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輝度ムラ補正、USB Type-C入力、KVMまで付いたデザイナー向け4Kモニターが10万円切り!BenQ「PD2705U」
- 提供:
- ベンキュージャパン株式会社
2022年8月31日 06:30
画質も使い勝手もコストも大事なリアルクリエイターに贈る現実解の4Kモニター
PCのスペックは割と「大は小を兼ねる」ことが多いが、液晶モニターではそれが通用しないことが多い。例えばゲーム向けとクリエイティブワーク向けでは要求されるスペックに違いがありすぎ、そのすべてをカバーできるモニターは(筆者の知る限り)ない。
ゲームならリフレッシュレートや応答速度、暗部強調といった機能が有用だが、クリエイティブ系ワーク向きなら表示できる色域や色の正確さ、色ムラのなさなどが重要になる。
今回紹介するBenQ「PD2705U」は、27型の4K IPSパネルを採用したデザイナー向けブランド“AQCOLOR”シリーズの最新モデルだ。
BenQのデザイナー向け4K液晶というとロングセラーのスタンダードモデル「PD2700U」や、昨年レビューした高機能モデル「PD2725U」が存在しており、PD2705Uは前者の後継モデル。しかし、PD2725Uのエッセンスを可能な限り取り込んで大きな進化を遂げている。それでいてコスト面も意識しており、実売で3万円程度安い(PD2725Uは実売12万円台、PD2705Uは実売8〜9万円前後)。
(1) PD2725U、PD2700Uとはどこが違うのか?
(2) 下位モデルながら使い勝手も改善
(3) 一段上の作業環境を構築できる
PD2725U、PD2700Uとはどこが違うのか?
まずPD2725U、PD2700UとPD2705Uの違いを明らかにしておきたい。
(1) HDR対応と輝度 ~輝度ムラ補正がこの価格で手に入る!
PD2725UはHDR10のほかDisplayHDR 400にも対応しており、最大輝度も400cd/平方mとなっていたが、PD2705UはPD2700Uと同じHDR10のみの対応、最大輝度も同じ350cd/平方mとなる。PD2725Uの売りでもあった「輝度ムラ補正」機能はPD2705Uにも標準搭載。同機能を搭載していないPD2700Uとの決定的な違いの1つだ。
液晶モニターを選別するにあたり色域や色差(ΔE)が重視されることが多いが、作品の質に影響するという面では輝度ムラも疎かにできない。映像制作において必須とも言える輝度ムラのない映像が、実売10万円を切るモデルで得られるという点はすばらしい。
(2) 色域とカラーモード ~MacBook用の「M-Book」モードの搭載
PD2725UとPD2705Uに共通するカラーモードは「デザイン/CAD/CAM/暗室/DICOM/HDR/ブルーライト軽減/M-Book/Rec.709/sRGB/ユーザー」の11種類。PD2725Uでお目見えしたMac向けの「M-Book」モードは健在だ。
その一方でPD2705UではDisplay P3とDCI-P3には対応していない。sRGBおよびRec.709のカバー率は99%と高い(PD2725Uは100%)ため、sRGBやRec.709をターゲットにして作品を制作しているなら十分と言える。この点がPD2725UかPD2705Uかを選ぶ際の最も大きなポイントとなるだろう。
(3) インターフェイス ~専用コントローラやType-C対応が作業効率を高める
映像出力の構成も若干変更された。PD2725UはHDMI×2+DisplayPort+Thunderbolt 3という構成だったが、PD2705UではHDMI+DisplayPort+USB Type-C(DisplayPort Alt Mode)というシンプルな構成に変更された。
Thunderbolt 3からUSB Type-Cに変わったことで、PD2705Uからデイジーチェーンで別のモニターに接続することはできなくなったが、USB Type-Cケーブル1本で映像出力と同時にノートPCへの給電ができるという根本的な使い勝手に関しては何も変わっていない。
USB Power Deliveryも最大65W(PD2725Uと同じ)あるため、薄型ノート程度であればACアダプタレスで運用できるようになる。この場合ノートPC側のUSB Type-CがPower Delivery対応であることが必須であることは言うまでもない。
(4) スタンド ~フラットな台座は意外と効く
PD2705Uのスタンドは、PD2700Uとは異なり、PD2725Uに近いのだが、微妙に仕様は異なる。上下角(チルト)や左右の首振り(スイベル)、さらに上下位置調整や90度回転(ピボット)にも対応する“全部入り”スタンドだが、上下位置の調整範囲がPD2725Uの150mmから110mmに若干狭められた。液晶位置を一番高くして使いたいという人以外にはあまり関係ない変更と言える。
個人的にこのシリーズで高く評価しているのはスタンド基部だ。PD2705Uでもフラットな1枚板状になっているため、小物を載せたり、キーボードの一時退避場所としたりして、卓上のスペースを有効活用することができる。ちなみにPD2705Uの方がスタンド基部の奥行きが16mm程短くなっている。
下位モデルながら使い勝手も改善
PD2705Uで新たに追加された要素もある。
(1)モニター側面に便利なポート類を装備
モニター右側面のヘッドフォン&USBポートは、PD2700UにもPD2725Uにもなかった機能だ。ヘッドフォン端子がアクセスしにくい背面にあったPD2725Uとは対照的に、PD2705Uではモニター右側面に出たことで使い勝手が格段に向上。このUSB Type-AおよびType-Cポートは、USBメモリのみならず、クリエイティブ系アプリにつきもののドングルをサッと挿したい時にも有効だ。
このUSBポートの速度はデフォルトでUSB 2.0(480Mbps)だが、OSDでUSB 3.0に変更することもできる。ただUSB 3.0にした場合、4K表示時のリフレッシュレートが30Hzに落ちてしまう(帯域の問題)。ストレージよりも入力デバイスやオーディオ、ドングルといった速度が重視されないUSBデバイス向けだ。
(2) カラー認証プログラムの拡大
今時のクリエイター向け液晶モニターは工場出荷時の個別キャリブレーション済みなのはベースライン。CalMANやPantoneといった外部機関によるカラー認証も取得しているのが普通だ。
PD2705UもCalMAN認証やPantoneカラー認証を取得しているが、PD2725Uの時にはなかった「Pantone SkinTone Validated」認証も取得した。これはPantone SkinToneガイドで定義された“肌色”を忠実に表現できるモニターであることを示している。
BenQはこのPANTONE SkinTone Validatedプログラムと提携した初期の1社であり、PD2705Uにこの認証が追加されたのも当然の流れと言える。被写体に人物が多いという人はぜひ試していただきたいものだ。
また、色とは関係はないがPD2705Uではブルーライト軽減やフリッカーフリー機能について、テュフ・ラインランド(TUV)社の認証も取得している。PD2725Uでは単に記載がなかっただけの可能性もあるが、長時間眼を酷使しやすいクリエイターにとっては“より安心して使える”機能の証明が付いたといったところだろう。
(3) KVMは最大3系統入力から切り替え可能に
液晶モニター側のUSBポートに接続されたUSBデバイスを入力ソース切り替えと同時に切り替える「KVM」機能もPD2725Uから継承されている。
だがPD2725UのKVMはUSB Type-C(Thunderbolt 3)とその他入力で切り替えるため、少なくとも1台のPCはUSB Type-Cがないと上手く運用できない(Type-A→Type-Cケーブルで接続すれば良いだけだが……)。
しかしPD2705UではアップストリームのType-Bを2系統+USB Type-Cの3ポートからKVMを構成できる。USB Type-Cに接続したPCがある場合は、KVMの切り替え先に必ずUSB Type-Cが入る(Type-B×2だけでKVMを構成できない)という制約があるものの、これは地味ながら使い勝手向上と言えるだろう。Type-Bのみで構成する場合、1系統はHDMIに、もう片方はDisplayPortと連動する。
一段上の作業環境を構築できる
ノートPCのディスプレイはどんどん品質が良くなってきているが、どうしても狭さが作業を滞らせやすい。コンテンツ全体をざっくり見る程度なら小さいモニターでもよいが、広い範囲で細かいディテールを見ようとすると、やはり27型4Kくらいの大きさがないと辛い(老眼的にも)。
今回筆者は主にMacBook AirとPD2705Uを組み合わせて使用したが、特に違和感なくLightroom ClassicやPremiere Pro等で作業することができた。DCI-P3やDisplay P3といった今時のデバイス向けカラーモードはないが、sRGBやRec.709のコンテンツをメインに手がけているクリエイターは多いはず。
それならば、sRGB/Rec.709を高画質で表示できて、多機能でありつつもコストを抑えることができる本機は、モニター選びの現実解となり得るのではなかろうか。