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新ブランド「Dell Pro」がいよいよ国内でも展開。Core Ultra 200Vノートが発売開始に

Dell Proの展示

 デル・テクノロジーズは22日、都内で記者会見を開催。この中で改めて年始に発表したDellブランド整理と製品戦略について解説を行なったほか、法人向けに既に販売を開始した「Dell Pro」ブランドの4製品が紹介された。

ブランド再編の背景と方針

 冒頭では、同社マーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング部長の佐々木邦彦氏が、ブランド再編の背景について語った。

佐々木邦彦氏

 デルはこれまでXPSをはじめ、Inspiron、Vostro、Latitude、OptiPlex、Precisionといったさまざまな製品ブランドを抱えていたが、ユーザーと会話していく中で、こうしたバラバラの製品ブランドよりも「デルのPCを使っている」という声のほうが圧倒的に多かったという。「我々の製品ラインナップに詳しい一部の人しか各製品ブランドを気にしていなかった」としている。

 そこでデルは、過去4年間にわたりアナリストや、1万3,000社以上の顧客との対話を通じて、ブランドの再編の計画を緊密に練った。「Dell」を前面に押し出すことで、複雑化していた製品ラインをシンプルかつ分かりやすく整理。Alienwareを除くすべての個人向け/法人向け製品がDellブランドを冠するものに統一された。

デルがブランド整理に至った経緯
過去のブランド

 具体的には、個人向けの「Dell」と法人向けの「Dell Pro」の2軸に再編成。その中でも法人向けは「Dell Pro」と「Dell Pro Max」の2つの階層を設け、前者は統一管理された環境の中で使われる製品、後者は極限のパフォーマンスを求めるユーザー向けの製品に棲み分けた。

 さらに、それぞれのブランドの中で、製品特性に基づいて階層分けを行ない、モビリティや先進的なデザイン、優れた性能を提供する最上位の「Premium」、拡張性を重視した「Dell Plus」、基本的な性能ニーズに応える「Dell」の3つが定義され、選択しやすい構造を目指した。

PCの新しい製品ブランドと位置づけ

 モニター製品もほぼ同様だが、従来の「Dell デジタルハイエンドシリーズ」は残しつつも、個人向け下位(従来はSEシリーズ、以下同)は「Dell」、上位(S)は「Dell Plus」、法人向けは下位(E)が「Dell Pro」、上位(P)が「Dell Pro Plus」となった。そのほかの周辺機器は個人向けは「Dell」、法人向けは機能に応じて「Dell Pro」、「Dell Pro Plus」、「Dell Pro Premium」へと細分化。

モニター製品のブランド再編
周辺機器のブランド再編

 サポートサービスは、法人向けの「Dell ProSupport」と「Dell ProSupport Plus」の名称を継承しつつも、個人向けは従来のDell Premium Supportが「Dell Care Plus」に、Dell Premium Support Plusが「Dell Care Premium」となった。

サポートサービス名は個人向けのみ再編

 ただし、このスキームままだとサポートや修理などを受ける際に混同するため、新たに策定された“モデル番号”が付与されるようになった。たとえば、最新の「Dell 13 Premium」の場合「DA13250」となり、解釈としては前から順番に、“D”が製品カテゴリ、“A”が製品階層、“13”がフォームファクタまたは画面サイズ、“25”が販売開始年、“0”がCPUベンダーやそのほかの区別になる、といった具合だ。

モデル番号の仕組み

 ブランドの変更スケジュールだが、実は2024年10月の「Dell Pro Rugged laptops」が先行している。残りのモデルについては2025年モデルより順次導入される。ちなみにこうしたブランドの整理は、デジタルネイティブ世代を意識したオンライン購買体験の強化につながるとしている。

「Copilot+ PC」準拠のDell Pro製品

Dell Pro Premiumの新設計のネジ留め式USB Type-Cコネクタをアピールする白木智幸氏

 続いては既に直販で販売されている「Dell Pro」の新製品について、同社マーケティング統括本部 クライアント製品 ブランドマーケティング コンサルタントの白木智幸氏が解説した。

 同氏によれば、2024年にMicrosoftがCopilot+ PCを本格的に展開されて以来、ユーザーのAI PCに対する認知度が高まっており、「今後購入するとしたらAI PC」を選択するユーザーも多い。また、AIによる業務効率/精度向上や、自動化の推進に対するユーザーの期待値も高い。さらに、同社の法人向けノートはAI PCシェアNo.1になるなど、同社の顧客はリテラシーが高いことも伺えるという。

同社のAI PCに関するユーザー調査

 そこで今回、法人向けのDell Proブランドで、Copilot+ PCに準拠した製品「Dell Pro 13 Premium」、「Dell Pro 14 Premium」、「Dell 14 Pro Plus」、「Dell 16 Pro Plus」の4製品を展開。いずれもCore Ultra 200Vプロセッサを搭載し、Copilot+ PCに準拠している。

