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AMD、ThunderbirdことL2キャッシュオンダイAthlon
~VIA、DDR SDRAM対応チップセットプランを公開~

会期:6月5日~6月9日

会場:Taipei International Convention Center(TICC)
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall 2


 速報(AMDの新Athlonプロセッサ発表)では、AMDが発表したばかりのThunderbirdことL2キャッシュオンダイの新Athlonについてお伝えした。ここでは、公表されたデータシートなどからわかる詳細なスペックなどを含め、新Athlonに迫っていきたい。


●Fab30で生産された銅配線のAthlonも出荷開始

 今回発表されたThunderbirdこと「AMD Athlonプロセッサ(高性能フルスピード・キャッシュ内蔵)」(以下新Athlon)のもっとも大きな特徴は、速報でも述べたとおりL2キャッシュがオンダイになっていること、さらにはキャッシュがL1キャッシュと排他的に制御を行なうエクスルーシブキャッシュになっていること。また、新しいフォームファクタとしてSocket Aというソケットタイプが追加されたことだろう。以下が新Athlonのスペックとなる。

AMD Athlonプロセッサ(高性能フルスピード・キャッシュ内蔵)

    システムバス:200MHz(100MHzのDDR、1.6GB/秒)
    実行ユニットパイプライン:3
    FPUパイプライン:3
    x86命令実行ユニット:3
    L1キャッシュ:128KB(フルスピード)
    L2キャッシュ:256KB(フルスピード)、16ウェイセットアソシエイティブ
    L2キャッシュレイテンシ:11
    フィルバッファ:8
    バスキューエントリ:8
    ライトバックバッファ:8
    対応拡張命令:エンハンスド3DNow!テクノロジ
    製造プロセスルール:0.18μm
    配線:/アルミ
    フォームファクタ:Socket A(462ピン)/Slot A(242ピン)

 このうち、赤で表示した部分が今回改良、ないしは追加された部分で、やはり、キャッシュ周りの改良、ソケット版の追加が主な改良であることがわかる。
 注目なのは、配線が「銅およびアルミ」となっていることだろう。これは、一部の製品にAMDがドイツのドレスデンに建設した最新工場であるFab30で製造された銅配線のCPUコアが採用されているためであり、AMDとしては初めて銅配線のCPUを出荷したこととなる。日本AMDの林氏によれば「Fab30で生産される銅配線のCPUコアは、より高いクロックのCPUで利用されることになる」と述べ、Fab30で生産されたCPUは比較的高クロックのCPUが中心になることを明らかにした。ただ、この新AthlonはFab30だけでなく、テキサス州オースチンのFab25でも生産されるため、高いクロックだからといって銅配線のCPUであるという訳でもないそうだ。

 なお、製品の発表では750MHz以上となっているが、「さほど需要がある訳ではないので製品リストには載っていないが、実際にはそうした製品は存在する。700MHz以下のクロックの製品も顧客のリクエストがあれば生産される可能性がある」(林氏)といい、実際にOEMメーカーからそうした製品が登場する可能性もありそうだ。さらに、記者会見後のQ&Aセッションでは「オフダイのAthlonはいつまで販売するのか?」という質問もでたが、「おそらく第3四半期のおわりぐらいまでは生産するが、基本的に(オフダイの)旧Athlonと新Athlonの価格は同じで、顧客としても積極的に購入する理由はないだろう」(AMD ディビジョンマーケティングマネージャのマーク・ボディ氏)とのべた。確かにボディ氏が述べるように、今後わざわざ旧Athlonを採用する理由もあまりないので、価格も同じであるということからかなり急速に移行が進みそうだ。

Socket A(462ピン)のAthlonプロセッサ。L2キャッシュはオンダイで、256KBが搭載されている 銅配線のAthlonプロセッサを生産している独ドレスデンのFab30

□ニュースリリース(英文)
http://www.amd.com/news/prodpr/20108.html


●Socket Aプラットフォームを支える2つのチップセット~VIA KT133とSiS730S

 今回の発表会はチップセットベンダやマザーボードベンダが集まっている台湾で行なわれた関係もあり、特にプラットフォーム関連への言及が目立った。たとえば、AMDの社長兼CEOのヘクター・ラズ氏は「AMDはAthlonプロセッサでライバルメーカー(筆者注:Intelのこと)とは異なるインフラを作り上げた。我々はプラットフォームを独占しようというつもりは全くなく、台湾ベンダと協力して強力なインフラを作り上げていきたい」と述べ、AMDのAthlonプラットフォームを作り上げる上で台湾メーカーの協力が必要であるという点を強調した。
 今回の新Athlonの発表にあわせて、Socket A用のチップセットが、VIA TechnologiesおよびSiS(Slicon Integrated Systems)の2社から既に発表されている。両チップセットのスペックは下記のようになっている。

