山田祥平のRe:config.sys

出張グッズは在宅グッズ

 緊急事態宣言期間が延長されるなど新型コロナの猛威が続いている。テレワークや在宅勤務を強いる企業も多く、この1年ほどの間でずいぶんノウハウもたまってきたのではないだろうか。

出張ノウハウを活かす

 在宅で勤務するからといって、セミパブリックなスペースとしての会社よりも自由になるとは限らない。居宅は仕事をするようにできている場合が少ないからだ。自分だけではなく、同居の家族がいる場合は、同じ空間に目的の異なる作業をする人間が複数人いて、それぞれがそれぞれの邪魔をしないように気を遣う必要がある。

 やはり、もっとも大きな問題はスペースではないだろうか。自宅に書斎があるという場合は恵まれている。そうでない場合は、家のどこかに居場所を確保して、そこで仕事をして、終わったら片付けるということが求められるかもしれない。ケースによってはその居場所も、家の中の一定の位置ではない可能性もある。どうしようもないときには、密を気にしつつ近所のカフェにでかけて腰を据えたり、カラオケボックスなどの集中できるスペースを探すようなこともある。

 各ホテルがテレワーク用にデイユースプランを用意したり、帝国ホテルニューオータニといった超高級ホテルの施策も話題になったりしている。

 このノマド的な行動様式が、なにかに似ていると思っていたのだが、ぼく自身のように自宅と仕事場が同一の場合は、出張がそうだったということに気がついた。出張の装備のノウハウは何十年もの間繰り返す中で、ずいぶんたまってきている。いわゆるワーケーションも同様だ。

気軽に持ち運べるデスクを調達

 まず、仕事をする場所に求められるのはデスクだ。ノートパソコンは膝の上でも使えることからかつてラップトップパソコンとも呼ばれていたが、ソファにゆったりと腰掛けて、膝の上でモバイルノートを長時間使うというのは意外に疲れるものだ。ダイニングテーブルで使っているイスでいいから、ちゃんとした姿勢でパソコンを使いたい。

 この1年の間、いろいろと試してみたのだが、いちばん役にたったのが、ぼん家具の「折りたたみ式昇降テーブル」だった。デスクというには質素な作りだが、高さも一般的なデスクと同じにすることができるので、これまた一般的なイスと組み合わせても支障がない。ぼん家具はキングジムグループの企業で、同社の家具はAmazonや楽天などのECサイトで販売されている。

 折りたたむと平になり収納時のスペースも最小ですむ。しかもスーツケースに入るのだ。海外旅行などの機会が激減どころか皆無になって、スーツケースが活躍することがなくなってしまったわけだが、「片付ける」ということを考えたり、別の場所に移動するといったことを想定すると、装備を丸ごとスーツケースに入れてしまえるというのは大きなメリットだ。どうせ旅行や出張がなく使わないのだから、暇そうなスーツケースにあらゆるグッズを詰め込んでおけば、いつでもどこでもすぐに仕事を始めることができる。そして仕事が終わったときには片付けも簡単だし、目立たないところに置いておける。使わないスーツケースの有効活用法だ。

引き出し代わりの小物収納

 キングジムは、この2月に「SPOT」シリーズという新ブランドを立ち上げた。家庭での快適な生活をサポートするということで、その第一弾として、整理・収納に関する商品を発売した。これは使えるぞと感じたのが「ツールスタンド」だ。フロア型とデスク型の2種類が用意されている。

 発売前に試用させてもらったのだが、これもまた畳めるという点で重宝する。しつこいようだが畳めばスーツケースに入る。

 ノートパソコン1台であらゆることがこなせるというのは理想だが、なかなかそうはいかない。いろんなグッズが必要なのだが、引き出しのない簡易デスクには引き出しがないので小物の整理には苦労が伴うが、こうしたスタンドを使えば悩みは一気に解決する。

 なにしろノートパソコンを入れても平気だ。こうしたスタンドに仕事道具一式を入れておけば、ハンドルもついているので、そのまま持ち運べるのがいい。居宅内ノマドであればカバンのように好きな場所に移動して仕事をスタートできる。

 欲をいえばスタンドのポケットは透明でもよかったのではないかと思う。透明なら中に何が入っているかが一目でわかるからだ。また内側には大きなものを収納できるようになっている。ここに各種充電用のACアダプタを入れておき、外のポケットに向かってケーブルを配線できるような仕組みもあってよかったんじゃないだろうか。いろいろと夢はふくらむ。

コロナに負けずにコロナで育む

 スーツケースに仕事場を丸ごと収納して持ち運ぶというのは、カンファレンスやイベント時に高騰するホテル代を少しでも節約するために安ホテルに宿泊せざるを得ないために身につけたノウハウだ。仕事の効率を落とさないために24型ディスプレイまで持ち運んだ。安ホテルの場合、部屋は狭く、さらには仕事のためのデスクもない場合がある。そんな部屋でもちゃんと仕事が出来るように仕事場を丸ごと持ち運ぶことを考えたのだ。不自由はノウハウを育む。コロナもどんどん活用しよう。

 使わないスーツケースが物入れに空っぽのままで入っているのはもったいない。そのスーツケースの内部を収納スペースとして活用することで、テレワーク、在宅勤務での活用ができる。ちなみに、ぼくの使っているスーツケースは、今回紹介した「折りたたみ式昇降テーブル」、「ツールスタンド」、「24型モバイルディスプレイ」の三種の神器を入れてもまだ余裕がある。

 このテーブルにはその24型ディスプレイを載せることもできる。その手前にノートパソコンを置いてもいいが高さの調整には工夫が必要だ。不安定で倒してしまわないように注意したい。いっそのことスタンドなしでディスプレイを立て、手前に外付けキーボードを置いて、パソコン本体はツールスタンドに入れたままでもいいかもしれない。

 いろいろとアイディアは浮かぶ。そのアイディアをノウハウとして、新しい旅行や出張、ワーケーションといった活動ができるような状況になる日が待ち遠しい。