Hothotレビュー

職人的作り込みが光る12型2in1「レッツノート QV8」実機レビュー

パナソニック「レッツノート CF-QV8」市場想定価格27万円前後~

 パナソニック株式会社は、クアッドコアCPU搭載2in1 PCにおいて世界最小のフットプリントを実現したと謳う「レッツノート CF-QV8」を9月24日に発表、10月18日に発売する。

 これまで14型ノートのLVシリーズ、12.1型ノートのSVシリーズ、10.1型2in1のRZシリーズ、そして着脱式12型2in1のXZシリーズがラインナップされてきたが、今回のQVシリーズはディスプレイ360度回転型の新モデルだ。2in1としての使い勝手、そして気になる性能などについて細かくチェックしていこう。

第8世代Coreプロセッサーを採用、店頭モデルは4機種を用意

 「レッツノート CF-QV8(以下QV8)」は、第8世代Coreプロセッサーを採用し、CPU、メモリ、ストレージ、LTEの有無が異なる以下の4機種が店頭モデルとして用意されている。

  • 「CF-QV8GFRQR」(店頭予想価格335,000円前後)
    Core i7-8565U/メモリ8GB/SSD 512GB/LTEあり
  • 「CF-QV8GDGQR」(同290,000円前後)
    Core i7-8565U/RAM 8GB/SSD256GB/LTEなし
  • 「CF-QV8FDPQR」(同290,000円前後)
    Core i5-8265U/RAM 16GB/SSD 256GB/LTEなし
  • 「CF-QV8FDGQR」(同270,000円前後)
    Core i5-8265U/RAM 8GB/SSD 256GB/LTEなし

というラインナップだ。

【表1】CF-QV8シリーズのスペック
製品名CF-QV8GFRQRCF-QV8GDGQRCF-QV8FDPQRCF-QV8FDGQR
OSWindows 10 Pro(May 2019 Update)
CPUCore i7-8565U(1.8~4.6GHz、4コア8スレッド)Core i5-8265U(1.6~3.9GHz、4コア8スレッド)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.10GHz)
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 8GBLPDDR3-2133 SDRAM 16GBLPDDR3-2133 SDRAM 8GB
ストレージ512GB PCIe NVMe SSD256GB PCIe NVMe SSD
メインディスプレイ12型WQXGA+ TFTカラー液晶(2,880×1,920ドット、288ppi、輝度非公表、色域非公表、非光沢保護フィルム付き、タッチ対応、スタイラス対応)
通信IEEE 802.11ac、Bluetooth 5.0、Gigabit Ethernet
WWANLTE
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3対応、USB Power Delivery対応)×1、USB 3.0×3、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、SDカードスロット、ヘッドセット端子
カメラ約207万画素
バッテリ容量39Wh/5,020mAh
バッテリ駆動時間約10時間
本体サイズ273×209.2×18.7mm(幅×奥行き×高さ)
重量約979g約949g
セキュリティ顔認証センサー、指紋認証センサー
ビジネス統合アプリMicrosoft Office Home and Business 2019
同梱品バッテリパック、ACアダプタ、クリーニングクロス、取扱説明書など
カラーシルバー
税別店頭予想価格335,000円前後290,000円前後290,000円前後270,000円前後

 直販サイトでは、CPU、ストレージ容量、LTEの有無、Officeの有無、本体色、天板、ホイールパッド、キーボードなどをカスタマイズ可能。とくに「Core i7-8665U」や「Core i5-8365U」などの第8世代Core vProプロセッサーや、最大2TBのSSDを搭載できるのはWeb直販モデルならではのメリットだ。

2in1 PCとしては異例なほどインターフェイスが充実

 筐体材質は天板/キーボード面/底面のすべてでマグネシウム合金を採用。ディスプレイが360度回転する2in1ながら、76cm動作落下、100kgf加圧振動、自由落下試験、局部加圧試験、キーボード打鍵試験などをクリアした、レッツノートシリーズならではの剛性の高い筐体を実現している。

 なお店頭モデルはシルバー1色だが、Web直販モデルにはシルバーディープネイビー、シルバーマルサラワインレッド、ブラックディープメタルなどのカラーを選択可能だ。

左上からシルバーディープネイビー、ブラックディープメタル、シルバーマルサラワインレッド

 本体サイズは273×209.2×18.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約949g(LTE搭載モデルは約979g)。2in1で1kgを切る軽量化を実現するために、キーボードの方式変更(桟の廃止、裏面からビス止め)、冷却ファンの軽量化(モーター変更、ヒートパイプの長さ・材料の変更)、メイン基板の軽量化(基板形状最適化、内装ベタパターン最適化)などのさまざまな工夫が施されているとのことだ。

