鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第32回:5月25日~5月29日


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●キーワード


5月25日

■■NEC、USB機能を強化したTA「AtermIT65EX」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980525/nec.htm

IRQ (Interrupt ReQuest)
アイアールキュー、割り込み要求、ハードウェア割り込み
 デバイスがCPUを呼び出すための信号。
 この信号を使ってデバイスがCPUを呼び出すと、CPUは処理を中断して所定の割り込みハンドラ(BIOSやデバイスドライバ等の形で用意した処理ルーチン)を実行することから「割り込み要求」という名がある。

 PC本体には、8チャンネル分を処理する割り込みコントローラ(PIC:Programmable Interrupt Controller)が2個(8bitバス時代のPCは1個)用意されており、片方が8bit時代からあるIRQ0~7を、もう一方がIRQ8~15を処理する(*1)。

 ISA(Industry Standard Architecture)バスでは、システムがマザーボード上で使用するIRQ0、1、8、13と、スレーブ側のPICが接続されるIRQ2 (*2)以外が拡張スロットに配線され、拡張カードから利用できるようになっている。ISAの割り込みはエッジトリガ(エッジセンス)といって、信号のレベルが変化した一瞬を割り込みと認識する方法がとられているため、デバイス間で同じIRQを使用することはできない。PCI(Peripheral Component Interconnect)の場合には、バスにはINTA#~INTD#の4つの割り込み信号があり(*3)、最終的にはこれらがシステムのIRQにマッピングされる(基本的には起動時にBIOSが自動的に設定するが、強制的に割り当てることも可能)。PCIの割り込みは、一定のレベルの信号で割り込みを通知するレベルトリガ(レベルセンス)方式になっており(*4)、複数のデバイスが同時に割り込み信号をドライブすることが可能である。すなわち、ひとつの割り込みを複数のデバイスで共有できるのだ。ただしそのためには、システムが実際に割り込み要求を出しているデバイスを特定できるように設計されていなければならない。市販パッケージ版Windows 95ではこれをサポートしておらず、PCIの割り込み共有は、OSR2から利用可能となっている。

【IRQの主な用途】
IRQ用途
0*タイマ
1*キーボード
2*IRQ8~15にカスケード
3シリアルポート2 (COM2)
4シリアルポート1 (COM1)
5パラレルポート2 (LPT2~通常は実装されていないが、一般的にサウンドカードが使用)
6フロッピーディスクコントローラ
7パラレルポート1 (LPT1~標準モードではWindowsは使用しない)
8*リアルタイムクロック
9未使用 =IRQ2 (ビデオカードが使用する場合がある)
10未使用 (COM4、ネットワークカードが使用する場合がある)
11未使用 (COM3、SCSIカードが使用する場合がある)
12PS/2マウス
13*数値演算コプロセッサ (FPU:Floating-point Processing Unit)
14ハードディスクコントローラ1
15ハードディスクコントローラ2

*はユーザーサイドでは物理的に利用できない


5月27日

■■米Number Nine、ハイエンドビデオチップ「Ticket To Ride IV」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980527/nine.htm

WRAM (Window RAM)
 Samsung Electronics(三星電子)が'94年頃に開発した、ウィンドウベースのGUI向けビデオメモリ用に機能強化したデュアルポートRAM。'95年にMatrox社のMillenniumに搭載され、一躍有名になった。

 画面表示用のイメージを記録するメモリ(ビデオバッファ、フレームバッファ、ビデオメモリ、ビデオRAM、VRAMとも)は、描画回路(CPUやアクセラレータチップ)側と表示回路(RAMDAC、本連載第3回参照)側の二方向から、大量のアクセスが発生する。この様な用途に向けて、通常のDRAMに表示回路用の逐次読み出しポート(SAM:Serial Access Memory)を付加し、2系統のアクセスを同時に行なえるようにしたメモリチップがあり、これをデュアルポートRAMという。呼び名が重複してややこしいが、デュアルポートRAMは一般にVRAMと呼ばれている。

 WRAMは、このデュアルポートRAMをそれぞれに8bitのバスを接続した32のセルで構成することにより、内部バスを256bitに拡大。32バイト単位のブロック転送機能等を備え、高速化を図っている。


■■アルプス、技術展示会「ALPS SHOW '98」を開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980527/alps.htm

HiFD (High Capacity Floppy Disk)
ハイエフディ
 ソニーと富士写真フイルムが共同で開発した、200MBの大容量フロッピーディスク。'97年に発表され、当初は'98年春に出荷予定となっていたが、現時点ではまだ発売されていない。

