大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」
Celeronで「十分」と評価する教育現場の常識。GIGAスクールの更新需要は2025年度か?
2023年2月9日 06:26
教育現場の1人1台の端末整備と、それを活用した新たな教育環境を実現するGIGAスクール構想が、次のステップに向けて動きだした。
文部科学省初等中等教育局は、2023年1月16日に、全国の教育委員会の情報機器整備等担当課長宛てに、「学校におけるICT環境の整備方針について」と題した事務連絡を通達。この中で、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」が、2022年度(2023年3月末)で最終年度を迎えることを示しながら、この計画を2024年度までの2年間延長し、累次の補正予算などにより、児童生徒1人に1台の端末環境の整備を継続。その一方で、2025年度に向けて、新たなICT環境整備方針の策定に向けて検討を開始することに触れ、今後の1人1台端末の更新に係る費用負担の在り方についても、地方自治体や関係者の意見などを聞きながら検討を行なっていく考えを示した。
これは、2022年12月20日に開催された「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」での議論を経て通達されたものであり、具体的な時期を示しながら、GIGAスクール構想で整備された端末の更新に向けた検討を開始することになる。言い換えれば、PC業界にとっては、2025年度から、教育分野向け端末の更新という新たな需要が生まれることが示されたといってもいい。
教育用コンピュータの配備状況と課題
文部科学省によると、2022年3月時点の調査では、小学校では610万7,666人の児童生徒に対して、教育用コンピユータは709万4,538台が整備され、1台あたりの児童生徒数は0.9人となっている。1人1台を上回る状況になっているのだ。また、中学校でも295万8,457人の生徒に対して、355万1,341台が整備され、1台あたりの生徒数は0.8人と、やはり1人1台を上回っている。
だが、ほぼ毎日利用している小学校は55.4%と半数強であり、さらに地域格差が顕著であることが浮き彫りになっている。山口県では78.3%の小学校でほぼ毎日利用しているが、岩手県では22.7%に留まっている。また、家庭での利用については、「毎日持ち帰り利用」と「毎日持ち帰り時々利用」をあわせても23.4%に留まっており、「持ち帰り禁止」や「非常時のも持ち帰り」といった小学校もかなりの数にのぼっているのが実態だ。
ちなみに、教員の校務用コンピュータの整備率は、小学校が121.4%、中学校が124.7%。普通教室の無線LAN整備率は小学校が94.8%、中学校が94.1%となっている。
文部科学省では、「GIGAスクール構想に基づき整備された1人1台端末の利活用は少しずつ進展している」とするものの、「自治体や学校間の利活用状況や、教師の指導力の格差が拡大している」、「単なる紙からデジタルへの置き換えに留まり、子どもの学びの変革につながっていない」、「校務のデジタル化が進んでおらず、教師がデジタルの恩恵を受けていない」といった課題が顕在化していることを指摘。「端末更新などの次のフェーズが到来するまでの今後数年間で、集中的に課題解決に向けた取り組みを進める必要がある」とし、2年間の整備計画の延長期間において、教育現場におけるICT活用の課題を解決し、新たな端末への更新を効果的に進めていく考えを示す。
GIGAスクール端末は十分な性能を備えているとの評価
一方、MM総研の調査では、興味深い結果が出ている。
現在配備されているGIGAスクール端末について、十分な性能を「備えている」と評価した自治体が92%にも達したのだ。
GIGAスクール構想で導入対象となったWindows PCやChromebookの場合、必要なスペックとして、CPUはIntel Celeronあるいは同等以上、メモリは4GB以上、ストレージは64GB以上となっていた。また、iPadでは、ストレージが32GB以上であることなとが定められている。
補助金の上限が4万5,000円とされていたこともあり、Windows PCやChromebookでは、スペックの下限となるCeleronおよびメモリ4GBの製品が、最も多く導入されているのが実態だ。
一般的なPC利用では、Celeronや4GBメモリの環境では、スペック不足が指摘されることが多く、GIGAスクール構想で導入されるPCのスペックが発表された際にも、PC業界の内外から、スペックの不足感を指摘する声が噴出した。しかも、コロナ禍において、オンライン授業の必要性などが注目されはじめると、そうした声はさらに大きくなった。
実際、量販店店頭などでは、Celeronは低価格モデルに位置づけられ、BCNの調査では、GIGAスクール構想による導入が本格化した2020年4月~2021年3月までの1年間において、Celeronを搭載したノートPCの構成比は15.1%に留まっている。さらに、2021年4月~2022年3月までの集計では6.5%に減少している。Celeron相当となるAthlon Silverは5.0%、Athlon Goldは4.9%であり、これを加えても、個人向けPC市場では、決して主流ではないことが分かる。
