鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第56回:11月16日~11月20日


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●キーワード


11月16日

■■日立、FLORA 300/400シリーズ7機種を一新
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981116/hitachi.htm

DFP(Digital Flat Panel Port)

 ATI、Compaq、Appleなどから成るDFPグループによって策定され、現在VESA(Video Electronics Standards Association)で審議中の、フラットパネルディスプレイ用のデジタルインターフェイス規格。

 液晶ディスプレイに代表される固定画素のディスプレイは、本来デジタル駆動のデバイスなのだが、ビデオカードに接続するためのインターフェイスの標準化が遅れていたため、一体型のマシンや専用ビデオカードと組み合わせて使う一部の製品以外は、CRTと同じアナログインターフェイスを採用していた。

 DFPグループが'98年にリリースした「Digital Flat Panel Port(DFP)Specification」は、PCのディスプレイ出力をTMDS(Transmission Minimized Differential Signaling~PanelLinkとも)という伝送方式を使ってデジタルのまま伝送する規格で、アナログ変換を行なわないため、ディスプレイ本来のクオリティを最大限に引き出すことができる。

 TMDSを使った同様のインターフェイスは、VESAのP&D(PLUG and DISPLAY)規格にも規定されているが、P&DがCRT用のアナログビデオやオーディオ、USB、IEEE-1394などを統合するマルチファンクション仕様のコネクタであるのに対し、DFPはフラットパネルディスプレイ用のデジタルインターフェイスに特化しており、TMDSとDDC(Display Data Channel~VESAが策定した、ディスプレイの情報をシステム側に伝送するための規格)のみをサポートする。物理的には、P&DがMolexのMicroCrossという35接点のちょっと特殊なコネクタを、DFPは一般的な20接点のD-Shellコネクタ(※1)を使用する。

(※1)ディスプレイをはじめ、シリアル、パラレルなどに使われている、開口部がD字型に見えるコネクタ(MicroCrossもD字型だが)で、接点がピンタイプのものをD-Sub(ディーサブ)、リボンタイプのものはセントロニクスあるいはアンフェノール(CentronicsもAmphenolもメーカー名)と呼んでいる。DFPは、リボンタイプの高密度型(ピッチの狭いタイプでMDR~Mini D-Ribbon~とも)を使用している。

□DFP Group(英文)
http://www.dfp-group.org/
【参考】
□TMDS(PanelLink)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980723/key39.htm#PanelLink


11月17日

■■アイオメガ、従来機種と互換のある250MB Zipドライブを発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981117/iomega.htm

Zip
ジップ

 Iomegaが'95年にリリースした、フロッピータイプのディスクを使ったリムーバブルドライブ。

 3.5インチフロッピーディスクよりも厚目で一回り大きなメディアを使用し、1.4MB/秒の高速転送と100MBの記憶容量を実現。'98年には、後継の250MB版も発表されている。インターフェイスは、パラレル、SCSI、ATA(IDE)、USB。既存のフロッピーディスクの読み書きはサポートされていない(BIOSが対応していればシステムの 起動は可能)。早くから外付けタイプがリーズナブルな値段で提供されていたため、このクラスの製品の中では、もっとも大きなシェアをもっている。

 元々、IomegaはZipと同じ(5インチだが)フロッピータイプのメディアを使用した、ベルヌーイディスク(Bernoulli disk)というリムーバブルドライブで名を馳せたベンダーである。ベルヌーイの場合は、高速回転によってディスク面を湾曲させてヘッドを無接触に保つという、独特の技術を用いていたのだが、Zipにはこの技術は使われておらず、ハードディスクと同じようにヘッドの方を浮上させるスタイルが採られているようである(詳細な技術情報はほとんど公開されていない)。

【参考】
□SuperDisk(LS-120)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#superdisk
□HiFD
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980603/key32.htm#HiFD


