Hothotレビュー

8コア16スレッドパワーでPCゲームを楽しめるゲーミングUMPC「AYANEO NEXT」

天空「AYANEO NEXT」。直販価格は15万3,800円~

 株式会社ハイビームは2月25日、AMDの「Ryzen 7 5800U」、「Ryzen 7 5825U」を搭載する7型ゲーミングUMPC「AYANEO NEXT」シリーズの予約を開始した。

 前モデル「AYA NEO 2021」はZen 2の6コア6スレッドの「Ryzen 5 4500U」を搭載していたが、今回のAYANEO NEXTシリーズはZen 3の8コア16スレッドのAMDプロセッサを搭載。大幅なパフォーマンスアップを果たした。

 今回のレビューでは、基本スペック、使い勝手などのレビューに加えて、従来モデルとの性能比較、実ゲームでのパフォーマンスなどについてもチェックしていこう。

製品パッケージは何層にも重ねられた豪華仕様。アクリル製カバーや、スペックや特徴を解説する半透明プレートなども使われており、開梱中にアガること請け合いだ
パッケージには本体以外に、USB Type-Cケーブル、ACアダプタ、メモリアルネームプレートベース、USB C to USB Aアダプタ×2、パワーコンバーター×3、メモリアルネームプレート、開梱用グローブ、説明書、クリーニングクロスが同梱

CPU、メモリ、ストレージの異なる3モデルを用意

 本シリーズには下記の3モデルが用意されている。

・「AYANEO NEXT Advance」(価格未定)※400台限定
 Ryzen 7 5800U/RAM 16GB/SSD 2TB
・「AYANEO NEXT」(直販価格15万3,800円~)
 Ryzen 7 5825U/RAM16GB/SSD1TBまたは2TB
・「AYANEO NEXT Pro」(直販価格17万9,800円)
 Ryzen 7 5825U/RAM32GB/SSD2TB

 CPUは「Zen3」コア・アーキテクチャの「AMD Ryzen 7 5800U」(8コア16スレッド、1.90~4.40GHz)と「AMD Ryzen 7 5825U」(8コア16スレッド、2.00~4.50GHz)の2種類を用意。それに16GBまたは32GBのメモリ、1TBまたは2TBのSSDが組み合わされている。

 これ以外のスペックは共通。ディスプレイは7型IPS液晶 (1,280×800ドット、216ppi、60Hz、輝度非公表、色域非公表、光沢、5点タッチ対応、スタイラス非対応)を採用。ゲーミングUMPCということでWebカメラは非搭載だ。

 インターフェイスはUSB Type-C(データ転送、DisplayPort 1.4、USB Power Delivery 3.0対応)×2、3.5mmイヤフォンジャック×1を装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.2をサポートする。

 キーボードは非搭載。コントローラは、左スティック、十字キー、ビューボタン、メニューボタン、ABXYボタン、右スティック、AYAキー、カスタムキー、LT、LB、RT、RBボタンを装備。それに加えて、指紋認証センサー一体型電源ボタン、ボリュームボタンも用意されている。なおフィードバック用として、左右のグリップ部にX軸リニアモーターが内蔵されている。

 本体サイズは約267×112×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約720g。47Whのバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間はゲーム利用時で約2~6時間と謳われている。

 ボディの質感はなかなか高く、カラーもAYANEO NEXT ProではSILVER、PASTEL BLUE、BRIGHT WHITE、MIDNIGHT BLUE、JET BLACKの5色が用意されている。今回はPASTEL BLUEを借用したが、白とオレンジを組み合わせたBRIGHT WHITEもゲーミングデバイスらしからぬ素敵なカラーだ。

【表1】AYANEO NEXTのスペック
製品名AYANEO NEXT AdvanceAYANEO NEXTAYANEO NEXT Pro
OSWindows 10 Home 64bit バージョン2004
CPUAMD Ryzen 7 5800U(8コア16スレッド、1.90~4.40GHz)AMD Ryzen 7 5825U(8コア16スレッド、2.00~4.50GHz)
GPUAMD Radeon Graphics
メモリLPDDR4x-4267 SDRAM 16GBLPDDR4x-4267 SDRAM 32GB
ストレージ2TB PCIe Gen3 x4 SSD(M.2 2280)1TB/2TB PCIe Gen3 x4 SSD(M.2 2280)2TB PCIe Gen3 x4 SSD(M.2 2280)
ディスプレイ7型IPS液晶 (1,280×800ドット、216ppi、60Hz、輝度非公表、色域非公表、光沢、5点タッチ対応、スタイラス非対応)
通信Wi-Fi 6E(11ax)、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB Type-C(データ転送、DisplayPort 1.4、USB Power Delivery 3.0対応)×2、3.5mmイヤフォンジャック×1
バッテリ容量47Wh
バッテリ駆動時間ゲーム利用時約2~6時間
バッテリ充電時間USB Power Delivery 3.0急速充電対応
本体サイズ約267×112×30mm(幅×奥行き×高さ)
重量約720g
セキュリティ指紋認証センサー一体型電源ボタン
同梱品ACアダプタ、USB Type-Cケーブル、パワーコンバーター×3、USB C to USB Aアダプタ×2、メモリアルネームプレートベース、メモリアルネームプレート、開梱用グローブ、説明書、クリーニングクロス
カラーPASTEL BLUEPASTEL BLUE、BRIGHT WHITE、MIDNIGHT BLUE、JET BLACKSILVER、PASTEL BLUE、BRIGHT WHITE、MIDNIGHT BLUE、JET BLACK
価格未定15万3,800円~17万9,800円~
ディスプレイは7型IPS液晶 (1,280×800ドット、216ppi、60Hz、輝度非公表、色域非公表、光沢、5点タッチ対応、スタイラス非対応)。前面には左スティック、十字キー、ビューボタン、メニューボタン、ABXYボタン、右スティック、AYAキー、カスタムキーが配置されている
本体背面。吸気口の直径は実測47mm。技適情報が含まれるシールがはがしやすいように「ベロ」が設けられているが、日本で適法に利用するためにははがしてはいけない
インターフェイスは、上面と下面にUSB Type-C(データ転送、DisplayPort 1.4、USB Power Delivery 3.0対応)、上面に3.5mmイヤフォンジャック×1を装備。また上面には指紋認証センサー一体型電源ボタン、ボリュームボタン、LT、LB、RT、RBボタンが配置されている
右側面(上)と左側面(下)。高さは、AYA NEO 2021の20mmから、AYANEO NEXTは30mmへと増えているが、逆にしっかりと持ちやすくなっている
USB Type-Cケーブルの長さは実測101cm。ACアダプタにはUSB-CとUSB-A端子が用意。また、電源プラグを変換するアダプタが3つ付属する
ACアダプタの仕様は、入力100~240V/1.6A、出力はUSB-Cが5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3.25A、USB-Aが5V/2A
AYANEO NEXT本体の実測重量は712g
ACアダプタとUSB Type-Cケーブルの合計重量は実測150.2g
システム情報
主要なデバイス
初回起動時のCドライブの空き容量は1895.61GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITY、FULL CHARGE CAPACITYはともに47,355mWhと表示された

ゲーム専用機のコントローラと比べても遜色ない操作感

 まずゲームコントローラの使い勝手からお伝えしよう。今回実際に「THE KING OF FIGHTERS XV」、「GUILTY GEAR -STRIVE-」、「God of War」などをプレイしてみたが、コントローラの操作感は良好だ。

 ジョイスティックとトリガーには非接触型磁気センサー「ホールセンサー」が採用されており、コントローラの精度と耐久性を向上させているとのこと。これらのボタンやレバーの押圧力が適切にチューニングされているのだろう。特に格闘ゲームのコマンドを入力しやすかった。ゲーム専用機のコントローラと比べても遜色ない操作感だと思う。

格闘ゲームのコマンドも入力しやすい。ゲーム専用機のコントローラと交互に使っても違和感はないはずだ

 ディスプレイは色域などの詳しいスペックは公表されていないが、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で実測したところ、sRGBカバー率は91.7%。AdobeRGBカバー率は72.7%、DCI-P3カバー率は76.1%という値が出た。最新のモバイルノートPCと比較すると色域はやや狭めだが、実際にゲームをプレイして発色に不満を感じるほどの差ではない。

 一方ゲーミングノートPCのディスプレイと比較すると60Hzのリフレッシュレートが物足りなく思えるが、よほど軽いPCゲームでなければフレームレートは120fpsに達しない。8コア16スレッドのハイパワーなAMDプロセッサーを搭載していても、現時点では60Hzのディスプレイがベストマッチだ。

7型IPS液晶の発色には特に癖はない
実測したsRGBカバー率は91.7%。sRGB比は103.6%
AdobeRGBカバー率は72.7%、AdobeRGB比は76.8%
DCI-P3カバー率は76.1%、DCI-P3比は76.3%

 本製品は本体下面にステレオスピーカーが内蔵されている。音圧レベルを実測したところ最大79.6dBA(50cmの距離で測定)となった。ノートPCよりコンパクトなゲーミングなのでボリュームは小さめだが、手に持ってプレイするのだから必要十分。もっと大迫力のサウンドでプレイしたいならイヤフォンやヘッドフォンを接続しよう。

YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生した際の音圧レベルは最大79.6dBA(50cmの距離で測定)

前モデルの最大1.47倍のベンチマークスコアを確認

 最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

・総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2519」
・3Dベンチマーク「3DMark v2.19.7225」
・CPUベンチマーク「CINEBENCH R23.200」
・CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」
・CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
・3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
・3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」
・ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」

 比較対象機種としては、「AMD Ryzen 5 4500U」(6コア6スレッド、2.30~4.00GHz)を搭載する「AYA NEO 2021」を採用した。なお両機種ともTDPを20Wに設定した状態のスコアを掲載している。下記が検証機の仕様とその結果だ。

ベンチマークは管理ユーティリティー「AYASpace」で、パフォーマンスモードを「Game」(TDP 20W)に設定して実施している
【表2】検証機の仕様
AYANEO NEXT AdvanceAYA NEO 2021
CPUAMD Ryzen 7 5800U(8コア16スレッド、2~4.5GHz)AMD Ryzen 5 4500U(6コア6スレッド、2.3~4GHz)
GPUAMD Radeon GraphicsAMD Radeon Graphics
メモリLPDDR4x-4267 SDRAM 16GBLPDDR4x-4267 SDRAM 16GB
ストレ-ジ2TB PCIe Gen3 x4 SSD(M.2 2280)512GB PCIe Gen3 x4 SSD(M.2 2280)
ディスプレイ7インチ、1,280×800ドット(216ppi)7インチ、1,280×800ドット(216ppi)
TDP15W15W
OSWindows 10 Home 64bit バージョン2004Windows 10 Home 64bit
サイズ約267×112×30mm(幅×奥行き×高さ)約255×106×20mm(幅×奥行き×高さ)
重量約720g約650g
【表3】ベンチマ-ク結果
PCMark 10 v2.1.2519
PCMark 10 Score58814975
Essentials101518913
App Start-up Score1407411395
Video Conferencing Score83207650
Web Browsing Score89338124
Productivity93267769
Spreadsheets Score110769108
Writing Score78546628
Digital Content Creation58314826
Photo Editing Score87457075
Rendering and Visualization Score58954446
Video Editting Score38463375
PCMark 10 Modern Office Battery Life4時間54分
3DMark v2.19.7225
Time Spy Extreme689
Time Spy1481
Fire Strike Ultra844
Fire Strike Extreme1659
Fire Strike37083010
Wild Life Extreme2393
Wild Life7797
Night Raid1499312130
CINEBENCH R23.200
CPU(Multi Core)8510 pts
CPU(Single Core)1430 pts
CINEBENCH R20.060
CPU3310 pts
CPU(Single Core)556 pts
CINEBENCH R15.0
OpenGL63.00 fps
CPU1421 cb
CPU(Single Core)233 cb
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリ-ン3181(普通)
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノ-トPC)9057(快適)6161
SSDをCrystalDiskMark 8.0.4で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード3465.329 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト1921.252 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード2928.741 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト1302.207 MB/s
4K Q32T1 ランダムリ-ド553.457 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト390.571 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド57.596 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト151.344 MB/s

 AYANEO NEXT AdvanceはAYA NEO 2021に対して、PCMark 10 Scoreで約1.18倍、3DMarkのFire Strikeで約1.23倍、Night Raidで約1.24倍のスコアを記録している。最も大きな差となったのは「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」で、1.47倍のスコアを叩き出した。Ryzen 7 5800Uを搭載するAYANEO NEXT Advanceでも十分体感できるパフォーマンスアップを果たしている。今回、Ryzen 7 5825Uを搭載する最上位のAYANEO NEXT Proを試せなかったのが残念だ。

 また、「MSI Afterburner」でフレームレートを計測してみたが、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」実行中の平均フレームレートは75.3fps、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」実行中の平均フレームレートは31.9fps、「God of War」実行中の平均フレームレートは25.6fpsとなった。高負荷なAAAタイトルをプレイする際は、グラフィック品質を調整する必要がある。

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」実行中の平均フレームレートは75.3fps(※上の画面中に掲載のフレームレートはリアルタイムのもの。以下同)
「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」実行中の平均フレームレートは31.9fps
「God of War」実行中の平均フレームレートは25.6fps
「MSI Afterburner」で実測した「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」のフレームレートは平均75.3fps、最小19.9fps、最大339.7fps(※最大値はシーン切り替え時の実態とは乖離した値だと思われる)、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」のフレームレートは平均31.9fps、最小25.3fps、最大40.0fps、「God of War」のフレームレートは平均25.6fps、最小23.3fps、最大28.3fps

 8コア16スレッドのCPUが発する熱はさぞ高いだろうと予想していたが、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」実行中の発熱は、前面で35.1℃、背面で36.5℃となった(室温16.8℃で測定)。コントローラ部の発熱は低めなので、ゲームをプレイしていて本体の発熱を不快に感じることはなさそうだ。

「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」実行中の前面の最大温度は35.1℃(室温16.8℃で測定)
背面の最大温度は36.5℃
ACアダプタの最大温度は34.0℃

 バッテリ駆動時間については、ディスプレイ輝度50%で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、4時間54分という結果になった。プレイするゲームの負荷によりバッテリ駆動時間は大きく変わる。とは言え、わずかに5時間に達しなかったもののゲーミングUMPCとしては必要十分なバッテリ駆動時間を備えていると言えよう。

ディスプレイ輝度50%で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行した際のバッテリ駆動時間は4時間54分

スタンドアローンでPCゲームをプレイできる携帯ゲーム機として大本命

 AAAタイトルではグラフィック設定を調整する必要はあるが、AYANEO NEXTシリーズがゲーミングUMPCとして最高クラスのパフォーマンスを備えていることは間違いない。またコントローラの操作性もゲーム専用機と遜色ない仕上がりだ。AYANEO NEXTシリーズはスタンドアローンでPCゲームをプレイできる携帯ゲーム機として大本命の1台と言えるだろう。