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COMPUTEX TAIPEI 2000レポート

【CPU編】Duronがイレギュラーなフライング展示
VIAはCyrix IIIのコアをSamuel1に変更

会期:6月5日~6月9日

会場:Taipei International Convention Center(TICC)
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall 2


 昨日のレポートでは、AMDが発表したL2キャッシュがフルスピードになった新しいAthlonプロセッサに関するレポートをお伝えしたが、このレポートでは会場で発見したCPU関連のレポートをお伝えする。特に、AMDがまだ発表していないはずのDuronプロセッサが展示されていたり、ニューバージョンのCyrix IIIが本日突然発表されるなどいくつかの新しい注目の動きがあった。


●ALiのブースでDuronプロセッサが展示!

ついに公開されたDuronプロセッサ。128KBのL1キャッシュ、64KBのL2キャッシュを搭載して、6月26日にリリースされる見通し。Thunderbirdと比較すると、CPUコアの右横に引かれている斜線の部分が大きく、CPUコアが若干小さいのがわかる 昨日発表されたばかりのL2キャッシュオンダイAthlon。Duronと比較すると斜線部の面積が小さく、ダイサイズが大きいことがわかる

 5日のAMDの発表会ではThunderbirdこと新Athlonプロセッサは発表されたものの、Spitfire(開発コードネーム)ことバリューPC向けのAMD Duron(デュロン)プロセッサ(以下Duron)は、特定のOEM向けの出荷は明らかにされたものの、実際の製品発表はお預け、公開されたのは製品の価格だけという状況だった。

 ところが、本日筆者がチップセットベンダのALi(Acer Laboratories Inc.)のブースへ行ってみたところ、なんとそのDuronが展示されていたのだ。ただし、近くにあったポップには「Athlonプロセッサ」とかかれていたので、どうもAthlonと勘違いされて展示されている可能性が高い。ALiの担当者にそのことを指摘したところ、「なんでだろう?」と首を傾げていたのでどうも何らかの手違いであるようだ。この記事がでる頃には、撤去されている可能性があるので興味があるCOMPUTEX来場者は早めにみておくといいだろう。

 このDuronのCPUコアの表面には「AMD Duron」とかかれているほか、その下の段には「00750AST1B」とかかれており、どうも750MHzのDuronであるようだ。しかし、昨日のレポートでもお伝えしたように、AMDは出荷中のDuronは600/650/700MHzの3製品のみで、750MHzは存在していない。これは、750MHzのDuronが実際に存在していることの現れといえるだろう。複数の情報筋によれば、Duronの正式発表日は6月27日からニューヨークで行なわれるPC EXPOの前日に当たる6月26日に発表されると言われており、その時点では750MHzが追加される可能性があるといえる。


●VIA TechnologiesのCyrix IIIは出荷前にしていきなりSamuel1コアに変更される

VIA Technologiesのブースで展示されていたSamuel1コアの新Cyrix III。L1キャッシュ128KBで、L2キャッシュはなし 2月のCeBITで公開されたJoshuaコアのCyrix III。こちらはお蔵入りとなってしまう

 Cyrix、Centuar Designの2社を買収したVIA Technologies(以下VIA)は、2月のCeBITでCyrixのコードネームJoshua(ジョシュア、開発コードネーム、Cyrix時代はGobi)で呼ばれていたCPUコアを利用した製品を「Cyrix III」として発表した。しかし、CeBITの会場でVIAはCyrix IIIのコアを、JoshuaからSamuel1(サミュエルワン、開発コードネーム)に変更したことを明らかにした。

 Samuel1はCentuar Designが開発していたWinChip4コアを、P6バス(IntelがPentium III Celeron用に利用しているシステムバス)へと対応させたCPUコアだが、L1キャッシュがJoshua(旧Cyrix III)の64KBに比べて倍の128KBとなっているものの、L2キャッシュは搭載されていないという特徴がある。VIAは2月にCeBITの会場で開催されたCyrix IIIの発表会で、Samuel1はCyrix IIIの後継CPUとして位置づけていたが、今回そちらをJoshuaに変えてCyrix IIIのCPUコアとするという。JoshuaコアのCyrix IIIに関しては、情報筋によれば一部OEMメーカーなどにサンプル供給はされていたが、開発は思ったように進んでいなかったといい、COMPUTEXの直前にもそうした動きがあるのではないかという噂が広がっていた。

