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■■ 米AMD、モバイルAthlon 4 1.1GHz/モバイルDuron 900MHzを発表
--MorganコアのDuron 1GHzも89ドルで登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010820/amd.htm
●3DNow! Professional
スリーディーナウプロフェッショナル
Enhanced 3DNow!にIntelのSSE(Streaming SIMD Extensions~ストリーミングSIMD拡張命令)互換のレジスタと浮動小数点演算用SIMD命令を追加した、AMDのマルチメディア向けプロセッサ技術。2001年にリリースされたPalomino(コード名)ベースのモバイルAthlon 4、Athlon MPおよび、Morgan(コード名)ベースのDuronに搭載される。
1つの命令で1つのデータを処理する処理方法をSISD(Single Instruction Single Data stream)、複数のデータを処理する処理方法をSIMD(Single Instruction MultipleData)という。汎用CPUが主体とするのは、オーソドックスなSISD演算だが、画像や音声などを処理する場合には、大量のデータに対して同じ処理を繰り返し実行することが多く、近年は、SIMD命令の拡充にも力が注がれている。
'97年、Intelは整数演算用のSIMD命令を中核とする57個のファンクションから成るMMXを発表。同社のPentium with MMX Technology……いわゆるMMX Pentiumをはじめ、各社の互換CPUにも広く採用された。AMDも、同年リリースのK6でMMXをサポート。 翌'98年にリリースしたK6-2では、Intelに先駆けて21個のSIMD浮動小数点演算命令が用意され、3DNow!と名付けられた。
対するIntelは、'99年のPentium IIIに、SIMD浮動小数点演算を提供するSSEを搭載する。MMXは、元々はFPU用に用意されていた64bitのレジスタを、SIMD整数演算用のMMXレジスタに流用するところからスタート。3DNow!は、このMMXレジスタをSIMD浮動小数点演算に利用していたのだが、SSEでは新たに、XMMレジスタと呼ばれる8本の128bitレジスタが用意され、70個の新しい命令セットが追加された。当然のことながら、3DNow!との互換性は全くない。が、AMDは、同年リリースのAthlonに搭載したEnhanced 3DNow!で、その一部のファンクションをサポートする。SSEの主体はSIMD浮動小数点命令なのだが、そのほかにもMMXを拡張する64bit SIMD整数命令やキャッシュ制御命令なども追加されている。この「そのほか」の部分とAMDの独自命令、計24個を追加したのがEnhanced 3DNow!だったのである。
3DNow! Professionalでは、未サポートだったSSEのSIMD浮動小数点命令を完全に網羅すべく、新たに52ファンクションを追加。従来の3DNow!やEnhanced 3DNow!で追加したAMD独自の機能に加え、SSE互換の機能も提供できるようになった。
【参考】
□MMX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980120/key14.htm#mmx
□SSE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990225/key66.htm#SSE
□3DNow!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980603/key32.htm#3DNow!
