福田昭のセミコン業界最前線
国有化されたルネサスの始まり
(2013/10/3 06:00)
国内大手半導体メーカー、ルネサス エレクトロニクス(以下は「ルネサス」)の実質的な国有化がようやく完了した。ルネサスは、政府が95%を出資する「産業革新機構」とコンソーシアム8社(トヨタ自動車、日産自動車、ケーヒン、デンソー、キヤノン、ニコン、パナソニック、安川電機)に対する株式の第三者割り当てによる増資を2012年12月に発表していた。増資の最終期限は2013年9月30日とされていたが、結局、その最終期限日である9月30日に、増資に伴う資金の払い込みが完了したとルネサスは正式に発表した。
思うように進まなかった人員削減
9月30日は月曜日である。営業日ベースではその前日に相当する9月27日金曜日に、ルネサスは早期退職制度(第3回)の実施結果を公式に発表した。今回の早期退職制度に関連するルネサスの情報公開は、前2回の早期退職制度実施に伴う情報公開に比べると大きく後退しており、異常とも言える閉鎖的な振る舞いだった。
すなわち前2回の早期退職制度(2011年と2012年)の実施においては、募集期間を日付けベースであらかじめ公表していた。実施結果の結果発表では費用あるいは特別損失額を明示するとともに、人件費の削減効果も披露していた。
しかし今回の早期退職制度では、募集期間の日付けがあらかじめ公表されず、募集に入ったとされる8月1日が過ぎても、ルネサスは早期退職者の募集に入った事実を公表しなかった。募集期間を公表したのは、早期退職制度の実施結果の発表日である9月27日のことだ。
さらに、9月27日の結果発表では、費用対効果の数値が公表されなかった。費用とは退職者に支払う退職金の総額であり、効果とは人員削減による人件費の減少金額(年間の相当額)である。いずれも、2011年と2012年の早期退職制度の実施結果発表では公表されていたものだ。
なぜ特別損失額が9月27日時点では確定しなかったのか。まず、応募者の数が募集人員に比べて少なかったことが挙げられる。退職者を少しでも増やすため、9月11日~18日に急遽、追加募集を実施した。このため、費用の計算と承認に至るまでの手続きが、9月27日の公表に間に合わなかったものとみられる。
追加募集にも関わらず最終的な応募人員は2,316名で、募集人員の三千数百名を大きく下回った。これはルネサスにとって初めてのことだ。
早期退職制度の実施結果をルネサスが発表した内容を読むと、「本早期退職優遇制度実施の公表時以降の他社への移籍や自然減等による減員を加えると約3千人の人員減となりました」との文章が入っている。「約3千人の人員減」とわざと付け加えたのは、産業革新機構による出資払い込みの条件として約3千人の人員削減が入っていたからだと推察する。
産業革新機構とコンソーシアム8社による増資の最終期限が9月30日月曜日であることを考慮すると、9月27日に早期退職者募集および人員削減の状況を公表したのは、ギリギリのタイミングであると言える。結果として、かなりドタバタしたものになってしまったとの印象は拭えない。
ようやく、新たな経営体制が正式に発足
すでに本コラムでご報告したように、6月の株主総会において産業革新機構の産業革新機構の取締役と執行役員が1名ずつ、ルネサスの社外取締役に選任されていた。取締役に就任するのは「第三者割り当て増資の資金払い込み日の翌日」となっており、10月1日にそれぞれ取締役に就任したことが、ルネサスから正式に発表された。
「産業革新機構は親会社ではない」とルネサスが表明
産業革新機構とコンソーシアム8社(トヨタ自動車、日産自動車、ケーヒン、デンソー、キヤノン、ニコン、パナソニック、安川電機)による増資の内容は、2012年12月10日に公表された通りである。第三者割当増資で産業革新機構が出資した金額は1,383億5,000万円、コンソーシアム8社が出資した金額は116億5,000万円。合計で1,500億円の増資となり、ルネサスの資本金は750億円、資本準備金は750億円、それぞれ上乗せされた。
増資により、産業革新機構は株式の69.16%を保有する筆頭株主となった。ただしルネサスは9月30日に「産業革新機構はルネサスの親会社ではないと判断する」と表明した。投資の目的はキャピタルゲイン(株式売却益)の獲得である、というのがその理由だ。これまで親会社だったNEC、日立製作所、三菱電機の3社とは違い、産業革新機構はルネサスの経営体制と業務執行に関与することはない、という意味合いだろう。ルネサスが適正な利益を上げて大株主に利益をもたらす限りにおいて、産業革新機構は「物言わぬ大株主」の立場を貫くとも言える。
資金繰りをやや楽にする3つの出来事
またこの9月には、ルネサスの資金繰りをやや楽にする、3つの出来事があった。1つは、ルネサスモバイルの次世代モデム開発事業を一部、売却できたことである。通信ネットワーク用半導体大手のBroadcomが、ルネサスモバイルの海外子会社(ヨーロッパ社とインド社)と次世代モデム半導体の一部資産を総額1億6,400万ドル(約164億円)で買収することが決まった。このことはルネサスが9月4日に公式発表した。株式譲渡の実行日は10月1日である。10月2日には予定通りに譲渡が完了したことがルネサスによって発表された。
もう1つは、中国北京市の半導体製造合弁会社「首鋼日電電子有限公司(Shougang NEC Electronics Co., Ltd)」の株式持ち分すべてを合弁相手の首鋼総公司に譲渡すると決めたことだ。このことはルネサスが9月27日に正式に発表した。もともと、合弁契約の期間が2013年12月31日に期限を迎えることになっていたのだが、契約期限よりも早く、2013年11月には株式の譲渡を完了させることになった。譲渡金額はまだ決定していないが、ルネサスの収入になることは確かだ。
最後は、2012年9月28日に公表された金融支援495億円による債務の一部が、免除されたことである。債務の減免金額は76億3,600万円で、金融支援による債務総額の15.5%に相当する。このことはルネサスが9月30日に公式発表した。この金融支援は、9月30日までの親会社3社(NEC、日立、三菱)によるものだ。
ここにきてようやく、ルネサスの経営チームはフリーハンドに近い状態を得たことになる。親会社の意向に大きく左右された過去のルネサスとは違う。これまでの遅れを取り戻すべく、積極的に事業改革を進めていくことを期待したい。
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