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増設/換装しても保証が切れない!サードウェーブのクリエイターPC「raytrek(レイトレック)」がRAW現像や動画制作に最適なワケ

raytrekシリーズは、イラスト、音楽、写真、映像、CGなどクリエイティブの多彩なジャンルを想定したPCを豊富にラインナップ。今回は写真編集映像編集向けのraytrek XV 写真&動画編集向けモデルを中心に紹介する

 近年、PCのジャンルとして注目を集めるのが「クリエイターPC」。写真のRAW現像や動画編集などのクリエイティブワークを行なうことを想定した専門的なPCだ。

 こうしたクリエイティブワークは、軽い作業なら一般的なPCでもできる一方、一歩踏み込んだ作業になると、CPUやGPU、メモリやストレージにも負担がかかり、PCのパフォーマンスが作業効率に直結してくる。そのため、快適さを求めるならば、クリエイター向けに構成されたクリエイターPCがおすすめとなる。

  クリエイターPCの代表的な存在の1つが、PCショップのドスパラを展開するサードウェーブが手掛ける「raytrek(レイトレック)」シリーズだ。すでに10年以上もの歴史があり、クリエイティブの現場での実績も豊富である。 カジュアルユースからやプロユース、漫画・イラスト制作、音楽制作、写真・映像編集、CG制作など、クリエイティブにおけるさまざまなジャンルを想定したモデルをラインナップしている。

歴史の長いクリエイター向けブランド「raytrek」シリーズ
サードウェーブが展開するraytrekシリーズは、10年以上の実績があるクリエイター向けブランド。クリエイティブの現場からの声を反映し、単に高性能だけではない、クリエイティブ適性に優れたPCを豊富にラインナップする

 今回はその中から、本格的な写真のRAW現像や映像編集をターゲットにしたミドルタワー型のクリエイターPC「raytrek XV 写真&動画編集向けモデル」を取り上げる。価格は18万9,979円(2022年7月1日現在)からだ。どれほどの性能を備えているのか、クリエイティブ適性の高さやパフォーマンスに注目してじっくり見ていこう。

クリエイターPCとして王道的スペック

 まずはraytrek XV 写真&動画編集向けモデルの外観とスペックをチェックしよう。

 筐体はブラックを基調にしたシンプルなデザインのミドルタワー型。本体サイズは、207×509×440mm(幅×奥行き×高さ)。ミドルタワー型としては一般的、最近の製品からするとやや大きめな部類と言える。 大きめな分、拡張性に優れており、ストレージや拡張カードを追加できる余地は多く残されている。

 基本スペックは、CPUがCore i7-12700、GPUがGeForce RTX 3060(12GB)。メモリとストレージはBTOで柔軟なカスタマイズが可能で、標準ではメモリは16GB、ストレージはNVMe SSDを500GB搭載するが、今回の評価機は、32GBメモリ、1TBのPCIe 4.0 SSDという構成で使用した。

  クリエイターPCとしては、最新の王道、定番と言えるスペックと言えるだろう。なお、BTOでは、CPUクーラーやCPUグリス、光学ドライブ、電源ユニットなどもカスタマイズ可能となっている。 これからポイントとなる部分を詳しく見ていこう。

本格的クリエイターPC
「raytrek XV 写真&動画編集向けモデル」
raytrek XV 写真&動画編集向けモデルは「LD」と呼ばれるオリジナルのミドルタワー型ケースを採用している。サイズは207×509×440mm(幅×奥行き×高さ)だ
正面。2基の5インチオープンベイの下にUSBなどのインターフェイスを配置。下部には14cmファンを搭載する
背面。電源は下部に搭載するスタイル。上部に12cmファンを搭載している
左側面には大きめに通気口が設けられており、CPUクーラーとビデオカードの冷却を助ける
右側面の上部には小さな通気口がある
天面部に14cmファンを搭載。通気口の面積も大きい
底部には高さのあるインシュレータを装備し、通気性を確保している

クリエイティブワークをパワフルにこなす12コア20スレッドのCPU

 raytrek XV 写真&動画編集向けモデルは、CPUに開発コードネーム「Alder Lake-S」ことIntel最新のCore i7-12700を搭載。 12コア20スレッドという贅沢な仕様で、レンダリング、エンコード、RAW現像などのクリエイティブワークをパワフルにこなすことができる。

 このAlder Lake-Sでは性能優先のPコアと、電力効率優先のEコアを組み合わせたハイブリッド構造を採用しており、Core i7-12700は、8Pコア16スレッド+4Eコア4スレッドの合計12コア20スレッドを備える。

 12コアと言ってもPコアは8基。レンダリングやエンコードなどの高負荷処理でEコアがどこまで効くか、疑問に思う方もいるかもしれないが、実はこういう処理こそEコアの真価が発揮される。

  第12世代Coreプロセッサには、PコアとEコアを最適に使い分ける「スレッドディレクター」を搭載しており、EコアをOSの基本サービスといったバックグラウンドタスクなどの雑用的な処理に割り当てる。これにより、Pコアはそうした雑用やロスの大きな処理内容の切り替え(コンテキストスイッチング)を行なうことなく、エンコードやレンダリングなど負荷が高い処理に専念できる。

 このEコアがあるとないとではまったく作業の効率が異なるため、従来の8コア16スレッドCPUよりも格段に処理性能は向上している。そのあたりはのちほど行なうベンチマークで確認できるだろう。

12コア20スレッドのCore i7-12700を搭載
Core i7-12700は、開発コードネーム「Alder Lake-S」ことデスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサのハイエンドモデルだ。12コア20スレッドのパワフルな仕様ながらTDP 65Wと発熱も低めで扱いやすい
タスクマネージャーの表示。CPUに実装した「スレッドディレクターがOSと協調して働き、高負荷な処理は性能優先のPコア、OSのサービスなど雑用的な処理は電力効率優先のEコアへ振り分けることで最適なパフォーマンスを発揮する
標準でサイドフローのCPUクーラーを搭載
raytrek XV 写真&動画編集向けモデルのCPUクーラーは「静音パックまんぞくコース」となっており、評価機ではDEEPCOOLのサイドフロークーラーが装着されていた。ただし、製品の製造時期によっては異なる可能性がある

クリエイティブツールで活用が進むGPU。RTX 3060搭載が心強い

 写真や映像の編集を行なうためのクリエイティブアプリでは、GPUの機能を活用して、高速な処理を行なえるものが増えている。特に近年では、NVIDIAが戦略的にクリエイティブ面での活用を促していることもあって、本格的に取り組むのであれば、ある程度の性能を持つ外部GPU(ビデオカード)を搭載していることが望ましい。

  NVIDIAのラインナップで言えば、GeForce GTX 1650のビデオカードを積んでいることが、クリエイティブ向けの最低ライン。AI推論用コア(Tensorコア)、レイトレーシング専用コア(RTコア)を搭載するRTXシリーズのGPUを搭載していると、さらに高速化の恩恵を得られる場面が多い。 そういったコアの活用は、今後さらに増えていくと思われるだけに、将来的にも心強い。

  raytrek XV 写真&動画編集向けモデルが搭載するGeForce RTX 3060ならば文句なし。映像/写真の編集において、プレビュー描画、レンダリング/エンコード、レイトレーシング、AIによる超解像処理やニューラルフィルタ処理など、さまざまな処理で高速化が期待できる。

