Hothotレビュー
コスパ最高!ゲーム/エンタメ/クリエイティブまで1台でこなすオールラウンドな有機ELノートPC
2022年8月25日 11:30
ASUSのノートPCラインナップに新たに加わったVivobook Pro 15X OLED(K6501ZM)は、15.6型有機ELディスプレイを搭載したミドルクラスのノートPCだ。
ゲームやクリエイティブをカジュアルに楽しむ若者をターゲットとして意識しており、外部GPUとしてGeForce RTX 3060 Laptop(6GB)を搭載するなどゲームもクリエイティブもしっかり楽しめるハイスペックを遊び心のあるデザインのあるボディに収めつつ、比較的リーズナブルな価格にまとめている。実機を入手したのでレビューしよう。
費用対効果を意識した基本スペック
CPUには、Core i7-12650Hを採用する。第12世代Coreプロセッサの高性能ノートPC向けCPU(開発コードネーム=Alder Lake-H)としてはベーシックなモデルだ。
最新ゲーミングPC/クリエイターPCで採用例が多い1つ上の12700HよりもEコアが4つ少ない10コア16スレッドという仕様となっている。パフォーマンスに大きく寄与するPコア部分はコア数、最大周波数ともに共通だけに差は差は少ないと思われるが、実際の性能は後ほど検証しよう。
GPUにはNVIDIA GeForce RTX 3060 Laptop(6GB)を搭載している。現行のゲームタイトルをフルHDで高画質でプレイできる描画性能を備えるほか、クリエイティブアプリでも、レンダリング、プレビュー、エンコード、超解像処理など、さまざまな処理を高速に行なえる。
メモリは、DDR5-4800を16GB搭載する。ストレージはスペック表ではPCIe 3.0 x2対応のSSDとされているが、評価機ではPCIe 3.0 x4対応のIntel 670pが搭載されていた。このIntel 670pもPCIe SSDとしてはエントリークラスのモデルであり、このあたりにコストパフォーマンスも意識したモデルであることが伺える。
型番 | K6501ZM-MA052W |
---|---|
CPU | Core i7-12650H |
CPUコア/スレッド数 | 10コア16スレッド (6Pコア12スレッド+4Eコア4スレッド) |
CPU周波数 | Pコア:最大4.7GHz Eコア:最大3.5GHz |
メモリ | 16GB(DDR5-4800) |
ストレージ | 512GB SSD(PCIe 3.0 x2) |
グラフィックス機能 | GeForce RTX 3060 Laptop(6GB) Intel UHD Graphics(CPU内蔵) |
ディスプレイ | 15.6インチ有機ELディスプレイ、非光沢 DCI-P3 100%、リフレッシュレート120Hz、応答速度0.2ms |
表示解像度 | 2,880×1,620ドット |
サウンド | ステレオスピーカー(1.5W×2)、トリプルアレイマイク |
インターフェイス | Thunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0、ヘッドフォン/マイク兼用、HDMI、microSD(SDXC対応) |
通信機能 | 2.5GbE対応有線LAN Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 |
カメラ | 207万画素 |
バッテリ駆動時間 | 約9時間 |
ACアダプタ | 240W、独自端子 |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 355.4×239.8×20.9~21.9mm |
重量 | 約2.17kg |
OS | Windows 11 Home |
遊び心を感じるカジュアルなボディ
筐体の具体的なサイズは、355.4×239.8×20.9~21.9mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約2.17kgだ。「0°ブラック」と呼ばれるシックなブラックで統一されているが、Escキーをオレンジ色にしたり、ストライプパターンを鮮やかなEnterキーの下部にストライプパターンをあしらうなど、アクセントで変化を付けてカジュアルなイメージに仕上げている。
ボディの素材は樹脂製と思われるが、剛性感は十分。開発段階では米軍調達基準「MIL-STD 810H」適合の過酷なテストをクリアしている裏付けもある。
キーボード/パームレストなどよく手が触れる部分には「ASUSアンチバクテリアガード」として、ISO22196認証を取得した銀イオンコーティングが施されている。細菌の増殖を防ぐ効果が実証されており、効果は約3年間持続するという。
2.5GbE対応有線LAN、Thunderbolt 4を装備
通信機能、本体装備のインターフェイスも充実している。最近では有線LAN端子そのものを省く製品ある中で、2.5Gigabit Ethernet対応有線LAN端子を装備する点は1つ強調できるポイントだろう。
また、USBポートは、Type-C、Type-Aともに2基ずつ装備。Type-Cのうち1基はThunderbolt 4対応で、クリエイティブのプロユースで需要の高いThunderbolt 3/Thunderbolt 4対応のビデオキャプチャデバイスや高速ストレージが利用できるのは強みだ。
Type-Cは2基ともディスプレイ出力(DisplayPort Alt Mode)、USB PD(Power Delivery)に対応。USB PDについての詳細な記述はないが、筆者の手元にあったレノボのUSB PD対応65Wアダプタを試しに利用したところ、低速ながら充電できていた。
鮮やかな有機ELディスプレイ、サウンドも一級品