 現行の3.5インチディスク用の広いギャップと、高密度用の狭いギャップの両方を有したヘッド(デュアルディスクリートギャップヘッド)を搭載し、3.5インチディスク(2HD/2DD)の読み書きもサポートする。このヘッドは、ハードディスクと同じようにディスクの回転によって浮上する非接触型で、200MBの高密度ディスク使用時には、3600rpmの高速回転によって、最大3.6MB/秒の転送速度を実現している。FD互換の大容量メディアには、松下寿電子工業、Imation、Compaq、O.R. Technologyの4社が共同で開発し、既に量産出荷中のSuperDisk(本連載第7回「SuperDisk」参照)、ミツミ電機とSwan Instrumentsの「UHC (Ultra High Capacity)」などがあるが、後発のHiFDは、容量、スピードともに他を上回っている。

【3.5'FDD互換メディアの比較】
名称3.5'FDDSuperDiskUHCHiFD
発表'80年'95年'96年'97年
記憶容量1.44MB120MB128MB200MB
最大転送速度500kb/s0.66MB/s2.45MB/s3.6MB/s
最大線記録密度17kbpi45kbpi68kbpi91kbpi
トラック密度135tpi2,490tpi2,673tpi2,822tpi
回転数300rpm720rpm3,600rpm3,600rpm
開発ソニー松下寿電子工業
Imation
Compaq
O.R.Technology
ミツミ電機
Swan Instruments
ソニー
富士フイルム

(注) 3.5インチFDDは1.44MBの場合
【単位】b/s:bit per second(ビット/秒)、B/s:byte per second(バイト/秒)
    bpi:bit per inch(ビット/インチ)、tpi:track per inch(トラック/インチ)
    rpm:rotations per minute(回転/分)


5月28日

■■ウェップシステム、外付け型リアルタイムMPEG-1エンコーダ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980528/wep.htm

コンポジット (composite video)
コンポーネント (component video)
S-Video
 テレビやビデオの映像は、輝度成分と2つの色差成分(青-輝度と赤-輝度)の三要素で構成されている。コンポジット信号は、この3つの信号と同期信号、カラーバースト信号などを全てひとつに合成した信号で、テレビ放送や一般向けのビデオ機器が備えているビデオ信号がこのタイプ。国内の場合には、NTSC(National Television System Committee)規格の信号なので、NTSC信号とも。

 これに対し、信号を独立して扱うタイプをコンポーネント信号という。何をどのように分離して扱うのかによって色々なバリエーションがあるが、合成-分離という余分なプロセスが介在しないため、鮮明な映像が得られる。業務用の機器やハイエンド向けのホームビデオではこのタイプが使われている。

 S-Video(Separated Video)は、主にホームビデオで使われているコンポーネント信号で、輝度信号と色信号の2つに分けて扱う。インターフェイスには、2回路分の4ピンのミニDINが使われている(コンポジットはオーディオと同じRCAピン)。


5月29日

■■AMD、3DNow!対応のK6-2発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980529/amd1.htm

3DNow!
スリーディナウ
 AMD社が開発しAMD-K6-2に実装した、浮動小数点演算の処理能力向上を主体とした、マルチメディア向けのプロセッサ技術。Intel社のMMX(本連載第14回「MMX」参照)をさらに発展させる形で実装され、21の新しい命令セットが追加されている。

 MMXは、ひとつの命令でまとまったデータを処理する機能や、整数演算を主体としたマルチメディア向けの命令セットを、浮動小数点演算用の拡張方法をそのまま使って実装している(MMX自体はAMD-K6からサポート)。
 MMXにフィットする処理ならば、劇的にパフォーマンスが向上するMMXだが、浮動小数点演算を多用する3Dグラフィックス等ではほとんど有効に利用できない。また、MMX用の命令と浮動小数点演算用の命令とが混在する場合には、切り替えのために大きなオーバーヘッドが生ずるという問題もある。

 AMD-K6-2では、切り替えのオーバーヘッドが短縮され、3DNow!で追加された新しい命令セットは、整数演算のほかに浮動小数点演算もサポート。3Dグラフィックスをはじめとするマルチメディア性能を向上させる手段を提供する。MMXと同様、あくまでアプリケーションが3DNow!命令を使用してはじめて高速化が実現するわけだが、Microsoft社の次のマルチメディアAPIであるDirectX 6で、3DNow!向けの最適化が行なわれるほか、OpenGL(本連載第3回「OpenGL」参照)やGlide(3Dfx Interactive社の3Dグラフィックスライブラリ)などのサポートも予定されている。

□AMD-K6-2プロセッサ(日本語)
http://www.amd.com/japan/products/cpg/k623d/index.html
□同英語版(AMD-K6-2のデータシートは6月2日現在英語版のみ)
http://www.amd.com/products/cpg/k623d/index.html
□MMX Technology
http://www.intel.co.jp/jp/developer/drg/mmx/

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp