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進化が止まらないGPD最新作「WIN Max 2」。ゲームも仕事もこれ1台で完璧だった

WIN Max 2

 数々の小型Windows PCを繰り出す深センGPD。その最新作「WIN Max 2」がいよいよクラウドファンディングサイトIndiegogoで出資を募り始めた。製品を入手するのに必要な最小出資額は999ドルからとなっている。今回、GPDからCore i7-1260P搭載版のエンジニアリングサンプルが送られてきたので、これをベースとしたレビューをお届けしよう。

 なお、GPDから送られてくるエンジニアリングサンプルは大まかな外観や細部の挙動を確認できるが、実際に出荷する製品と仕様や細部のディテールが異なるケースがこれまでも多く見つかっている(CPU型番違い、キートップ色違い、通気孔の違い、CPU性能の改善、BIOSメニューの違いほか)。そのため写真は参考程度にとどめていただきたい。

ついに10.1型に到達。もはやUMPCではなくなったのだが、恩恵は多々

 2016年に5.5型の「WIN」を投入し、UMPC復活の旗振り役を果たしてきた印象すらあるGPD。そのオリジナルのWINシリーズこそ、最新の「WIN 3」でも5.5型という画面サイズを死守しているのだが、それ以外のシリーズはじわりじわりと大型化が進んでいる。これまでの最大画面サイズは2019年に投入した「P2 Max」という8.9型モデルだったが、ついにWIN Max 2では10.1型という史上最大のサイズに達した。

 ここまで来るとUMPCとは言い難いと思われるかもしれないが、本製品は近年の狭額縁ディスプレイ化の恩恵を受けており、サイズアップは最低限に抑えられている。本体サイズは227×160×23mm(幅×奥行き×高さ)となっているが、WIN Maxは207×145×26mm(同)だったので、横は約20mm、奥行きは約15mm増えた程度。厚みに関しては数値上は薄くなっているが、おそらくこれは最薄部(前方)で、全体的にはWIN Maxとあまり変わらない。WIN Maxが入るカバンがよほどギチギチでなければ、WIN Max 2も問題なく収まるだろう。

 一方で画面を開くと、やはりWIN Max 2の画面占有率に圧倒される。画面が二回り広く快適に見えるのはもちろんのこと、逆にそれまでまったく気にならなかったWIN Maxの太い枠が野暮ったく見えるほどだ。サイズアップを最小限に抑えながらここまで画面を大型化できたのは、むしろ歓迎すべき点だといえる。

WIN Max(右)との比較。10.1型へと大型化したが、サイズ増はわずか
WIN Max 2の狭額縁を1回見てしまうと、WIN Max初代の液晶が古臭く見えてしまう

 もう1つ、大型化により素晴らしく改善されたのがファンの騒音。WIN Maxは3Dゲームプレイ中や、ちょっとCPU負荷が高まった際に即座にファンが回転しはじめ、これがなかなか甲高い音であった。もちろん、静音モードをオンにすれば気にならなくなるが、冷却性が損なわれるためサーマルスロットリングが発生する原因となっていた。

 一方でWIN Max 2はこの甲高い音がほとんどなくなり、静粛性がかなり高まった。これなら、深夜時間帯に寝ている家族の横でゲームしていても気にならないレベルだと言ってもいい(エアコンの音のほうがうるさい)。その上で静音モードにすると、さらに聞こえなくなる。

 WIN Max 2が従来のデュアルファンからシングルファンに変更されたことについて、筆者は当初懐疑的であり、冷却性や静音性について心配であったが、サンプルを試用してしてこの心配は気鬱に終わったと確信した。正直、液晶と静音化だけでも、ここまで大型化する甲斐はあったと断言してもいいとは思う。

ファンの大口径化によりかなり静音化された

WIN Maxの使い勝手をなぞらえつつ改良/強化多数

 WIN Max 2はWIN Maxの後継にあたり、使い勝手の多くはそのまま継承している。キーボード奥をゲームコントローラとし、ゲームプレイ時はそこをつかんでプレイするスタイルはそのままだ。十字キーの配列やショルダーボタンの配置は大きくは変わらない。先述の通り、本体の幅は20mm増えているが、操作感はそう大きく違わない。

