Hothotレビュー

7年ぶりの新筐体、ドスパラ「GALLERIA」は所有欲を刺激するゲーミングPC。内部デザインも含めて検証した

ドスパラのゲーミングPC「GALLERIA」がラインナップを刷新。新コンセプトとして「BREAK THE NORMAL(常識を打ち破れ)」を掲げ、7年ぶりという新デザインの筐体を導入した

 ドスパラを展開するサードウェーブは、同社のゲーミングPCブランド「GALLERIA」をリニューアルした。

 新たなコンセプトとして「BREAK THE NORMAL(常識を打ち破れ)」を掲げ、じつに7年ぶりという新しいオリジナル筐体を導入するとともにラインナップ体系も新たに整理。上位から順に「U」、「Z」、「X」、「R」の4つのシリーズにわかりやすく分類した。

 今回は新筐体のなかでも「SK-Premium」と呼ばれるアルミニウムの外装を備えた上位筐体を採用した評価機を借用できた。新デザインの筐体を中心にじっくりと見ていこう。

最高のゲーム体験ができるスペック構成

 評価機のスペックは以下の表にまとめた。今回使用した評価機は「UA9C-R80T」となる。

【表1】UA9C-R80T(評価機)のスペック
CPUCore i9-10900K(10コア/20スレッド、3.7~5.3GHz、UHD Graphics 630)
CPUクーラーScythe 虎徹 MarkII
メモリDDR4-2933 16GB(8GB×2)
ストレージ1TB M.2 SSD(M.2 PCI Express/NVMe)
セカンドストレージ2TB 2.5インチSSD(SATA)
GPUGeForce RTX 2080 Ti(11GB)
グラフィックスカード端子DisplayPort×3、HDMI、USB Type-C
マザーボードIntel Z490チップセット(ATX)
前面端子USB 3.0×4、ヘッドフォン、マイク
背面端子USB 3.1×2、USB 3.0×2、USB 2.0×2、オーディオ×5、S/PDIF(光角型)、PS/2、Gigabit Ethernet、HDMI、DisplayPort
電源750W(80PLUS GOLD)
ケースGALLERIA専用SK-Premium(アルミ)
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)220×440×490mm
重量約14kg
OSWindows 10 Home
税別直販価格359,980円

【お詫びと訂正】初出時に、製品名を「ZA9C-R80T」としておりましたが、正しくは「UA9C-R80T」になります。これにともない本文の内容を多少修正いたしました。お詫びして訂正させていただきます。

 原稿執筆時点では同じ構成での価格の見積もりができないため、参考価格として、PCケースを「SK-Standard」とした場合の見積もり価格を掲載している(評価機はアルミ外装の「SK-Premium」)。

 CPUはデスクトップPC向け第10世代Coreプロセッサーの最上位モデルであるCore i9-10900Kを採用、10コア20スレッドで最大5.3GHzで動作するパワフルなCPUだ。

 ゲーム性能にもっとも大きな影響があるGPUは、GeForceシリーズのハイエンドクラスであるGeForce RTX 2080 Tiを採用する。ビデオカードとしては、Palit Microsystemsの「GeForce RTX2080Ti 11GB GamingProOC」が搭載されていた。

 ゲーミング向けとしては最高に近いスペックであり、4K HDR対応タイトルやリアルタイムレイトレーシング対応の先進タイトルも含めて、現行のどんなタイトルでも高画質でストレスなく楽しむことができる。

CPUは第10世代Coreプロセッサーの最上位モデルCore i9-10900Kを搭載。10コア20スレッドで動作周波数も高く、ゲーミング用途では最強と言える
GPUはGeForceシリーズの最高峰であるGeForce RTX 2080 Ti(11GB)を搭載する。リアルタイムレイトレーシング対応の先進タイトルも快適に楽しめる
評価機のグラフィックスカードは、Palit Microsystemsの「GeForce RTX2080Ti 11GB GamingProOC」だった
マザーボードは、ASUSのPRIME Z490-Pが搭載されていた

メモリとストレージは柔軟な構成が可能

 メモリはDDR4-2933のDIMMを16GB(8GB×2枚)、ストレージは1TBのPCI Express(NVMe) SSDを搭載する。評価機では、Phisonの「PS5012-E12S」コントローラとMicronの3D TLC NANDフラッシュメモリ「IA7BG63AVA」を搭載したSSDが装着されていた。PCI Express 3.0 x4対応SSDとしてはトップクラスの高性能SSDだ。

 メモリ、ストレージともにBTOでのカスタマイズが可能で、メモリは最大64GBまで、ストレージはM.2 SSDを1基、2.5インチSSD/HDDを最大2基まで選ぶことができる。

 さらに、5インチベイを搭載しており、DVDスーパーマルチドライブやBDドライブなどの光学ドライブも追加することが可能だ。

評価機では、PHISONの「PS5012-E12S」コントローラとMicronの3D TLC NANDフラッシュメモリ「IA7BG63AVA」を搭載したSSDが装着されていた
CrystalDiskMark Infoの表示。製品名は「PS5012-E12S-1TB」と表示されている
CrystalDiskMark 7.0.0の結果。PCI Express 3.0 x4対応SSDとしてはトップクラスの高性能SSDだ