 インターフェイスは、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3対応、USB Power Delivery対応)、USB 3.0×3、HDMI、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、SDカードスロット、ヘッドセット端子を装備。通信機能はIEEE 802.11ac、Bluetooth 5.0、Gigabit Ethernetに対応。2in1としては異例なほどインターフェイスが充実している。

左上から本体、ACアダプタ、電源ケーブル、バッテリパック、アクティブペン「CF-VNP024U」。製品にはこれ以外にクリーニングクロス、取扱説明書が同梱される。なおアクティブペン「CF-VNP024U」はオプションだ
本体天面。材質はマグネシウム合金製。ディスプレイ上側にアンテナが内蔵されている
本体底面。スライダーをずらすとバッテリパックを取り外せる
本体前面。左側にあるのが電源スイッチ
本体背面。左側にあるのが通風孔(排気)
本体右側面。左からUSB 3.0×2、SDカードスロット、セキュリティスロット
本体左側面。左からHDMI、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3対応、USB Power Delivery対応)、USB 3.0、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、ヘッドセット端子
左右前側のフットラバーを開くことですき間が生まれ、大型のミニD-Sub15ピンコネクタも装着できる

 もう1つ2in1としてめずらしい特徴が、バッテリが交換可能なこと。39Wh/5,020mAhと決して大容量とは言えないバッテリパックだが、実測228.5gとスマートフォンとほぼ同じぐらいの重さだ。長時間外出先で利用したいさいには予備バッテリを携帯するといい。

 ディスプレイは、12型WQXGA+ TFTカラー液晶(2,880×1,920ドット、288ppi、輝度非公表、色域非公表、非光沢保護フィルム付き、タッチ対応、スタイラス対応)を採用。Webカメラは約207万画素で、セキュリティデバイスとしてはWindows Hello対応の顔認証センサーと指紋認証センサーを搭載している。

 スペックをこの時点で総括すると、12型としては高解像度のディスプレイを搭載し、新旧インターフェイスを豊富に揃え、セキュリティデバイスも顔認証&指紋認証に両対応している。バッテリ容量はやや物足りないものの、スキのない装備だというのが率直な感想だ。

ディスプレイ面。ディスプレイ上部にはWebカメラ、顔認証センサー、アレイマイク×2が内蔵されている
キーボード面。誤入力が少ないと謳うレッツノート独自のリーフ型アイソレーションキーボードと円形のホイールパッドが採用されている
バッテリパック「CF-VZSU1NJS」の容量は39Wh/5,020mAh
ACアダプタ「CF-AA6412A M2」の仕様は、入力100V~240V/0.9~1.6A、出力16V/4.06A、容量65W。ACアダプタのコード長は実測約100cm、電源ケーブルの長さは実測約82cm
アクティブペン「CF-VNP024U」は全長146.2mmで、単6アルカリ乾電池を使用する。規格としてはMicrosoft Pen Protocolに準拠しているが、ショートカットボタンは存在しない
本体とバッテリパックの合計重量は実測943.5g。ちなみにバッテリパック単体の重量は実測228.5g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測259.9g
アクティブペン「CF-VNP024U」の実測重量は22.4g(電池込み)
システム情報
主要なデバイス
Windows 10のバージョン1903適用後、初期状態に戻したさいのCドライブの空き容量は427.75GB(512GBモデルの場合)
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITYは38,150mWh、FULL CHARGE CAPACITYは38,120mWhと表示された

2in1としての使い勝手は独特、入力デバイスには慣れが必要

 2in1としての使い勝手は少々独特だ。一般的なディスプレイ回転型2in1のようにノートブックモード、テントモード、スタンドモード、タブレットモードの4つのスタイルに変形可能だが、表示している画面が自動回転するのはタブレットモードのみ。そのためスタンドモードでは、「設定→システム→ディスプレイ→画面の向き」で手動で画面を回転させる必要がある。

 またキーボードが無効化されるのはタブレットモードのみだ。テントモード、スタンドモードではキーボードは有効。誤入力しないように注意しなければならない。

ノートブックモード、テントモード、スタンドモード、タブレットモードの4つのスタイルに変形可能

 セキュリティ機能として、顔認証センサーと指紋認証センサーの両方がついている点はやはり便利だ。利便性は顔認証センサーのほうが上だが、直射日光が強い屋外などでは反応しないことが多い。そのようなときのバックアップとして指紋認証センサーは重宝する。

セキュリティデバイスとして顔認証センサー(左)と指紋認証センサー(右)の両方が搭載されている

 さて肝心のキーボードの打ち心地だが、横のキーピッチが19mm確保されている一方で、縦のキーピッチが15.2mmとせまい。個人的には打ちにくく感じた。縦のキーピッチがせまいのは実測で直径70mmのホイールパッドを採用しているためだろう。

横のキーピッチは19mm、縦のキーピッチは15.2mm
縦のキーピッチがせまいので、手の大きな筆者は慣れるのに時間がかかった

 そしてホイールパッドについても今回の短い試用期間中には使いにくさを感じた。ホイールパッドがレッツノートのアイデンティティーとも言える装備だということは重々承知している。しかし、操作できる面積がせますぎるし、Windows 10の「高精度タッチパッド」に対応していないため、3本指スワイプでタスクビューを表示するなどのジェスチャーを利用できない。

 レッツノートだけを使い続けるという方にはホイールパッドは最良の入力デバイスなのかもしれないが、複数のノートPCを使い分けたいという筆者のようなユーザーには、ある程度の練習と柔軟性が必要だと感じた。

レッツノート伝統のホイールパッドは縁をなぞれば上下・横スクロール可能だが、中央のパッド部分がせまいためジェスチャー操作はやりにくい

 アクティブペン「CF-VNP024U」は、Microsoft Pen Protocol規格を採用しており、傾き検知なども利用できるが、Microsoftの「Surfaceペン」と比較すると、やや遅延が大きいように感じた。またCF-VNP024Uにはショートカットボタンが存在しないので、当然ペンのショートカットを利用できない。デジタイザペンを利用する機会が多いのなら、保証外の使い方となるが「Surfaceペン」を試してみることをおすすめする。

ペンの傾きに合わせてワイヤーフレームが動いているので、傾き検知が機能していることがわかる
左がCF-VNP024U、右がSurfaceペン。まったく同じ速度で手が動いているわけではないが、CF-VNP024Uのほうが遅延は大きいように見える
CF-VNP024UとSurfaceペンで線を描く様子を動画で撮影した。どのくらい遅延に差があるかは動画で判断してほしい

ビジネス向け? AV品質に過大な期待は禁物

 QV8には前述のとおり、12型WQXGA+ TFTカラー液晶(2,880×1,920ドット、288ppi、非光沢保護フィルム付き、タッチ対応、スタイラス対応)ディスプレイが採用されている。色域は非公表だ。そこで、実際の色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率69.5%、Adobe RGBカバー率52.0%という値が出た。

 非光沢保護フィルムが貼られているのが不利に働いているのだろうが、最近のモバイルノートPCの多くがsRGBカバー率90%を超えているので、QV8の色域はせまいと言わざるを得ない。写真を現像するような作業には色域の広い外付けディスプレイを用意するべきだ。

 また、サウンド面についても辛口のコメントをせざるを得ない。ボリューム自体はそれなりに大きいのだが、いかにも小さなスピーカーが無理して絞り出しているような音で、解像感に欠け、高音の伸びやかさも低音の迫力も物足りない。

 QV8はあくまでも仕事の道具であり、単体でオーディオ/ビジュアルを楽しむためのノートPCではないのだろう。映像はともかく、音楽を鑑賞するのであればヘッドフォンや外付けスピーカーは必須だ。

実測したsRGBカバー率は69.5%、sRGB比は70.2%
実測したAdobe RGBカバー率は52.0%、Adobe RGB比は52.0%
色域が広いとは言えないQV8だが、発色に癖があるわけではないので、一般的な用途であればとくに不便に感じることはない
ステレオスピーカーはキーボード奥の左右に内蔵されている
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大83.6dB(50cmの距離で測定)

性能はモバイルノートPCとして必要十分な水準

 最後に性能をチェックしてみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.0.2115」
  • 3Dグラフィックベンチマーク「3DMark v2.10.6771」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
  • CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」
  • 3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • 3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」
  • バッテリベンチマーク「PCMark 10 Modern Office Battery Life」
  • バッテリベンチマーク「BBench」
【表2】検証機の仕様
レッツノート CF-QV8XPS 13
CPUCore i7-8665U(1.9〜4.8GHz、4コア8スレッド)Core i7-8565U(1.80~4.60GHz、4コア8スレッド)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 16GBLPDDR3-2133 SDRAM 8GB
ストレ-ジ512GB PCIe NVMe SSD256GB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ12.1型、2,880×1,920ドット(288ppi)13.3型、3,840×2,160ドット(331ppi)
TDP15W15W
OSWindows 10 Pro 64bit バージョン1903Windows 10 Home 64bit
サイズ(幅×奥行き×高さ)273×209.2×18.7mm302×199×7.8〜11.6mm
重量約0.949kg約1.23kg
【表3】ベンチマーク結果
レッツノート CF-QV8XPS 13
PCMark 10 v2.0.2115
PCMark 10 Score3,875
Essentials8,2738,575
App Start-up Score11,11412,701
Video Conferencing Score7,3717,445
Web Browsing Score6,9126,669
Productivity6,3736,354
Spreadsheets Score7,5677,702
Writing Score5,3695,243
Digital Content Creation2,996
Photo Editing Score3,8824,251
Rendering and Visualization Score1,839計測不可
Video Editting Score3,7674,200
PCMark 10 Modern Office Battery Life5時間57分
3DMark v2.10.6771
Time Spy441460
Fire Strike Ultra298301
Fire Strike Extreme560561
Fire Strike1,1451,198
Night Raid5,2265,427
Sky Diver4,5034,750
Cloud Gate8,1909,834
Ice Storm Extreme41,39533,967
Ice Storm58,05543,070
CINEBENCH R15.0
OpenGL50.42 fps54.41 fps
CPU573 cb740 cb
CPU(Single Core)176 cb185 cb
CINEBENCH R20.060
CPU1236 pts
CPU(Single Core)412 pts
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリ-ン1,030(動作困難)1,001(動作困難)
1,920×1,080ドット、標準品質、フルスクリ-ン592(動作困難)
ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク
1,920×1,080ドット 標準品質(ノ-トPC)2,408(普通)
1,920×1,080ドット 高品質(ノ-トPC)1,694(設定変更を推奨)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測
Q32T1 シ-ケンシャルリ-ド3518.774 MB/s3518.489 MB/s
Q32T1 シ-ケンシャルライト2935.084 MB/s1395.874 MB/s
4K Q8T8 ランダムリ-ド452.824 MB/s565.676 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト294.945 MB/s388.579 MB/s
4K Q32T1 ランダムリ-ド299.335 MB/s276.542 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト266.788 MB/s432.772 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド43.455 MB/s39.146 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト112.420 MB/s101.843 MB/s
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モ-ド:高パフォ-マンス ※バッテリ残量5%まで)6時間13分3秒10時間7分10秒

 比較対象としてはデルのCore i7-8565U搭載ノートPC「XPS 13」のスコアを掲載している。XPS 13は筆者がHothotレビューでベンチマークを計測したCore i7-8565U搭載機のなかでもっとも高いスコアを記録している。そのモデルと、Core i7-8665Uを搭載したQV8にどの程度の性能差があるか比較してみたい。

 Core i7-8665Uはクロック周波数が1.9~4.8GHz、Core i7-8565Uは1.8~4.6GHzということで、前者を搭載するQV8のほうがCPUのスペックはわずかに高い。しかし、バッテリ駆動時間や発熱を考慮した上で、性能をどこまで引き出すかという設計思想が異なるためか、ベンチマークスコアはおおむねXPS 13のほうが高かった。とくにCINEBENCH R15.0のCPUは、XPS 13の740 cbに対して、その約77%に相当する573 cbにとどまっている。

 一方で、PCMark 10や3DMark、FINAL FANTASY XV BENCHMARKでは大差はついておらず、一部項目でQV8がわずかではあるが上回っている。QV8の性能はモバイルノートPCとして必要十分な水準に達していると言える。

 やや厳しく感じたのがバッテリ駆動時間。PCMark 10 Modern Office Battery Lifeで5時間57分、BBenchで6時間13分3秒にとどまっている。幸いQV8はバッテリが着脱可能で、またUSB Power Deliveryに対応しているので、予備バッテリやUSB PD対応モバイルバッテリを有効に活用したい。

 高負荷時の本体表面の発熱については、キーボード面が最大41℃、底面が40.6℃と低めだった(室温24.9℃で計測)。膝上で利用しても低温やけどする可能性は低そうだ。

CINEBENCH R20.060を3回実行したあとのキーボード面の最大温度は41℃
底面の最大温度は40.6℃
ACアダプタの最大温度は40.1℃

使い勝手を最重要視して、職人的に作り込まれた2in1

 レッツノートの製品公式サイトには「レッツノートが高額でも選ばれ続ける12の理由」というタイトルのオーナーズレビューが掲載されている。メーカーが認めているとおり、QV8は確かに高価だ。単純にCPU、メモリ、ストレージでスペックを比較すれば、もっと安価な2in1は数多く存在する。

 しかし豊富なインターフェイス、剛性の高い筐体、そして慣れは必要だが伝統の入力デバイスと、QV8には多くの美点がある。使い勝手を重視して、まるで職人が丁寧に作り込んだような2in1を探しているのなら、QV8はまたとない相棒となってくれるはずだ。