とくに注目しておきたいのが、コロナ禍での変化だ。2020年3月には、Celeron Dual-Coreを搭載したノートPCの構成比は28%となっていたが、その後、構成比は急激に減少。2020年12月には9.1%と約3分の1にまで減少している。その背景には、対抗するAthlon SilverやAthlon Goldの台頭、インテルのCPUの供給戦略の変化に加え、コロナ禍で広がったテレワーク需要に対応するため、Zoomの推奨環境などにあわせて、高性能CPUを搭載したノートPCを購入するといった動きが顕在化したことが見逃せない。
量販店店頭でも、オンライン会議を多用するテレワークで利用する場合には、Celeronを搭載したノートPCを避ける提案が行なわれていた。
Celeronでも十分であるという実態
だが、教育現場では、このスペックでも、十分な性能を備えていると評価が下されている。
MM総研による今回の調査は、全国の教育委員会の指導主事を対象に電話調査によって実施。1,135自治体からの有効回答を得ている。
調査では、児童生徒用端末の端末のスペックについて、「十分な性能を備えていますか」と質問したところ、「十分備えている」との回答が38%、「備えている」が54%に達し、合計で92%を占めた。また、「あまり備えていない」が8%となり、「全く備えていない」という回答は、集計上では0%となった。
GIGAスクール構想では、整備された端末のうち、Windowsは30.4%、Chrome OSが40.1%、iPadが29%、AndroidやMacOSなどのその他が0.5%となっており、今回の評価は、すべてがCeleron搭載PCに対するものではない。
だが、主要メーカーが用意したGIGAスクール構想向け端末は、Windows PCおよびChromebookともに、Celeronが主流となっている。
量販店店頭においては、PCの一般的な用途の1つになりはじめたテレワークに最適なPCを選ぶ場合には、Celeronを選択肢から外すことが前提となっている状況からすれば、「まさか」の結果になったともいえる。
GIGAスクール標準仕様は「おおむね妥当」
MM総研では、この結果から、「文部科学省が示した標準仕様は、おおむね妥当であったとみられる」と総括している。
だが、今回の結果には、いくつかの理由があるといえる。
実際、GIGAスクール構想で目指した用途は、子どもたち自身がさまざまな情報にアクセスし、主体的に情報を選択する「検索サイトを活用した調べ学習」、子どもたち一人一人が考えをまとめて発表するなどの「文章作成ソフト、プレゼンソフトの利用」、誰もがイメージしやすい教材を提示し、双方向的に授業を進める「一斉学習の場面での活用」、デジタル教材を活用し、一人一人の学習進捗状況を可視化する「一人一人の学習状況に応じた個別学習」であり、これらの目的に限定してみると、「学びへのICT活用」という点では、Celeronを搭載したノートPCでも、「十分な性能を備えている」ということになるのだろう。
また、先に触れた文部科学省の調査でも、家庭に毎日持ち帰っている小学校が23.4%に留まっており、持ち帰っても使用するのはデジタルドリルを使った学習や宿題などが中心であり、高いスペックを要求するオンライン授業などでの利用は少ないのが実態だ。
さらに、教員側のIT活用のスキルが追いつかず、教育現場では、高度な利用が行なわれていないという点もあるだろう。
このように、高いスペックを要求しない使い方に限定されている点が、「十分な性能を備えている」という結果につながっているといえそうだ。
ちなみに、「十分な性能をあまり備えていない」と回答した8%の自治体では、端末そのものの性能だけでなく、ペンや画面などのUI、インターネット接続性など、周辺機器や利用体験全般に対する課題を指摘している点が目立ったという。
2025年度からの端末更新の需要
注目しておきたいのは、こうした教育現場の認識や声が、「Next GIGA」と呼ばれる2025年度からの端末の更新需要にどう反映されるのかといった点だ。
今回の調査で教育現場が十分なスペックとしたCeleronと同様に、Windows PCやChromebookの仕様策定においては、必要最低限のスペックを模索するという動きが前提となる可能性は高いだろう。だが、そこに、将来に向けた動画活用の広がりや、オンライン授業の浸透、メタバースの活用といった要素がどう組み合わせるのかといったことも、検討材料として影響していくことになるはずだ。
さらに、これまでは補助金によってすべてを整備した小中学校の端末が、「今後の1人1台端末の更新に係る費用負担の在り方については、地方自治体や関係者の意見などを聞きながら検討をしていく」と文部科学省が示したように、整備にはこれまでとは異なる方法が用いられる可能性も考慮しておく必要がある。
すでに、高校での1人1台環境の整備は、一部の自治体において、保護者の費用負担で行なわれているケースもある。これが、Next GIGAに盛り込まれると、スペックの設定についても、より慎重な議論が必要になってくる。
次期GIGAスクール構想に向けた検討がいよいよ動き出した。中でも、端末の仕様についてはどんな形で議論が進められるのかは注目されるポイントだ。それとともに、整備方法がどうなるのかも重要な論点となる。関係者からはすでに高い関心が集まっている。
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