COMPTEX TAIPEI 2000レポート
|
会場:Taipei International Convention Center(TICC)
Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall
Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall 2
DDRと聞いて、あなたは何を連想するだろうか? Double Data Rateだろうか? それともDance Dance Revolutionだろうか? パワーユーザーなら、前者の動向が気になるのだろうが、一般的に知名度が高いのは後者のDDRであろう。知っている人には、わざわざ説明するまでもないだろうが、Dance Dance Revolutionとはコナミの踊りゲーである。ルールは単純で、画面の下から上に向かって流れてくる矢印にあわせて、フットパネルを足で踏めばOKだ。ゲームセンターで大ヒットし、プレイステーションやドリームキャストにも移植されたので、「ああ、あれか」と思う人も多いことだろう。
筆者は、自他共に認めるDDRフリークである(そのわりに腕はたいしたことない。アーケードの2ndのアナパラマックスはクリアできたが、3rdだとアナザーでクリアできない曲が数曲あって、SSRなんてとてもやる気がしないといえば分かる人には分かるだろう)。
そんな筆者が驚いたのは、COPMUTEX会場のあちらこちらで、DDRそっくりの製品がみられたことだ。あるブースでは、客引きのためにDDR大会を開催し、またあるブースでは、PCで動作するDDR風ソフトを展示し、さらにほかのブースではTVに接続するだけで、スタンドアロンで動作するDDR風ゲーム専用マシンが展示されていた。DDR(本物のDDRではなく、あくまでDDR風ソフトなところがミソ)大会を開催していたブースには、黒山の人だかりができていた。ある意味、COMPUTEX TAIPEIの影の主役といえるかもしれない。
そこで、COMPUTEX TAIPEI 2000やじうまレポート特別編として、「COMPUTX TAIPEIもう1つのDDR事情」を紹介しよう。
●RiSEブースとFICブースで繰り広げられていたDDR(もどき)大会
RiSEブースは、TWTCのホール1に出展しているブースの中では、それほど大きな規模ではなく、場所的にも特に恵まれているとはいえなかったが、DDR(もどき)大会を開催することで、来場者の関心を集めることに成功していた。RiSEのDDR大会は1日に5回ほど開かれ、5日間通しての最高得点者にはDVDプレーヤーがプレゼントされるとのことだ(それ以外は特に賞品らしい賞品はない)。RiSEのDDR大会では、PC上で動作するDDR風のソフトが使われていた。ソフトの名称は「CyberGroove2000 熱舞」で、「5,6,7,8」や「MachoMan」といったメジャーな曲が収録されていたが、ソフトの完成度はいまいち。背景の画像が貧弱なのと、矢印のスクロールがややぎこちなく、足譜が曲にあってない部分も見受けられる。
RiSEの大会で使われていたコントローラがプレイステーション用のコントローラとそっくりなマット状のもので、アーケードで使われているフットパネルに比べて踏んだ感触が弱いため、8分の連続などはかなり踏みにくい(プレイステーション版でもそうなのだが)。と、文句ばかり言っていることからも容易に推察できるとおり、筆者も挑戦してみたのだが、惨敗に終わった。RiSEの大会では、司会者が強制的に曲を選択するのだが、女性がプレイする場合は簡単な曲、男性がプレイする場合は難易度の高い曲(困難モード)が選ばれてしまう。そのため、男性は途中でゲームオーバーになってしまう人が続出していた。筆者も、合計5回挑戦したのだが(コンパニオンに顔を覚えられ、ゲームオーバーになっても、また挑戦してみろと言われてしまった)、一度もクリアすることはできなかった。かなり悔しかったのだが、ブースに書かれていたその時点での最高得点者はとんでもない高得点をマークしていたので、さっさとあきらめることにした。
RiSEブースのダンスゲーム大会の告知ポスター。会期中のトップには、DVDプレーヤーが賞品としてプレゼントされる | 大会中の様子。ヒールや高いサンダルを履いている女性は靴を脱いでプレイしている人もみられた | 大会中はなかなか近寄れないほどの人だかりに |
TWTCのホール2に出展していたFICのブースでも、大規模なDDR(もどき)大会を開催していた。RiSEよりも賞品が豪華で、挑戦者全員にTシャツや腕時計などが配られていたほか、各回の最高得点者にはシマンテックのバックパックとAMDのポロシャツがプレゼントされていた。RiSEと同じく、大会は1日5回開催されており、1日を通しての最高得点者にはAMD製CPU、2番目の人にはマザーボード「KA-11」をプレゼントするという大盤振る舞いであった。また、付属のマットではなくプラスチック製のフットパネルをお立ち台のような円形ステージ中央に設置するなど、設備自体にも力が入っていた。FICのブースで使われていたDDRもどきのソフトは「Crazy Dancing 舞光十射」という名称のソフトである。ソフトの完成度はなかなか高い。背景で、ポリゴンで描かれた人物がスムーズに踊っているなど、ビジュアル的にも本家DDRに負けてない。
こちらは、プレーヤーが好きな曲や難易度を選べるので、クリアは比較的しやすい。難易度は、EASY、NORMAL、HARDの3種類で、曲数も20曲近くはあった。筆者は、初日(5日)にFICブースのDDRイベントを見つけて、挑戦してみようと思ったが、初日はすでに最後のステージが終わったところでプレイすることはできなかった。大会1回の参加者は、だいたい6~7人で、手を挙げていればほぼ選ばれる。大会と大会の間も、コンパニオンの子がステージ上で踊っていて、かなりの人を集めていた。
7日にまたFICブースを訪れたときは大会と大会の間だったのだが、前のほうでやりたそうな顔をしてたら、プレイさせてもらえた。最初NORMALで1曲プレイし感じがつかめたので、HARDを選んでみたら、足譜自体も難しいが、矢印のスクロール速度が通常の2倍速になっていて、かなりとまどった。それでも一応クリアしたら、Tシャツと腕時計をもらえた。ステージの上に大きなモニターが設置されているのだが、本物のDDRの筐体よりもモニターが上にあるので、頭上を見上げて踊る格好になるので、なかなか難しい。それでも、フットパネルの感触がアーケードの筐体に近いので、プレイしていて楽しかった。
FICブースのダンスゲーム大会の告知ポスター。こちらのほうが大盤振る舞いである | とんでもなく上手かったサクラの女の子。来場者も感嘆の眼差しで見つめている | コンパニオンの子が踊っている様子。円形ステージを設置するなど、力が入っている |
8日の午後2時頃にFICブースを通りかかると、ちょうど本日3回目の大会がおこなわれているところであった。三度目にしてやっと、大会に参加することができた。大会のルールは、好きな難易度・曲を1曲プレイし、そのステージ終了後の得点を競うというものであった。舞光十射では、連続して20回や50回、Good以上を出すと、ステージ終了後にスペシャルボーナスが入るのだが、それはカウントしていないようであった。また、本家DDRとはスコア計算の仕組みが違っていて、繋げることでスコアが急激に伸びるわけではなく、踏むタイミングがExcellentなら1つにつき5万点、Goodなら2万点、というように加算されるので、難易度の高い曲(=矢印の数が多い)を選ぶほうが有利である。筆者はHARDの中では比較的簡単な曲を選んで(曲名は忘れたが、知らない曲だった)クリアしたところ、916,000点をマークし、その回ではトップとなり(ちゃんと踏めなかったところが結構あったので、自分ではあまりいい出来とは思わなかったのだが)、バックパックとポロシャツをもらった。
1日に開かれる大会は5回だが、1回目と2回目のトップの人のスコアよりも筆者のスコアのほうが高かったので、4回目と5回目で筆者の得点を上回る人が現れなければ、CPUかマザーボードをもらえることになる。ほかのブースを回ったりプレスルームで休憩しているうちに、最終のステージの時間(4時)になったので、再び様子を見に行ななったところ、4回目のステージでトップだった人も筆者のスコアを下回っていた。これで、少なくともマザーボードは確定だ。はらはらしながら最後のステージを見守っていたが、最後のステージでも筆者のスコアを上回る人はいなかった(途中で派手な衣装とメイクをしたとんでもなくうまい人が2人踊っていたのだが、その人はサクラというかFICに頼まれて踊っていたようで、大会参加者としてカウントされていなかった)。司会者、本日のトップだと紹介され、ステージ上でAthlonを手渡しされた。もちろん、Thunderbirdではなく、K75コアのAthlonで、クロックは700MHzであった(リテールパッケージではなく、バルク品を裸で手渡しされた)。DDRネタを追っかけていた甲斐もあったものだ。
賞品のAthlonを手に、コンパニオンと記念撮影 | 6/8の最終結果。筆者が優勝したことの証拠。一応自慢です(笑) |
●DDR風ソフトを展示・販売しているブースがいくつも
DDR風ソフトを客寄せとして使っているブースだけでなく、それ自体を展示・販売しているブースもあった。それも1社や2社ではない。会場で展示されていたDDR風ソフトは、PC用のソフトと、TVのビデオ入力に繋ぐだけで、単体で動作する専用ゲームマシンに大別できる。前者の製品にもマット状のコントローラが付属しており、PCに接続して遊べるのだが、後者の製品は、コントローラ自体に本体が内蔵されているわけで、なかなか面白い。ただし、ゲームとしての完成度には、かなり差があるようだ。
PC用ソフトでは、FICブースで使われていた舞光十射(COMPUTEX会場内でも展示されていたが、ホテルのそばのPCソフトショップで、792NT$=約3,000円で売られていたので購入した)がよかったが、専用ゲームマシンタイプでは、MIX PARTY2という製品が比較的よくできていた。こちらは、COMPUTEX会場のすぐ横のテントで売られていたのを試しに購入した(2日目は1,950NT$と書いてあったのだが、4日目の終わりに買ったら1,500NT$で売ってくれた)。
PC用のDDR風ソフトとコントローラを展示していたブース | ホール3で展示・即売されていた、スタンドアロンで動作するDance Creation。グラフィックスは初代MSX程度かファミコン程度だ | 会場のすぐそばのテントで展示・即売されていた、スタンドアロンタイプのMIX PARTY2。画面構成などが、かなり本物に似ている |
これもスタンドアロンで動作するタイプだが、マットのデザインが、コナミのプレイステーション用コントローラに酷似している | プレイステーション用コントローラそっくりな製品のゲーム画面。やはりPC用ソフトと比べると、ビジュアル面は貧弱だ | RiSEブースで使われていたCyberGroove 2000を展示しているブースもあった |
CyberGroove 2000のパッケージ | Crazy Dancing 舞光十射のパッケージ。今回見たPC用ソフトの中では、もっともよくできていると感じた | MIX PARTY2のパッケージ。描かれている女の子は、スペースチャンネル5のうららそっくりだ |
MIX PARTY2のパッケージの側面には「THIS IN(ISの間違い?) NOT & KONAMI OFFICAL PRODUCT」と書かれている | MIX PARTY2の本体。マット状のコントローラーに回路も組み込まれている |
上部のアップ。回路はここに組み込まれているのであろう | ホテルのTVに接続してみたところ。オリジナルとは違う曲も多いがButterflyなどの有名曲も入っている |
●4日目からダンスゲーム大会を始めたブースも
ダンスゲーム大会が客寄せに非常に有効であることを知ってか、会期4日目(6月8日)からダンスゲーム大会を始めたブースがADIである。ADIは、ディスプレイベンダーとして有名だが、7日まではダンスゲーム大会はやっていなかった。FICブースやRiSEブースが盛況なのを知って、急遽真似することにしたようだ。そのあたりの柔軟性というか、悪く言えば節操のなさが、台湾の人たちの特徴でもあろう。優勝すれば17インチモニタがもらえるようであったが、時間の都合もあり、筆者は参加はしていない。ソフトは、FICと同じ舞光十射が使われていた。
ADIブースでのダンスゲーム大会。ソフトはFICと同じだが、コントローラは特注のものではなく、付属のマット状のものが使われていた | ダンスゲーム大会が始まると、すぐに人だかりができる |
実は、ダンスゲーム大会が客寄せとして使われたのは、今回のCOMPUTEXが初めてというわけではない。'99年秋のCOMDEXでは、VIAブースでもダンスゲーム大会が開かれ、来場者の注目を集めていた。そのときは、プレイステーション用の本物のソフトとコントローラが使われていたのだが、今回のCOMPUTEXでは全て模倣品が使われていたことも、お国柄を反映しているようで面白い。ちなみに、国内でもプレイステーション用コントローラの模倣品が出回っているようだが、コナミが要求していた輸入差し止め請求が最近受理されたようなので、今後は減ってくるだろう。
DDR(もちろんゲームのほうの)という言葉自体も、結構広まっているようで、FICのブースで大会が開かれているときに、通りかかった2人連れの韓国人(ネームバッジで確認した)が「○×■△DDR!○×」(韓国語なのでほかはまったく聞き取れなかったのだが)、と叫んでいるのも耳にした。
日本では、DDRに続くコナミのダンスゲームであるダンスマニアックスがそろそろ流通しているはずだが、DDR自体のブームはもう終わった感がある。しかし、台湾や韓国では、まだまだDDR人気は続いているようだ(町のCDソフト屋などでも、スタンドアロンタイプのDDR風ゲームマシンが売られていた)。
□COMPUTEX TAIPEI 2000のホームページ(英文)
http://www.computex2000.com/
(2000年6月9日)
[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]
|