画面は15.6型の有機ELディスプレイを搭載する。表示解像度は、2,880×1,620ドットの高解像度に対応。色域はDCI-P3比100%(sRGB比133%)、リフレッシュレート120Hzに対応。VESAが定めるHDR向け有機ELディスプレイの基準である「DisplayHDR True Black 600」にも準拠しており、エンターテイメントもクリエイティブもゲームも高レベルで楽しめるハイスペックを持つ。
高解像度ディスプレイならではの精細さ、そして有機ELディスプレイならではの引き締まった黒の表現、鮮やかな発色は、写真や動画はもちろん、Windows 11のデスクトップ画面やWebブラウジングなどの日常操作でも実感できる。仕事や学習のモチベーションも上がってくるだろう。
harman/kardonブランド監修のサウンドシステムの迫力もかなりのもの。音量を増幅するDSPスマートアンプも搭載しており、大きな音圧も歪みなく再生できる。臨場感のあるサラウンドサウンドを実現するDolby ATMOSにも対応している。画面上のマイクはトリプルアレイ仕様で、ノイズを効果的に除去してくれるAIノイズキャンセリング機能も搭載している。
全方位死角のないパフォーマンスを実証
ベンチマークテストの結果を掲載する。比較対象としては、先日レビューしたZenbook Pro 16X OLEDのスコアを掲載している。ファンの動作モードは特に言及がない限り「パフォーマンス」に設定している。
Vivobook Pro 15X OLED (K6501ZM-MA052W) | Zenbook Pro 16X OLED(UX7602) | |
---|---|---|
CPU | Core i7-12650H | Core i7-12700H |
CPUコア/スレッド数 | 10コア16スレッド (6Pコア12スレッド+4Eコア4スレッド) | 14コア20スレッド (6Pコア12スレッド+8Eコア8スレッド) |
CPU周波数 | Pコア:最大4.7GHz Eコア:最大3.5GHz | Pコア:最大4.7GHz Eコア:最大3.5GHz |
メモリ | 16GB(DDR5-4800) | 32GB(LPDDR5-5200) |
ストレージ | 512GB SSD(PCIe 3.0 x2) | 1TB SSD(PCIe 4.0 x4) |
グラフィックス機能 | GeForce RTX 3060 Laptop(6GB) Intel UHD Graphics(CPU内蔵) | GeForce RTX 3060 Laptop(6GB) Intel Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
OS | Windows 11 Home | Windows 11 Pro |
CPU性能がストレートに反映されるCinebench R23のCPUスコアは14481pts。Core i7-12700Hを搭載する比較対象にはおよばないものの肉薄しており、Eコアが4コア少ない不利をあまり感じない。チューニングの違いの影響か、CPU(シングルコア)のスコアでは逆に上回っている。
ほかのテストでも、スペック上では格上のZenbook Pro 16X OLEDを上回る項目が多い。チューニング的に本製品のほうが比較対象よりも性能面に振っている印象もあるが、PCMark 10のProductivityについては、タッチパネル搭載機(Zenbook Pro 16X OLEDはタッチパネル搭載)で不当に低い値が出る項目があり、その影響も出ている。
また、GPUの最大グラフィックスパワーは、Zenbook Pro 16X OLEDが95Wであるのに対し、Vivobook Pro 15X OLEDでは125Wに設定されている。GPUを高負荷で活用する内容では本製品のほうが良いスコアをマークしているのは順当と言える。
ビジネス、クリエイティブ、ゲーム、いずれの分野でもスペックから期待される通りのハイレベルなスコアをマークしている。
静音運用も可能
FINAL FANTASY XIV : 暁のフィナーレベンチマークのみは、ファンの動作モードを3種類テストした。
スタンダードではパフォーマンスとスコアがそれほど差があるわけではなく、ピークの動作音からするともっともバランスが良い。
一方、パフォーマンスモードは、低~中負荷時から負荷に敏感に反応してファンが動作するためややノイジーな印象。ピークの動作音もかなり高い。バランスモードで常用し、いざという時だけパフォーマンスモードにするのが良いと感じた。
ウィスパーモードではかなり性能が落ちるが、高負荷時の動作音もしっかり抑えられるので、静かに使いたい時には良いだろう。
高負荷時の発熱に関してはやや高め。サーモグラフィを見ると手がよく触れるパームレストやWASDキーが高温にならないよう工夫されていることが分かるが、その周辺の熱が大きいため、じんわり程度の熱さは伝わってくる。高負荷で長時間利用するならば、ノートPCクーラーなどがあったほうがよいだろう。
可能性バーゲンプライスでゲットするチャンス
これまで見てきたように、Vivobook Pro 15X OLEDは、ビジネス、ゲーム、クリエイティブ、エンターテイメント、いずれも楽しめるハイスペックと充実の機能を備えている。ベンチマークテストではそのポテンシャルをしっかりと発揮できていることも確認できた。
Vivobook Pro 15X OLEDは、何かに特化した専門的なPCというよりは、さまざまなことを高いレベルでこなせるオールラウンダーの仕様だ。仕事や学習に使いつつゲームやエンターテイメントも楽しみたい方、入門機からステップアップしたい方、入門機では快適にできなかったゲームやクリエイティブ作業に取り組んでみたい方など、幅広いユーザーに高レベルのPC体験を提供できる製品になっている。
本製品の価格は19万9,800円。円安が続く状況を鑑みるとこれはもはやバーゲンプライス。文句なしに買いの1台と言える。