Hothotレビュー
広色域のHDR対応4K液晶を搭載する15.6型ノート「New XPS 15」を検証
2018年7月10日 11:00
デル株式会社は5月25日、15.6型クラムシェルノートPC「New XPS 15(9570)」の国内販売を開始した。
本製品は5.7mmの狭額縁を実現した「InfinityEdgeディスプレイ」を採用することで、14型サイズ相当の筐体に15.6型ディスプレイを搭載した人気シリーズの最新モデル。新筐体となって3代目となる2018年モデルでは、最新世代のCPUやGPUが採用され、順当に進化を遂げている。
今回同社よりCore i7/16GBメモリ/512GB SSD /4Kタッチ液晶/97Whrバッテリを搭載した「New XPS 15プラチナ・4Kタッチパネル」の実機を借用したので、詳細スペック、AV品質、性能などについてレビューしていこう。
第8世代CPUを採用、Core i7モデルはGTX 1050 Tiを搭載
New XPS 15はCPUにIntel第8世代(Coffee Lake)の「Core i5-8300H」(4コア/8スレッド、2.3~4GHz)と「Core i7-8750H」(6コア/12スレッド、2.2~4.1GHz)を採用。またCore i7搭載モデルには外部GPUとして「GeForce GTX 1050 Ti」(4GB GDDR5)が組み合わされている。
記事執筆時点で用意されている標準構成は、Core i5/8GBメモリ/1TB SSHD(ソリッドステートハイブリッドドライブ)/フルHD液晶/56Whrバッテリの「New XPS 15プレミアム」、Core i7/8GBメモリ/256GB SSD /フルHD液晶/56Whrバッテリの「New XPS 15プラチナ」、Core i7/16GBメモリ/512GB SSD /4Kタッチ液晶/97Whrバッテリの「New XPS 15プラチナ・4Kタッチパネル」、Core i7/32GBメモリ/1TB SSD /4Kタッチ液晶/97Whrバッテリの「New XPS 15プラチナハイエンド・4Kタッチパネル・1TB SSD」の4モデル。
そして「New XPS 15プレミアム」に「Office」を加えた「New XPS 15【夏のボーナス特別モデル】 プレミアム・Office H&B付」が期間限定でラインナップされている(7月7日時点)。
New XPS 15【夏のボーナス特別モデル】 プレミアム・Office H&B付 | New XPS 15プレミアム | New XPS 15プラチナ | New XPS 15プラチナ・4Kタッチパネル | New XPS 15プラチナハイエンド・4Kタッチパネル・1TB SSD | |
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OS | Windows 10 Home 64 bit | ||||
CPU | Core i5-8300H(4コア8スレッド、2.3~4GHz) | Core i7-8750H(6コア12スレッド、2.2~4.1GHz) | |||
チップセット | CM246 | ||||
GPU | Intel UHD Graphics(350MHz~1.00GHz) | GeForce GTX 1050 Ti(4GB GDDR5) | |||
メモリ | DDR4-2666 SDRAM 8GB | DDR4-2666 SDRAM 16GB | DDR4-2666 SDRAM 32GB | ||
ストレージ | 1TB SSHD | 256GB SSD(PCIe NVMe M.2) | 512GB SSD(PCIe NVMe M.2) | 1TB SSD(PCIe NVMe M.2) | |
ディスプレイ | 15.6型フルHD IPS液晶(1,920×1,080ドット、141ppi、400cd/平方m、sRGB100%、タッチ非対応、非光沢、視野角160度、リフレッシュレート60Hz) | 15.6型4K IPS液晶(3,840×2,160ドット、282ppi、400cd/平方m、Adobe RGB100%、タッチ対応、光沢、視野角160度、リフレッシュレート60Hz) | |||
通信 | IEEE 802.11ac(最大867Mbps)、Bluetooth 4.2 | ||||
インターフェイス | USB 3.1 Type-C(Power Delivery搭載Thunderbolt 3対応)、USB 3.0 ×2、HDMI 2.0、SDカードリーダ、ヘッドセットジャック、セキュリティスロット(Noble) | ||||
カメラ | 静止画:92万画素、動画:1,280×720ドット/30fps | ||||
指紋センサー | あり | ||||
SIMカードスロット | なし | ||||
バッテリ容量 | 56Whr | 97Whr | |||
充電時間 | 約4時間 | ||||
本体サイズ/重量 | 357×235×11~17mm(幅×奥行き×高さ)/1.8kg(タッチ非対応/SSD/56Whrバッテリ)、2kg(タッチ対応/SSD/97Whr) | ||||
キーボード | バックライト搭載キーボード | ||||
ペン | なし | ||||
Microsoft Office | あり | なし(カスタマイズ可能) | |||
カラー | Silver machined aluminum | ||||