 気になるクロックだが、533/667MHzの2種類が発表されたが、VIAのマーケティングセクションマネージャ シャネ・デニムソン氏によれば「733MHzもまもなく追加される」ということで、システムバス133MHzの3製品がラインナップされることになる(なぜ600MHz版がないのかは不明だが)。今回のCyrix IIIはP-Rating(他社のCPUのどのクロックに相当するかを示す数字)ではなく、実クロックとなっている。多くのビジネスアプリケーションにおける性能に大きな影響を与えるL2キャッシュが搭載されていないことで、正直なところパフォーマンスはあまり高そうではない。そのため、ターゲットとする市場は「デスクトップPCではバリューPCセグメント、モバイルPCではすべてのセグメント」(デニムソン氏)としており、ベンチマーク結果などパフォーマンスよりもクロックの数字が大事とされているバリューPCセグメント、あるいはL2キャッシュが搭載されていないことで省電力の面で有利であることを生かしてモバイル市場をターゲットにしていくということを明らかにした(ただし、モバイル向けのパッケージは特に用意されず、Socket 370のPGAパッケージのみとなっている)。

 また、L2キャッシュを搭載したSamuel2(サミュエルツー、開発コードネーム)について「Samuel2はSamuelコアのCyrix IIIよりも1四半期遅れで出荷する」(デニムソン氏)ということで、割と時間をあけずにL2キャッシュをオンダイとしたSamuel2も投入されるようだ。また、Samuel2のL2キャッシュは、CeBITでは256KBと説明されたものの、「Samuel2のL2キャッシュは64KBになり、オンダイのAthlonやDuronと同じようなキャッシュの仕組み(筆者注:エクスルーシブキャッシュのこと)になっている」(デニムソン氏)ということで、製品投入時には64KBとなるようだ。なお、旧Cyrix III(Joshuaコア)についてだが、「Joshuaコアは特別な用途など限られた用途にしか利用されない。大量出荷版のCyrix IIIはすべてSamuel1ベースとなる」(デニムソン氏)とのことで、今後JoshuaコアのCyrix IIIは実際には市場に投入されず、幻のCPUとなってしまうようだ。

□関連記事
【6月6日】VIA、128KBのL1キャッシュ搭載のCyrix III発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000606/via.htm


●懐かしいRiSE TechnologyはmP6コアをIA用に転用し、システムオンアチップを展示

RiSE TechnologyのiDragon SCX501。今後、RiSEはこうしたシステムオンアチップに力を入れていくと言うことだ
 RiSE Technologyと言えば、mP6というSocket 7用のCPUを発売したが、さほど話題になることもなく、昨年10月に開催されたMicroprocessor Forumで講演を直前になって取りやめたため、事実上x86プロセッサ事業から撤退したと思われていた。しかし、COMPUTEXではブースを構えており、2つの製品を展示していた。

 2つの共通のブランドはiDragonというもので、1つが「iDragon mP6」、もう1つが「iDragon SCX501」という2製品だ。前者は、あのmP6改名版であり、基本的な機能はmP6と大きな違いはない。ただし、用途の方は明らかにインターネットアプライアンス(IA)用などを意図しており、そうしたデモなどを行なっていた。後者の方は、チップセットの機能を統合して1チップとしたいわゆるシステムオンアチップで、NationalSemiconductorのGeode(ジオード)などと同じような製品だと考えるとわかりやすいだろう。スペックは以下のようになっている。

iDragon SCX501
 ・x86 CPUコア
 ・SDRAMメモリインターフェイス(66MHz)
 ・FPM/EDO SDRAMサポート
 ・2Dグラフィックスアクセラレータ(UMA)
 ・ビデオインプット
 ・ビデオパイプライン
 ・テレビアウトプット
 ・PCIバスコントローラ
 ・ISAバスコントローラ
 ・DMA・割り込みコントローラ
 ・16bitローカルバス(オプション)
 ・IDEコントローラ(PIOモード5)
 ・パワーマネジメント機能

 RiSEと言えば、昨年SiSにmP6コアの利用権を付与したことがニュースになった(ちなみにSiSはSiS550という統合型CPUを計画している)が、今回のiDragon SCX501に統合されたチップセットがSiSのものだというわけではなさそうで、RiSEの関係者はどこのチップセットが統合されたかに関しては語らなかった。いずれにせよ、基本的には組込用で自作派ユーザーにはあまり関係がなさそうだ。

□COMPUTEX TAIPEI 2000のホームページ(英文)
http://www.computex2000.com/

(2000年6月7日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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COMPUTEX TAIPEI 2000
レポート インデックス

【2000/6/13】
石井英男の「COMPUTEX TAIPEI 2000」レポート:番外ケータイ編

【2000/6/12】
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【2000/6/5】
Intel、820Eを発表。外部AGP対応統合チップセット815も事実上の解禁

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp