去のAlienwareの製品が極めて高性能だったからだ。AlienwareはコンパクトなノートPCでも少ない熱伝導や静粛性を実現できていたので、最大サイズの本機はもっと頑張れるはずだと思ってしまう

 改めてフラットに評価すれば、本機の完成度は極めて高い。「現状で最高のゲーミングノートPC環境が欲しいならどれ?」と問われれば、やはり本機を推さざるを得ず、これに比肩する製品を探すのは簡単ではない。価格は比較的高価ではあるが、性能は本機を選んでおけば間違いない。そういう安心感こそが、Alienwareの価値だと思う。