価格 | 169,980円 | 144,980円 | 194,980円 | 249,980円 | 314,980円 |
キャンペーン価格 | 141,083円 | 120,333円 | 161,833円 | 207,483円 | 261,433円 |
購入時にBTO可能だが、すべてのモデルで変更できるのは英語キーボードだけ。メモリ、外部GPU、ディスプレイ、バッテリ容量は変えられない。またSSHDから変更できるのは256GB SSDのみなど、ストレージの選択肢もかぎられている。Core i5搭載モデルに512GB、1TB SSDを組み合わせるなど、ある意味偏った構成を選べない点には留意しておこう。
デザイン上の大きな変更はなし、Thunderbolt 3のレーン数は2倍に
本体サイズは357×235×11~17mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1.8~2kg(構成による)。筐体はCNC削り出ししたプラチナシルバーのアルミ素材、パームレストはカーボンファイバー製を採用している。サイズ、重量、形状含めて、前モデルと大きな違いはない。
ただしディスプレイ表面は「Corning Gorilla NBT」から「Corning Gorilla Glass 4」に、セキュリティスロットは「ケンジントンロックスロット」から「Nobleロックスロット」に変更されている。また前モデルでは指紋認証センサーがカーソルキー下に配置されていたが、New XPS 15では電源ボタン一体型となった。
インターフェイスは、USB 3.1 Type-C(Power Delivery搭載Thunderbolt 3対応)、USB 3.0×2、HDMI 2.0、SDカードリーダ、ヘッドセットジャック、セキュリティスロット(Noble)が用意されている。
なお、Thunderbolt 3は前モデルに対して、PCI Express 3.0 x2レーンから同x4レーンに変更されている。スペック表にはNew XPS 15、前モデルともに「40Gbps双方向」と記載されているが、実効通信速度は前者のほうが速い。
ACアダプタはDC端子を備える「130W ACアダプタ」が付属するが、Power Deliveryに対応しているので、USB PDアダプタで充電可能だ。ただしUSB PDの充電は100Wが上限となっているので、最大限の処理速度で継続的に動作させたり、急速充電させるさいには、標準のACアダプタを使うことになる。
クリエイティブワークに活用できる色域、HDR再生にも対応
New XPS 15には、15.6型フルHD IPS液晶(1,920×1,080ドット、141ppi、400cd/平方m、sRGB100%、タッチ非対応、非光沢、視野角160度、リフレッシュレート60Hz)と、15.6型4K IPS液晶(3,840×2,160ドット、282ppi、400cd/平方m、Adobe RGB100%、タッチ対応、光沢、視野角160度、リフレッシュレート60Hz)の2種類のディスプレイが用意されている。
新旧どちらも100% Adobe RGBカラーが謳われているが、輝度はNew XPS 15が400cd/平方m、前モデルが350cd/平方mと製品公式サイトに記載されている。つまりスペック上は50cd/平方m向上しているわけだ。
4K IPS液晶を搭載する借用機をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたが、sRGBカバー率が100.0%、sRGB比が140.5%、Adobe RGBカバー率が96.4%、Adobe RGB比が104.1%、最大輝度が424cd/平方mと非常に高い結果が出た。
今回、ICCプロファイルをColor ACにインポートするさいに「注意:このICCプロファイルのLUT Blackにクリップ(値が飽和)の可能性が見られます」との警告メッセージが表示されたので、色域図を正確に作成できていない可能性があるが、その誤差を差し引いてもNew XPS 15の色域が広いことは間違いない。しっかりカラーキャリブレーションを実施すれば、クリエイティブワークに活用できるだけのディスプレイ品質を備えている。
なおNew XPS 15は「設定→アプリ→ビデオの再生」で「HDRビデオのストリーミング」を有効に設定可能で、「Netflix」や「YouTube」でHDRコンテンツを再生できる。搭載されているのはIPS液晶なので有機ELのような漆黒を表示できるわけではないが、鮮やかな色彩で映像コンテンツを楽しめる。
一方、サウンド面については少々不満が残る。New XPS 15のサウンドはノートPCとしては上等な部類に入るが、たとえば2016年以降のMacBook Proなどと比べると、音の伸びやかさや抜けが物足りなく感じられた。New XPS 15は底面前側にステレオスピーカーを設置しているが、キーボード面にも十分な空きスペースがある。次期筐体では大口径スピーカーをキーボード面に設置するなど改良を施して、サウンド品質の向上に期待したい。
キーやタッチパッドの操作感は良好、Enterキーの幅がせまいのは残念
キーボードは「日本語キーボード」と「US/インターナショナルキーボード」が用意されており、購入時にカスタマイズ可能だ。キーボードを変更しても価格は変わらない。キートップはいわゆるキーの間に仕切りのある「アイソレーションタイプ」だが、デルは「チクレット・キーボード」と呼んでいる。
キーピッチ、キーストロークは公表されていないが、キーピッチは実測19.5mm前後、キーストロークは標準的な深さ。打鍵音は「ドゥドゥドゥ」というような低めの音。キーボード全体で高い剛性が確保されており打鍵感は良好だ。
タッチパッドはダイビングボード構造だが、適度なクリック感が与えられている。スペースも105×80mmと大きめに確保されているので、ジェスチャー操作もやりやすい。
個人的に気になったのは「\」、「Back space」、「Enter」キーの幅がせまいこと。15.6型ノートPCのサイズで、ここまで急にキー幅が変わると違和感を否めない。「Tab」、「Caps Lock」、「Shift」キーの幅を少しせばめて、その分「Enter」キーの幅を広げるなど、日本語キーボードが再設計されることを強く望みたい。
CPUコア数、外部グラフィックスの効果は大!
最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施した。
- 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.1.1722」
- 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.10.901」
- 3Dベンチマーク「3DMark v2.5.5029」
- CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15」
- ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
- ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
- ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
- ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.1」
- バッテリベンチマーク「BBench」
なお今回は比較対象として、兄弟モデル「New XPS 13」のスコアを掲載している。どちらも電源プランを管理する「Dell Power Manager」の「熱設定」を「最適化」に設定したさいのスコアだが、ベンチマークを実施した時期が異なったため、New XPS 15はWindows 10のバージョン1803、New XPS 13はバージョン1709で計測しており、また各ベンチマークのバージョンも違っている。今回の比較は参考にとどめてほしい。
さて下記が検証機の仕様と、その結果だ。
【表2】検証機の仕様 | ||
---|---|---|
New XPS 15プラチナ・4Kタッチパネル(最適化) | New XPS 13(最適化) | |
CPU | Core i7-8750H(2.2~4.1GHz) | Core i7-8550U(1.8~4GHz) |
GPU | GeForce GTX 1050 Ti(4GB GDDR5) | Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz) |
メモリ | DDR4-2666 SDRAM 16GB(8GB×2) | LPDDR3-2133 SDRAM 8GB |
ストレージ | 512GB SSD(PCIe NVMe M.2) | 256GB SSD(PCIe NVMe M.2) |
OS | Windows 10 Home 64 bit |
【表3】ベンチマーク結果 | ||
---|---|---|
PCMark 10 v1.1.1722 | ||
PCMark 10 Score | 4,913 | 3,470 |
Essentials | 8,763 | 7,119 |
App Start-up Score | 11,906 | 8,618 |
Video Conferencing Score | 7,706 | 6,804 |
Web Browsing Score | 7,336 | 6,155 |
Productivity | 6,872 | 5,165 |
Spreadsheets Score | 8,645 | 6,358 |
Writing Score | 5,464 | 4,197 |
Digital Content Creation | 5,346 | 3,087 |
Photo Editing Score | 5,815 | 3,568 |
Rendering and Visualization Score | 6,182 | 2,084 |
Video Editting Score | 4,251 | 3,959 |
PCMark 8 v2.10.901 | ||
Home Accelarated 3.0 | 3,651 | 3,302 |
Creative Accelarated 3.0 | 5,019 | 4,851 |
Work Accelarated 2.0 | 4,268 | 4,057 |
Storage | 4,954 | 5,027 |
3DMark v2.5.5029 | ||
Time Spy | 2,482 | 434 |
Fire Strike Ultra | 1,729 | 281 |
Fire Strike Extreme | 3,436 | 534 |
Fire Strike | 6,716 | 1,139 |
