Hothotレビュー
CPU刷新で性能アップ。スッキリしたデザインが逆に光る15.6型ゲーミングノート「G-Tune E5-165」をレビュー
2022年10月11日 06:23
今回紹介するのはマウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」から登場した「G-Tune E5-165」。メインストリームゲーマーをターゲットにした15.6型ノートPCだ。標準構成時の価格は28万9,800円。
モデル名は前世代を受け継ぐが、CPUは「H」SKUの第12世代Coreに更新され、ほかにも高解像度化、メモリ増強などを果たしている。GPUにはGeForce RTX 3060を組み合わせ、1つ上のゲーミング環境を省スペースなノートPC型で実現したい方に最適だ。
清々しいほどシンプル。15.6型でもコンパクトで軽量
G-Tune E5-165の筐体自体はG-Tune E5-165(2021)モデルから大きく変更されていないと思われる。ただしこの筐体、15.6型としては比較的コンパクトで、スリムかつ軽量だ。外観は凹凸などの意匠がほとんどなく、天板もフラットでムダがない。非常にスッキリと、清潔感を感じさせる外観だ。
側面、特にヒンジ寄りはバサッと90度に切り落としており、その辺りもう少し個性をアピールしてもよいのではと思う。側面手前側は底面を少し絞っているが、ここも控えめな印象だ。
サイズは355.5×236.7×20.6mm(幅×奥行き×高さ、突起部含まず)。昨今の15.6型ノートPCなりに狭額縁ベゼル採用などで幅を抑えている。ヒンジからディスプレイパネルまでの間がそこそこ離れているので、ここが奥行きに影響を与えているが、机の上に置いた際にコンパクトさを感じられる。厚さ20.6mmは15.6型としてみれば最薄ではないがスリムな部類だ。
重量は約1.73kg。このクラスのゲーミングノートPCとして見ると軽量と言えるだろう。屋内での持ち運びはもちろん、このくらいの軽さであれば外で使ってみようという気にもなる。現在最軽量クラスのモバイルノートPCと比べれば2倍ほどあるが、GPU搭載でゲーミングというパフォーマンスを持ち運びたいニーズはあるだろう。軽量さとともに、このサイズなら収めるバッグの選択肢も広い。
ディスプレイは15.6型で、解像度はフルHDよりも1つ上のWQHD(2,560×1,440ドット)を採用している。ゲーミングノートPCなのでリフレッシュレートも165Hzと高い。Dolby Vision技術によるHDRにも対応している。
上部ベゼルにはWebカメラを搭載。本製品は200万画素とのことで、一般的なノートPCよりも画素数が多い。Windows Helloにも対応しており、顔認証ログインが可能だ。
オーディオはステレオスピーカーを搭載。Dolby Atmos対応で立体音響を楽しめる。
背面にはThunderbolt 4。2.5GbEも搭載
インターフェイスは、まず後部にThunderbolt 4、HDMI、有線LAN、電源端子がある。ここは映像、電源、そして外付けストレージといった、常に接続したままで利用するだろうインターフェイスを中心に配置されている。
一方、側面には左がUSB 3.1、マイク入力、ヘッドフォン出力、セキュリティロックスロット、右にはmicroSDカードスロット、USB 3.0×2といった具合で、比較的抜き差しの頻度が高いものが中心だ。
注目はまず有線LAN。本製品ではRealtek製チップにより2.5Gigabit Ethernet(GbE)に対応している。昨今では2.5GbE対応のハブやWi-Fiルーターも増えてきており、同時に低価格化も進んだ。そろそろ2.5GbEに移行することを検討しようという方はここに注目だ。
同時に本製品はWi-Fi 6(最大2.4Gbps)にも対応している。高速ネットワークは、ゲームはもちろん日々のブラウジングやファイル操作などでも、快適さが得られるだろう。
また、高速なThunderbolt 4にも対応している。筐体としては従来モデルと同じガワを採用していると思われるが、そちらはUSB 3.1 Type-Cを採用していた。今回のG-Tune E5-165でThunderbolt 4に対応したのは大きなトピックと言える。
ただしG-Tune E5-165全体として、USB Type-Cを利用できる端子はこの1基のみ。たとえば今後Type-Cデバイスが増えてきたとき、それを手元で利用したいとなるとThunderboltハブの追加を検討することになるかもしれない。
キーボードは日本語100キー仕様。テンキー付きでキーピッチは19mmを若干下回る18.75mm。ただし実際にタイピングをすれば、このわずかな違いは気づかないかもしれない。逆に、ここを若干詰めたことで、幅狭なキーはなく、どのキーも押しやすい。
少し気になったのはカーソルキーの上下の縦方向の狭さ、通常キーとテンキーとの間にスペースが設けられていない点くらいだ。キーストロークは1.4mm。まずまずの押下感が得られる。
ゲーミングPCらしくLEDも搭載している。キーボードは4つのゾーンに分割されたRGB仕様で、ユーティリティ「Mouse Control Center」から設定する。また、タッチパッドの手前にもLEDライトバーがあり、キーボード同様に発光させることができる。
キーボード右上には電源スイッチと動作モード切り替えスイッチがある。動作モードの切り替えは、通常ユーティリティの「Mouse Control Center」から行なうが、このスイッチでも切り替えられる。
モードは、工場出荷時の「バランスモード」、ファン回転数を抑える「静音モード」、そしてファンの回転数を高めて性能を引き出す「パフォーマンスモード」の3つだ。静音モードは、動作クロックの上限も抑えるため性能的には不利だが確かに静か。パフォーマンスモードはその逆で、パフォーマンスを得る代わりに動作音が大きくなる。ゲームなどではパフォーマンスモードを活用したいが、ヘッドフォンなど動作音対策は必要になるだろう。
ACアダプタは、出力230Wのものが付属する。大きさはそこそこ。昨今のゲーミングノートPCでは一般的なサイズ感だろう。
第12世代Coreに加え、細部もスペックアップ
CPUは第12世代のCore i7-12700H。Pコアを6基、Eコアを8基搭載しており、合計で14コア/20スレッドという高いマルチスレッド性能を実現する。ベースパワーが45Wとモバイル用としては大電力で、その分クロックも最大4.7GHzと高くシングルスレッドも高性能だ。
メモリはDDR5-4800で容量は32GB。標準構成で32GBというのは大容量だ。これだけあれば多数のアプリケーションを開くマルチタスクでも、高画質な図表/写真を用いたPDFファイルなどを開く場合も快適だろう。
ただし、そこまで必要ないという方は、カスタマイズで16GBに抑えることも可能だ。価格差は9,900円。高スペックだけあってG-Tune E5-165は高価なので、少しでもコストを抑えたい方はこのオプションを選びたい。現在の一般的な用途であれば16GBでも不満はないだろう。そして開発系など32GBでは足りないという方には64GBのオプションも提供されている。
GPUはGeForce RTX 3060 Laptop GPU。アッパーミドル級のGPUで、WQHD~フルHDでのゲーミングが楽しめる。グラフィックスメモリは6GBなので、特に最新タイトルをWQHDでプレイするときには、最高画質だと多少メモリオーバーをする可能性もある。ただし現状では中~低画質設定まで落とすほどではないだろう。また、バッテリ駆動時などはより低電力なCPU統合のIris Xe Graphicsに切り換わる。
ストレージはM.2 NVMe SSDが採用されており、標準構成ではPCI Express 3.0接続、容量が512GBのものを搭載している。転送速度はシーケンシャルリードが2.5GB/s、同ライトが1.2GB/sで、ランダム4KQ1T1リードは56MB/sとやや遅く感じた。とはいえ通常使用で遅さや引っかかりを感じることはない。現在のノートPCとしてスタンダードな仕様と思えばよいだろう。
ストレージの容量や速度に関しては豊富なオプションが用意されている。PCI Express 4.0 x4モデルを選べばより高速に、容量でも1TBや2TBといった選択肢がある。そしてサブドライブのSSDオプションもあるのでかなり柔軟だ。
WQHDで美麗なグラフィックスを楽しめる
それではG-Tune E5-165のパフォーマンスをベンチマークで計測していこう。ベンチマーク時の電源設定は、最適なパフォーマンスとした上で、モード切り替えボタンから「パフォーマンスモード」を指定している。また、いくつかのベンチマークで比較対象に同じマウスコンピューターのDAIV 5N(2021年モデル)を引用している。こちらはCPUがCore i7-11800H(8コア/16スレッド)、メモリがDDR4-3200で、GPUは同じGeForce RTX 3060 Laptop GPUのモデルだ。
今回利用したベンチマークソフトは、Maxonの「Cinebench R23」、ULの「PCMark 10」、「3DMark」の3種類だ。結果は下にまとめた通りだ。
Cinebench R23では、G-Tune E5-165がマルチスレッドで16,361ptsを記録。比較対象を大きく引き離している。Pコアの数は減ったが、Eコアが追加され、トータルスレッド数では勝るところが反映されていると言える。また、シングルスレッドの向上も大きい。第12世代のCore i7となり、CPU性能は大幅に向上している。
PCMark 10では、Overallで7,167。各シナリオではおおむね10,000点前後といったバランスのよいスコアだった。
同じGPUを搭載するもの同士の比較だが、3DMarkのOverallはどれもG-Tune E5-165が上回っている。スコア向上の大きな要因はCPUが第12世代Coreになったことで、CPU scoreやPhysics/Combined scoreが上昇したためだろう。Graphics scoreもわずかに向上していたが、ここはドライバによるものと考えることもできるだろう。
3DMarkはCPUベンチマークも計測した。こちらは比較対象がないため、おおよそのスコア把握の参考にしていただきたい。
続いて、ゲームでのベンチマーク結果は以下の通り。
フレームレートで計測するタイトルは、どれも最高画質または1段階落とした画質設定と2,560×1,440ドット解像度で60fps以上を記録している。Forza Horizon 5は起動時に最適な画質設定が自動的に適用されるが、それを見る限り「高」がオススメとのこと。2,560×1,440ドット、最高画質設定でも67fpsを記録しているが余裕がないため、実際、高画質設定が適していると言える。
Tom Clancy's Rainbow Six Extractionについては、たとえば1,920×1,080ドット、高画質設定で164fpsが得られている。パネルのリフレッシュレートの最大に近い値だ。eスポーツタイトルなどでは、負荷に応じて解像度を下げればパネルに最適な165fpsが得られるので設定を探っていただきたい。
豪華なパネルスペック、それを楽しめる内部スペック
G-Tune E5-165は、同ブランドの15.6型ノートPCの中でもG-Tune H5に次ぐハイエンド寄りに位置する製品だ。Core i7とGeForce RTX 3060の組み合わせで、ベンチマークの通り十分なゲーミングパフォーマンスが得られる。メモリ搭載量も多い。BTO PCとはいえ、標準構成を購入される方も多いと思われるが、そうした方が長期にわたって使用しても後悔しないスペックが保証されている。
価格で言えば決して安いモデルではない。標準構成で28万9,800円なので、30万円をかろうじて切ったというくらいだ。30万円弱の予算となると、ハイエンドゲーミングノートPCが欲しいと明確な目的のある方が対象になるだろう。ただし、WQHD、高リフレッシュレートでのゲームを可能にする製品なので、手に入れれば快適なゲーミング環境を存分に楽しむことができるだろう。