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16コアCPUの頂点「Ryzen 9 5950X」とリーズナブルな「Ryzen 5 5600X」の実力

 今回は、11月6日に発売されたAMDのデスクトップ向けCPU「Ryzen 5000」シリーズから、最上位の16コアCPU「Ryzen 9 5950X」と、もっとも安価な6コアCPU「Ryzen 5 5600X」のベンチマーク結果をお届けする。

Ryzen 5000シリーズのエントリーとハイエンドをテスト

 今回テストするのは、6コア12スレッドCPUのRyzen 5 3600Xと、16コア32スレッドCPUのRyzen 9 5950Xの2製品。いずれもZen 3アーキテクチャを採用するRyzen 5000シリーズの製品で、最廉価と最上位というラインナップの両端に位置している。

 Ryzen 5 5600Xは、最大8基のCPUコアを備えるCPUダイ(CCD)から2基のCPUコアを無効化することで、6コア12スレッドCPUを実現している。TDPは65Wで、製品パッケージには純正CPUクーラーの「Wraith Stealth」が付属する。

 Ryzen 9 5950Xは、2基のCCDを搭載することで16コア32スレッドCPUを実現している。TDPは105Wで、製品パッケージにCPUクーラーが付属していないため、ユーザーが別途用意する必要がある。

【表1】Ryzen 5000シリーズのおもな仕様
モデルナンバーRyzen 9 5950XRyzen 9 5900XRyzen 7 5800XRyzen 5 5600X
CPUアーキテクチャZen 3Zen 3Zen 3Zen 3
製造プロセス7nm CCD + 12nm IOD7nm CCD + 12nm IOD7nm CCD + 12nm IOD7nm CCD + 12nm IOD
CCD (Core Chiplet Die)2211
コア数161286
スレッド数32241612
L2キャッシュ8MB6MB4MB3MB
L3キャッシュ64MB64MB32MB32MB
ベースクロック3.4GHz3.7GHz3.8GHz3.7GHz
最大ブーストクロック4.9GHz4.8GHz4.7GHz4.6GHz
対応メモリDDR4-3200 (2ch)DDR4-3200 (2ch)DDR4-3200 (2ch)DDR4-3200 (2ch)
PCI ExpressPCIe 4.0 x24PCIe 4.0 x24PCIe 4.0 x24PCIe 4.0 x24
TDP105W105W105W65W
対応ソケットSocket AM4Socket AM4Socket AM4Socket AM4
CPUクーラーWraith Stealth
価格799ドル549ドル449ドル299ドル
6コア12スレッドCPU「Ryzen 5 5600X」
Ryzen 5 5600XのCPU-Z実行画面
Ryzen 5 5600Xに付属する純正CPUクーラー「Wraith Stealth」
CPUとの接地面にはサーマルグリスが塗布されている
16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 5950X」
Ryzen 9 5950XのCPU-Z実行画面

 以下のスクリーンショットは、両CPUでRyzen Masterを実行したさいのもの。TDP 65WモデルのRyzen 5 5600Xの最大CPU温度は95℃で、電力リミット(PPT)が76W、電流リミットはTDCが60A、EDCは90Aだった。一方、Ryzen 9 5950Xは最大CPU温度が90℃、PPTは142Wで、TDCは95A、EDCは140Aだった。

Ryzen 5 5600XのRyzen Master実行画面
Ryzen 9 5950XのRyzen Master実行画面

テスト機材

 Ryzen 9 5950XとRyzen 5 5600Xのテストには、Ryzen 5000シリーズ対応BIOS「2311」を導入したASUSのAMD X570搭載マザーボード「ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI)」を利用する。

 比較用のCPUには、Zen 2世代の16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 3950X」と、Intelの10コア20スレッドCPU「Core i9-10900K」を用意した。共通機材として、ビデオカードにはGeForce RTX 3080 Founders Editionを利用する。そのほかの機材は以下のとおり。

【表2】テスト機材一覧
CPURyzen 5 5600XRyzen 9 5950XRyzen 9 3950XCore i9-10900K
コア数/スレッド数6/1216/3216/3210/20
CPUパワーリミットPPT:76W、TDC:60A、EDC:90APPT:142W、TDC:95A、EDC:140APL1:125W、PL2:250W、Tau:56秒
マザーボードROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI) [UEFI:2311]ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (WI-FI) [UEFI:1410]
メモリDDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-53、1.20V)DDR4-2933 16GB×2 (2ch、21-21-21-47、1.20V)
ビデオカードGeForce RTX 3080 Founders Edition
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 3.0 x4)
アプリケーション用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 3.0 x4)CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 3.0 x4)
CPUクーラーASUS ROG RYUJIN 240 (ファンスピード=100%)
電源CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 457.09 (27.21.14.5709)
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 20H2 / build 19042.610)
電源プランバランスAMD Ryzen Balancedバランス
室温約27℃
Zen 2ベースの16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 3950X」
Intelの10コア20スレッドCPU「Core i9-10900K」
ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI)
GeForce RTX 3080 Founders Edition

ベンチマーク結果

 それでは、ベンチマークテストの結果をみてみよう。

 実施したベンチマークテストは、「CINEBENCH R20」、「CINEBENCH R15」、「Blender Benchmark」、「V-Ray Benchmark」、「やねうら王」、「HandBrake」、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、「PCMark 10」、「SiSoftware Sandra」、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Forza Horizon 4」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「VALORANT」、「モンスターハンターワールド : アイスボーン」、「Microsoft Flight Simulator」。

CINEBENCH

 CPUの3DCGレンダリング性能を測定するCINEBENCHは、CINEBENCH R20とCINEBENCH R15を実行した。

 CINEBENCH R20のマルチスレッドテスト(All Core)では、Ryzen 9 5950Xが全体トップの10,407を記録し、2番手のRyzen 9 3950Xに約11%、3番手のCore i9-10900Kに約63%の差をつけている。Ryzen 5 5600Xのスコアは4,253で、Ryzen 9 5950X比で約67%の数値だった。

 CINEBENCH R20のシングルスレッドテスト(Single Core)でも、646を記録したRyzen 9 5950Xがトップに立っており、8%差の2番手にRyzen 5 5600Xが続いた。Ryzen 5 5600Xは、Core i9-10900Kに約10%、Ryzen 9 3950Xに約12%の差をつけており、Ryzen 5000シリーズのシングルスレッド性能の高さが示された結果であると言えよう。

 CINEBENCH R15でも各CPUの順位に変動はみられない。Ryzen 5000シリーズの優れた性能は、最新の拡張命令を使用しないレガシーなアプリケーションでも発揮されると期待できる。

【グラフ01】CINEBENCH R20
【グラフ02】CINEBENCH R15

Blender Benchmark

 続いて、3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマークソフト「Blender Benchmark」の結果だ。

 Ryzen 9 5950Xはすべてのテストで最速を記録しており、2番手のRyzen 9 5950Xに4~17%、Core i9-10900Kには63~87%の差をつけている。Ryzen 5 5600Xのレンダリング速度は、Ryzen 9 5950X比で4割程度となっている

【グラフ03】Blender Benchmark

V-Ray Benchmark

 レンダリングエンジンV-Rayのオフィシャルベンチマークソフト「V-Ray Benchmark」では、CPUを使用する「V-RAY」を実行した。

 Ryzen 9 5950Xは全体トップの「30,896」を記録し、Ryzen 9 3950Xに約18%、Core i9-10900Kに約71%の差をつけた。Ryzen 5 5600XのパフォーマンスはRyzen 9 5950Xの約4割となっている。

【グラフ04】V-Ray Benchmark v4.10.07 「V-RAY (CPU)」

将棋ソフト「やねうら王」

 将棋ソフトの「やねうら王」では、KPPT型とNNUE型の評価関数でそれぞれベンチマークコマンドを実行した。また、NNUE型ではZen 2最適化版でのテストも実施している。なお、ベンチマークコマンド中の「nT」は、各CPUのスレッド数を入力している。

 Ryzen 9 5950Xは全ての条件で最速を記録しており、KPPT型とNNUE型の通常版では、マルチスレッドテストで2番手のRyzen 9 3950Xに30~45%という大差をつけている。ただし、Zen 2最適化版では、両CPUの差は約7%にまで縮まっている。

【グラフ05】やねうら王 v4.91

動画エンコードソフト「HandBrake」

 オープンソースの動画エンコードソフト「HandBrake」では、フルHD(1080p)と4K(2160p)の動画ソースをYouTube向けプリセットでエンコードするのに掛かった時間を測定した。

 ここでもRyzen 9 5950Xが最速を記録しており、Ryzen 9 3950Xに6~16%、Core i9-10900Kには29~57%の差をつけた。Ryzen 5 5600XとRyzen 9 5950Xの差は62~114%。

【グラフ06】HandBrake v1.3.3

動画エンコードソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」

 動画エンコードソフトのTMPGEnc Video Mastering Works 7では、フルHD(1080p)と4K(2160p)のソース動画をH.264形式とH.265形式に変換するのに掛かった時間を測定した。

 x264でのエンコードで最速を記録したのはRyzen 9 5950Xで、比較用CPUとの差はRyzen 9 3950Xが10~15%、Core i9-10900Kは17~78%、Ryzen 5 5600Xは38~135%。

 x265でのエンコードでもRyzen 9 5950Xが最速で、Ryzen 9 3950Xが21~28%、Core i9-10900Kは36~92%、Ryzen 5 5600Xは59~148%。

【グラフ07】TMPGEnc Video Mastering Works 7 v7.0.17.19「H.264形式へのエンコード」
【グラフ08】TMPGEnc Video Mastering Works 7 v7.0.17.19「H.265形式へのエンコード」

PCMark 10

 PCMark 10では、もっともテスト項目が多い「PCMark 10 Extended」のスコアを比較した。

 総合スコアでトップに立ったのはRyzen 9 5950Xで、2番手にはRyzen 5 5600Xが入っている。Ryzen 5 5600Xは、写真や動画を扱うテストの「Digital Content Creation」でRyzen 9 3950XやCore i9-10900Kにリードされているものの、日常的な操作を扱う「Essentials」やオフィスアプリテストの「Productivity」など、シングルスレッド性能を問われる用途で両CPUを上回っている。

【グラフ09】PCMark 10 Extended (v2.1.2506)

SiSoftware Sandra 20/20「CPUベンチマーク」

 SiSoftware Sandra 20/20のCPUテストから、「Arithmetic」、「Multi-Media」、「Image Processing」の実行結果を紹介する。

 CPUの演算性能を測定するArithmeticのトップスコアはRyzen 9 5950Xで、整数演算テストDhystoneではRyzen 9 3950Xと約1%差となっているが、浮動小数点演算テストWhetstoneではその差を約12%に広げている。

 マルチメディア性能を測定するMulti-Mediaでも、Ryzen 9 5950Xがトップに立っており、2番手のRyzen 9 3950Xに18~30%の差をつけた。

 画像処理性能を測定するImage Processingは得手不得手が分かれがちなテストだが、ディフュージョン以外のテストでRyzen 9 5950Xがトップスコアを記録している。CGレンダリングのようなCPUコアを全て使い切る処理だけでなく、画像の編集作業などでも高いパフォーマンスが期待できるCPUということだ。

【グラフ10】SiSoftware Sandra v30.80 「Processor Arithmetic (プロセッサの性能)」
【グラフ11】SiSoftware Sandra v30.80 「Processor Multi-Media (マルチメディア処理)」
【グラフ12】SiSoftware Sandra v30.80 「Processor Image Processing (画像処理)」

SiSoftware Sandra 20/20「メモリベンチマーク」

 メモリ帯域幅を測定するMemory Bandwidthでは、Ryzen 9 5950Xが38.15GB/s、Ryzen 5 5600Xが36.49GB/sを記録。同一のメモリとI/Oダイ(IOD)を使っている両CPUの差は、CCD数の違いによるものであると考えられる。

 「Cache & Memory Latency」で測定したメモリレイテンシでは、Ryzen 5000シリーズが約70nsを記録している。同じIODを使用するRyzen 9 3950Xより明らかに大きな数値となっている理由は、IODとメモリ間の接続ではなく、CPUコアからIODまでの経路にあると考えられる。

【グラフ13】SiSoftware Sandra v30.80 「Memory Bandwidth (メモリ帯域幅)」
【グラフ14】SiSoftware Sandra v30.80 「Cache & Memory Latency (メモリレイテンシ)」

SiSoftware Sandra 20/20「キャッシュベンチマーク」

 CPUが備えるキャッシュの性能を測定できる「Cache & Memory Latency」と「Cache Bandwidth」の結果をグラフ化した。

 Cache & Memory Latencyでは、テストサイズが16MBを超えるとレイテンシが増加するRyzen 9 3950Xに対し、Ryzen 5000シリーズは32MBまで低いレイテンシを保っていることを確認できる。これは、Zen 3アーキテクチャにおいてCCD内部のCCX(Core Complexes)の構成が「4コアCPU+16MB L3キャッシュ」から「8コアCPU+32MB L3キャッシュ」に変更されたことによるものだ。

 Cache Bandwidthでは、コア数が同じRyzen 9 5950XとRyzen 9 3950Xを比較するとキャッシュの帯域幅自体はRyzen 9 5950Xの方が低い数値となっている。とくにL3キャッシュの帯域幅は大きな差がついており、このあたりはCCXの構成変更が影響していると考えられる。

【グラフ15】SiSoftware Sandra v30.80 「Cache & Memory Latency (レイテンシ)」
【グラフ16】SiSoftware Sandra v30.80 「Cache & Memory Latency (クロック)」
【グラフ17】SiSoftware Sandra v30.80 「Cache Bandwidth」

3DMark

 3DMarkでは、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」、「Port Royal」の4テストを実行した。

 DirectX 12テストの「Time Spy」では、Ryzen 9 5950Xに13%の差をつけられたRyzen 5 5600X以外を除き、総合スコアはほぼ横並びとなっている。GPU性能を測定するGraphics ScoreではRyzen 5 5600XもほかのCPUと遜色ない数値を記録しているが、CPU Testでの大差が総合スコアに響いているようだ。

 DirectX 11テストの「Fire Strike」では、Ryzen 9 5950Xがトップスコアを記録し、約14%の2番手でRyzen 9 3950XとRyzen 5 5600Xが並んでいる。

 グラフィックスAPIにVulkanを用いる「Wild Life」でトップに立ったのはCore i9-10900Kで、約1%差の2番手にRyzen 5 5600X、Ryzen 9 5950Xは約4%差の3番手だった。

 DXR(DirectX Raytracing)を用いたリアルタイムレイトレーシングテストの「Port Royal」では、Core i9-10900Kがトップスコアではあるものの、ほかのCPUとの差は最大でも約1%とほぼ横並びとなっている。

【グラフ18】3DMark v2.15.7078「Time Spy」
【グラフ19】3DMark v2.15.7078「Fire Strike」
【グラフ20】3DMark v2.15.7078「Wild Life」
【グラフ21】3DMark v2.15.7078「Port Royal」

VRMark

 VRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」の3テストを実行した。

 最軽量のOrange Roomでは、Ryzen 5 5600Xがトップスコアとなる16,396を記録。これは2番手のRyzen 9 5950Xに約3%上回るもので、Core i9-10900Kに約11%、Ryzen 9 3950Xには21%もの差をつけている。

 Cyan Roomでトップに立ったのはCore i9-10900Kで、約2%差の2番手にRyzen 5 5600Xが入り、Ryzen 9 5950Xはトップから約7%差の3番手だった。

 Blue RoomではCPUによる差がほとんど生じておらず、横並びのスコアとなっている。

【グラフ22】VRMark v1.3.2020「スコア」
【グラフ23】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画設定を「最高品質」に固定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でテストを実行した。

 トップスコアを記録したのはRyzen 9 5950Xで、とくにGPU負荷が低くCPUのボトルネックが大きくなるフルHDとWQHDでは、Ryzen 9 3950Xに34~36%、Core i9-10900Kに16~19%の差をつけている。Ryzen 5 5600Xは全体2番手のスコアであり、トップのRyzen 9 5950Xに1~2%差と肉薄している。

【グラフ24】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画設定を「高品質」に固定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でテストを実行した。

 フルHD解像度では、Ryzen 9 5950Xが16,189を記録してトップにたっており、Ryzen 5 5600Xは約4%差の2番手だった。WQHD以上の画面解像度ではCPUの差がスコアに大きく反映されていない。

【グラフ25】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

Forza Horizon 4

 Forza Horizon 4では、描画設定を「ウルトラ」に固定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークモードを実行したほか、高fps設定として描画設定「ミディアム」かつフルHD解像度でのテストも行った。

 Ryzen 9 5950XはWQHD以下の条件でトップに立っており、2番手のRyzen 5 5600Xに4~7%、Core i9-10900Kに11~19%、Ryzen 9 3950Xに15~28%の差をつけている。4K解像度ではCPUの違いがスコアに大きく反映されていない。

【グラフ26】Forza Horizon 4 (v1.448.444.2)

フォートナイト

 フォートナイトでは、描画設定「最高」でフルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定したほか、高fps設定として描画設定「中」かつフルHDでもテストしている。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12で、3D解像度は常に100%。

 描画設定「最高」では、Ryzen 5000シリーズとCore i9-10900Kが同程度のフレームレートを記録する一方、高fps設定ではRyzen 9 5950Xが約31%、Ryzen 5 5600Xも約24%もの差をつけてCore i9-10900Kを上回っている。

【グラフ27】フォートナイト (v14.50)

レインボーシックス シージ

 レインボーシックス シージではベンチマークモードを使い、描画設定「ウルトラ」でフルHDから4Kまでの画面解像度と、高fps設定として描画設定「中」かつフルHDでテストを行った。グラフィックスAPIは「Vulkan」で、レンダリングのスケールは常に100%。

 このタイトルではCore i9-10900Kがもっとも高いフレームレートを記録しており、WQHD以下の設定ではRyzen 5000シリーズに2~7%の差をつけている。Ryzen 5000シリーズの方は、フルHDや高fps設定でRyzen 9 3950Xを上回っているが、その差は1%以下となっている。

【グラフ28】レインボーシックス シージ (Y5S3.3)

VALORANT

 VALORANTでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。

 Ryzen 9 5950Xは、Ryzen 5 5600Xに逆転された4Kを除き最高のフレームレートを記録しており、WQHD以下ではCore i9-10900Kに約58%、Ryzen 9 3950Xに約89%もの差をつけている。

【グラフ29】VALORANT (v01.11.00.0489089)

モンスターハンターワールド : アイスボーン

 モンスターハンターワールド : アイスボーンでは、描画設定「最高」をベースにHigh Resolution Texture Packを適用し、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。

 最高の平均フレームレートを記録したのはCore i9-10900Kで、Ryzen 9 5950Xはトップから1~3%差の2番手、Ryzen 5 5600Xはトップから4~5%差だった。

【グラフ30】モンスターハンターワールド : アイスボーン (v15.02.00)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、画面解像度をフルHDに固定して、4種類の描画設定でテストした。テストでは、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。

 描画設定MEDIUM以下ではRyzen 9 5950X、HIGH-END以上ではRyzen 5 5600Xが最高フレームレートを記録している。Core i9-10900Kを基準とした場合、Ryzen 9 5950Xは2~31%、Ryzen 5 5600Xは12~17%、それぞれ高い数値を記録している。

【グラフ31】Microsoft Flight Simulator (v1.10.8.0)

消費電力とCPU温度

 システム全体の消費電力をワットチェッカーで測定した結果が以下のグラフだ。測定したのはベンチマーク中のピーク消費電力とアイドル時消費電力で、CPUベンチマークと3Dベンチマークの結果を分割してグラフ化している。

 アイドル時の消費電力は、Ryzen 9 5950Xが比較製品中最大の66Wで、Ryzen 5 5600Xは62Wだった。マザーボードをはじめ、CPU以外のパーツ構成が異なっているものの、もっとも低い数値を記録したCore i9-10900Kとの間には20W以上の差がついている。

 CINEBENCH R20のSingle Coreを除くCPUベンチマーク実行中のピーク消費電力は、Ryzen 5 5600Xがもっとも低い143~146Wを記録。Ryzen 9 5950Xは215~227Wで比較製品中2番目に低い消費電力だった。

 3Dベンチマーク実行時の消費電力は、463~555Wを記録したRyzen 9 5950Xが5つのテストで比較製品中最大の数値となっており、Ryzen 5 5600Xも420~486Wで3つのテストでCore i9-10900Kより高い消費電力となっている。

【グラフ32】システムの消費電力 (CPUベンチマーク)
【グラフ33】システムの消費電力 (3Dベンチマーク)

 続いて、Ryzen 5000シリーズで高CPU負荷テストを実施したさいのCPU温度を測定した。

 テストでは、TMPGEnc Video Mastering Works 7で「2160p→2160p変換(x264)」を約10分間連続で実行。モニタリングソフトの「HWiNFO v6.34」を使って、ファンコントロールや温度リミットに用いられるCPU温度「Tctl」を測定し、テスト中の最大値と最低値、CPU使用率40%以上で動作中の平均CPU温度をグラフにまとめた。

 ピークCPU温度は、Ryzen 9 5950Xが62.5℃で、Ryzen 5 5600Xが57.0℃。CPU使用率40%以上での平均CPU温度はRyzen 9 5950Xが60.9℃で、Ryzen 5 5600Xは56.1℃だった。Ryzen Masterによれば、Ryzen 9 5950Xの最大CPU温度は90℃で、Ryzen 5 5600Xは95℃であり、どちらのCPUも十分な余裕が確保できている。

【グラフ34】CPUの温度「HWiNFO v6.34 (Tctl)」

 CPU負荷テスト中のモニタリングデータをCPUごとにまとめたものが以下のグラフだ。

 Ryzen 5 5600Xは、パワーリミット値である76Wの電力を消費しながら、4.2GHz前後のCPUクロックで動作している。CPU温度は60℃以下で安定して推移しており、消費電力と発熱が控えめであることが伺える。

 Ryzen 9 5950Xは、パワーリミット値である142Wの電力を消費しながら、4.0GHz前後のCPUクロックで動作している。CPU温度はテスト開始後すぐに60℃程度まで上昇してからは安定して推移している。CPU全体では142Wの電力を消費しているので発熱が少ないわけではないが、冷却自体はそれほど難しくなさそうだ。

【グラフ35】Ryzen 5 5600X のモニタリングデータ
【グラフ36】Ryzen 9 5950X のモニタリングデータ

デスクトップ向けの新たな頂点と、ゲーマー注目のRyzen 5 5600X

 Ryzen 5000シリーズの最上位モデルとなるRyzen 9 5950Xは、前世代のRyzen 9 3950Xをマルチスレッド性能で確実に上回り、シングルスレッド性能やゲームでの性能で圧倒している。ゲームでも多くのタイトルでCore i9-10900Kを上回っており、デスクトップ向けCPUの最上位製品に相応しい性能を備えている。

 一方、Ryzen 5 5600XはRyzen 5000シリーズでもっとも安価なCPUだが、ゲームにおいてはCore i9-10900Kを上回ったり、Ryzen 9 5950Xに匹敵する結果を残しているタイトルもみられる。ゲーミングPCの構築を検討しているユーザーにとって、コストパフォーマンスに優れた選択肢として注目すべきCPUだ。

 発売以来Ryzen 5000シリーズは品薄が続いており、とくに上位のRyzen 9は入手が困難な状況となっている。Ryzen 9のマルチスレッド性能に魅力を感じているなら再入荷や供給量の改善に期待するほかないが、おもな用途がゲームや写真の編集などであるなら、比較的入手しやすくコストパフォーマンスの高いRyzen 5 5600XやRyzen 7 5800Xを検討してみるのも良いだろう。