トピック

クリエイターに最適なPCってなに?ひょっとしてゲーミングノートがいいかも

~レノボの新ブランド「Legion LOQ」はお財布に優しいのにAdobeアプリもヌルサク!

レノボ「Lenovo LOQ 15IRH8」実売価格14万円前後(※1月29日現在)

 写真や動画編集などのクリエイティブワークを快適にこなすためには、ハイパフォーマンスなPCが欠かせない。とは言え、クリエイター向けをうたう本格PCを購入しようとすると、30万円を超えるようなものが多く、お財布的に厳しいと嘆いている方も多いのでは?

  しかし、クリエイティブ系マシンで重要なのは「ディスクリートGPU」であることをご存知だろうか? ディスクリートGPUは3Dグラフィックスの描画だけでなく、クリエイティブ系アプリの高速化にも利用されている。つまり、「GeForce」などを搭載したゲーミングノートなら、3Dゲームだけでなく、クリエイティブ系アプリでも高いパフォーマンスを発揮してくれるのだ。

 そういった製品としてオススメしたいのが、量販店等で14万円ほど(※1月29日現在)で購入できるレノボ・ジャパンの15.6型ゲーミングノート「Lenovo LOQ 15IRH8」。第13世代Core i5プロセッサと、NVIDIA製ディスクリートGPUを組み合わせたモデルだ。

この製品はどんなユーザー/用途に向いている?

 本製品は、レノボにおけるゲーミングPC新ブランド「Lenovo LOQ」の第1弾であり、より上位のゲーミング向けブランドである「Legion」シリーズで培われたノウハウが、エントリー向けの価格帯のマシンに惜しみなく盛り込まれている。加えて、ミリタリーグレードの堅牢性、薄型ボディを実現。15.6型ディスプレイはリフレッシュレート144Hzと、高速表示にも対応するゲーミング仕様だ。

 結論から言うと本製品は、最新の3Dゲームはもちろんのこと、動画編集ソフト「Premiere Pro」や写真編集ソフト「Lightroom Classic」、3D CG製作ソフト「Blender」が快適に動作する。それでいて約14万円というのはお買い得と言うほかない。

Lenovo LOQ 15IRH8の外観

 具体的な性能や、そのほかの特徴の詳細は以下で解説していく。

そもそもディスクリートGPUとは何か?

 Lenovo LOQ 15IRH8について見ていく前に、「ディスクリートGPU」に関しておさらいしておこう。ディスクリートGPUは、CPU内蔵のGPUと区別するために、外付けGPUなどとも呼ばれる。要するに、CPUに内蔵されているGPUと、そうでないGPUの2種類があるということだ。

 たとえばディスクリートGPUは、デスクトップPCならPCI Expressスロット等を使用するビデオカードとして、ノートPCならCPUとは別のチップとしてメインボードに直接実装されている。

 CPU内蔵のGPUには低消費電力、低発熱、低コストというメリットがあるが、ディスクリートGPUは処理を実行するためのコア数が多く、大きな専用メモリを搭載し、サポートしている機能も多いため、より高い処理能力を備えているのだ。

  Adobe製を始めとした最近のクリエイティブ系アプリは、CPUだけでなくGPU機能も有効活用するようになっている。 GPUの高い性能を使って、3Dグラフィックスレンダリング、ビデオレンダリング、ビデオエンコード/デコード、数学計算、物理計算、AI処理機能などを実行するわけだ。

  ディスクリートGPUのあるなしで操作のレスポンス、プレビュー画面の滑らかさ、そして出力にかかる時間まで大幅に変わってくる。ディスクリートGPUはクリエイティブ系アプリに必須の装備なのである。

アプリ側でディスクリートGPUを有効化
Lightroom Classicの設定画面。Adobeのクリエイティブ系アプリでは、高負荷な処理にGPUを利用可能。ただし「GPU支援」が有効化されている必要があるので、使用前に確認しておこう

リーズナブルながら十分な性能

 まずは「Lenovo LOQ 15IRH8」のスペックについて解説していこう。クリエイティブアプリの性能が気になる人は、次のセクションに飛んでもいい。

 Lenovo LOQ 15IRH8のOSはWindows 11 Home、CPUはCore i5-13420HまたはCore i7-13620H。GPUはGeForce RTX 3050 Laptop GPUから同4060 Laptop GPUまでと豊富だ。メモリは16GB、ストレージは512GB(PCIe SSD)を搭載している。

 なお、 今回の試用機(型番: 82XV006GJP)はCore i5-13420HとGeForce RTX 3050 Laptop GPUの組み合わせであり、実売価格が14万円程度とゲーミングPCとして非常にリーズナブルになっている。

Core iとGeForce搭載で高性能を発揮
今回の貸出機はCore i5-13420HとGeForce RTX 3050 Laptop GPUを搭載。より高性能なモデルもラインナップされている
試用機のスペック
製品名Lenovo LOQ 15IRH8(型番: 82XV006GJP)
CPUCore i5-13420H(8コア[Pコア×4+Eコア×4])
GPUGeForce RTX 3050 Laptop GPU
UHD Graphics(CPU内蔵)
メモリ16GB
ストレージSSD 512GB
ディスプレイ15.6型IPS液晶
フルHD(1,920×1,080ドット)
リフレッシュレート144Hz
通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1、Gigabit Ethernet
インターフェイスUSB 3.2 Gen 2 Type-C(映像出力+USB PD対応)、USB 3.2 Gen 2×2、USB 3.0、HDMI 2.1、720p Webカメラ、ステレオスピーカー、マイク、3.5mmコンボジャック
バッテリ駆動時間約10時間(JEITA 2.0)
本体サイズ約359.6×264.8×22.1~25.2mm
重量サイズ約2.4kg
実売価格14万円前後
冷却能力は十分で性能を低下させない
内部には4本のヒートパイプとデュアル大型ファンを内蔵。また大型の吸気口と排気口を装備しており、CPUとディスクリートGPUがフル稼働するような高負荷な状態でも熱による性能低下「サーマルスロットリング」が発生しにくい

 ディスプレイは15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)IPS液晶を搭載。ディスプレイ上部に電子式プライバシーシャッター対応のHD 720pカメラ、デュアルアレイマイクを内蔵している。リフレッシュレートは144Hzなので、ゲームだけでなく普段使いでも画面を滑らかに表示できる。

映り込みしにくく画面が見やすい
本製品のディスプレイはアンチグレア(非光沢)仕様。照明などの映り込みを軽減し、クリエイティブ系アプリやゲームの画面がハッキリと見える。

 インターフェイスは、USB 3.2 Gen2 Type-C、USB 3.2 Gen2×2、USB 3.0、HDMI 2.1、3.5mmコンボジャック、Gigabit Ethernetを装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 6とBluetooth 5.1をサポートしている。

 新旧インターフェイスが豊富に搭載されており、安定してネット接続できる有線LAN端子はゲームでもクリエイティブワークでも重宝する。背面、右側面、左側面に分かれて端子が配置されており、それぞれの端子間に余裕があるので使いやすい。

豊富なインターフェイス
背面はUSB 3.2 Gen2×2、Gigabit Ethernet、HDMI 2.1、電源コネクタ
左側面はUSB 3.2 Gen2 Type-C、3.5mmコンボジャック
右側面は電子式プライバシーシャッタースイッチ、USB 3.0

 キーボードはテンキー付きの84キーJIS配列日本語キーを搭載。ダイビングボード構造の大型タッチパッドを装備している。キーボードで特筆しておきたいのが打鍵感。深めのキーストロークが確保され、小気味よいクリック感が与えられている。長時間のテキスト入力も快適にこなせるキーボードだ。

バックライトを装備したテンキー付きキーボード
キーボード面は剛性が高く、強く叩いてもたわみはほとんどない。またキーボードバックライトを内蔵しているので、暗い場所でも使いやすい。

 本体サイズは359.6×264.8×22.1~25.2mm、重量は約2.4kg。60Whのリチウムイオンポリマーバッテリを内蔵しており、バッテリ駆動時間は約7~10時間と謳われている。CPUにハイパフォーマンスなHプロセッサと、ディスクリートGPUを搭載しつつ、重量は約2.4kgとゲーミングノートとしては軽量に仕上げられている。

LightroomやPremiereでクリエイティブ性能を検証


 さて、ここまでLenovo LOQ 15IRH8のスペックを解説してきたが、ディスクリートGPUはクリエイティブ系アプリや、ゲームなどでどれくらいの威力を発揮するのだろうか?

