Hothotレビュー
4万円台で143gの軽量スマホ「Pixel 4a」をチェック
2020年8月4日 00:00
Googleは、最新スマートフォン「Pixel 4a」を8月20日より発売する。上位モデルとなる「Pixel 4」の廉価版、2019年に登場した「Pixel 3a」の後継として位置付けられており、Pixel 4を踏襲しつつ機能を省くなどして低価格化を実現している。
今回、Pixel 4aをいち早く試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。国内では8月14日に予約を開始し8月20日に発売予定で、価格は42,900円。
4辺狭ベゼルディスプレイの採用で筐体はコンパクトに
ではまず、Pixel 4aの外観をチェックしていこう。
Pixel 4aを手にして最初に感じるのは、従来モデルのPixel 3aや上位モデルのPixel 4と比べて筐体がコンパクトになったという点だ。サイズは69.4×144×8.2mm(幅×奥行き×高さ)となっている。Pixel 4と比べると、幅は0.6mm増えているが、奥行きは3.1mm短い。またPixel 3aと比べると幅が0.7mm、奥行きは8.4mmも短くなくなっている。手の小さな女性でも手に余ることがなく、軽快に操作できそうだ。
この筐体のコンパクト化は、Pixelシリーズとして初となるパンチホールを利用したディスプレイ埋め込み型前面カメラを採用し、ディスプレイのベゼル幅を狭めることで実現している。
実際にPixel 4やPixel 3aと比べてみると、Pixel 3aでは上下に広いベゼルがあり、Pixel 4では下部こそベゼル幅が狭いものの上部に顔認証カメラやSoliレーダーを搭載するためのやや広いベゼルが存在しているのに対し、Pixel 4aは上下左右ともほぼ同等の狭いベゼルとなっていることがわかる。
近年は4辺狭ベゼルディスプレイを搭載するスマートフォンが一般的となっており、Pixelシリーズはベゼル幅の広さが見劣りする部分だった。しかし、Pixel 4aでは4辺狭ベゼルディスプレイを採用することで、イマドキのスマートフォンらしい見た目となった。
本体デザインは、側面はなだらかな曲線、背面はフラットで、背面カラーも均一となっている。また、背面カメラは1眼仕様ながら四角いカメラユニットを採用するなど、基本的なデザインコンセプトはPixel 4を踏襲している。
ただし、Pixel 4ではメタルフレームとガラスを組み合わせた筐体だったのに対し、Pixel 4aでは側面から背面にかけてCorning製ポリカーボネートを採用したユニボディとなっている。この点はPixel 3aと同様だ。なお、ディスプレイ面にはCorning製強化ガラス「Gorilla Grass 3」を採用している。
カラーはマット調のJust Blackのみとなる。Pixel 4ほど高級感は感じられず、やや安っぽく感じてしまう。今後追加カラーが用意される可能性もあるが、カラーバリエーションが用意されない点も少々残念に感じる。
重量は公称で143g、実測では144g(SIM未装着)だった。サイズが小さくなったことでPixel 3aと比べて4g、Pixel 4と比べて19g軽く、実際に手にしてもかなり軽く感じる。
アスペクト比19.5:9の5.81型有機ELディスプレイを採用
ディスプレイは、1,080×2,340ドット表示対応の5.81型有機ELパネルを採用している。コントラスト比は100,000:1、HDR表示もサポートする。先に紹介したように、ディスプレイ左上角にパンチホール型の前面カメラを内蔵することで4辺狭ベゼル仕様を実現し、前面に対するディスプレイ占有率を大きく向上させている。
また、アスペクト比も19.5:9となり、Pixel 3aやPixel 4から縦の幅が増えている。ディスプレイに表示できる情報量が増えた反面、映像などを全画面表示した場合にはパンチホールの存在が気になってしまう場面もあるだろう。
発色は有機ELパネルらしく非常に鮮やかで、コントラスト比も高く、メリハリのある映像を表示できる。
カメラは1眼仕様ながらPixel 4譲りの高機能
Pixel 4では2眼仕様の背面カメラを搭載していたが、Pixel 4aの背面カメラは1眼仕様となっている。先に紹介しているように、背面カメラはPixel 4同様の四角いユニットとして搭載しているものの、そこに配置しているのは1眼のカメラとLEDフラッシュのみとなっている。
背面カメラの仕様は、Pixel 4の背面広角カメラと同じだ。1,220万画素センサーに、F値1.7、画角77度の広角レンズを組み合わせたものとなっている。センサーの画素ピッチは1.4μm、デュアルピクセル仕様でデュアルピクセル位相差検出式オートフォーカスに対応。光学式手ブレ補正機能と電子式手ブレ補正機能を搭載する点もPixel 4と同様だ。
撮影機能もPixel 4とほぼ同じだ。天体写真の撮影にも対応した夜景モード、背景をぼかした撮影を行なうポートレートモード、明暗の激しい場所でも鮮やかな撮影が可能なHDR+、全体の露出と暗い場所の露出を分けて変更できるデュアル露出補正、画素を保管してクリアな望遠撮影が行なえる超解像ズームといった撮影機能はPixel 4aにも全て用意されている。
前面カメラは、800万画素センサーにF値2.0、画角84度のレンズを組み合わせたものとなっている。センサーの画素ピッチは1.12μmでパンフォーカス仕様。これはPixel 3a搭載の前面カメラと同じ仕様だ。
以下に、背面カメラで撮影した写真を掲載する。Pixel 4とほぼ同等クオリティの写真が撮影できている。2倍望遠カメラがないため望遠撮影の画質はPixel 4に劣るものの、明るい場所や明暗の激しいシーン、夜景など、Pixel 4と同等の写真が撮影できると考えていいだろう。カメラ機能を重視してスマートフォンを選ぶ場合でも、Pixel 4aは十分に満足できるはずだ。
Pixel 4同様にnano SIMとeSIMのデュアルSIM仕様
ではスペックを確認しよう。SoCはSnapdragon 730Gを採用。Pixel 3aはSnapdragon 670だったため、性能面でも向上が期待できる。また、RAMはLPDDR4Xを6GB、内蔵ストレージは128GBと、こちらも従来モデルから増量。SoCの強化と合わせ、動作はかなり快適になっているはずだ。
ネットワークはLTE対応で、LTEの対応バンドはBand 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28/38/39/40/41/42/66。もちろん国内主要通信事業者の相互接続性試験をクリアしている。通信速度は、下りCAT 12対応で最大600Mbps、上りCAT 5対応で最大75Mbps。3G(UMTS/HSPA+/HSDPA)の対応バンドはBand 1/2/4/5/6/8/19。2G(GSM/EDGE)の対応バンドは850/900/1,800/1,900MHzとなる。
SIMトレイは左側面に用意しており、nano SIMに対応。また、eSIMにも対応しており、nano SIMとeSIMの同時利用が可能だ。従来モデルも海外版ではnano SIMとeSIMの同時利用が可能だったが、日本版ではeSIMが省かれていたため、この点は素直に嬉しい対応と言える。
無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠無線LAN(2×2)とBluetooth 5.0+LEを搭載。NFC/FeliCaも引き続き搭載し、Google Payおよびおサイフケータイに対応する。
生体認証センサーはPixel 3a同様に指紋認証センサーを採用しており、本体背面に搭載。Pixel 4で搭載していた顔認証カメラは非搭載だ。このほかのセンサー類は、近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁気センサー、気圧センサーを搭載。ただし、Pixel 4に搭載されていたSoliレーダーやActive Edgeは非搭載。GPSは、GPS/GLONAS/Galileo/QZSS/BeiDouをサポートする。
ポートは、下部側面にUSB 3.1 Gen1準拠USB Type-Cと、本体上部にオーディオジャックを備える。物理ボタンは、右側面に電源ボタンとボリュームボタンを配置。電源ボタンはホワイトと目立つ配色となっている点は従来モデル同様だ。
バッテリ容量は3,140mAhで、付属ACアダプタを利用し18Wの急速充電に対応。汎用のUSB PD対応ACアダプタも利用できる。Pixel 4で対応していたワイヤレス充電には対応しない。アプリの使用状況を認識して電力消費を最適化する「自動調整バッテリー(Adaptive Battery)」によって、最大約24時間の駆動が可能としている。
このほか、ディスプレイ上部と下部側面を合わせたステレオスピーカーを搭載する。
Pixel 4ではIP68準拠の防水防塵仕様を実現していたが、Pixel 4aについては仕様に記述がない。おそらくPixel 3a同様に防滴仕様にとどまっているものと考えられる。
パッケージ同梱物は、各種インストラクションカード、USB PD準拠のACアダプタ、USB Type-Cケーブル、USB Type-C Type-A変換コネクタとなる。
オプションとしては、従来同様のファブリックケースが用意される。カラーはBasicalli Black、Static Gray、Blue Confettiの3色を用意。本体カラーは1色のみなので、カラーバリエーションを楽しみたいならファブリックケースを利用すればいいだろう。
5G対応モデルが今年後半に控えるが、コスパに優れるスマートフォンとして魅力あり
Pixel 4aは、従来モデル同様にPixel 4の廉価版として位置付けられる製品だ。そのため、Pixel 4に搭載されていた顔認証カメラやSoliレーダー、握って操作を行なうActive Edge、ワイヤレス充電など多くの特徴的な機能が省かれている。
ただ、同じ位置付けのPixel 3aと比較すると、SoCやRAM、内蔵ストレージの強化による性能向上や、パンチホール型前面カメラの採用による4辺狭ベゼルディスプレイの搭載などの進化を実現。また、Pixel 4で評価の高いカメラ機能も多くがそのまま搭載されており、写真を重視するユーザーにも十分な魅力がある。
そのうえで直販価格は42,800円と、Pixel 3aの49,500円から低価格化されている。競合のミドルレンジスマートフォンは3万円台の製品が多いことを考えても、この低価格化は大いに歓迎できる。
今回、Pixel 4aの発表と同時に、今年後半に5G対応のPixel 4a 5GとPixel 5の投入が言及された。ただ、国内での5G対応エリアはまだ非常に少なく、5Gが実用的に使えるようになるにはまだかなりの時間がかかると思われる。また、5G対応モデル価格は60,500円からと高価となる。そのため、現時点でPixel 4aを選択したとしても、後悔することはほぼないはずだ。
従来モデルから性能が向上し、Pixel 4同様の優れたカメラ機能を踏襲しつつ価格が安くなったPixel 4aは、新たなミドルレンジスマートフォンの定番として魅力的な存在となりそうだ。