 本体重量は1,005gとついに1kgの大台に乗った。しかし、意外にも手にした感じでは、従来モデルから増えたという印象はない。本体底面がABS樹脂でできているのと、それから重量バランス配分が良いためだろう。10.1型への大型化や1kg超という数字の先入観をいい意味で裏切ってはくれる。もっとも、やはりゲームのプレイスタイルとしては、ソファなどに座った状態でゆったりプレイするのが良いとは思う。

本体重量は公称で1,005g、実測で1,032gだった

 各ボタンとも操作感は抜群で、このあたりは同社の長年のノウハウや知見が詰め込まれている。ジョイスティックに関しては、精度が高くドリフト現象が発生しにくいというホールセンサータイプとなったが、筆者はいまだかつてWIN Maxのジョイスティックに不満を覚えたことはないので、そのメリットを実感できていない。このあたりは長期的な利用で差が出てくることだろう。

 「START」や「SELECT」、「Xboxボタン」は、従来はヒンジ左側のすぐ手前にあったのだが、右側のタッチパッド横に移動された。ボタンが大型化され、だいぶ押しやすくなった印象である。

ジョイスティックはホール方式となり、より高い精度を実現するとともに経年劣化によるドリフト現象を軽減する
SELECT/START/MENUボタンは大型化され、右手で押すように変更された。大型化されたことで押し間違いは減る

 ショルダーボタンは下の方(LT/RT)がリニアに値が変わるアナログトリガー式となった。ストロークについては長めになっており、十分に位置を微調整できる。押下圧に関してはWIN 3のそれに似た印象で、ONEXPLAYERよりは軽い。「ファイナルファンタジーXIV」のようなLT/RTコンビネーションを多用するゲームでもストレスになることはないだろう。

LT/RTは256レベル対応のアナログトリガーに

 もう1つの改善点といえば、ゲームコントローラを未使用時隠すカバーが用意されたこと。このカバーは磁石によってくっつき、未使用時は後部のスロットに収めておくことができる。ビジネスの場において本機を使う機会があったとしても、(本機を知らない人なら)「それなんてゲーム機で仕事してるの? もしかして遊んでるの? 」と突っ込まれなくなった。また、このカバーは、未使用時にホコリや水滴などからゲームパッドを保護する役割も果たすので、まさに一石二鳥といったところだ。

未使用時に隠しておけるゲームパッド
金属パット未使用時は本体底面のスリッドに収納する。これも磁力により固定されるため、振って落ちるようなことはまずない

 さらに、本体底面にカスタマイズ可能なボタンが2基追加されたこともポイント。この機能はWIN 3にもあったのだが、それがWIN Max 2にも搭載されたわけだ。これで、WIN Max 2がWIN 3に機能面で劣るということはなくなった。ちなみにこのボタンはやや硬めであり、意識して押さないと押下できない。誤動作を防ぐためあえて硬めにしていると思われる。

本体底面に追加されたカスタマイズ可能なボタン

 概ねコントローラ部の完成度は高いが、筆者として唯一ほしいと思ったのはバックライトだ。本機のキーボードにはバックライトがあり、消灯後暗闇で操作できるのだが、本機の肝でもあるコントローラにはバックライトがなく、暗闇では手探りになってしまうのだ。液晶やキーボードバックライトの明るさで、このコントローラ部の暗闇が余計気になってしまう。このあたりは次期の搭載に期待したい。

 WIN Max 2で新たに追加された機能のもう1つがバイブレータだ。WINシリーズのバイブレータ搭載は不規則的であり、WIN 2の初期ロットで搭載されたものの、後期ロットでは省かれ、WIN Maxでは搭載されなかったが、「WIN 3」では実装された……という経緯がある。WIN Max 2では“全部入り”を果たすべく、実装はされている。

 実際試してみた印象だが、振動はするものの周波数は比較的高く、筐体全体がブルブル震えているというよりも、筐体内部でバイブレータとオモリが回っているだけ、という印象が強い。また、回転停止まで若干ラグがあるため、銃の反動といった瞬間的な振動を得たいといったフィードバックには不向きだ。どちらかと言えばレーシングゲーム向けかもしれない。

待望のランドスケープ液晶

 本製品でもっとも歓迎すべき変更点は、むしろ液晶の大型化に伴う高解像度化と、ランドスケープ化だろう。従来モデルの液晶は1,280×800ドットと狭く、WebブラウジングはおろかWindows PCとして操作しても窮屈な印象であり、事実上ゲーム専用と言っても差し支えなかったが、WIN Max 2では2,560×1,600ドットと情報量が4倍に増加。何をしても余裕がある解像度となった。

