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約940gの軽量/高性能14型プレミアムモバイル「dynabook R8/V」

Dynabook 「dynabook R8/V P1R8VPBL」

 Dynabookは、モバイルノートPC新モデル「dynabook R」シリーズを発売した。13.3型ディスプレイ搭載の「dynabook G」シリーズと並びプレミアムモバイルノートPCとして位置付けられており、アスペクト比16:10の14型ディスプレイを採用しつつ、最小約940gの軽さを実現している点が大きな特徴となっている。

 今回、最新dynabook Rシリーズの中で中核モデルとして位置付けられている「dynabook R8/V P1R8VPBL」を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。すでに販売中で、実売価格は25万2,780円前後。

ビジネスシーンにしっくり馴染む落ち着いたデザイン

 dynabook R8/V P1R8VPBL(以下、R8/V)は、冒頭でも紹介しているように、dynabookのモバイルノートPCシリーズの中でプレミアムモデルとして位置付けられている。

 同じくプレミアムモデルのdynabook Gシリーズとの大きな違いは、後述するようにアスペクト比16:10の14型ディスプレイを採用する点だが、プレミアムモバイルノートPCとして意欲的な製品に仕上がっている。

 R8/Vの主な仕様は表1にまとめた通り。dynabook Gシリーズでも第12世代Coreプロセッサ搭載モデルが追加されているが、dynabook Rシリーズでは全モデルが第12世代Coreプロセッサを採用。なお今回取り上げているR8/Vはシリーズの中核モデルで、プロセッサにはCore i7-1260Pを採用している。

【表1】dynabook R8/V P1R8VPBLの主な仕様
プロセッサCore i7-1260P(Pコア:4コア/ブースト時最大4.7GHz、Eコア:8コア/ブースト時最大3.4GHz、スレッド数:16)
メモリLPDDR5-4800 16GB
内蔵ストレージ512GB PCIe SSD
ディスプレイ14型液晶、1,920×1,200ドット、非光沢
無線LANWi-Fi 6
BluetoothBluetooth 5.2
キーボード日本語、約19mmフルピッチ、キーストローク約1.5mm
カメラ約92万画素Webカメラ、Webカメラシーシャッター搭載
生体認証電源ボタン一体型指紋認証センサー
インターフェイスThunderbolt 4×2、USB 3.0×2、HDMI、microSDカードスロット、Gigabit Ethernet、オーディオジャック
OSWindows 11 Home
駆動時間約20.5時間
サイズ/重量約312.4×224×15.9mm(幅×奥行き×高さ)/約940g

 意欲的な仕様を実現しているR8/Vだが、フラットな天板と垂直に切り落とされた左右側面、なだらかな曲線の後部側面など、デザインはこれまでのdynabookシリーズを踏襲している印象だ。カラーは深みのあるブルー「ダークテックブルー」を採用しており、派手さはないものの、ビジネスシーンでの利用にしっくり馴染むと感じる。

 サイズは約312.4×224×15.9mm(幅×奥行き×高さ)。14型ディスプレイ搭載ではあるが、ディスプレイ左右のベゼル幅が狭められていることで、横幅は13.3型モバイルノートPCとほぼ同等。ディスプレイが縦長のため奥行きはやや長いものの、モバイルノートPCとして特別大きいということはない。また、15.9mmと薄さも極まっており、カバンやブリーフケースなどへの収納性も申し分ない。

 重量は、公称で約940gと、14型モバイルノートPCとしてトップクラスの軽さとなっている。加えて、実測の重量は925gと、公称を大きく下回っていた。実際に手にしても非常に軽く、片手でも楽々持てる印象だ。

 このように、薄型軽量ボディを実現しつつ、モバイルノートPCに求められる優れた堅牢性もしっかり確保している。ボディ素材にはマグネシウム合金を採用し、天板および底面はプレス加工で必要十分の堅牢性を確保しつつ軽量化を追求。キーボード面はマグネシウム合金のダイカストで、内部にリブ構造を確保することなどで強度を高めている。

 これにより、高さ76cmからの落下試験や天板への100kgf面加圧試験などDynabookが定める全16種類の品質評価テストを問題なくクリア。また、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」に準拠した耐久性試験も実施する予定となっているそうで、モバイルノートPCとして申し分ない堅牢性が備わっている。これなら毎日でも安心して外に持ち出せるだろう。

ディスプレイを開いて正面から見た様子
天板。ボディ素材にはマグネシウム合金を採用し、軽さと優れた堅牢性を両立
底面
試用機の重量は実測で925gと公称を大きく下回っていた
このように、片手でも軽々持てる
正面
背面
左側面
右側面

アスペクト比16:10の14型ディスプレイを採用

 ディスプレイは、アスペクト比16:10、表示解像度1,920×1,200ドットの14型液晶を採用。ここ1年ほどでモバイルノートPCでもアスペクト比16:10の14型ディスプレイを採用する例が増えているが、dynabook Rシリーズでもそのトレンドを取り入れた形だ。

 ただ、近年のdynabookシリーズでは、ディスプレイにシャープ製のIGZO液晶パネルを採用する例が多かったが、R8/VではIGZO液晶は採用しておらず、パネルの種類などの詳細も非公開となっている。発色性能などについても非公開となっているため、IGZO液晶との違いが気になるところだ。

 今回は、IGZO液晶搭載モデルとの横並びでの比較はできなかったが、視野角はIPSパネルとほぼ同等の十分な広さで、発色性能も申し分ないレベルを確保していることが確認できた。プロの映像クリエイターをターゲットとしたディスプレイと比較すると違いを感じる場面もあるとは思うが、ビジネス向けモバイルノートPCのディスプレイとしては十分満足できる表示性能を備えていると言える。そのため、IGZO液晶を採用していないとはいえ、不満を感じることはないだろう。

 パネル表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みはほとんど気にならない。このあたりは文字入力の多いビジネスシーンでの利用も非常に心強い。もちろん、アスペクト比16:10のディスプレイは一般的なフルHDディスプレイよりも縦の情報量が多く、その点でも快適な作業が行なえると感じる。

 ただ、少々気になるのが、下部ベゼル幅がやや太い部分だ。左右ベゼル幅はほぼ極限に近いほど狭められ、上部も十分に狭いと感じることもあり、下部の太さがより強調されている印象だ。このあたりは、今後さらなる進化を期待したい。

アスペクト比16:10、表示解像度1,920×1,200ドットの14型液晶を採用。表面は非光沢処理となっている
IGZO液晶ではないものの、視野角の広さや発色の鮮やかさは申し分ない
ディスプレイの下部ベゼル幅が他よりやや広くなっている点は少々残念
ディスプレイは180度開くため、対面のプレゼンなどは便利
オリジナルユーティリティ「dynabook 色合い調整ユーティリティ」を利用すれば、ディスプレイの色合いや色の濃さを自由に調節できる

標準的なアイソレーションタイプの日本語キーボード

 キーボードは、アイソレーションタイプの日本語キーボードを搭載。主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保しており、キーストロークは約1.5mm。キーの固さは標準的で、タイピング時のクリック感もしっかり感じられ、打鍵感は良好だ。これらキーボードの仕様や打鍵感はdynabook Gシリーズに搭載しているものに近く、モバイルノートPCのキーボードとして標準的な仕様と言える。

 また、直接使用感に関わる部分ではないが、キーボードユニット下部には防水フィルムが装着されている。これによって、万が一キーボードに水などをこぼした場合でも、本体内部への侵入を遅らせ、PCをシャットダウンする時間を稼げるようになっている。こういった部分は、万が一のトラブルでも保存データの消失を防げるという意味でも、心強い仕様だ。

 ただ、Enterキー付近の一部キーのキーピッチがやや狭くなっている点は少々気になる。慣れれば、特に支障を来すほどではないものの、R8/Vではキーボード左右にやや広めのスペースが確保されており、そこをもう少し活用すれば、ほぼ全てのキーでフルピッチを確保できたと思うだけに、やや残念だ。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。本体の奥行きが長い分、タッチパッドも大型となっている。Windows 11では、新たに4本指ジェスチャーも利用可能となっているが、この大型タッチパッドならそちらも含めて非常に扱いやすい。

 また、パッド面には新素材のプラスチックシートを採用しているとのことで、非常になめらかな指触りも好印象。個人的には、物理クリックボタンがあるとよりよかったが、大きな不満なく利用でき、快適な操作が可能だ。

アイソレーションタイプの日本語キーボードを搭載。カーソルキーはやや小さいが、配列は標準的だ
主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保
ストロークは約1.5mmと、モバイルノートPCとして十分な深さを確保。打鍵感も適度な硬さとクリック感が感じられ良好だ
Enterキー付近の一部キーはピッチが狭くなっている。キーボード左右にやや幅の広いスペースが残っていることを考えると、もう少し側面ギリギリまで活用してEnterキー付近もフルピッチを確保してほしい
クリックボタン一体型のタッチパッドは面積が広く、Windows 11の4本指ジェスチャーも快適。新素材のプラスチックシートを採用しなめらかな指触りも魅力

豊富な外部ポートやテレワークに便利な機能を備える点も魅力

 R8/Vでは、先に紹介しているように、プロセッサにCore i7-1260Pを採用している。Performanceコアを4コア、Efficientコアを8コア内蔵し、16スレッド処理に対応することで、第11世代Coreプロセッサから処理能力が大幅に向上している。

 また、メモリはLPDDR5-4800を標準で16GBと、十分な容量を搭載。これにより、複数のアプリを同時に利用する場面はもちろん、テレワークで利用することの多いWeb会議アプリも快適かつ安定して動作する。内蔵ストレージは、容量512GBのPCIe 3.0 SSD、OSはWindows 11 Homeを搭載。

 通信機能は、Wi-Fi 6準拠の無線LANとBluetooth 5.2を標準搭載。ワイヤレスWANは非搭載だ。

 生体認証機能は、電源ボタン一体型の指紋認証センサーを搭載。できれば顔認証カメラも搭載しているとよかったが、指紋認証センサーならマスクを装着した状態でも簡単に認証できるため、顔認証カメラ非搭載でも利便性は十分だ。

 ディスプレイ上部には、約92万画素Webカメラを搭載。このWebカメラには、物理的にカメラを覆えるシャッターが搭載されており、プライバシーもしっかり守れる。

電源ボタンは指紋認証センサー一体型
ディスプレイ上部には約92万画素カメラを搭載
Webカメラには、カメラを物理的に覆えるシャッターも用意

 外部ポートは、左側面にHDMI、USB 3.0、Thunderbolt 4×2を、右側面にオーディオジャック、USB 3.0、Gigabit Ethernet、microSDカードスロットをそれぞれ配置。モバイルノートPCの中には外部ポートが少ないものもあるが、これだけ豊富に用意されていれば、周辺機器の利用も含めて快適な利用が可能だ。

 付属ACアダプタはUSB Type-C接続に対応するもので、出力は65W。比較的高出力ながらサイズはコンパクトで、本体と同時に軽快に持ち運べる。重量は付属電源ケーブル込みで実測254gだった。

左側面にはHDMI、USB 3.0、Thunderbolt 4×2を配置
右側面にはオーディオジャック、USB 3.0、Gigabit Ethernet、microSDカードスロットを配置
付属ACアダプタはUSB Type-C接続で、出力は最大65W
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測254gだった

 テレワーク向けの機能としては、Web会議をサポートする機能を用意。「dynabook オンラインミーティングアシスト」では、Webカメラで捉えた映像の明るさを自動調節したり、背景ぼかしや、被写体の人物を認識して自動的に中央にトリミングする機能などを提供する。

 また「Realtek Audio Console」では、バックグラウンドノイズを自動的に除去するAIノイズ除去機能や高音質録音機能、音響エコー除去といった機能を提供。これら機能を活用することで、Web会議での映像や音声トラブルを防ぎ、安定したWeb会議が行なえる。

 このほか、スマートフォンとの連携アプリ「dynabook スマホコネクション」も用意。こちらを利用すれば、R8/Vとスマートフォンとの間でファイルやクリップボードの転送が簡単に行なえるとともに、スマートフォンからPowerPointなどのプレゼンアプリを操作できる。

 スマートフォンはAndroid、iPhoneのいずれにも対応。個人的には、Windows 11に用意されている「スマホ同期」機能よりも便利に活用できる印象で、特にビジネスシーンでかなり活躍してくれそうだ。

「dynabook オンラインミーティングアシスト」は、Webカメラで捉えた映像の背景をぼかしたり、常に人物が中央に来るように自動的にトリミングする機能を提供
「Realtek Audio Console」では、除去するAIノイズ除去機能や高音質録音機能、音響エコー除去といった機能が用意され、Web会議で便利に活用できる

第12世代Core i7の優れた性能を確認

 では、ベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2535」、「3DMark Professional Edition v2.22.7336」、Maxonの「Cinebench R23.200」の3種類だ。結果は下にまとめた通りだ。また、比較としてCore i7-1195G7搭載の「LAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAG」の結果も加えてある。

【表2】ベンチマークテストの結果
製品名 dynabook R8/V P1R8VPBL (参考)LAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAG
CPUCore i7-1260PCore i7-1195G7(ターボブースト時最大5GHz)
グラフィックスIris Xe GraphicsIntel Iris Xe Graphics
メモリLPDDR5-4800 16GBLPDDR4x-4267 16GB
ストレージ512GB SSD(PCIe/NVMe)512GB SSD(PCIe 4.0/NVMe)
OSWindows 11 HomeWindows 11 Home
PCMark 10 v2.1.2535(LAVIE NEXTREME Carbonはv2.1.2532)
PCMark 10 Score5,2875,324
Essentials9,66111,199
App Start-up Score11,83317,852
Video Conferencing Score8,3238,329
Web Browsing Score9,1579,448
Productivity6,4437,327
Spreadsheets Score6,2356,376
Writing Score6,6598,420
Digital Content Creation6,4424,991
Photo Editing Score11,2899,174
Rendering and Visualization Score4,1582,727
Video Editting Score5,6984,970
Cinebench R23.200
CPU8,8543,750
CPU (Single Core)1,5371,406
3DMark Professional Edition v2.22.7336
Night Raid17,93413,466
Graphics Score22,10917,466
CPU Score8,6655,874
Wild Life14,22711,018
Time Spy1,9491,515
Graphics Score1,7291,379
CPU Score6,9893,438

 結果を見ると、全体的には第12世代Core i7の性能の高さがよく分かる結果が得られている。特にCinebench R23.200や3DMarkでは、顕著に性能差が現れたスコアとなっている。Cinebench R23.200のマルチコアCPUテストの結果はCore i7-1195G7の2倍以上のスコアが得られ、3DMarkの結果も大きくスコアが伸びている。これらの結果を見ても、第12世代Coreプロセッサの性能の高さがよく分かる。

 それに対し、PCMark 10の結果ではLAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAGに劣っている部分がいくつか見られる。これは、比較用のLAVIE NEXTREME Carbon XC950/DAGで内蔵ストレージに高速なPCIe 4.0 SSDを採用していることが影響していると考えられる。

 事実、内蔵ストレージ速度が影響しないテストのDigital Content Creationでは、スコアが大きく上回っている。そのため、R8/VではCore i7-1260Pの性能がしっかり引き出され、快適に作業が行なえると言っていいだろう。

 続いてバッテリ駆動時間だ。R8/Vの公称の駆動時間は約20.5時間(JEITA測定法 Ver.2.0での数字)と、なかなかの長さとなっている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、無線LANをオンに設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測してみたところ、9時間46分を記録した。

 公称の半分弱ほどの駆動時間だが、標準的なモバイルノートPCとして必要十分な駆動時間が確保できていると言っていいだろう。おそらく、通常の使い方であれば7~8時間は十分利用できると考えられるため、1日外出先で利用する場合でも、ほぼ問題なく利用できるはずだ。

第12世代Coreプロセッサ搭載の本格モバイルノートPCとしてお勧め

 R8/Vは、これまでにDynabookが培ってきた様々な技術をもとに、最新プロセッサの第12世代Coreプロセッサやアスペクト比16:10の14型液晶を採用しつつ、薄型軽量で堅牢性に優れるボディを実現した本格モバイルノートPCに仕上がっている。細かな部分を見ると、従来のdynabook Gシリーズの延長線上にある製品という印象も受けるが、やはり第12世代Coreプロセッサ搭載による性能の向上とディスプレイの強化は大きな魅力と感じる。

 そのうえで、約940gの軽さや、テレワークで便利に活用できる機能も多く用意されており、本来のモバイルノートPCとしての活用だけでなく、テレワークやハイブリッドワークに対応するメインPCとしても十分に活躍してくれるだろう。そのため、メインマシンとしてもモバイル用途としても、申し分なく活用できるノートPCを探している人にお勧めしたい。