Hothotレビュー
240Hzの高速表示ゲーミングノート「G-Tune H5」。薄型メカニカルキーボードなどワンランク上の使い心地
2020年10月2日 06:55
ゲームタイトル自体がそうであるように、ゲーミングと名のつくノートパソコンでもスペックによって方向性が決まってくる。たとえばマウスコンピューターの「G-Tune H5」は、高リフレッシュレート液晶を採用し、競技性の高いFPSタイトルなどをターゲットにした製品だ。
一方、内部スペックもハイエンド構成を採っており、重量級タイトルを楽しむこともできる。幅広いプレイスタイルを1台でカバーしてくれるゲーミングノートパソコンと言える。
G-Tune H5は現在のゲーミングノートパソコンで主流の15.6型パネルを搭載する製品だ。外観はシンプルにまとめられており、ゲーミングパソコンでイメージするハデなところはあまりない。
狭額縁液晶パネルを採用し、左右と上面のベゼルが狭く、画面占有率が高い。スタイリッシュにまとめられており、ガンメタリックのきょう体カラーもあって「大人向けのスタンダードノートパソコン」といった見た目だ。
サイズは359.8×243.2×24.7mm(幅×奥行き×高さ)。机の上に置いてみれば、15.6型と言えど以前ほど大きなノートパソコンではないことに気づく。しかし液晶パネルサイズは13.3型や14型と比べるとひとまわり大きく窮屈感がない。
重量は約2.21kg。ここは15.6型、それもハイエンドスペックのゲーミングノートパソコンなりの重量と言えるだろう。2kgを上回っているので軽量とは言えないが、おもに屋内での持ち歩きは気軽にできる。もちろん大人であればかばんに収めてモバイルすることも可能だろう。ただし、どちらかと言えば電車移動よりは自動車移動向きだろうか。
G-Tune H5の特徴は何よりも高リフレッシュレートの液晶ディスプレイだろう。120Hzや144Hzといったものではない。G-Tune H5が採用しているのは240Hzパネルだ。つまり秒間240の映像書き換えを行なえるスペックだ。
TVで言うところの4倍速駆動に相当する。そしてTVにおいての倍速駆動はスポーツなどの動きの激しいシーンでよりスムーズに残像感なく映像を楽しめるというもので、パソコンにおける高リフレッシュレート液晶も似たようなものだ。
ただし、TVは専用チップによって電波に乗って流れてくる映像に中間フレームを加えるのに対し、パソコンではゲームのシーンを内部のCPUやGPUが生成する。つまり、240Hzパネルの性能を最大まで引き出すならば、理想的には240フレーム/秒(fps)を描き出せる性能が必要ということになる。
とは言え、パソコンでゲームをしたことがあるならわかるとおり、パソコンのゲームはタイトルや設定によってフレームレートは変化し、それもシーンごとの負荷に応じて可変する。プレイ可能な最低限のフレームレートと言われるのが平均30fps、快適なフレームレートと言われるのが平均60fpsであり、それを超える平均fpsなら競技向けのスムーズな映像が得られると思えばよい。
ではG-Tune H5の性能に関わるCPU、GPUスペックを見ていこう。まずCPUはCore i7-10875Hを採用している。これは8コア16スレッド対応のハイエンドCPUだ。定格クロックは2.3GHz、最大クロックは5.1GHzというノートパソコン向けとしても高クロックと言える。
続いてGPU。GPUにはGeForce RTX 2070 SUPER with Max-Qを採用している。これもハイエンドGPUと言える。GeForce RTXシリーズには2060/2070/2080という3つのモデルがありその中間がRTX 2070となるが、RTXシリーズ自体がアッパーミドルから上、RTX 2080に関してはエンスージアスト向けと言えるパフォーマンスレンジの製品だ。
RTX 2070 SUPERはハイエンドと区別してよいだろう。2,560基のCUDAコアを内蔵し、グラフィックスメモリも8GB搭載している。高い3D性能はもちろん、写真補正や映像編集など、現代のさまざまなクリエイティブ系アプリケーションでその性能を発揮できる。
このように、スペック面でのポイントは、240Hzという高リフレッシュレート液晶に、その性能を引き出す高性能CPU&GPUの搭載というところになる。
充実したゲーミング向けスペック
そのほかの本体の特徴を見ていこう。キーボードはテンキーつきの99キー日本語配列だ。キーボードにおけるゲーミング要素は3つある。
1つ目は薄型メカニカルスイッチの採用だ。ゲームプレイ時はできるだけ正確に入力できること、違和感なく入力できることが戦況を有利に導く。メカニカルスイッチは、たとえキー押下時にキーの中央を外してしまったとしてもグラグラすることなく入力できる。そしてストロークは2mm確保されており、これはノートパソコン用のキーとしては比較的しっかりとした押下感が得られる。
もう1つはNキーロールオーバー対応。全キー同時押しに対応しており、WASDによる移動をしながら、スペースキーでジャンプ、1~9キーでの武器切り換える、マップを開くといった複数キーによる同時入力を正しく認識してくれる。
そして3つ目がRGB LEDバックライト。個別キー設定可能なので、全体の色を統一することも、特定のキーのみを目立たせるといったこともどちらも可能だ。