★VIA Technologies Apollo KT133

  • ノースブリッジ(VT8363)
    システムバス:EV6バス/200MHz
    メモリ:PC133 SDRAM(66/100/133MHz)/最大2GB
    AGP:4Xモード

  • サウスブリッジ(VT82C686A)
    IDEインターフェイス:Ultra ATA/66
    USBポート:4ポート
    AC'97:サポート

 VIA TechnologiesのApollo KT133(以下KT133)は、これまでApollo KZ133の名前で知られていたチップセットで、「KZ」がナチスドイツの強制収容所の通称であったため急遽KT133に変更されたもの。従来のSlot A用にリリースされてきたApollo KX133(以下KX133)のSocket Aバージョンで、基本的なスペックはKX133と全く同じとなっている。サウスブリッジもこれまでと同じ、VT82C686Aが採用されており、IDEインターフェイスはUltra ATA/66のままで、Ultra ATA/100はサポートされていない。

□ニュースリリース(英文)
http://www.viatech.com/news/00kt133launch.htm

★SiS SiS730S

    システムバス:EV6バス/200MHz
    メモリ:PC133 SDRAM(66/100/133MHz)/最大2GB
    グラフィックス:内蔵(SiS300相当)ないしはスタンドアロンのAGPビデオカード
    IDEインターフェイス:Ultra ATA/100
    USBポート:6ポート
    AC'97:サポート(6スピーカー)

 SiS730SはSiSがPentium III/Celeron用にリリースしているSiS630のAthlon版というべき製品で、SiS630と同じようにSiS300というSiSの3Dグラフィックスコアが内蔵されている。SiS630と異なるのは、スタンドアロンのAGPビデオカードが利用可能になっている点で、若干異なっている(ただし、SiSはSiS630で外部AGPビデオカードを利用できるようにした新バージョンのSiS630Sをリリースする予定になっている)。SiS730Sは主に、バリューPCセグメントをターゲットにしており、SiSによれば第3四半期の終わり頃には製品が投入される予定であるという。

 今回の発表会場には、特にKT133を搭載したマザーボードが数多く展示されていた。主要なところではASUSTeK COMPUTER、GIGA-BYTE TECHNOLOGY、MSIなど実に多くのベンダから展示されており、実際の出荷がかなり近いと感じた(なお各社のブースにおける展示は別記事を参照していただきたい)。これに対してSiSのSiS730の方はSiSのリファレンスマザーボードが展示されていただけで、まだまだ出荷にはほど遠いことを伺わせた。

 また、5日にはComputexが開催されている会場で、VIA Technologiesが主催するDDR SDRAMに関するセミナーが行なわれた。そこでは、VIA Technologiesのチップセットロードマップなどに関する発表が行なわれたが、そちらに関しては今後のレポートで詳報していきたい。

AMDの発表会に展示されていたマザーボードの数々 VIA Technologiesが発表したSocket A用チップセットApollo KT133A 新AthlonやDuronで利用される462ピンのSocket A
SiSがAthlon用に投入した統合型チップセットSiS730S BIOSTARのM7MKH。チップセットにはAMD-750を利用していながら、Socket Aマザーボードとなっている。もともとスロット用にピンが配置されているAMD-750を利用して設計されているため、配線などがKT133を搭載したマザーボードに比べて複雑になっていた

□ニュースリリース(英文)
http://www.via.com.tw/news/00pm133.htm

□COMPUTEX TAIPEI 2000のホームページ(英文)
http://www.computex2000.com/
□COMPUTEX TAIPEI 2000のホームページ(和文、TCA対日輸出促進センター)
http://www.ippc.com.tw/comp2000/default.asp

(2000年6月6日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

I
COMPUTEX TAIPEI 2000
レポート インデックス

【2000/6/13】
石井英男の「COMPUTEX TAIPEI 2000」レポート:番外ケータイ編

【2000/6/12】
石井英男の「COMPUTEX TAIPEI 2000」レポート:PDA編

【2000/6/9】
ALi、SiS、VIAの3社が注目の新製品を続々リリース

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COMPUTEX TAIPEI 2000会場を席巻していたもう1つのDDR

【2000/6/8】
デュアルモードデジカメが大流行、スケルトンスキャナも

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【2000/6/7】
各社ともDual Socket 370マザーに注力

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【2000/6/5】
Intel、820Eを発表。外部AGP対応統合チップセット815も事実上の解禁

AMDがThunderbirdこと新Athlonプロセッサ発表

COMPUTEX TAIPEI 2000まもなく開幕


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp