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スタミナ抜群で1kg切り!モバイルノートとして一級品の「VAIO SX12」

VAIO SX12。19万9,800円~

 VAIOは同社のハイエンドノートPCに位置づけられる12.5型ノートPC「VAIO SX12」と、14型「VAIO SX14」を6月7日に発表、同日より予約を開始した。VAIOストアでの価格はそれぞれ19万9,800円からで、発売日は6月16日。

 両製品は画面とボディのサイズが異なる以外は基本スペックが共通。ただしSX14のみ、タッチ/ペン対応フルHDと4K液晶ディスプレイをカスタマイズ購入時に選択できる。

 さて今回は、よりモバイル特化型のVAIO SX12を借用した。2022年モデルも借りたので、処理性能がどれくらい向上しているのかチェックしていこう。

Special EditionのみCore i7-1370Pを選択可能

 VAIO SX12のCPUはモデルにもよるが、Core i7-1370P、Core i7-1360P、Core i5-1340P、Core i3-1315Uの4種類が用意されている。

天板は高弾性UDカーボンを用いた立体成型カーボン
本体底面。WWANモデルはヒンジ側にNano SIMカードスロットを備えている
ディスプレイは12.5型フルHD(1,920×1,080ドット)
キーボードは、日本語のほかに英語が存在する

 インターフェイスはThunderbolt 4(DisplayPort 1.4+USB PD対応)×2、USB 3.0×2、HDMI、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャックを装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.1をサポート。WWAN(5G)はオプションで選択可能だ。

 本体サイズは約287.8×205×15~17.9mm、重量は約929g。天板は高弾性UDカーボンを用いた立体成型カーボン、パームレストはアルミ製。高い堅牢性を備え、キーボード水かけ試験なども実施されている。

 バッテリは53Whのリチウムイオンを搭載しており、駆動時間は約26時間、充電時間は約3時間と謳われている。同梱品はACアダプタ、電源ケーブル、クリーニングクロスだ。

 評価が分かれそうなのが、前モデルから変更されたACアダプタ。65Wという容量は同じだが、今回はプラグ一体型ではなく、電源ケーブルを接続するタイプに変更され、重量も160gから223.3gへと増えた。

 今回のACアダプタは電源タップで使用する際にほかの差し込み口をふさがないというメリットがあるが、携帯性という点では前モデルのACアダプタのほうが上だ。せめてカスタマイズモデルでは選択式にしてほしかったところだ。

本体前面と本体背面
右側面にはUSB 3.0、Thunderbolt 4×2、HDMI、Gigabit Ethernet、左側面にはセキュリティロックスロット、USB 3.0、3.5mmコンボジャックを装備

 VAIO SX12のカラーラインナップは豊富だ。基本色としてはアーバンブロンズ、ブライトシルバー、ファインホワイト、ローズゴールド、ファインブラックがラインナップされ、VAIO直営ストア専用としてファインレッド、またカスタマイズ仕様としてオールブラック(ALL BLACK EDITION)、勝色(勝色特別仕様)が用意されている。

今回借用したのはファインブラック
左上からローズゴールド、ファインブラック、ブライトシルバー、ファインレッド(VAIO直営ストア専用)、アーバンブロンズ、ファインホワイト。個人的にはファインレッドが好みだ
吉兆伝統色の「勝色」。VAIOだけの特別感のあるカラーだ
ディスプレイは180度まで展開できる
ディスプレイを開くとキーボード奥が持ち上がるチルトアップヒンジ機構を採用。パームレストの手前の段差が少なくなる「無限パームレスト」も健在だ
パッケージにはACアダプタ、電源ケーブル、クリーニングクロスが同梱
2023年モデルのACアダプタのコード長は実測150cm、電源ケーブルの長さは実測75cm
2023年モデルのACアダプタは「VJ8PD65W2」。仕様は入力100-240V~1.7A、出力5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3.25A、容量65W
2022年モデルのACアダプタのコード長は実測180cm
2022年モデルのACアダプタは「VJ8PD65W」。仕様は入力100-240V/1.5A、出力5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3.25A、容量65W
運搬時の画面保護を兼ねているクリーニングクロス。生地はそれほど厚くはないが丈夫そうだ
今回の貸出機の実測重量は927.5g
2023年モデルのACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測223.3g
2022年モデルのACアダプタの重量は実測160g
VAIO SX12(2023年モデル)のスペック
OSWindows 11 Pro/Home
CPUCore i7-1370P/Core i7-1360P/Core i5-1340P/Core i3-1315U
GPUIntel Iris Xe Graphics/Intel UHD Graphics
メモリ32GB/16GB/8GB(LPDDR4X、オンボード)
ストレージ2TB(Gen4)/1TB(Gen4)/512GB(Gen4)/256GB(Gen4)/256GB(Gen3)
ディスプレイ12.5型フルHD(1,920×1,080ドット、176ppi、16:9、60Hz、非光沢)
ワイヤレス通信Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1
WWAN(5G)オプション
インターフェイスThunderbolt 4×2、USB 3.0、HDMI、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャック
入力デバイスキーボード(ホワイト英語/ホワイト日本語/英語/日本語/日本語かな文字なし/英語(隠し刻印)/日本語(隠し刻印)
カメラ207万画素赤外線(IR)カメラ(Windows Hello顔認証対応)
サウンドステレオスピーカー(Dolby Atmos対応)、アレイマイク(AIノイズキャンセリング)
バッテリ容量53Wh(リチウムイオン)
バッテリ駆動時間約26時間
バッテリ充電時間約3時間
本体サイズ約287.8×205×15~17.9mm
重量約929g
セキュリティ電源ボタン一体型指紋認証センサー、セキュリティロックスロット
TPM搭載/非搭載
オフィスアプリオプション(Core i3-1315Uは不可)
カラーアーバンブロンズ、ブライトシルバー、ファインホワイト、ローズゴールド、ファインブラック、ファインレッド(VAIO直営ストア専用)、オールブラック、勝色
直販価格19万9,800円~

カラーキャリブレーション機器で計測したsRGBカバー率は99.4%

 VAIO SX12の12.5型フルHD(1,920×1,080ドット、176ppi、16:9、60Hz、非光沢)ディスプレイは色域などの詳しいスペックは公表されていない。

 カラーキャリブレーション機器で計測したところ、sRGBカバー率は99.4%、Adobe RGBカバー率は75.0%、DCI-P3カバー率は75.5%という値が出た。写真や動画の色調整には広色域の外部ディスプレイを接続したほうがいいが、一般的な用途であれば実用上十分なクオリティを備えている。

発色に特に癖はない。また表面処理が非光沢なので、照明の映り込みもほとんど気にならない
特に広視野角は謳われていないが、45度ぐらいまでの角度であれば一定の視認性が保たれている
実測したsRGBカバー率は99.4%、sRGB比は102.5%
Adobe RGBカバー率は75.0%、Adobe RGB比は76.0%
DCI-P3カバー率は75.5%、DCI-P3比は75.5%
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生した際の音圧レベルは最大86.8dB(50cmの距離で測定)

 キーボードのキーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mm。キートップは深い皿形状となっており、打鍵感はよく、打鍵音も低めだ。ちなみに2022年モデルとも打ち比べてみたが、特にフィーリングに違いは感じなかった。構造や材質に変更はないと思われる。

キーピッチは約19mm
キーストロークは約1.5mm
キーボードバックライトは、「常に点灯する」、「キーを押したときに点灯する」、「点灯しない」……のいずれかを選べる。点灯時間も10秒、30秒、60秒から選択可能だ
押圧力は、Fキーが0.48N、Spaceキーが0.49N、Enterキーが0.52N
電源ボタンは指紋認証センサー一体型
タッチパッドの面積は実測81×45mm。3本指ジェスチャーの際にはやや狭く感じる

 Webカメラについては室内灯下で撮影テストをしてみたが、明るく、自然な発色で撮影できた。ノイズリダクションの方式は、同一フレームの各ピクセルの周囲をチェックしてノイズ除去する「Spatial Noise Reduction(SN比)」から、前後のフレームをチェックしてノイズ除去する「Temporal Noise Reduction(TNR)」に変更。前モデルより解像感と色再現性が向上しているとのことだ。

207万画素赤外線(IR)カメラ(Windows Hello顔認証対応)はプライバシーシャッター付き。ただしカメラ作動時のインジケータは用意されていない
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDR proオン)

高負荷時でも長時間、安定した性能を発揮

 最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回ベンチマークに使用したのは下記の2モデルだ。

検証機の主なスペック
VAIO SX12(2023)VAIO SX12(2022)
CPUCore i7-1360PCore i7-1280P
メモリ32GB32GB
ストレージ512GB(Gen4)512GB(Gen4)

 できれば6P+8Eコア/20スレッドのCore i7-1280Pに合わせて、Core i7-1370Pで対決させたかったところだが、諸事情により4P+8Eコア/16スレッドのCore i7-1360P搭載機を借用している。それでも興味深い結果となっているのでご覧いただければ幸いだ。

今回借用したVAIO SX12(2023)のシステム概要(HWiNFO64 Proで取得)
ベンチマークを実施する際には「VAIOの設定」の「CPUとファン」で、電源接続時を「パフォーマンス優先」、バッテリ駆動時を「標準」に設定。新機能として「バッテリ節約設定」が導入されたが、バッテリベンチマーク時もあえてオフのままにしている

 まずCPU性能だが、2023年モデルは2022年モデルに対して、Cinebench R23のCPU(Multi Core)で95%、3DMark v2.26.8098「CPU Profile」のMax threads、16 threads、8 threadsで94~97%に留まっている。シングルコアと4スレッド以下では2023年モデルのほうがスコアは上だが、Performanceコアの数が如実に表われた結果だ。

Cinebench R23.200
3DMark v2.26.8098「CPU Profile」

 しかしおもしろいのがCinebench R23を連続10分間実行した際のスコア。2023年モデルがPerformanceコアの差を跳ね返して、106%相当のスコアを記録しているのだ。

 同じ条件のCPU温度とクロック周波数の推移を見てみると、2023年モデルのほうが明らかに安定しており、ベンチマーク実行中の平均クロック周波数は2023年モデルが約2371.01MHz、2022年モデルが1778.13MHzと大きな開きがあった。

 どちらのモデルにもCPUの性能を最大限に引き出すチューニング「VAIO TruePerformance」が施されている。しかし、2023年モデルのほうが長時間、安定した性能を発揮できていることは間違いない。

Cinebench R23.200(※最小テスト時間10分)
CPU温度とクロック周波数の推移(VAIO SX12の2023年モデル)
CPU温度とクロック周波数の推移(VAIO SX12の2022年モデル)

 3Dグラフィックス性能については、3DMarkで101~110%(平均103%)とわずかではあるが2023年モデルのほうがスコアは高かった。

 どちらのモデルのCPUにも内蔵グラフィックスとして「Intel Iris Xe Graphics」が搭載されているが、最大クロック周波数がCore i7-1280Pが1.45GHzなのに対して、Core i7-1360Pが1.50GHzであることが要因だと思われる。

 また高負荷時の安定動作の違いも影響をおよぼしている可能性がある。

 なお、3Dゲームベンチマークでも、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」では107~129%、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」では106~110%相当のスコアを2023年モデルが記録している。

3DMark v2.26.8098
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
FINAL FANTASY XV BENCHMARK

 ストレージ速度についてはどちらもSamsung製PCIe 4.0 x4接続SSD「MZVL2512HCJQ-00B07」を搭載しており、計測誤差以上の違いはなかった。リード、ライト性能ともに高く、このSSDの優秀さを改めて認識することになった。

SSDをCrystalDiskMark 8.0.4で計測

 総合ベンチマーク「PCMark 10」では、2023年モデルは総合スコアで約110%相当、Essentialsで約113%相当、Prodauctivityで約108%相当、Digital Content Creationで約110%相当のスコアを記録している。

 やはり長時間負荷がかかり続けるベンチマークでは、2023年モデルのほうが安定して高いスコアを発揮できるようだ。

PCMark 10 v2.1.2600

 2022年モデルのバッテリは経年劣化しているので、バッテリベンチマークは2023年モデルだけで実施した。ディスプレイ輝度50%で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、13時間35分という好記録を叩き出した。

 今回は新機能「バッテリ節約設定」をオフで計測を実施したが、それでも10時間を大幅に超えるスタミナ性能を発揮している。ボディも1kgを切っており、モバイルノートとして高い実力を備えていることは間違いない。

PCMark 10 Modern Office Battery Life

13型クラスのモバイルノート購入の際に選択肢の上位に入れるべき1台

 デザイン的には変更がなかったVAIO SX12だが、国内設計、製造にこだわるハイエンドモデルだけに質感は高く、また毎度のことながらCPUのパフォーマンスを最大限に引き出している。ディスプレイ輝度50%のバッテリベンチマークで13時間35分に達するスタミナも申し分ない。

 強いて不満点を挙げるとすれば、タッチパッドをダイビングボードタイプにして、左右にUSB PDに対応するType-C端子がほしいところだが、個人的に購入するとしても妥協できる範囲だ。

 13型アンダーのモバイルノートの購入を検討するのであれば、VAIO SX12は必然的に選択肢の上位に入るマシンだと言えよう。