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COMPUTEX TAIPEI 2000レポート
【イメージングデバイス編】

デュアルモードデジカメが大流行、スケルトンスキャナも

会期:6月5日~6月9日

会場:Taipei International Convention Center(TICC)
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall 2


 筆者がCOMPUTEXを訪れるのは今年で3回目になる('99年と'96年に参加)。昔はデジカメを持っているのは日本人と相場が決まっていたが、年々デジカメを持っている来場者が増えてきている。デジカメを展示しているブースも増え、来場者の関心も高い。また、低価格フラットベッドスキャナなどは、台湾で製造されている製品も多い。そこで、イメージングデバイス編と題して、デジカメやスキャナ、プリンタといった画像関連の周辺機器で、面白かったものを紹介しよう。


●PCカメラにもなる35万画素クラスのデュアルモードデジカメが主流

 世界のデジカメ市場を牽引しているのは、間違いなく日本である。日本では、200万画素や300万画素を超えるCCDを搭載したハイエンド製品が人気だが、コスト意識の高い欧米では、80万画素や130万画素クラスの製品が中心である。COMPUTEXの会場で展示されていたデジカメは、さらに下のクラスである35万画素程度の製品が主流であった。「単なる35万画素クラスのデジカメならわざわざ取り上げることもないのでは?」と思われるだろうが、実はそうではない。

 COMPUTEXで展示されていた35万画素クラスのデジカメのほとんどは、単体でデジカメとして使えるだけでなく、PCに接続することでPCカメラとしても利用できるデュアルモードデジカメだ。PCカメラとは、PCに接続して直接動画をリアルタイムに取り込むための小型カメラで、Netmeetingなどのいわゆるビデオカンファレンスソフトで主に使われる(ディスプレイの上などに乗せる「目玉おやじ」のような製品を思い出してほしい)。PCカメラは、画質はそれほど重視されず(VGA以下の製品も多い)、コストとサイズが重要なポイントとなっている。

 デュアルモードデジカメは、USBでPCと接続して、撮影した画像を転送できるだけでなく、リアルタイムに画像を取り込めることが特徴だ。日本製のデジカメでも、ビデオ出力端子からリアルタイムに画像を出力できる製品はあるが、その場合は、PC側にビデオキャプチャ機能がないと、PCカメラとして利用することはできない。しかし、デュアルモードデジカメなら、USBポートに接続するだけでPCカメラとしても利用できるので、サブノートなどで使うにも便利だ。まさに一台二役の製品だといえるだろう。

 TOPTRONIC INDUSTRIALのブースでは、SKINAブランドで2つのデュアルモードデジカメが展示されていた。PDV-300は、1/4インチCCDを搭載したVGAクラスデジカメで、サイズは名刺を一回り大きくした程度である。2MBのフラッシュメモリを内蔵し、高画質モードで32枚の画像を保存できるほか、スマートメディアも利用できる。液晶ファインダーを装備していない分、価格も75ドルと手頃だ。PCカメラモードでのキャプチャレートは、VGA(640×480ピクセル)で20フレーム/秒以上、CIF(352×288ピクセル)では30フレーム/秒である。PDV-301は、PDV-300よりもさらに小さな製品で、サイズはほぼ名刺大。基本スペックはPDV-300とほぼ同じだが、こちらは内蔵フラッシュメモリ(2MB)のみで、増設や交換はできない。価格は70ドル程度になるそうだ。

TOPTRONIC INDUSTRIALのPDV-300。スマートメディアに対応していることが特徴 PDV-301は、ほぼ名刺サイズを実現しており、気軽に持ち運べる

Minton Optic IndustryのS-Cam F2。なかなか可愛らしいデザインである
 Minton Optic IndustryのS-Cam F2は、若い女性にも似合いそうなパステルカラーのデュアルモードデジカメだ。35万画素CMOSイメージセンサーを採用しており、画素補間によって最大1,024×768ピクセルでの撮影が可能である。画像は2MBの内蔵フラッシュメモリに保存される(増設は不可)。また、秒1コマで4連写する機能や160×120ピクセル20フレーム/秒で最大40秒の動画を撮影する機能も備えている。ファインダーは光学のみ。量産出荷は7月で、65ドル程度になるという。

T.N.C. IndustiralのTiNyCam DV 300U
 T.N.C.Industrialブースで展示されていたTiNyCam DV 300Uは、30万画素CMOSイメージセンサーを採用したデュアルモードデジカメだ。最大解像度は640×480ピクセル(以下VGA)。2MBのフラッシュメモリを内蔵しており、VGAモードで20枚の画像を記録できる。

PRETECのDC-520。トランスルーセントモデルも展示されていた
 PRETECブースには、ローエンドモデルからハイエンドモデルまでさまざまなデジカメが展示されていた(詳しくは後述)。DC-520は、CMOSイメージセンサーを採用したデュアルモードデジカメである。USB端子だけでなく、ビデオ出力端子も備えていることが特徴だ。2MBの内蔵フラッシュメモリ(増設は不可)に高画質モードで16枚、エコノミーモードで32枚の画像を記録することができる。価格は129ドルとのことだ。


●MP3を再生できるデジカメや230万画素クラスのデジカメも登場!

 PRETECブースには、モックアップを含み、全部で6モデルものデジカメが展示されていた。最もローエンドに位置するのが、デュアルモードデジカメのDC-520だが、それ以外にも、DC-530/620/800/1500/2000という製品が展示されていた。その中でも、特に興味を持ったのが、MP3再生機能を備えたDC-530とハイエンドモデルのDC-2000である。

 DC-530は、富士写真フイルムから発表されたFinePix40iと似たコンセプトの製品だが、FinePix40iよりもずっと安い(実売199ドル程度)。その代わり、デジカメとしての性能は低く、撮影解像度はVGA止まりである(CMOSイメージセンサーを採用)。画像記録用に2MBのフラッシュメモリを内蔵しているが、もちろんそれだけではMP3ファイルを格納するには足りない。DC-530は、Type2 CFカード対応スロットを備えているので、最大320MBまでのCFカードを利用することができる。スマートメディア対応のFinePix40iでは、現時点で最大64MBまでしか利用できないので、容量面ではDC-530のほうが有利だ。FinePix40iは、あくまでデジカメが主で、MP3再生機能はおまけ的な存在であるのに対し、DC-530は、デジカメにもなるポータブルMP3プレーヤーといったほうがふさわしいかもしれない。

PRETECのMP3再生機能を備えたデジカメDC-530。前面に曲数などを表示する液晶パネルが設けられている 裏面(ファインダー側)はシンプルだ

230万画素CCDを搭載したハイエンドモデルのDC-2000
 ハイエンドモデルのDC-2000は、COMPUTEX会場で展示されていたデジカメの中で、最も高性能な製品である。ほかのブースで展示されていたデジカメは、ハイエンドモデルでも150万画素止まりなのに対し、DC-2000は、230万画素CCD(1/1.75インチ)を搭載し、最大1,792×1,200ピクセルでの撮影ができることが売りだ。日本のユーザーは、230万画素といっても特に驚かないだろうが、こちらではかなりのハイエンドモデルとしてとらえられているようだ。スペック的にも、1.8インチTFT液晶ファインダーや2.3倍光学ズームおよび2倍デジタルズームを装備しており、日本製の同クラスの製品と比べても、見劣りはしない。ただし、会場で展示されていたのはモックアップであり、実機が登場するのはまだ先のようだ。


●スキャナでもトランスルーセントが流行?

 '99年のCOMPUTEX会場では、iMacのヒットにあやかろうとしたのか、トランスルーセントボディを採用した周辺機器がずらりと登場したが、今年もその流行は衰えてはいないようだ。USB HubやEthernet Hub、マウス、キーボード、ケースなどのトランスルーセント製品は飽きるほど目にするが、「こんなものまで?」と思われるような製品をいくつか見つけたので紹介したい。その製品とは、トランスルーセントボディのスキャナである。

AvigrammのポータブルシートフィードスキャナMiniDoc。内蔵バッテリで駆動できる
 AvigrammのMiniDocは、ポータブルタイプのシートフィードスキャナである。内蔵充電池でも動作することが特徴だ。重量も510g(バッテリ込み)と軽いので、ノートパソコンと一緒に持ち歩くにも最適だろう。以前から銀色の製品は存在したが、今回新たにiBookのオレンジ色(タンジェリン)にそっくりな色の製品が加わった。インターフェイスはUSBで、Windows 95/98、Mac OS 8.6以降に対応しているという。日本に出荷する予定もあり、価格は16,000円程度になるそうだ。光学解像度は300×600dpiで、A4縦の読み取りが可能である。スキャナのボディが透けていると、正しく原稿をスキャンできるのか不安になるが、とりあえず問題はないようだ。

 Pacific Image ElectronicsのPrimeFilm 1800iは、日本ではあまり新製品が登場しなくなったフィルムスキャナである。対応フィルムは35mmフィルムのみで、APSに対応していないのが残念だが、実売229ドルから249ドルと比較的安いので、ポジフィルムやネガフィルムから画像を取り込みたい人には、魅力的な製品である。光学解像度は1,800dpiであり、パーソナルユースなら十分だろう。インターフェイスにはUSBを採用し、WindowsとMacintoshの両方のプラットフォームに対応している。

Pacific Image ElectronicsのフィルムスキャナPrimeFilm 1800i 手前のフタを持ち上げて、フィルムをセットする

 TECO IMAGE SYSTEMSのブースでは、小型フラットベッドスキャナが2モデル展示されていた。Genie Scan 600Rの光学解像度は600×600dpi、Genie Scan 300Rの光学解像度は300×600dpiで、そのほかのスペックは両モデルとも共通だ。読み取り範囲は99×148mmで、重さは479gと軽い。USBバスパワーで動作することも特徴だ。価格は180ドル程度(Genie Scan 300R)とのことだ。

TECO IMAGE SYSTEMSの小型フラットベッドスキャナGenie Scan 300R こちらは上位モデルのGenie Scan 600R


●CFカードから直接印刷できるフォトプリンタ

AkicaのCFカードスロットを装備したフォトプリンタEZfoto。プリクラのような分割印刷も可能だ
 Akicaブースでは、CFカードスロットを備えたフォトプリンタ(染料熱拡散転写型)が展示されていた。PCを経由せず、デジカメで撮影した画像データが入ったCFカードをプリンタに挿入するだけで印刷できる。解像度は300×300dpiで、ピクセルごとに1,677万色での表現が可能なので、印刷クオリティはカラー写真に匹敵する。価格は400ドル程度とのことだ。日本では、すでに似たコンセプトの製品が発売されているが、COMPUTEX会場でこの種の製品が展示されるようになったことは、デジカメが世界的に普及してきたことの1つの証拠ともいえるだろう。

□COMPUTEX TAIPEI 2000のホームページ(英文)
http://www.computex2000.com/

(2000年6月8日)

[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp