COMPUTEX TAIPEI 2000レポート
【速報】AMDがThunderbirdこと新Athlonプロセッサ発表
会期:6月5日~6月9日
会場:Taipei International Convention Center(TICC)
Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall
Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall 2
CPU戦争でIntelと激しい争いを続けるAMDは現地時間の6月5日、Computexが開催中の台北市内のホテルで記者会見を開催し、これまでThunderbirdのコードネームで呼ばれてきたL2キャッシュオンダイのAthlonプロセッサをついに正式発表した。同時にAthlon技術を応用したバリューPC用CPUであるDuron(デュロン)プロセッサのOEM向けの出荷開始をアナウンスした。
●「新しいAthlonプロセッサは半導体の新時代を切り開く」とラズ氏
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AMDのヘクター・ラズ社長兼COO |
最初に壇上に登場したのがAMDのヘクター・ラズ社長兼COOで、これまでコードネームThunderbirdで呼ばれていたL2キャッシュオンダイのAthlonプロセッサのラウンチをアピールし、「新しいAthlonプロセッサは半導体の新時代を切り開く」と述べた。さらに、同社がドイツのドレスデンに設立していたFab30で作られた銅配線のAthlonを、実際に出荷したことを明らかにし、「最低でも2,500万個のCPUを出荷し、コマーシャル、エンタープライズマーケットで成功することが今年のトッププライオリティである」と述べ、これまで成功を収めたコンシューマ市場のみならず、今後は企業市場へ注力していくことを明らかにした。
□ニュースリリース(英文)
http://www.amd.com/news/prodpr/20108.html
□ニュースリリース(和文)
http://www.amd.com/japan/news/prodpr/nr20108.html
引き続き壇上に上ったVIA Technologiesのウェン・シー・チャン社長兼CEOは、「これまでのVIAとAMDのパートナーシップはかなり成功してきた。今回発表するKT133チップセットで、AMDのプラットフォームを拡張していく」と述べ、さらに第3四半期にはSavage4コアを統合した統合チップセット(Apollo KM133の製品名で知られている)、第4四半期には266MHzのFSB、DDR SDRAMをサポートしたSocket A用のチップセットをリリースすることを明らかにした。
□ニュースリリース(英文)
http://www.via.com.tw/news/00pm133.htm
●L2キャッシュがオンダイとなった新Athlon
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公開されたSocket AのAthlonプロセッサ(L2キャッシュオンダイ) |
今回AMDが発表したCPUは、Thunderbird(サンダーバード)の開発コードネームで知られており、これまでのK7やK75というコードネームで知られている従来型AthlonのL2キャッシュがオフダイ(CPUダイとは別にL2キャッシュが搭載されていること)になっていたのに対し、L2キャッシュがオンダイ(CPUダイにL2キャッシュが統合されている)化されているのが特徴だ。たとえば、従来型であるオフダイのAthlon 1GHzのL2キャッシュは、CPUコアクロック(1GHz=1,000MHz)の1/3倍、つまり333MHzで動作していたのに対して、オンダイとなっている新AthlonはCPUコアクロックと同じ1GHzとなっている。
【新旧AthlonのL2キャッシュの違い】
| CPUコア | L2キャッシュ(容量) |
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旧Athlon | 1GHz | 333MHz(512KB) |
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新Athlon | 1GHz | 1GHz(256KB) |
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ほとんどのアプリケーションではL2キャッシュの動作クロックが処理速度に与える影響は決して小さくなく、同じCPUコアではあるがL2キャッシュがオンダイになっただけで大幅なパフォーマンスアップを期待することができる。
L2キャッシュの容量は512KBから、半分の256KBへと縮小されているが、この容量縮小を補う仕組みが導入されている。それがエクスルーシブキャッシュだ。エクスルーシブキャッシュは、L1キャッシュとL2キャッシュを排他的に制御する仕組みのことで、L1キャッシュに入っているデータはL2キャッシュから削除し、逆にL2キャッシュにデータが入っている場合にはL1キャッシュからデータを削除し、二重にデータが入っていないようにして、キャッシュの効率を上げる仕組みが採用されている。
なお、システムバス(200MHz)やL1キャッシュの容量(128KB)、エンハンスド3DNow!サポートなどは従来のAthlonと同等であり、クロックと日本での価格(1,000個ロット時単価)は以下の通り。
1GHz 118,800円
950MHz 91,080円
900MHz 70,680円
850MHz 60,840円
800MHz 43,080円
750MHz 38,280円
Duronに関してはOEMメーカーに関する出荷がアナウンスされた。Duronのクロックと価格(1,000個ロット時単価)は以下の通りだ。なお、実際の製品発表は6月末にアナウンスする予定とされている。
700MHz 23,040円
650MHz 18,480円
600MHz 13,440円
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VIAのSocket Aマザーボード |
HPおよびCompaqのAthlon 1GHz搭載マシン |
□COMPUTEX TAIPEI 2000のホームページ(英文)
http://www.computex2000.com/
□COMPUTEX TAIPEI 2000のホームページ(和文、TCA対日輸出促進センター)
http://www.ippc.com.tw/comp2000/default.asp
(2000年6月5日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]
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