テンキーを除くメインのキー配列に関しては比較的素直なものと言える。その上でF1~F12など最上段のキーがほかのキー同様の高さであることに気づく。ノートパソコンではこれらのキーをハーフハイトとして小型化するのが一般的だが、通常のハイトの本製品はデスクトップパソコン向けキーボードの感覚に近いと言えるだろう。
また、テンキー部分に関しては多少特殊な配列と言えるかもしれない。テンキーなら普通は4列をイメージするが、G-Tune H5は3列×6行のレイアウトを採用している。テンキーからEnterキーを省き、通常「0」のあるところに上下左右キーの右キーが割り込んでいる。こうしたところは慣れが必要となるかもしれない。
ゲーミングでは別途マウスを用意すると思われるが、十分に大きなタッチパッドも搭載しており細かな操作も快適だった。
インターフェイスに関しては充実していると言えるだろう。USB 3.0が2ポート、USB 3.1が1ポート、Thunderbolt 3が1ポートあり、合計4ポート利用できる。映像出力もHDMIに加えThunderbolt 3のDisplayPort Alt Modeが利用できるので2系統だ。ネットワークに関してもGigabit Ethernetを搭載し、Wi-Fi 6にも対応している。
そのほかメインメモリは16GB、ストレージはNVMe対応SSDで容量512GBだ。メモリとストレージに関してはBTOが可能なので、注文時に必要な容量の製品にカスタムオーダーできる。ストレージに関して言えば、NVMe SSD×2台という構成も可能だ。
軽いゲームは最高画質で200fps!
重いゲームも60fpsを最高画質で叩き出す
それではベンチマークで性能を測っていきたい。今回用いたベンチマークはULの「PCMark10」、「3DMark」、「VRMark」、MAXON「CINEBENCH R20」、ペガシス「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、そして「HandBrake」。
【表1】G-Tune H5のおもなスペック | |
---|---|
CPU | Core i7-10875H(8コア/16スレッド、2.3~5.1GHz) |
チップセット | - |
GPU | GeForce RTX 2070 SUPER Max-Q |
メモリ | 16GB DDR4-2666 |
ストレージ | 512MB NVMe SSD |
OS | Windows 10 Home |
【表2】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2506 | |
Extended Score | 6,722 |
Essentials Scenario | 9,225 |
App Start-up Test | 10,522 |
Video Conferencing Test | 8,389 |
Web Browsing Tset | 8,894 |
Productivity Scenario | 7,564 |
Spreadsheets Test | 9,349 |
Writing Test | 6,120 |
Digital Content Creation Scenario | 5,390 |
Photo Editing Test | 11,646 |
Rendering and Visualization Test | 3,376 |
Video Editing Test | 3,983 |
Gaming Scenario | 14,676 |
Fire Strike Graphics Test | 19,827 |
Fire Strike Physics Test | 19,873 |
Fire Strike Combined Test | 8,736 |
3DMark v2.11.6846 | |
TimeSpy Extreme | 3,819 |
TimeSpy | 8,007 |
FireStrike Ultra | 5,016 |
FireStrike Extreme | 9,647 |
FireStrike | 18,461 |
NightRaid | 44,957 |
SkyDiver | 45,421 |
VRMark | |
Orange Room | 8,465 |
Cyan Room | 7,628 |
Blue Room | 2,503 |
CINEBENCH R20 | |
CPU | 4,032 |
CPU(SingleCore) | 473 |
TMPGEnc Video Mastering Works 7 | |
4K/60p/MP4→フルHD/60p/H.265/HEVC/SW | 26.56fps |
4K/60p/MP4→フルHD/60p/H.265/HEVC/HW_iGPU | 45.55fps |
4K/60p/MP4→フルHD/60p/H.265/HEVC/HW_dGPU | 48.94fps |
HandBreak v1.3.0 | |
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.265/MP4 Fast SW | 49.39fps |
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.265/MP4 Fast HW | 41.71fps |
4K/60p/MP4→フルHD/30p/H.265/MP4 Fast HW | 43.97fps |
