山田祥平のRe:config.sys
海外でもデータプラスでテザリングとさよなら
2025年8月30日 06:00

かつてに比べればずいぶんリーズナブルになってきたデータ通信の海外ローミング料金だが、それでもまだ高い。いろんな秘策で安くあげようとしてきたが、面倒くさいことこの上ない。でも、その煩雑さにもそろそろピリオドが打たれる。もう、よほどのことがない限り、現地SIM調達はないだろうなと思っていたら、さらに朗報が!
海外データ通信無料が本格的にサービスイン
「ドコモサービス全部入りプラン」ともいうべきドコモの料金プラン最高峰の「ドコモMAX」や「ドコモ ポイ活 MAX」の海外データ通信無料が9月1日から本格的に提供を開始するという。同プランは6月5日にサービスインし、「DAZN for docomo」が追加料金ゼロ円で見放題といった内容が話題になっている。
だが、自分を含むモバイル界隈では、海外データ通信無料という要素を魅力に感じているユーザーが少なくなかった。本格的にサービス開始というのは、サービスイン時には、ちょっと中途半端な仕様で提供されていたからだ。
当初は、過去にやってきたように「世界そのままギガ」サービスを使い、利用日時期間を予約して使う必要があった。いったん料金がかかっているように見えるが実際の請求はないというものだった。
実際、サービスイン直後、6月に4泊5日でソウルに行ったとき、この手順でローミングサービスを利用したが、その明細には、
世界そのままギガ5日間定額料(割引)
6月ご利用分
利用回数は1回でした。
とあって、本来なら5日間3,980円かかるはずの料金の請求はなかった。1日あたり約800円相当にすぎないとはいえ、それがゼロ円だったのだ。
データプラスも海外データ通信無料の恩恵にあずかれる
その海外データ通信無料のサービスが、9月1日から本格提供されるというお知らせが8月18日に告知された。この日から予約や手続き不要で海外データ通信を利用できるようになるという。このサービス仕様はドコモのオンライン受付専用の格安プランahamoで先行して実装されていたものだ。個人的には実際、そのためだけに、海外旅行に先立つ準備として、ahamoを契約していた時期もあった。
当時は15日間でかかる速度制限を回避するために、いったん解約して新たに契約するといったことをしようとして強制的にキャンセルになったりといった苦渋も経験した。サービスが本格提供されるようになれば、そんな思いをしなくてもよくなる。
このお知らせの中に、不思議な文言を見つけた。
「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」がペアとなる「5Gデータプラス」「データプラス」も含まれます。
とあったのだ。
また、少し探すと、FAQのページに
「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」を契約した場合の海外利用について知りたい
という項目があって、そこにはご注意事項として、
2025年秋頃(予定)までは、「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」がペアとなる「5Gデータプラス」「データプラス2」「データプラス」において、「世界そのままギガ」を利用したデータ通信を行なった場合は「世界そのままギガ」の定額料がかかります。
と記載されていた。
データプラス(「5Gデータプラス」「データプラス2」「データプラス」)というのはドコモの回線に紐付くもう1つのデータ通信専用回線が月額1,100円で提供されるもので、タブレット・ルーターなどの2台目機種を持つなら、ペアとなる「ドコモ MAX」、「ドコモ ポイ活 MAX」「ドコモ ポイ活 20」または「ahamo」の利用可能データ量をシェアすることができるというものだ。
つまり、プラス1,100円で主回線とデータ容量をシェアできるデータ専用回線が手に入るというサービスだ。SMSも送受信できる。ただし、主回線が無制限の使い放題回線でも、シェアできるデータ量は30GBまでに制限される。海外ローミング時は、主回線とデータプラス回線の合計データ量にも30GB制限が適用される。だが、普通に使う分には30GBあればなんとかなる。
そして今回のお知らせの文章から読み解けるのは、このデータプラスが海外ローミング時にも無料で使えるということだ。
さよならテザリング
海外ローミング時にモバイルノートPCをインターネット接続するためには、ローミング中のスマホでテザリングをオンにしてつないできた。長時間テザリングをオンにしたままでいると、スマホ本体はかなり熱くなる。PCを開くたびにテザリングをオンにするというのも面倒なので、最初に使ったとき以降、そのままにしておくのだが、熱くなる上、バッテリも1日持たないといった不便もある。
だが、PC用に回線を割り当てることができれば、スマホのテザリングに頼る必要はない。ローミング時に限らず、国内利用時のデータプラス回線は、もう1台のデバイス専用の回線として重宝してきた。
そして、それが海外でも有効だというように読める……。
ぬか喜びで勘違いだといけないので、ドコモの広報宛てにメールで質問を投げてみたのだが、まったく返事がない。仕方がないので、ドコモインフォメーションに電話して確認してみたところ、多少の待ち時間でようやくオペレータにつながった。調べてもらったところ、かなりの長時間を要したが、結果として、この理解は正しいということが確認できた。先方も、かなり混乱しているらしい。
つまり、
- 「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」海外データ通信無料は、そのペアとなるデータプラス回線にも適用される。
- ただし、国内ではペア回線での利用は30GBが上限、海外ローミング時は主回線とペア回線の両回線で30GBをシェアする。
ということだ。先に引用したFAQにあった「2025年秋頃(予定)」という時期についても、本格提供開始の9月1日からであることを確認できた。
注意点が1つ。過去にデータプラス回線で海外ローミングをしたことがなかったので気にすることがなかったのだが、ドコモの回線を海外ローミングで使うには、WORLD WINGに申し込んでおく必要がある。なお、月額使用料は無料だ。
申し込み状況は、PCからではdアカウント、スマホからはネットワーク暗証番号を使ってmyドコモなどで確認できる。今回チェックしてみたところ、オンにした覚えがないのに、オンになっていた。オペレータによれば、契約したときに要件を満たす回線として自動的にオンにされていたようだ。サービス利用時には念のために確認しておきたい。
ちょっと値上げしたが得るものも大きかったMAXプラン
というわけで、うれしい仕様に気がつけた。
家族との海外旅行などでも、データプラスのSIMを家族に渡せば2人とも自分のスマホでデータ通信ができるので重宝しそうだ。あるいはドコモの想定通り、2台目スマホやタブレットで使ってもいい。WAN対応のデバイスでよかったと痛感すると同時に、もっとWAN対応のモバイルノートPCが増えてほしいと改めて思う。
ドコモMAXに切り替えるまで使っていたプラン「eximo」は、基本料金が7,315円だった。これが切り替えで8,448円となった。1,133円の値上となる。
だが、DAZN無料3,819円分はさておき、留守番電話サービス330円が無料、Amazonプライム利用料6カ月割600円無料を換算すると、今のところ930円分が新たな割引きとなったので、負担増は203円で済んでいる。半年後にはAmazonプライム6カ月割はなくなるが、120dポイントが還元される。とりあえず、半年後には別の割引きサービスが始まっているかもしれず、プランの見直しはそのときになってからでいいと判断した。
データローミング料金はリーズナブルになったが、ローミング時の音声通話はまだ高止まりしている。たとえば、海外滞在時に、ホテルの近所のレストランに電話連絡するのにかかる料金は、安い韓国でも50円、アメリカでは125円、フランスでは170円かかる。しかも着信料もある。たとえばアメリカでは175円/分とかなり高額だ。また、SMSも受信は無料だが、送信には1通当たり100円かかる。
ドコモ同様、適用される料金プランは限定されるが、ソフトバンクの「海外ギガ無料キャンペーン」、KDDIの「au海外放題」など、15日以内は海外データ通信を無料にするトレンドも出てきている。
それにしても、説明のなんと分かりにくいことよ……。それでも週明け(執筆時点)には本格的なサービスインだ。「ドコモMAX」と「データプラス」の組み合わせで、双方の海外データ通信が無料になるのは素直に歓迎したい。











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