□Enhanced 3DNow!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000224/key109.htm#e_3dnow
□浮動小数点
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990909/key90.htm#FP
■■ ドコモ、Windows for Handheld PC 2000搭載の「sigmarionII」
--ゼロハリデザインは踏襲、ボディカラーはサテンシルバーに
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010821/docomo.htm
●HPA液晶(High Performance Addressing LCD[Liquid Crystal Display])
エイチピーエーえきしょう
'98年にシャープが提唱した、コントラストと応答性を高めた単純マトリックス型のSTN(DSTN)液晶ディスプレイの総称。
液晶パネルは、透明な電極が付いた2枚のガラス基板の間に、ネマティック液晶と呼ばれる細長い棒状の分子構造を持つ液晶を封入した構造になっている。
PCのディスプレイでお馴染みのTFT液晶では、一般にTN(Twisted Nematic)と呼ばれるタイプの液晶パネルが用いられている。このTN液晶は、平常時に細長い液晶分子の長辺が基板に対し水平に寝た状態になっており、一方の基板からもう一方の基板に向けて、長辺の方向が90度ねじれるような形に配列している。光は液晶分子の間を進むので、液晶分子に沿って90度ねじれる形になる。
電極に電圧をかけて基板間に電界が生じると、液晶分子はこの電界に沿って整列しようとする。電界の強さに応じて、液晶分子が基板に対し垂直に立ち上がるので、パネルを透過する光のねじれがほどけ、光は直進するようになる。このパネルを偏光方向が直交するように対向させた2枚の偏光板で挟み、一定方向の光だけ通過するようにしておくと、電極にかける電圧によって、透過する光量が制御できるようになるわけだ。
実際の液晶パネルには、縦方向と横方向に何本も信号線が張り巡らされており、その交点に電極が取り付けられている。横方向の信号線を1本ずつ順次選択しながら、縦方向の信号線の電圧を制御すると、1ラインずつ任意の画素が制御できるという仕組みである。
この電極の制御にTFT(Thin Film Transistor~薄膜トランジスタ)を用いたのが(※1)お馴染みのTFT液晶で、このような半導体素子を使ってドライブするタイプをアクティブマトリックス方式と呼んでいる。このような駆動用の素子は使わず、信号線にかける電圧で直接制御する方式もあり、こちらはパッシブマトリックス、あるいは単純マトリックス方式と呼ばれる。コントラストや応答性といった性能面を追求する場合には、アクティブマトリックス型の方がはるかに有利なのだが、単純マトリックス型はコストや消費電力の点で優れており、特に携帯端末ではこちらの需要も高い。
アクティブ素子を持たない単純マトリックス型の場合、1フレームの描画期間内に、各ラインの電極には一瞬しか電圧がかからない。電界が無くなれば、液晶は元の状態に戻って行くので、全体のコントラストが大幅に低下してしまう(フレーム応答現象という)。これは、ライン数が増えるに従って顕著になるため、大型化も難しい。
液晶のねじれ角を大きくとると、電圧に対する透過率の変化が急峻になる。このようなねじれ角を大く(180~260度くらい)した液晶をSTN(SuperTwisted Nematic)液晶といい、現在の単純マトリックス型では、このSTN液晶を使って高い周波数で走査する方法と、画面を上下に2分割して個別に駆動する方法で、性能の低下をカバーし、ディスプレイの大型化を実現している。このように、画面を2分割して駆動するSTN液晶を特に、DSTN(Dual-scan SuperTwisted Nematic)と呼ぶこともあり、単純マトリックス型の液晶ディスプレイは、たいていこのDSTN液晶が使われている。
シャープが開発したHC(High Contrast)-Addressing方式は、このDSTNをさらに改良。2分割した各画面を、それぞれ上下2つの領域に分け、1フレームの描画期間内の前半と後半で各領域を駆動することによって、より高いコントラストと高速応答を実現した。駆動周波数が高くなると、波形の鈍りや信号の干渉によって、表示文字やパターンに沿って影が現れるシャドーイングという現象が発生するが、駆動系にそのための補正回路などを設け、低シャドーイング化も実現。こちらはSharp Addressing方式と呼んでいる。
シャープは、これら技術を用いたSTN液晶を、'97年からリリース。従来のものと差別化を図るために、'98年リリースの製品から「HPA」と呼ぶようになった(※2)。ちなみに、リリース当時のHPA液晶のコントラストは、従来比1.3倍の40:1、応答速度は1.7倍の180ms。性能が向上したとはいえ、所詮は単純マトリックス型で、TFT液晶とは桁の違う世界だったりする。
※1 トランジスタは3端子型の半導体デバイスだが、ダイオードと呼ばれる2端子型のデバイスを使うタイプもあり、こちらは、TFD(Thin Film Diode)液晶あるいはMIM(Metal Insulator Metal)液晶と呼ばれている。
※2 それまでは、HCA(High Contrast Addressing)や、Super DSTN、Fast DSTNなど、さまざまな名前で呼ばれていた。
【参考】
□TFT(Thin Film Transistor)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971216/key11.htm#TFT
□D-TFD(Digital Thin Film Diode)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010524/key166.htm#DTFD
□DSTN(Dual-scan SuperTwisted Nematic)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981126/key56.htm#DSTN
□FSTN(Film [compensated] Super Twisted Nematic)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000907/key134.htm#FSTN
□HR-TFT(High Reflective-Thin Film Transistor)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980331/key24.htm#HRTFT
□MVA(Multi-domain Vertical Alignment)方式
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990210/key64.htm#MVA
□ポリシリコンTFT
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980924/key47.htm#polysilicon_TFT
■■ インテル、IPSec対応のEthernetカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010810/creative.htm
●IPSec(IP Security Protocol)
アイピーセック
IPプロトコルに、暗号化によるセキュリティ機能を提供するプロトコル。
インターネットで使われているIPプロトコルは、主にパケットの伝送を行なうための基本部分を規定したネットワーク層のプロトコルで、アプリケーションは通常、その上位プロトコルであるTCP(Transmission Control Protocol)などを使って通信を行なっている。こちらは、接続や切断、エラー訂正などの基本的な通信制御を行なうプロトコルだ。
現在一般に使われているIPプロトコル(IPv4)は、上位のプロトコルから受け取ったデータを、そのままIPパケットに格納して伝送する。上位のプロトコルやアプリケーションがセキュリティ対策を施していなければ、データはそのままネットワーク上を流れてしまうため、常に盗聴や改竄の危険にさらされていることになる。
Webブラウザでは、個人情報を入力する際に、よく鍵のアイコンが表示される。これは、ブラウザがセキュリティプロトコルを使った通信モードにあることを示しており、一般にはこの時、SSL(Secure Sockets Layer)というプロトコルが使われている。SSLもまた、暗号化によるセキュリティ機能を提供するプロトコルだが、SSLがTCP上で動作するのに対し、IPSecはこれを、下層のIPレベルで行なう点が大きく異なる。SSLの場合は、アプリケーションがTCPではなくSSLのインターフェイスを選択するように設計されていなければならないが、IPレベルで動くIPSecの場合には、アプリケーションが特に意識する必要はなく、IPを利用する既存のアプリケーションが全て、そのままセキュアな通信に対応できるのである(※1)。
このIPSecは、単一のプロトコルではなく、さまざまなプロトコルや技術で構成されている。その中核を成すのは、AH(Authentication Header)、ESP(Encapsulating Security Payload)、ISAKMP(Internet Security Association and Key Management Protocol)の3つのプロトコルである。
AHは、パケットが改竄されていないことを保証する仕組みを提供する。ESPは、さらに暗号化によるデータ保護の仕組みも提供する(単独でも併用してもかまわない)。改竄されていないことを保証するための認証コードの生成や、暗号化/復号化を行なうためには、送信側と受信側しか知らない特別なキー(鍵)を用意しなくてはならない。最後のISAKMPは、この鍵の管理を行なう仕組みを提供するプロトコルである。
これらプロトコルには、実際にどんな手段やアルゴリズムを使うのかといった制約は無く、セキュア通信を確立する際に双方で合意をとる仕組みになっている。現行の、あるいは今後開発されるさまざまな技術を使ってセキュア通信を実現できるようになっており、IPSecはその基本部分を提供している。ちなみに現行のIPv4では、OS(Windows 2000は標準サポート)やハードウェアにIPSecの機能を組み込まなければ利用できないが、IPv6は標準でこれをサポートする。
※1 PPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol)やL2F(Layer Two Forwarding)、これらを統合したL2TP(Layer 2 Tunneling Protocol)のように、IPよりもさらに下層のデータリンク層で動くセキュリティプロトコルもあり、この場合には、ネットワークプロトコルに依存しないセキュリティ通信を提供する。
□RFC2401 - Security Architecture for the Internet Protocol
ftp://ftp.nic.ad.jp/rfc/rfc2401.txt
□RFC2411 - IP Security Document Roadmap
ftp://ftp.nic.ad.jp/rfc/rfc2411.txt
【参考】
□SSL(Secure Sockets Layer)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971111/key6.htm#ssl
□IPv6(Internet Protocol version 6)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010420/key162.htm#IPV6
□TCP/IP
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980729/key40.htm#TCP/IP
[Text by 鈴木直美]