デザインハウスが手掛けた洗練されたルックス

 新デザインの筐体「SK-Premium」は、モダンな雰囲気の洗練されたルックスが印象的だ。この外観デザインは、コンセプトカーや工業プロダクトデザインを得意とするデザインハウスによるものということだ。

新筐体の「SK-Premium」は、シンプルながらモダンな雰囲気の洗練されたデザインだ

 シルバーとブラックのツートーンで構成されており、シルバー部分は肉厚のアルミニウムをヘアライン加工で仕上げている。粗目のヘアライン加工、サイドに大胆に開けた放熱口のエッジが金属の質感を強調しており、通常のタワー型筐体とはひと味もふた味も違う存在感を演出している。

 サイドカバーは、ダークカラーのクリアパネル仕様で、サイドカバーを閉じた状態でも内部のビデオカードのLEDが光っている様子を見ることができる。

 また、フロントマスクには逆U字型にRGB LEDバーが配置されており、電源を入れるとブルーに光るが、これは「新世界へのゲート」を表現したという。標準ではブルーだが、後日カラーをカスタマイズできるユーティリティが配布される予定になっている。

シルバーのサイドパネルは肉厚のアルミニウムで、ヘアライン加工を施している。粗目のヘアラインが金属の質感を強調している
ライトサイドには、ダークカラーのクリアウィンドウを配置。前面側に設けた「インテークエリア(吸気口)」も存在感がある
クリアウィンドウから内部のパーツを見ることができる
フロントマスクには逆U字型にRGB LEDバーを内蔵しており、電源を入れると光る
カラーを変更したり消灯するソフトウェアが後日配布される予定
サイドカバーの裏側。吸気口部にはブルーのメッシュパーツを装着している

使い勝手の良い前面端子

 フロントの端子は、上部に45度の角度をつけて配置されている。このような角度がついていると位置がすぐにわかるし、ケーブルの抜き差しもしやすい。机の下に設置して使う場合だけでなく、机の上に設置する場合でも使いやすさを実感できる。

フロント端子は上部に45度の角度をつけて配置されている。4基のUSB 3.0、ヘッドフォン、マイクという内容

 また、前面だけでUSB 3.0ポートを4基搭載している点も便利だ。タワー型ケースでは背面ポートへの接続はできるだけ避けたいところだけに多めに搭載している点はうれしい。

 ただ、USB Type-Cは、ビデオカード(GeForce RTX 2080 Ti)に搭載している1基のみ。この端子はディスプレイ出力端子としてもUSBポート(USB 3.1)としても使えるが、Type-Cの周辺機器を複数使いたい場合にはUSB Hubやドッキングステーションなどのアイテムが別途必要になるので注意したい。

前面部。5インチベイが1基あり、BTOで光学ドライブを追加できる
背面部。USBポートは、USB 3.1、USB 3.0、USB 2.0が2基ずつ。ビデオカードにUSB 3.1 Type-Cがある

効率的なエアフロー構造も光る

 新筐体は冷却へのこだわりも感じられる。電源を底部に配置し、ほかのパーツとエアフローを切り分けたデュアルチャンバー構造を採用。底部には電源ファン用の吸気口を空けており、着脱式防塵フィルタも装備し、ホコリの吸い込みを防いでいる。

 メインチャンバーは、両サイドパネルの前面側を「インテークエリア」として吸気口を大きく開け、天面部、背面部の排気口から排気するエアフロー構造。温められた空気は上昇していくことから、このような天面からも排気できるスタイルは放熱効率が良い。

背面の手回しネジ2本を外すとサイドカバーのみが独立して外れる
裏面の様子。電源を底部に配置し、エアフローをほかのパーツと切り分けたデュアルチャンバー構造を採用する

 さらに、前面と背面、天面と3基のケースファンを搭載しているが、すべて140mmサイズ。一般的な120mmファンに比べて口径が大きいぶん同等の風量を得られるため、冷却性能、静音性、両面で有利だ。なお、BTOでは天面部にさらに140mmファンを追加することも可能になっている。

 Core i9-10900Kを冷却するCPUクーラーには、サイズの虎徹Mark IIを採用。確かな冷却性能と静音性を両立すると定評のあるサイドフロー型クーラーだ。簡易水冷クーラーを採用する例もあるなかであっさりしているように見えるが、筐体内にこれだけスムーズなエアフローが確保されていれば十分だろう。

裏面に2.5インチベイを2基、3.5インチ/2.5インチ共用ベイを2基備えている
前面、天面、背面と3基搭載するファンはすべて140mmの大口径。低回転速度で大きな風量が稼げるため冷却性能、静音性両面に有利だ
CPUクーラーはサイズの虎徹MarkIIを採用。冷却性能と静音性を両立すると定評のあるサイドフロー型クーラーだ。2基の140mmファンがすぐ近くにあり、放熱効率はとても良さそうだ
小さなゴミなどが筐体内部に落ちないようマグネット式のフィルタが装着されている
天面部の排気口はデザイン的にもインパクトがある
底部。電源用の着脱式フィルタを搭載している

高性能とハイレベルな静音性を実証

 ベンチマークテストの結果を見よう。参考として、一部テストについては、このコーナーで以前に紹介されたCore i9-10900Kを搭載したマウスコンピューターのDAIV Z7-QR4の結果も掲載している。

【表2】検証機のスペック
UA9C-R80T(評価機)DAIV Z7-QR4
CPUCore i9-10900K(10コア/20スレッド)
メモリDDR4-2933 16GB(8GB×2)DDR4-2666 32GB(16GB×2)
ストレージPhison PS5012-E12S-1TB(1TB、PCIe 3.0x4)WDC PC SN520(512GB、PCIe 3.0x2)
グラフィックス機能GeForce RTX 2080 Ti(11GB)Quadro RTX 4000(8GB)
OSWindows 10 Home(1909)Windows 10 Home(1909)
【表3】ベンチマーク結果
UA9C-R80T(評価機)DAIV-Z7 QR4(評価機)
CINEBENCH R15(cb)
CPU2,6722,613
CPUシングルコア223220
CINEBENCH R20
CPU(cb)6,3756,246
CPUシングルコア(cb)530517
PCMark 10
PCMark 107,6997,704
Essential11,03710,882
Productivity8,7569,815
Digital Content Creation12,81711,617
3DMark
FireStrike26,33919,559
Graphics34,20221,129
Physics29,01129,481
Combined8,2029,487
FireStrike Ultra8,258
Graphics8,002
Physics29,032
Combined4,507
Time Spy13,9058,453
Graphics14,1337,950
CPU12,74113,193
Port Royal8,7174,695
FINAL FANTASY XIV : 漆黒のヴィランズベンチマーク
1,920×1,080/最高品質/フル21,96519,514
ローディングタイム(秒)10.6510.07
3,840×2,160/最高品質/フル11694
ローディングタイム(秒)10.391
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク
1,920×1,080/最高品質/フル17,218
3,840×2,160/DLSS/フル8,860
Far Cry New Dawn
1,920×1,080/最高/最小FPS85
1,920×1,080/最高/平均FPS121
1,920×1,080/最高/最大FPS189
3,840×2,160/高/最小FPS72
3,840×2,160/高/平均FPS83
3,840×2,160/高/最大FPS97

 比較対象のDAIV Z7-QR4は、水冷CPUクーラーを搭載したPCだが、CINEBENCH R20の結果を見るとそれと互角以上のスコアを出している。CPU以外の環境は比較対象と異なり、計測時期も違うためこの程度の差でどちらがどうということは言えないが、少なくともCore i9-10900Kのポテンシャルをしっかりと発揮できているとは言えそうだ。

 PCMark 10はシステムの総合性能を見るテストだが、日常操作(Essentials)、オフィス(Productivity)、クリエイティブ(Digital Content Creation)、いずれの項目もハイレベルなスコアだ。

 GeForce RTX 2080 Ti(11GB)を搭載しているので、3D描画性能も非常に優秀。3DMarkでは、DirectX 11ベースのFireStrike、DirectX 12ベースのTime Spy、リアルタイムレイトレーシング対応のPort Royal、そして4K解像度でのテストであるFireStrike Ultra、いずれもハイレベル。

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマークではどの条件でも「快適」以上の評価。Far Cry New Dawnでは、フルHD最高品質で最小85fps、4K高品質で最小72fpsと、高解像度高画質環境でも快適にプレイできる性能を実証している。

 しっかりとハイエンドパーツの性能を発揮できているだけでなく、静音性のレベルも高い。足元に設置した場合は条件に関わらず高負荷時でもほとんどわからない。また、机の上のかなり体の近くに設置した場合も、他に空調機器などが動作していれば意識しないとはっきりとはわからないくらいのマイルドな音にとどまる。

エモーショナルとロジカル、両方のバリューを兼ね備えたゲーミングPC

 僚誌Game Watchのレポート(ゲーミングPCはこのままでいいのか!? サードウェーブが18年振りにゲーミングPCを再定義)によれば、今回、GALLERIAのリブランドを仕掛けた松原昭博氏(サードウェーブ上席執行役員マーケティング統括本部統括本部長)が強く意識したのは「エモーショナルバリュー」であるという。スペック、コストなどで判断できるロジカルバリューに対し、感性に訴える魅力をいかに備えるかが、テーマというわけだ。

 今回試用した新デザインの筐体「SK-Premium」からは、たしかに感性を揺さぶり、所有欲を刺激するバリューが感じられる。一見シンプルなタワー型のデザインながら細部まで意匠や質感にこだわって仕上げられている。実物を見ればより所有欲が刺激されることだろう。

 それに加えて、ゲームでの性能、拡張性、静音性など数字で評価できるロジカルなバリューも相当なもの。GALLERIA UA9C-R80Tの標準価格は税別で約35万円と決して安くはないが、ゲーミングPCの購入を検討しているならば、有力な選択肢の1つになるだろう。