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鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第134回:8月28日~8月31日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


8月28日

■■ダイジェスト・ニュース (8月28日)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digest/

DVD-R for Authoring Ver.2.0
ディーブイディーアール・フォー・オーサリング

 DVDフォーラムが2000年に策定した、業務用のDVD-R規格。

 DVD-R(DVD-Recordable)は、CD-Rと同様の一度だけ書き込める追記型のディスクである。Rディスクには、基板と反射膜の間に有機色素の記録層が設けられており、これを強いレーザーのパルス光で化学変化させることによって、ROMのピットに相当する反射率の低いマークを記録していく仕組みになっている。

 CD-Rが、当初からCD-ROMと同容量の互換メディアであったのに対し、'97年にリリースされたVer.1.0のDVD-Rは、技術的にまだ充分な容量を確保することができず、3.95GBという中途半端な容量に留まった。その後も、DVD-ROMと同容量の次期バージョンに向けた作業が進められ、'98年にはVer.1.9をリリース。翌年には4.7GBを達成した実機もほぼ完成していたのだが、DVD-ROMと完全互換のメディアであるがために、著作権に対するこれまで以上の保護対策が必要となった。

 2000年に入り、この4.7GBのDVD-Rは、オーサリングなどの業務向けの規格「DVD-R for Authoring(以下Authoring)」と、一般向けの規格「DVD-R for General(以下General)」に2分化。5月に、それぞれの物理フォーマットとAuthoringの論理フォーマット(ファイルシステム)の正式バージョンである2.0の標準化が完了し、業務向け のAuthoring対応製品の出荷が始まった。

 Authoring規格は、Ver.1.0以来の規格をそのまま継承した4.7GB版で、保護機構はドライブレベルでの対応となっている。ドライブは一般には販売されず、基本的には、オーサリングシステムの一部として、プロダクションなどに納められる形になっている。一方のGeneralは、一般向けの販売を前提とした規格で、Authoringと異なる650nmのレーザーを採用(Authoringは635nm)。記録特性そのものが異なり、それぞれの規格のディスクにしか書き込めない様になっている(書き込まれたディスクはどれでも読める)。また、保護されたDVDメディア特有の情報は、物理的に書き込めないようメディアレベルでの対策がなされている。

□DVD Forum
http://www.dvdforum.org/
【参考】
□DVD-ROM
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980127/key15.htm#dvd-rom
□DVD-RAM
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980127/key15.htm#dvd-ram
□DVD-R
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981029/key52.htm#DVD-R
□DVD-RW
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991014/key94.htm#DVD_RW
□DVD Video
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981029/key52.htm#DVD_Video
□DVD Audio
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990805/key87.htm#DVD_Audio
□DVD Video Recording
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991014/key94.htm#DVD_rec


8月30日

■■バンダイ、カラー化しパワーアップした「ワンダースワンカラー」
  汎用メモリカードがゲームカートリッジに!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000830/bandai.htm

FSTN液晶(FSTN~Film [compensated] Super Twisted Nematic)
エフエスティーエヌえきしょう

 液晶パネルと偏光板の間に、色補正を行なうための位相差板を設けた液晶ディスプレイ。

 TN(Twisted Nematic)液晶は、現在一般に使われている液晶ディスプレイの基礎となっているタイプである。これは、細長い棒状の分子構造を持つネマティック液晶を2枚のパネルの間に挟み込み、一方のパネルからもう一方のパネルに向けて、液晶分子を90度ねじれるように配列させた構造になっている。パネルに光を通すと、光は分子に沿ってねじれて進むが、パネルに電圧をかけると液晶が電界に沿って垂直に並ぶので、光も直進するようになる。これを、偏光方向が直行するように対向させた2枚の偏光板で挟み、一定方向の光だけを通すようにすると、電圧によって透過する光量が変化する、液晶ディスプレイの仕組みができあがる。

 液晶の駆動方式には、縦横に張りめぐらせた導線に電流を流し、交点を直接点灯させる単純マトリックス方式と、交点にスイッチング素子を加えて制御するアクティブマトリックス方式がある。一般にいうTN液晶は前者の単純マトリックス方式のものを指す(※1)。コストに優れたこのタイプは、電卓などに広く使われているが、画素数が増えると個々の交点に電圧がかかる時間が短くなってしまうため(※2)、コントラストの低下を招く。

 これを補うために、ねじれを180~260度程度にした液晶パネルが登場。これをSTN(Super Twisted Nematic)液晶といい、大画面の単純マトリックス型液晶には、このタイプやさらに画面を分割して個別に駆動するDSTN(Dual-scan STN)液晶が用いられる。ただし、光の波長による偏光状態のズレが大きく、白が黄緑に、黒が濃紺に着色。純粋な白黒表示ができず、カラー化にも適さない。FSTNは、これを補正するための位相差板を設けた液晶で、無彩色表示の白黒液晶をはじめカラー液晶にも応用。小型・軽量・低消費電力・低コストが強く要求される携帯端末機器では、このタイプの液晶ディスプレイが主流となっている。