Dell Pro 13 Premium
製品名Dell Pro 13 PremiumDell Pro 14 Premium
CPUCore Ultra 5 236V/238VまたはCore Ultra 7 266V/268V
メモリ16GBまたは32GB LPDDR5x
SSDM.2 2230 256GB/512GB/1TB/2TB
ディスプレイ13.3型
1,920×1,080ドット表示対応IPS、NTSC 45%、300cd平方m
1,920×1,080ドット表示対応IPS、sRGB 100%、400cd平方m
2,560×1,600ドット表示対応IPS、sRGB 100%、タッチ、500cd/平方m
14型
1,920×1,200ドット表示対応IPS、NTSC 45%、300cd/平方m
1,920×1,200ドット表示対応IPS、sRGB 100%、400cd平方m
2,880×1,800ドット表示対応Tandem OLED、sRGB 100%、タッチ、400cd/平方m
インターフェイスThunderbolt 4 2基、USB 3.2 Gen 1、HDMI 2.1、指紋センサー、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、800万画素Webカメラ、音声入出力
WWAN(オプション)Qualcomm Snapdragon X72Global
本体サイズ295.64×208.93×17.95mm311.2×216.7×17.95mm
最小重量1.071kg1.141kg
製品名Dell Pro 13 PlusDell Pro 14 Plus
CPUCore Ultra 5 226V/236V/238VまたはCore Ultra 7 266V/268V
Core Ultra 5 225U/235UまたはCore Ultra 7 255U/265U(後日提供)
メモリ16GBまたは32GB LPDDR5x
16GB/32GB/64GB DDR5(Uプロセッサ選択時)
SSDM.2 2230 256GB/512GB/1TB
M.2 2280 1TB/2TB
ディスプレイ14型
1,920×1,200ドット表示対応IPS、NTSC 45%、300cd平方m
1,920×1,200ドット表示対応IPS、sRGB 100%、タッチ300cd平方m
1,920×1,200ドット表示対応IPS、sRGB 100%、タッチ、400cd平方m
2,560×1,600ドット表示対応IPS、sRGB 100%、400cd/平方m
16型
1,920×1,200ドット表示対応IPS、NTSC 45%、300cd/平方m
1,920×1,200ドット表示対応IPS、sNTSC 45%、タッチ、300cd平方m
2,560×1,600ドット表示対応IPS、sRGB 100%、300cd/平方m
インターフェイスThunderbolt 4 2基、USB 3.2 Gen 1 2基、HDMI 2.1、Wi-Fi 7/6E、Bluetooth 5.4/5.3、1080p対応Webカメラまたは1440p MIPI Webカメラ、音声入出力
WWAN(オプション)Qualcomm Snapdragon X72 Global
Snapdragon X12 Global
MediaTek T700
Snapdragon X12 Global
本体サイズ313.5×224×19.95mm358×251×21.35mm
最小重量1.4kg1.84kg

 Dell Pro Premiumシリーズの特徴としては、やはり新プロセッサの採用によるバッテリ駆動時間の向上だが、2つのファンによる冷却の「デュアルファン サーマルソリューション」を採用することで、低回転時でもエアフローを向上せることで、1 Sone未満の静音性と高い冷却性を両立させている。

2つのラインナップ
Dell Pro Premiumシリーズの特徴

 さらに、14型モデルではTandem OLEDが選べるようになっており、消費電力効率を高めながら100万:1のコントラスト比、深みのある黒再現が可能で、鮮明な映像体験を提供できる。筐体素材にはリサイクルマグネシウム製シャーシを採用し、MIL-STD H準拠の堅牢性を実現しつつ環境に配慮。加えて、PCR(Post Consumer Recycled)プラスチックも採用する。

デュアルファン サーマルソリューション
オプションのTandem OLED

 もう1つ特徴的なのは、ネジで固定されたUSB Type-Cポートだ。USB Type-Cは挿抜回数が多いポートだけに耐久性が課題となるが、この構造により従来と比較して上下左右方向の応力に対して最大4倍の強度を実現したほか、修理もポートの交換だけで済むようになるため環境性能も高いとしている。

交換可能なUSB端子

 一方でDell Pro Plusシリーズは、同じくCore Ultra 200Vシリーズを採用するが、将来的にはCore Ultra 200Uシリーズも選択できるようにし、メモリ64GBの選択肢を用意。また、リサイクルアルミニウムを50%使用した天板やパームレスト、リサイクル海洋プラスチック/バイオベースプラスチック/PCRプラスチックの採用などで、環境を意識した製品になっているのも特徴だとした。

Dell Pro 13 Premiumのキーボード
Proの刻印
Dell Pro 13 Premiumの右側面
左側面
Dell Pro 16 Plus
採用されている基板
中央にCore Ultra 200Vが鎮座する
インターフェイス基板は分離でき、修理を最小化できる。ちなみにその接続は珍しい圧着式だ