■■COMDEX/Fall '98会場レポートその1「H/PC Pro、Socket 370、250MB Zip登場」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981117/comdex05.htm

DSTN(Dual-scan SuperTwisted Nematic)
ディーエスティーエヌ、デュアルスキャンエスティーエヌ

 STN液晶パネルのひとつで、パネルの上下を2分割して同時に走査するデュアルスキャンタイプのもの。

 分子の位置や配列に規則性を持つ固体と、不規則な液体の中間的な状態にある物質を液晶という。細長い棒状の分子構造を持つネマティック液晶は、微細な溝を付けたパネル(配向膜~Alignment Layer)に接触すると、分子が溝に沿って並ぶ性質を持っている。溝の向きを変えたガラス基板の間に液晶を挟み込むと、間の液晶は2枚の基板の間をねじれながら配列するするので、分子の隙間に沿って進む光もねじれて進む。また、液晶は電圧をかけると電界に沿って分子が整列する性質を持っている。パネルの両側から液晶に電圧をかると、ねじれた配列がパネル方向に整列して行き、光が分子の中を直進できるようになる。これを2枚の偏光板で挟み、一定方向の光だけを透過するようにしておくと、電圧によって光のねじれ状態が変わり、透過する光量が変化する。

 光を90度ねじるタイプをTN液晶といい、TFT液晶にはこのタイプが用いられている。ねじれ角を大きくとると、立ち上がり特性が向上し、より高いコントラストが得られ(弊害として黄緑や青色がかった色合いになる)、180~260度程度のものをSTN液晶と呼んでいる(さらにねじったUltraSuperやTripleSuperなどもある)。安価な単純マトリックス方式(電極を格子状に並べただけのタイプ)では、大きな画面でも十分なコントラストが得られるように、一般にこのタイプを使用。表示品質を高めるためにデュアルスキャン化した、DSTNがよく使われている。

【参考】
□ポリシリコンTFT液晶
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980924/key47.htm#polysilicon_TFT
□HR-TFT(High Reflective-Thin Film Transistor)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980331/key24.htm#HRTFT
□TFT液晶
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971216/key11.htm#TFT


11月18日

■■ダイアモンド、A3D 2.0対応のサウンドカード「MonsterSound MX300」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981118/diamond.htm

A3D(Aureal 3D)
エースリーディー、オーリアルスリーディー

 Aureal Semiconductor(かつてのMedia Vision)が'97年に発表した、3Dオーディオ技術および、それを応用したハードウェアやソフトウェア。

 3Dオーディオは、3次元の立体音場を演出するための技術で、DVD Videoに採用されているDolby Digitalを代表とする、予め3D再生用に録音されたタイプのほかに、最近は、仮想的な3D音場をリアルタイムに制御するタイプが注目されている。A3Dも後者のタイプで、空間の容積や材質などをシミュレートし、画面やユーザーの入力に合せて、音源の定位や反響等をリアルタイムでコントロールする(現行のシステムでは、最大8ソースを22kHzのサンプリングレートでレンダリングする)。制御用のAPIが一般に公開されており、Diamond MultimediaやTurtle Beachのサウンドカードが、A3Dのハードウェアアクセラレータを搭載。A3D対応ゲームソフトが、数多くリリースされている。

 基本的には、専用のハードウェアアクセラレータを使うことを前提とした技術だが、A3D 2.0のSDKからは、ソフトウェアエミュレーションもサポート。一部の機能をソフトウェアのみで、あるいは、MicrosoftのDirect3Dに対応したアクセラレータを使用して実現できるようになっている。

□A3D ホームページ(英文)
http://www.a3d.com/html/home/main/
□A3D技術情報(英文)
http://www.aureal.com/tech/
【参考】
□DVD Video
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981029/key52.htm#DVD_Video
□サンプリングレート(PCM)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980917/key46.htm#PCM
□Dolby Digital(ドルビーAC-3)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980303/key20.htm#AC-3

[Text by 鈴木直美]


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