ネイティブで2,560×1,600ドット表示対応の10.1型液晶。非常に高精細で美しい。デフォルトでは1,920×1,200ドットに設定されていたが、これはゲーム性能や視認性に配慮しているのだろう(写真は2,560×1,600ドットでスケーリング100%の状態)
視野角も広く、画質面でも文句なしだ

 ただ、Core i7-1260P内蔵のIntel Xe Graphicsではこの解像度で3Dゲームをプレイするのは酷だ。基本的に最新のAAAタイトルでは、画質を最低②設定した上で、4分の1の画素数となる1,280×800ドットに設定し、ぼやけを解消するためドライバでレトロスケーリングを有効に設定することになるとは思う。

 しかしもう少し古めの3Dゲームなら、1,920×1,200ドット(WUXGA)でも十分な性能が得られる。そのため、本機ではデフォルトでWUXGA解像度が選択されている。筆者は試しにファイナルファンタジーXIVをプレイしてみたが、予想以上にぼやけが気にならず、一方で1,280×800ドットより確実に精細なグラフィックスになっているのが確認できた。さすがにフルアライアンスで魔法のエフェクトが増えてくると重くなってくるが、プレイ動作に支障が出るほどではなかった。

 それよりも恩恵に預かるのが、ランドスケープ液晶の採用だ。これまで競合含めて、ほとんどのゲーミングハンドヘルドPCはポートレート液晶……つまり縦長の液晶を採用してきていて、それをドライバでソフトウェア的に回転処理をさせて横長に表示させる仕組みを採用してきた。このため、ゲーム内で排他的フルスクリーンで解像度設定してしまうと、なぜかジャギジャギに表示されてしまう不具合を抱えていた。

 この問題を回避するためには、Windowsであらかじめ解像度を落としておき、ゲーム内で「ボーダレスフルスクリーン」を選ぶか、「ウィンドウモード」を選ぶしかなかった。前者はひと手間はさみ、後者はゲーム自体の迫力がスポイルされてしまった。

 WIN Max 2では当初よりランドスケープ液晶を採用しているため、どの解像度に設定しても問題は発生しない。これは大きな進歩だと言えるだろう。これなら、1,920×1,080ドット、1,680×960ドット、1,440×900ドット、1,280×800ドットといった、そのゲームに最適な解像度も選べる。ちなみに液晶は解像度が高いだけでなく、輝度も高く、左右の視野角も広いので視認性も高い。

GPD WIN Maxで1,280×800ドットのフルスクリーンに設定したところ。なぜかジャギーが目立ち、眠い画像になってしまった。というか、1,280×720ドットになってしまっている
GPD WIN Maxで1,280×800ドットの仮想フルスクリーンに設定すれば回避できる
GPD WIN Max 2なら、1,920×1,200ドットのフルスクリーン設定にしてもジャギーにならずくっきり。情報量も圧倒的になり、特に遠方の描写が美しい

打ちやすくなったキーボード

 WIN Max 2でのもう1つの改善点として挙げられるのはキーボードだろう。筐体の大型化に伴い余裕ができたので当然といえば当然なのだが、これまでバックスラッシュやカギカッコといった一部記号キーや、Tabキーの位置が変則だったのに対し、WIN Max 2では一般的な配列となった。英語配列に慣れているユーザーであれば、難なくタッチタイピングはできると思う。

 また、数字キーの列とファンクションキーの列がアイソレーションになったのも大きなポイントであり、ファンクションキーを押す時に目視する必要性がだいぶ減った。キー配列に関して言えば、GPDがこれまでリリースした製品の中でもっとも普通のキーボードに近づき、もっとも慣れやすく使いやすいものであると言える。

キーボード配列は大きく改善され、一般的な英字配列に。変則だった記号キーなどもない

 一方タイピング感に関しては、厚みのある筐体だからストロークは深いだろう……という予想に反して浅め。押した感触は「GPD Pocket 3」のキーボードと同じだ。クリック感も比較的あっさりしている。同サイズの比較ではCHUWIの「MiniBook X」のキーボードにはいま一歩及ばないといったところだろうか。

 タッチパッドは、WIN Maxから大型化されているだけでなく、だいぶ滑りやすくなった印象。反応も悪くない。WIN Max 2ではジョイスティックを擬似的にマウスとして使う機能も搭載しているので、机に置いて使う際はタッチパッド、立ったまま両手で左右を掴んで操作する際はジョイスティックを使うという2つのスタイルが取れる。

 液晶はタッチに対応するほか、4,096レベル筆圧のペンもサポートする。本機はPocket 3のように液晶が回転するような機構はないため、タブレットの代わりにはなり得ないのでお絵かきにはあまり向かなさそうだが、画面にメモ書きをする程度なら十分実用的である。

Microsoft Pen Protocol(MPP) 2.0のペンもサポート。筆圧は4,096レベルに対応

取捨選択されたインターフェイス

 初代WIN Maxからもう1つ変わったのはインターフェイス回りで、Gigabit Ethernetポートが省かれ、代わりにSDカードスロットが追加された(microSDカードスロットは継承)。このようなポータブルPCにあえてGigabit Ethernetを繋いでゲームをプレイするユーザーは少ないという判断から来ているのであろう。今やWi-Fi 6でもGigabit Ethernetに肉薄する転送速度を実現できるので、困るシーンは少ないのも確かではある。

 本機手前に、電源ボタン兼指紋センサーを設けた点も新しいトピックだ。これにより、電源をつけてすぐにゲームをプレイしたいといった際にもパスワードやPINをポチポチ押さなくてもよくなった。ただ、電源ボタンのサイズは小さい上に凹凸もあまりないため、見ないで操作しようとするとなかなか位置を当てられず苦労するかもしれない。

本体背面に3.5mmミニジャック、USB 3.1、HDMI出力、USB4(Thunderbolt 4)、USB 3.1 Type-C
本体前面(右下)に電源ボタン兼指紋センサー。試作機は若干奥まっていてなおかつ硬いため押しにくかったが、製品版で改善されるだろう
本体左側面。microSDカードとSDカードスロットを搭載
右側面はUSB 3.1×2

 本体の大型化に伴い、スピーカーも4基となった。ボリュームの大きさやノイズの少なさについては文句なしなのだが、基本的に中高域寄りなサウンドである。このあたりは筐体の小ささもあって致し方ないところだろう。

 一方ヘッドフォン出力は基本的にハイインピーダンスに適した出力のようで、インピーダンスが16Ωのfinalの「Heaven VI」をつなげてみたところ未再生時のホワイトノイズが気になり、ボリューム設定が13程度でも十分な音量だった。インピーダンスが100ΩあるEtymotic Researchの「ER-4S」ではホワイトノイズが聞こえず、ボリュームが30~50程度でちょうどよかった(音源による)。音的にはやや中高域寄りだが、情報量的には申し分ない。

 ちなみに、本体底面はネジを外すことで、右側にはSIMカードスロット、左側はM.2 2230スロットにアクセスできる。今回はLTE非搭載の試作機だったためSIMカードスロットの装備は確認できなかった。

4スピーカー構成となっている
本体底面の2カ所に、ネジを外してアクセス可能なスロットを装備
右側(裏返せば左側になるが)はSIMスロットだが、今回の試作機では実装を確認できなかった
左側(裏返せば右側)にはM.2 2230スロットを装備

性能は文句なしだが、今世代はゲームをやるならAMD版が本命か?

 最後にベンチマークを計測してみた。実施したベンチマークは「PCMark 10」、「3DMark」、「Rainbow Six Siege(Vulkanモード)」、「ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Tomb Raider(2013)」、「Cinebench R23」である。

 なお、WIN Max 2ではCPUの消費電力制限をBIOSで変更することができ、標準の「Norminal」ではPL1=24W、PL2=28Wが設定されている。このパターンに加えて、性能を最大化する「Up」のPL1=28W、PL2=35Wの設定も適用して、両方の違いを比べてみた。比較用として、Core i7-1195G7を搭載する「GPD Pocket 3」の最大設定(PL1/2=28W)も並べてみる。

【表】試作機の仕様(Intel版)
CPUCore i7-1260P(12コア/16スレッド)
メモリ16GB
ストレージ1TB SSD
液晶2,560×1,600ドット
OSWindows 11 Home
インターフェイスThunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.1×3、SDカードスロット、microSDカードスロット、Webカメラ
バッテリ67Whリチウムポリマー
本体サイズ227×160×23mm(幅×奥行き×高さ)
重量1,005g
付属品100W ACアダプタ、100W対応E-Marker付きケーブル
【グラフ1】PCMark 10の結果
【グラフ2】3DMarkの結果
【グラフ3】Rainbow Six Siegeの結果
【グラフ4】ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ ベンチマークの結果
【グラフ5】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの結果
【グラフ6】Tomb Raider(2013)の結果
【グラフ7】Cinebench R23の結果

 結果を見れば分かる通り、第11世代Coreから第12世代Coreになったからと言って、全体的なスコアが飛躍するわけではない。差が最も顕著に現れたのはCinebench R23の結果で、CPUのシングルスレッド性能は最大で14%、マルチスレッド性能で実に74%も高速化が図られているが、実アプリケーションを反映したPCMark 10ではせいぜい5%程度、3Dアプリケーションやゲームなどもい10~15%程度の向上にとどまる。

 第12世代CoreのCinebench R23の高いスコアは、シングルスレッドに強いPコアと、8コアもあるEコアの恩恵にあずかっているのだが、一般ユーザーがそのメリットを享受できるシーンは限られるということだ。一方GPUに関しては第11世代Coreも第12世代Coreも同じIntel Xe Graphicsであるため、ほとんど性能差がないのは当たり前である。

 もっとも、これが日常的に何も活かされないというわけではない。たとえば負荷をかけている時に裏でWindows Updateが実行されたり、ウイルススキャンが走ったりする際には他コアが活かされるし、あるいはユーザーが能動的に使うのであれば、動画エンコードを裏でやりつつフォアグラウンドで別の作業をやったり、内蔵のWebカメラで自分の顔を撮りつつ、並行してゲーム画面をキャプチャして合成、配信する。または、Web会議をしつつクリエイティブな作業を続ける……といった用途も考えられる。そういったシーンで第12世代Coreが活きるだろう。

 とは言え、純粋に「ゲームだけ」を考えた場合、Ryzen 7 6800U搭載版が魅力的だろう。こちらはRDNA 2世代のGPUを内蔵しているため、Intel Xe Graphicsを上回るグラフィックス性能が期待される。Indiegogoで出資の割合はRyzen版:Intel版が9:1とのことなので、事実上本製品の性格を考えるとRyzen版が本命と言えるかもしれない。

 駆動時間だが、標準のTDP設定でなおかつ輝度を40%に設定した状態で、PCMark 10では6時間56分動作した。このサイズのPCとしてはまずまずのスコアであり、外出先でちょっと使うぶんにはなんら不自由はないだろう。一方ゲームプレイだが、ファイナルファンタジーXIVをプレイしてみたところ、約1時間10分のプレイでバッテリが残り53%となった。ゲームによるとは思うが、2時間程度のプレイは可能だと思われる。

PCMark 10 Modern Officeのバッテリ計測結果。間違いなく100%まで充電したのだが、なぜか94%からのスタートとなっている……が、結果は6時間56分とまずまずだ

GPDの集大成とも言えるWIN Max 2。IntelかAMDか悩みどころ

 2週間程度触ったWIN Max 2だが、このモデルは「GPDの集大成である」と強く感じた。ざっくり言うとWIN Max+P2 Max+Pocket 3+WIN 3を全部足して4で割った感じなのだ。

 ゲームコントローラ搭載のクラムシェルという要素はWIN Max、2,560×1,600ドットのランドスケープ液晶はP2 Max。そしてキーボードの使い勝手やペン対応といった点はPocket 3で、姉妹機であるWIN 3から引き継いだアナログトリガーや、背面のプログラマブルボタンといった改善要素も詰め込んだ。つまり、それがWIN Max 2なのだ。

 ほかの機種にあってWIN Max 2にないものと言えば有線LANとシリアルポート(MicroPCやPocket 3のオプション)、2in1要素ぐらいである。それだけにWIN Max 2は詰め込んでおり、集大成と言うにふさわしいマシンになっている。あとは1kg超えというところをユーザーが受け入れるかどうかにかかっているだろう。

 もちろん、これだけの要素を詰め込んでおきながらわずか1kgしかないという見方もできるだろうから、「買い」だと感じるユーザーも多いハズ。ともすればRyzen版かIntel版か悩ましいところかもしれない。筆者的には、本製品を使って仕事をする時間が長いなら少しでも生産性が上がるIntel版、やっぱりゲームがメインと考えているならRyzen版を選ぶことをおすすめしたい。