Sky Diver | 21,238 | 4,821 |
Cloud Gate | 26,038 | 9,124 |
Ice Storm Extreme | 61,715 | 50,261 |
Ice Storm | 63,812 | 61,877 |
CINEBENCH R15 | ||
OpenGL | 117.42 fps | 50.77 fps |
CPU | 1119 cb | 637 cb |
CPU(Single Core) | 175 cb | 167 cb |
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】 | ||
1,280×720ドット | 32,724 | - |
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト | ||
1,280×720ドット | 20,258(すごく快適) | - |
FINAL FANTASY XV BENCHMARK | ||
1,280×720ドット | 4,850(やや快適) | - |
SSDをCrystalDiskMark 6.0.1で計測 | ||
Q32T1 シーケンシャルリード | 3,062.450 MB/s | 3,446.848 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 463.176 MB/s | 1229.931 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 750.979 MB/s | 874.448 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 451.820 MB/s | 451.210 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 247.159 MB/s | 387.524 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 338.760 MB/s | 392.710 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 28.149 MB/s | 43.457 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 77.435 MB/s | 134.328 MB/s |
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%) | ||
バッテリ残量5%まで | 9時間1分5秒 | - |
大差となったのはCINEBENCH R15のCPUスコア。シングルコアのスコアはほぼ同等だが、コア数が上回るNew XPS 15が約1.75倍のスコアを記録している。
また外部GPUの搭載、非搭載も、3DMarkとCINEBENCH R15のOpenGLで大きな差として表われた。とくに3DMarkのスコアを比較してみると、負荷の高いベンチマークほどスコア差が開く傾向となった。
なお今回もう1つ異なる条件で、New XPS 15のベンチマークを実施した。電源プラン管理アプリ「Dell Power Manager」の「熱設定」を「最適化」、「低温」、「静音」、「超高パフォーマンス」に設定したさいのCINEBENCH R15のスコアをそれぞれ計測してみたのだ。下記がその結果だ。
【表4】熱設定別のCINEBENCH R15のスコア | ||||
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最適化 | 低温 | 静音 | 超高パフォーマンス | |
OpenGL | 118.83fps | 109.30 fps | 106.00 fps | 105.23 fps |
CPU | 1109 cb | 479 cb | 478 cb | 1,119 cb |
CPU(Single Core) | 175 cb | 167 cb | 163 cb | 175 cb |
Dell Power Managerは、「低温」ではシステム表面温度を低温に保つために、「静音」ではファン騒音を低減するためにプロセッサと冷却ファン速度を調整するが、大きく落ち込んでいるのはCPUのマルチコアスコアのみ。OpenGLとシングルコアスコアでは大きな変化はなかった。また「最適化」と「超高パフォーマンス」にほとんど差がないのも意外な結果だ。基本的に「最適化」で利用して、静かな環境で使うときのみ「静音」に切り替えるという運用で問題なさそうだ。
ACアダプタなしでフルパワー出せる外部GPU搭載モバイルノートPC!
デスクトップ用CPUや外部GPUを搭載するゲーミングノートPCに性能はおよばないが、ACアダプタなしでもフルパワー出せるのがNew XPS 15最大のアドバンテージ。しかも97Whrの大容量バッテリを搭載しているおかげで、バッテリ駆動時間も9時間超えとモバイルノートPCとしても文句なしに合格。
処理性能、バッテリ駆動時間、ディスプレイ品質、そして新旧網羅したインターフェイスなど、New XPS 15は今必要とされる要素がバランスよくそろっている。多少重いのは覚悟しつつ、なに1つ妥協したくないという方に、New XPS 15はもってこいの1台だ。