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14コアCPUと3080 Tiを搭載する60万円ゲーミングノートを検証。最高峰「Alienware x17 R2」の実力は?

Alienware x17 R2

 「Alienware x17 R2」は、デルのプレミアムゲーミングブランド“Alienware”の名を冠する17.3型ゲーミングノートで、Intelの第12世代Coreを搭載した最新鋭モデルだ。

 今回、CPUにCore i9-12900HKを搭載する最上位モデル「Alienware x17 R2 スプレマシー」をテストする機会が得られたので、Alienware最新のハイエンドゲーミングノートが実現するパフォーマンスを、ベンチマークテストと実際のゲームでチェックする。

Core i9-12900HKとGeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUを搭載

 Alienware x17 R2 スプレマシーは、Alienwareブランドの17.3型ゲーミングノート「Alienware x17 R2」の最上位モデルで、CPUに14コア(6P+8E)20スレッドCPU「Core i9-12900HK」、GPUに「GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU」を搭載している。

 Alienware x17 R2はパーツ構成のカスタマイズに対応しており、今回借用した「Alienware x17 R2 スプレマシー」についても、360Hz駆動のディスプレイ、容量1TBのSSDにアップグレードされている。

 このため、Alienware x17 R2 スプレマシーの標準構成価格は配送料込みで64万8,130円だが、今回テストするカスタムモデルの販売価格は67万5,630円となっている。

17.3型ゲーミングノート「Alienware x17 R2 スプレマシー」
カラーは「ルナライト(シルバーホワイト)」。本体サイズは399.23×299.57×20.9mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.02~3.20kg
14コア20スレッドCPU「Core i9-12900HK」のCPU-Z実行画面
「GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU」のGPU-Z実行画面

主要なインターフェイスを本体背面に集約したスマートな設計

 ハイエンドパーツを搭載するAlienware x17 R2だが、本体サイズ399.23×299.57×20.9mm(幅×奥行き×高さ)という、かなりの薄型筐体を採用している。360Hz駆動のフルHDディスプレイを搭載時の重量は2.96~3.09kgと重めなので、携帯性に優れているというわけではないが、持ち運びやすくスマートな形状をしている。

 USBやHDMIなどのインターフェイスは本体背面に集約されており、側面に配置されているのは電源入力(左側面)とヘッドセットジャック(右側面)のみとなっている。背面には、Thunderbolt 4やUSB 3.1 Type-C、USB 3.0、2.5GbEのほか、映像出力端子のHDMI 2.1とMini DisplayPort 1.4、microSDカードスロットを備えている。

 Alienware x17 R2は、ネットワークコントローラにゲーム向けの「killer」ブランド製品を採用。本体背面の2.5GbEは「Killer Ethernet E3100」、ワイヤレス機能のWi-Fi 6とBluetooth 5.2は「Killer Wi-Fi 6E AX1675」によって提供されている。

天板。RGB LEDを内蔵したAlienwareロゴと、「17」の数字が描かれている
底面。CPUとGPUを冷却するための通気口が設けられている
左側面。中央から背面寄りに通気口が設けられているほか、背面側に電源入力端子を搭載
右側面。左側面同様に通気口が設けられており、背面側にはヘッドセットジャックを搭載
背面。両サイドに通気口が設けられており、中央部にはUSBや映像出力用のインターフェイスを搭載
背面のインターフェイス。左からThunderbolt 4、USB 3.2 Gen 1、2.5GbE、USB 3.2 Gen 2、HDMI 2.1、USB 3.2 Gen 1、microSDカードスロット、MiniDisplayPort 1.4
本体背面のLEDイルミネーション。天板のAlienwareロゴと背面外周部にRGB LEDが埋め込まれている
LEDイルミネーションは「Alienware Command Center」のAlienFXで制御できる

 Alienware x17 R2の内蔵基板には、GPU用に12フェーズ、CPU用に6フェーズのVRMが搭載されており、Alienware独自のガリウム-シリコン熱伝導素材「エレメント31」や、4基のファンを搭載する冷却システムとの組み合わせにより、長時間に渡ってCPUとGPUから高いパフォーマンスを引き出せるよう設計されている。

 この内部設計を生かしてハイエンドパーツに十分な電力を供給するため、Alienware x17 R2 スプレマシーには330W(19.5V/16.92A)の大容量ACアダプタが同梱されている。ACアダプタのサイズは実測で約183×86×26mm(突起部を除く)と容量のわりには持ち運びやすいサイズだが、ケーブル込みでの重量は約1kgあり、本体と合わせると合計で約4kgになる。

Alienware x17 R2 スプレマシーに付属するACアダプタ
330W(19.5V/16.92A)の大出力に対応している
【表】Alienware x17 R2 スプレマシー(カスタムモデル)のスペック
OSWindows 11 Home
CPUCore i9-12900HK (6P+8Eコア/20スレッド)
dGPUGeForce RTX 3080 Ti Laptop GPU (16GB)
iGPUIntel Iris Xe Graphics
メモリDDR5-4800 16GB×2
ストレージ1TB M.2 PCIe NVMe SSD
ディスプレイ17.3型フルHD液晶パネル (1,920×1,080ドット、360Hz、G-SYNC対応)
有線LAN2.5GbE (Killer Ethernet E3100)
無線機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 (Intel Killer Wi-Fi 6E AX1675)
USB/ThunderboltThunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.0
そのほかのインターフェイスヘッドセットジャック、HDMI 2.1、Mini DisplayPort 1.4、microSDカードスロット
ACアダプタ330W
本体サイズ399.23×299.57×20.9mm(幅×奥行き×高さ)
本体重量3.02~3.20kg

360Hz駆動のフルHDディスプレイを搭載。120Hz駆動の4Kディスプレイも選択可能

 Alienware x17 R2 スプレマシーは、標準構成では165Hz駆動のフルHD(1,920×1,080ドット)ディスプレイを搭載しているのだが、今回借用した製品では360Hz駆動のフルHDディスプレイにアップグレードされていた。なお、カスタマイズプランには、120Hz駆動の4Kディスプレイ(3,840×2,160ドット)も用意されている。

 Alienware x17 R2に搭載可能なディスプレイはすべて、常にブルーライトを抑制する「ComfortView Plus」や、NVIDIAの動的リフレッシュレート同期技術「G-SYNC」、ディスプレイに接続するGPUを選択できる「Advanced Optimus」に対応しており、ゲームでの利用に適した表示能力を備えている。

Alienware x17 R2のディスプレイ。今回の製品は360Hz駆動のフルHDディスプレイを搭載している
画面上部にはWindows Helloに対応するWebカメラ(720p30fps)とマイクを搭載
360Hzという最速級のリフレッシュレートは、高速描画が勝率に影響するFPSやバトルロイヤルゲームのプレイに適している
Advanced Optimusに対応しており、内蔵ディスプレイに接続するGPUを「CPU内蔵GPU」と「GeForce」から選択できる

キーごとにRGB LEDバックライトを制御可能な日本語キーボードを搭載

 Alienware x17 R2は、キーごとにバックライト制御が可能な「Alienware X-Series AlienFX RGB 薄型キーボード」を標準搭載。キー配列は日本語で、主要なキーのキーピッチは実測で約19mm。カスタマイズプランとして、メカニカルスイッチ「CHERRY MX Ultra Low Profile」を採用した「Alienware AlienFX RGB CHERRY MXメカニカルキーボード」も用意されている。

 バックライトRGB LEDは、ユーティリティソフトの「Alienware Command Center」から制御することが可能で、同ユーティリティではマクロ機能の管理も行なえる。

テンキーレスの日本語キーボードを搭載
キーボード右上に配置されたAlienwareロゴ形状の電源スイッチ。AlienFXで制御できるRGB LEDが埋め込まれている
キーピッチは約19mm
キー毎に個別制御可能なRGB LEDバックライトを装備
キーボードのバックライトは「Alienware Command Center」のAlienFXで制御できる
タッチパッドはボタン一体型で、サイズは112×66.7mm。

ベンチマークテストでAlienware x17 R2 スプレマシー性能をチェック

 ここからは、ベンチマークテストを使ってAlienware x17 R2 スプレマシーの性能をチェックする。実行したベンチマークテストは以下の通りだ。

  • Cinebench R23
  • 3DMark
  • Blender Benchmark
  • PCMark 10
  • ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
  • CrystalDiskMark」。

 ベンチマーク実行時、Alienware x17 R2 スプレマシーはAdvanced Optimusを手動で「NVIDIA GPUのみ」に設定し。内蔵ディスプレイとGeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUが直接接続された状態にしている。テスト時の室温は約22℃。

【グラフ01】Cinebench R23 (R23.200)
【グラフ02】3DMark v2.22.7336「CPU Profile」
【グラフ03】Blender Benchmark 3.0.0 (Blender v3.1.0)
【グラフ04】PCMark 10 Extended (v2.1.2535)

 CPU性能を計測するCinebench R23で記録した、Multi Core=18,578、Single Core=1,937というスコアは、多くのデスクトップ向けCPUを上回るものだ。特にMulti Coreのスコアは、Cinebench R23に参考スコアとして収録されているRyzen Threadripper 1950Xの16,315を上回るものであり、ノートPCに搭載されたCPUとしては非常に強力なものであると言える。

 Core i9-12900HKの優れたCPU性能は、3DMarkのCPU ProfileやPCMark 10でも発揮されているが、Blender BenchmarkではGPU比で10分の1以下のレンダリング速度となっている。

 これは、CPUの性能が低いというわけではなく、Blender v3.1.0におけるGeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUのレンダリング性能が抜群に高いことによる大差であり、クリエイティブアプリに高い適正を備えるGeForce RTX 30シリーズの特性が反映された結果だ。

【グラフ05】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
【グラフ06】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」
【グラフ07】3DMark v2.22.7336「Time Spy」
【グラフ08】3DMark v2.22.7336「Fire Strike」
【グラフ09】3DMark v2.22.7336「Wild Life」
【グラフ10】3DMark v2.22.7336「Port Royal」

 3D系のベンチマークテストでは、それぞれ優れた性能を備えるCPUとGPUの組み合わせによって優れたパフォーマンスを発揮しており、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、フルHD/最高品質で22,734というスコアを記録し、平均フレームレートは162.8fpsに達していた。

 仮想高解像度技術「Dynamic Super Resolution(DSR)」を用いて4K/最高品質で実行した際のスコアは9,583で、65.7fpsというプレイアブルな平均フレームレートを記録している。外部ディスプレイとの接続や、カスタマイズプランで4Kディスプレイを選択すれば、高精細な映像でゲームを楽しむことができるだろう。

CrystalDiskMark 8.0.4(デフォルトモード)
CrystalDiskMark 8.0.4(NVMe SSDモード)

 今回テストしたAlienware x17 R2 スプレマシーのシステムSSDには、PCIe 4.0 x4接続の1TB NVMe SSDが搭載されており、7GB/sクラスのリード速度と、5GB/sを超えるライト速度を実現していた。

 Alienware x17 R2 スプレマシーでは、システムストレージに512GB~2TBのNVMe SSDを選択できるほか、2台のNVMe SSDでRAID 0ボリュームを構成する「デュアルSSD」によって、最大4TBのシステムストレージを実現できる。大量のゲームをインストールして楽しみたいなら、購入時に大容量SSDを選択しておくとよいだろう。

ベンチマーク中の動作温度や消費電力をチェック

 モニタリングソフトのHWiNFO64 Proを使って、Cinebench R23のMulti Coreテストと、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(フルHD/最高品質)を実行中のステータス情報を取得。そのデータからCPUとGPUの動作温度や消費電力、動作クロックをグラフ化した。

 CPU温度は、どちらのベンチマークテストでもサーマルスロットリングの動作温度である100℃に達しているが、平均温度はCinebench R23実行時が約99.6℃で、ファイナルファンタジーXIVベンチマーク中は約83.4℃だった。

 温度の数値を見ると「冷やせていない」と思われるかもしれないが、これはブースト動作によって温度マージンを最大限に活用している状態であって、冷やせていないわけではない。

 実際、ファイナルファンタジーXIVベンチマーク中の平均CPUクロックは、Pコア=約4.23GHz、Eコア=約3.5GHzで、平均消費電力はPBP(Processor Base Power)の45Wを上回る66.6Wで動作している。Cinebench R23に至っては、MTP(Maximum Turbo Power)を超える平均129.5Wの電力を消費しながら、Pコア=約4.0GHz、Eコア=約3.1GHzという高クロック動作を実現している。

 一方、GPUファイナルファンタジーXIVベンチマーク中のGPU温度は、最大75.3℃で平均73.3℃だった。これは温度リミットとして設定されている87℃を下回るもので、GeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUは平均121.2Wの電力を消費しながら、ブーストクロックの1,455MHzを上回る約1,561.7MHzで動作していた。

 GPUの電力リミットは125Wに設定されているので、これは電力リミットの範囲内で最大限にGPUクロックをブーストした動作であると言える。

 このように、CPUとGPUが温度リミットや電力リミットの許す範囲内で最大限のブースト動作を実現できるのは、Alienware x17 R2が大電力を供給できるVRMと優れた冷却システムを備えているからである。

【グラフ11】CPUとGPUの温度 (平均/最高)
【グラフ12】CPUとGPUの消費電力 (平均/最大)
【グラフ13】CPUとGPUの動作クロック (平均/最大)
【グラフ14】Cinebench R23 Multi Core 実行中のモニタリングデータ
【グラフ15】ファイナルファンタジーXIVベンチマーク実行中のモニタリングデータ

実際のゲームでのパフォーマンスをチェック

 ここからは、実際のゲームを使ってAlienware x17 R2 スプレマシーのパフォーマンスをチェックしていく。

 テストしたのは、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「エルデンリング」、「サイバーパンク2077」の4タイトル。今回は、すべてのゲームでフルHD解像度と、DSRを用いた4K解像度でのパフォーマンスを計測している。

フォートナイト

 フォートナイトでは、描画品質プリセットを「中」と「最高」に設定した際の平均フレームレートを計測した。テスト時の3D解像度は100%で、グラフィックスAPIはDirectX 12。

 フルHDでは、描画設定「中」で288.9fps、「最高」では143.4fpsを記録。360Hz駆動のディスプレイが備える表示能力をフル活用とまではいかないが、描画設定を調整するえば相当な高フレームレートでのプレイが実現できる。

 DSRによる4Kでのフレームレートは、描画設定「中」で130.9fps、「最高」で53.4fpsだった。4Kで最高画質設定ともなるとさすがに60fpsの維持は困難になるが、描画設定を調整すれば100fps以上での動作も狙える。実際にプレイする場合は描画負荷を軽減するDLSSを活用するのも良いだろう。

【グラフ16】フォートナイト (v20.00)

レインボーシックス シージ

 レインボーシックス シージでは、描画設定プリセット「最高」をベースに、レンダリングのスケーリングを「100」に設定した条件で、ゲーム内ベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIはVulkan。

 ベンチマークで記録された平均フレームレートは、フルHDで379fps、DSRを用いた4Kでは122fpsだった。Alienware x17 R2 スプレマシーに搭載可能な、360Hz駆動のフルHDディスプレイや、120Hz駆動の4Kディスプレイの表示性能を十分に活用できる数値だ。

【グラフ17】レインボーシックス シージ (Build 8473372)

エルデンリング

 エルデンリングでは、描画設定プリセットを「最高」、自動描画調整を「オフ」にして平均フレームレートを計測した。上限フレームレートは60fps。

 フルHDではフレームレートが上限の60fpsに張り付いた一方、4Kでは48.8fpsに低下した。もっとも、4Kでも30fpsを超えるフレームレートは出ているので十分にプレイ可能であり、Alienware x17 R2のディスプレイはG-SYNCに対応しているので、カクツキの少ない滑らかな描画でプレイすることが可能だった。

【グラフ18】エルデンリング (v1.03.2)

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、描画設定プリセット「レイトレーシング:ウルトラ」で、ゲーム内ベンチマークモードを実行した。

 ベンチマークでの平均フレームレートは、フルHDが69.35fpsで、4Kは35.39fpsだった。グラフィック重視の重量級タイトルとして知られるサイバーパンク2077でリアルタイムレイトレーシングを有効にしても、Alienware x17 R2 スプレマシーは十分にプレイ可能なフレームレートを実現できている。

【グラフ19】サイバーパンク2077 (v1.52)

薄型筐体ながら素晴らしいゲーミング性能を備えた最新鋭ゲーミングノート

 薄型の筐体に第12世代CoreのCore i9-12900HKとGeForce RTX 3080 Ti Laptop GPUを搭載したAlienware x17 R2 スプレマシーは、スマートなルックスから受ける印象よりも遥かに高いゲーミング性能を備えていた。

 360Hz駆動やG-SYNCに対応するディスプレイの表示性能も高く、グラフィック重視のAAA級タイトルからFPSまで、幅広いジャンルのゲームを快適にプレイできるゲーミングノートだ。

 最上位モデルであるAlienware x17 R2 スプレマシーは標準構成で64万8,130円とかなり高額だが、Alienware x17 R2自体は397,129円から用意されており、自分好みのパーツ構成にカスタマイズして注文できる。

 本格的なゲーミング性能を備えたハイエンドゲーミングノートを探しているなら、Alienware x17 R2はぜひともチェックすべきだろう。

スマートなルックスと本格的なゲーミング性能を兼ね備えたAlienware x17 R2