(※1)アクティブマトリックス方式であるTFT液晶も液晶のタイプとしてはTN型を使用している。
(※2)電圧をかける時間を維持すると、画素数が増えるにしたがって表示ムラが増え始め、ついには全体が一様に点灯しているようには見えなくなってしまう。

【参考】
□TFT(Thin Film Transistor)液晶
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971216/key11.htm#TFT
□ポリシリコンTFT液晶
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980924/key47.htm#polysilicon_TFT
□HR-TFT(High Reflective-Thin Film Transistor)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980331/key24.htm#HRTFT
□DSTN(Dual-scan SuperTwisted Nematic)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981126/key56.htm#DSTN
□MVA(Multi-domain Vertical Alignment)方式
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990210/key64.htm#MVA


■■元麻布春男の週刊PCホットライン
  FD互換ストレージデバイスを比較する(後編)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000830/hot106.htm

ウォームブート(warm boot)

 起動しているPCを再起動する方法の1つ。
 電源を切った状態からPCを起動すると、起動に際し、システムの全初期化プロセスが実行される。これを、コールドブート(cold boot)あるいはコールドスタート(cold start)という。電源スイッチを入れて起動した場合はもちろんだが、本体のリセットスイッチを押して再起動させた場合も、動作はこのコールドブートになる。

 これに対し、起動中のPC上で、[Ctrl][Alt][Delete]の3つのキーを同時に押して再起動させたり、メニューなどから再起動を実行することをウォームブート、ウォームスタート、あるいはソフトブートといい、最小限の初期化プロセスのみを実行して再起動する。

 ちなみに、オーソドックスなPCのシステムレベルのウォームブートでは、メモリチェックなどが省かれるのだが、最近のマシンではコールドブートでも省略されている場合があったり、電源を切っても、実際にはソフトウェア的にオフになっているだけという場合も多い。


8月31日

■■ダイジェスト・ニュース (8月31日)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digest/

D-VHS
ディーブイエイチエス

 日本ビクターが中心となって開発した、デジタル記録を可能にしたVHS規格。

 VHS(Video Home System)は、同社が'76年にリリースした、1/2インチテープを使ったカセット方式のVTR(Video Tape Recorder)で、家庭用のVTRとして広く普及している。D-VHSは、このVHSのデジタルフォーマット規格で、同社が'95年に発表。'97年には米国で、'99年には国内で製品の発売が開始されている。

 従来のVHSのメカニズムを応用しデジタル記録に対応させたもので、現行のアナログ放送の録画に加え、ビットストリーム記録を実現しているのが大きな特徴となっている。アナログ放送などの記録に際しては、内部的にはMPEG-2にエンコードしてデジタル記録されるが、ビットストリーム記録では、エンコードやデコード、スクランブルの解除などを一切行なわずに、デジタル放送の信号をそのままの形でテープに記録。再生時には、IEEE-1394インターフェイスを使ってそのままの形で出力する。すなわちビデオデッキは、放送をタイムシフト(※1)させるための単なるストレージとして機能する。

 記録モードは、SDTVのビットストリーム記録に対応する、最初に規格化された「STD(standard)モード」に加え、'98年には、HDTV(High Definition Television~高精細度テレビジョン放送)やSDTV(Standard Definition Television~標準テレビジョン放送)の多チャンネル放送(※1)のビットストリーム記録に対応する「HS(high speed)モード(※2)」と、長時間記録のための4種類の「LS(low speed)モード」を規定。D-VHSテープは、STDモードでの録画時間を基本に命名されており、以下のような記録時間となる(記録時間を優先すれば画質は劣化する)。

【D-VHSの記録モード】
モードHSSTDLS2LS3LS5LS7
テープスピード
(mm/sec)
33.3516.678.335.553.332.38
メインデータ入力レート28.2Mbps14.1Mbps7.0Mbps4.7Mbps2.8Mbps2.0Mbps
サブデータ入力レート0.292Mbps0.146Mbps73.0Kbps48.7Kbps29.2Kbps20.9Kbps
記録レート38.28Mbps19.14Mbps
記録時間
480分メディア
(50.7GB)
4時間8時間16時間24時間40時間56時間
420分メディア
(44.4GB)
3.5時間7時間14時間21時間35時間49時間
300分メディア
(31.7GB)
2.5時間5時間10時間15時間25時間35時間
240分メディア
(25.3GB)
2時間4時間8時間12時間20時間28時間

(※1)最近では、録画しながら同時に再生する機能を指すことが多いようだが、本来は、放送を時間をずらして見られるという意味で、家庭用VTRが発売された当初のキャッチフレーズになっていた。

(※2)HDTVのプログラムが使用する帯域(約23Mbps)は、SDTVの3本分に相当し、HDTVの放送以外にSDTVの3番組を同時に放送することができる。HSモードでは、これらの信号をそのままの形で記録することができる。このモードの搭載機には、「デジタルハイビジョンビデオ」という愛称が付けられている。

【参考】
□家庭用ビデオの規格
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000824/key132.htm#video

[Text by 鈴木直美]


【PC Watchホームページ】


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