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25年ぶり2兆円超えとなった2025年のPC市場。しかし2026年は「冬の時代」へ

国内のPC出荷金額推移(出典: MM総研)

 2025年(2025年1月~12月)の国内PCの出荷台数が過去最高に達したことが、MM総研の調査で明らかになった。

 これによると、2025年の国内PC出荷台数は、前年比42.9%増の1,782万6,000台となり、2020年の1,593万台を上回り、過去最高を更新した。

 MM総研では、「2025年10月のWindows 10のサポート終了に合わせたPCの買い替え需要により、暦年としての総出荷台数は過去最大となった」と総括。「当初は、2025年度のPC出荷台数を1,371万台と予想したが、GIGAスクール構想第二期による教育市場での端末の入れ替え需要や、Windows 10のサポート終了にあわせて、予想を上回る台数の買い替えがあった」と、想定以上の需要があったことを指摘した。

 さらに、「個人向けPC市場では、法人向けPC市場に比べて、新たなOSへの入れ替えのタイミングが遅れており、2026年初頭にかけても端末更新需要が続くだろう」とも予測している。

 出荷金額は前年比36.7%増の2兆448億円。2018年には1兆40億円だったことと比較すると、7年間で市場規模は倍増した。

 なお、出荷金額が2兆円を突破したのは、2000年に2兆3,000億円を達成して以来、25年ぶりのことになる。調査開始以来、2回目の2兆円突破だ。

 本誌では、いまから4年半前となる2021年8月の時点で、「2025年の岳」という言葉を用いて、2025年には、「これまでにはない大規模な特需が生まれる可能性」を指摘していたが、それが現実のものになった格好だ。

 ルート別内訳は、法人向けPCは、前年比49.7%増の1,354万5,000台。個人向けPCは同25.1%増の428万1,000台。GIGAスクール端末が含まれる法人向けPCの成長率が高い。市場構成比は、法人向けPCが76.0%、個人向けPCが24.0%となった。

ルート別出荷実績(出典: MM総研)

 平均出荷単価は11万4,709円となり、2024年の11万9,925円から5,216円も下落した。

 「2025年は、安価なGIGAスクール端末の入れ替え需要の高まりにより、平均出荷単価が下がった。その一方で、円安による部品や海外生産コストの上昇と、ハイスペックなモバイルノートPCの需要増で、GIGAスクール向け以外のPCでは、単価上昇が続いている」という。

 メーカー別シェアについても発表している。

 トップシェアとなったのは、NECレノボで、出荷台数は514.8万台、シェアは28.9%となった。前年の23.5%のシェアから、5.4ポイント拡大しており、2位以下のPCメーカーが軒並みシェアを減少させている状況を見ると、NECレノボの一人勝ちだったことが浮き彫りになる。国内PCの4台に1台以上が、NECレノボとなっている。

国内のシェア(出典: MM総研)
国内のシェア(出典: MM総研)

 MM総研では、シェア拡大の理由を、「GIGAスクール端末の入れ替え需要を捉えた」としている。

 2位は、日本HPで、264万8,000台、シェアは14.9%。3位はデルで、214万1,000台、シェアは12%となった。また、4位は富士通クライアントコンピューティングの198万8,000台、シェア11.2%。5位はDynabookで184万5,000台、シェアは10.4%。6位はアップルで79万1,000台、シェアは4.4%となった。

 2位から6位まではすべてのPCメーカーがシェアを減少させたが、順位は前年と変化がなかった。

 一方、2026年(2026年1月~12月)の国内PC市場については、一転して厳しい見通しを発表した。

 MM総研によると、2026年の国内PCの出荷台数は、前年比31.1%減の1,229万台と予測した。

 法人向けPCは、前年比34.8%減の883万台と、市場規模は3分の2に縮小すると見ている。個人向けPCは同19.2%減の346万台と予測している。

 MM総研では、「2026年は、Windows 10のサポート終了による端末の入れ替え需要の収束に加えて、2025年末からのメモリ価格高騰に伴うPC本体価格の上昇が大きく影響し、出荷台数は大きく落ち込むと予測した。2026年は、2025年末からのメモリ価格高騰が影響。PCの平均価格は、2025年に比べて、少なくとも10~20%は上昇するとみられる。GIGAスクール端末についても、入れ替え需要が2025年に集中したため、2026年以降は需要が落ち着く」との見通しを示した。

 さらに、「2026年は、AIの社会実装が一段と進む。現時点で、日本企業の4割程度がAIの活用を始めており、AIに適応した高い処理能力などをPCに求める企業が増えてきている」と指摘しながらも、「メモリ価格の高騰は、PCのアップグレードへの需要に対して足かせになる。クラウドに頼らず、エッジAI処理を特徴とするAI PCに関しては、エッジAI処理能力を発揮できるアプリケーションやシステムがまだ少ないのが実情であり、年々高騰するクラウドAI使用料や、セキュリティ面から、エッジAIへの期待は大きい。しかし、AI PCの需要喚起には、キラーアプリの登場が不可欠である」との懸念を示した。

 本誌でも既報のように、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2026年1月の国内PC出荷統計では、出荷台数が前年同月比15.9%減の57万9,000台、出荷金額は同9.2%減の781億円と、2026年はマイナス成長に転じる形でスタート。2026年の厳しい市況の様子が、すでに顕在化している。

 2025年は、過去最高となった国内PC市場だが、2026年からは一転して「冬の時代」を迎えることになる。