 今回はCore i5-13420HとGeForce RTX 3050 Laptop GPUを組み合わせたマシンを借用しているので、Core i5-13420Hに内蔵されているGPU(UHD Graphics)とディスクリートGPU(GeForce RTX 3050 Laptop GPU)とで、どのぐらいパフォーマンスが変わるのか見ていこう。

LightroomとPremiere Proで性能検証

 まず画像編集アプリ「Lightroom Classic」では内蔵GPU使用時に対してディスクリートGPU使用時で約81%相当、動画編集アプリ「Premiere Pro」では約58%相当の所要時間で処理を終えた。

  今回はLightroom Classicでは100枚のRAW画像を現像し、Premiere Proでは5分の4K動画を書き出したが、より大容量のデータを処理する場合にはその分だけ時間が長くなる。このクリエイティブワークの最後の工程を短時間で終わらせられば、その前の編集作業に時間と手間をかけられるわけだ。なんらかのミスがあった場合にも短時間でリカバリできるのも大きなメリットだ。

Blenderで性能検証

 オープンソースの3D CGアニメ作成アプリ「Blender」でサンプルファイルを書き出した際にも、ディスクリートGPU使用時は約58%相当の所要時間で処理を終えた。

  3D CGアニメの制作は、クリエイティブワークの中でも特に高い処理性能が求められる。内蔵GPUでも作業は可能だが、やはり本格的に手がけるのであればLenovo LOQ 15IRH8のようなディスクリートGPU搭載機が欲しいところだ。

ゲーム5タイトルで性能検証

 次は3Dゲームにおけるフレームレートを比較してみよう。クリエイティブワークをこなしつつ、ゲームも存分に遊べるのであれば実にうれしいだろう

 内蔵GPU使用時と、ディスクリートGPU使用時で平均フレームレートを計測したところ、「エーペックスレジェンズ」では423%相当、「PUBG:BATTLEGROUNDS」では504%相当、「Stray」では616%相当、「BIOHAZARD VILLAGE Z Version」では558%相当、「Ghostwire:Tokyo」では796%相当とフレームレートが大幅に向上した。

  60fps前後のフレームレートでもゲームはプレイできる。しかし、対戦ゲームではより滑らかなフレームレートのほうが近接距離での戦いで敵を見失いにくいし、遠距離での索敵も有利だ。ゲーマーであればディスクリートGPU搭載機は必須と言えよう。

 なお今回のベンチマークは、ファン速度と電力消費を上げて最大パフォーマンスを発揮する「パフォーマンス・モード」で実施したが、Lenovo LOQ 15IRH8はAIにより性能をコントロールする「Lenovo AI Engine+」も利用できる。ファン速度と電力消費を動的にコントロールしてくれるので、「パフォーマンス・モード」よりも動作音と電力消費を抑えられる。積極的に活用したい独自機能だ。

AIが最適な性能を引き出す「Lenovo AI Engine+」
「Lenovo AI Engine+」は「バランス・モード」設定時に利用できる。このほかに静粛性を重視する「静音モード」、パフォーマンスとファン速度を自由に調節できる「カスタム・モード」も用意されている

優秀なコスパが大きな魅力

 今回レビューした「Lenovo LOQ 15IRH8(82XV006GJP)」は、8コア、12スレッド、最大4.6GHz動作のCore i5-13420Hと、レイトレーシング対応のGeForce RTX 3050 Laptop GPUを組み合わせ、Adobe製クリエイティブアプリでも3Dゲームでも高いパフォーマンスを発揮する。

 ディスプレイはゲーミングノートにふさわしく144Hzのリフレッシュレートで、AI任せでPCを適切なパフォーマンスで動作させる「Lenovo AI Engine+」を搭載。Legionシリーズで培われた冷却システムにより、安定して高性能が持続する。

 テンキー付きの日本語キーボードはフィーリングがよく、ミリタリーグレードの高剛性ボディは安心して持ち歩ける堅牢性を備えている。それでいて14万円程度の低価格を実現しているのだからお買い得感が高い。

  バランスのいいスペックを手頃な価格で実現した「Lenovo LOQ 15IRH8(82XV006GJP)」は、クリエイターにもゲーマーにも強くおすすめできるコスパの優秀な1台だ。