PCMark 10のExtendedスコアは6,722ポイント。どの項目もバランスよく高得点だ。ポイントは20万円台前半の価格でこのスコアという点だろう。もちろん上のグレードのCPUやGPUを搭載すればさらに高いスコアを出すが、一方で価格は急上昇する。本製品は高いスコアでありながらスコア/コストの面で優れていると言えるだろう。
3DMarkでは、Fire Strikeで18,461、Time Spyで8,007といったスコアで、DirectX 11はかなり快適で最高画質が狙え、DirectX 12でも高画質が狙えるだろうあたりだ。VRMarkのスコアも比較的高いのでVR用途にもよいだろう。
CINEBENCH R20はマルチスレッドで4,032ポイントを記録している。8コア16スレッドCPUだけあってマルチスレッド性能は非常に高い。ゲームにおいてはもちろん、3Dレンダリングや映像編集でのエンコーディングなど、CPUを酷使する幅広いニーズをノートパソコンというフォームファクタで加速化してくれるだろう。エンコーディングに関してはTMPGEnc、Handbreakのfpsのとおり。
ゲームベンチマークは「Red Dead Redemption 2」、「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」に、「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」、「Fortnite」を加えた。
【表3】ゲーム系のベンチマーク結果 | |
---|---|
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク | |
1,920×1,080ドット、最高品質 | 16,281 |
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands | |
1,920×1,080ドット、ウルトラ | 64.60fps |
1,920×1,080ドット、非常に高い | 90.82fps |
1,920×1,080ドット、高 | 102.38fps |
Red Dead Redemption 2 | |
1,920×1,080ドット、画質優先(Level 20) | 61.30fps |
1,920×1,080ドット、画質優先(Level 14) | 61.97fps |
1,920×1,080ドット、バランス(Level 7) | 70.13fps |
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク | |
1,920×1,080ドット、高品質 | 8,579 |
1,920×1,080ドット、標準品質 | 11,011 |
1,920×1,080ドット、軽量品質 | 13,181 |
Tom Clancy's Rainbow Six Siege | |
1,920×1,080ドット、最高画質 | 231fps |
Fortnite | |
1,920×1,080ドット、最高画質、DX11 | 113.05fps |
1,920×1,080ドット、中画質、DX11 | 219.27fps |
重めのタイトルから見ていくと、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは高品質でも快適評価で、Red Dead Redemption 2やTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsももっとも高い画質プリセットで60fpsを超えている。最高画質で60fpsをクリアしているので画質設定を引き下げればフレームレートを稼げるということだ。高画質でのプレイ、フレームレート重視の滑らかな映像でのプレイを選べるだけの性能であることを意味している。
より軽量のファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは最高画質でもかなりの高スコアだ。平均fpsは121.97。つまり、軽量なタイトルならば最高画質であっても60fpsをはるかに超える高いフレームレートで楽しめる。
このほか、Tom Clancy's Rainbow Six Siegeでは最高画質でも231fps、Fortniteでも画質を中設定にすることで219fpsを記録した。高いリフレッシュレートがとくに重要となるeスポーツタイトルでパネル性能を引き出せることはゲームを有利に導くことになるだろう。
240Hzパネルを採用したことで性能を最大限引き出せるハイエンドゲーミングノート
G-Tune H5は、ゲーム系のベンチマーク結果が示すように、重めのゲームなら60fps、軽量なゲームであれば200fpsが狙える。一般的なノートパソコンと同じ60Hzパネルだったとしたら、どちらかと言えばスペックを持て余していたくらいなのかもしれない。240Hz対応液晶パネルというスペックを加えることで、軽量なゲームにおいて1つ上のプレイ環境が得られるというのがG-Tune H5を選ぶ理由になるだろう。
G-Tune H5は20万円台前半で販売されており、執筆時点の標準構成で234,080円だった。ハイエンドパーツから構成される製品なのでさすがに20万円を超えているものの、性能を見れば納得できる価格と言えるだろう。もちろんゲームが主目的になるのかもしれないが、PCMark 10やレンダリング、エンコーディングテストが示すとおりパソコンとして汎用性も高い。幅広いニーズをカバーできる製品だ。