クリエイティブに強いGeForce RTX 3060を搭載
raytrek XV 写真&動画編集向けモデルは、外部GPUとしてGeForce RTX 3060を採用。プレビュー描画、レンダリング/エンコード、AIによる超解像処理など、さまざまな高速化が期待できる。ビデオメモリが12GBと多い点もクリエイティブ活用には好都合だ。評価機のビデオカードはデュアルファン仕様だった
NVIDIAのGPUなら人気のAdobe系のアプリにも強い
AdobeのアプリはGPU、特にNVIDIA GPUの機能を積極的に活用している。Photoshopでは描画のプレビューやフィルタ処理を高速化、拡張機能に利用される
Lightroom Classicの環境設定画面。プレビュー系の処理、超解像処理などにGPUの機能を活用している
Premiere Proでのプロジェクト設定画面。出力時にはNVENCを利用したハードウェアエンコードも利用できる

メモリ、ストレージはBTOで柔軟な選択が可能

 クリエイティブで必要なメモリの容量は処理の内容や扱うデータの解像度、ビットレートによって変わってくるが、 3,000万画素クラスのRAW現像や4K動画の映像編集をするなら32GB(16GB×2)以上は欲しい。

 raytrek XV 写真&動画編集向けモデルのメモリはPC4-25600(DDR4-3200)の規格を採用する。最新のDDR5ではないが、費用対効果からするとDDR4の選択は理にかなっている。 容量は標準で16GB(8GB×2)を搭載するが、BTOでカスタマイズ可能で、今回の評価機では32GB(16GB×2)を搭載している。最大では128GB(32GB×4)の構成も実現できる。

 ストレージもBTOで柔軟なカスタマイズが可能。標準では500GBのNVMe SSDだが、今回の評価機では、高速なPCIe 4.0対応のNVMe SSDを1TB搭載している。 BTOではSamsungの980 PRO、CrucialのP5 Plusなどブランド名を指定して選択できるほか、さらにセカンド/サードストレージとして2.5インチSSDや3.5インチHDDを追加で搭載できる。

 クリエイティブな作業では、ストレージを仮想記憶として活用することが多く、高性能なSSDを利用すればそれだけ快適度は増す。ただ、いくら高速なSSDでも、システムドライブの容量に余裕がなくなれば結局パフォーマンスは下がり、システムの使い勝手も悪くなる。

  高性能な大容量SSDを搭載するとコストがかさむため、予算も含めたバランスが重要だ。それだけに高性能大容量SSDの搭載含めた、柔軟なカスタマイズができるBTO対応はありがたいところだ。

クリエイティブ作業を損なわないメモリとSSD
メモリはPC4-25600(DDR4-3200)を採用。第12世代CoreプロセッサはDDR5にも対応するが、DDR5はコストが高い。費用対効果を考えるとDDR4が正解だろう
ストレージは、M.2タイプの500GB NVMe SSDが標準。評価機では1TBのPCIe 4.0 x4対応SSDにカスタマイズしている
BTOでユーザー好みのカスタマイズが可能
BTOメニューでは豊富な選択肢の中から選べる。メインSSDの容量は2TBまでだが、2.5インチのSATA SSDや3.5インチHDDも追加できる
標準でDVDスーパーマルチドライブを搭載。BTOではBDドライブや再生専用のDVD-ROMドライブに変更可能

2.5Gigabit Ethernetに対応、インターフェイスも充実

 クリエイティブワークをしていると、日々データは増えていく一方だ。 データや制作物の保存/管理には、NASや外付けストレージの活用が事実上欠かせない。そのために高速な通信機能や、高速インターフェイスを搭載していることが望ましい。

 raytrek XV 写真&動画編集向けモデルはこうした面も問題ない。 通信機能は、一般的な1GbpsのLANよりも2.5倍高速な2.5Gigabit Ethernetを標準装備。同規格に対応するルーターやNASも増えているので、それらを活用すれば、より快適なネットワーク環境が構築できる。 BTOではWi-Fi 6(2.4Gbps)機能を追加することも可能だ。

 接続インターフェイスについては、背面にUSB 3.2 Gen 2(転送速度10Gbps、旧表記USB 3.1)対応のType-CとType-A(2基)を搭載している。10Gbps対応の外付けSSDならば、SATA 6Gbps対応の内蔵SSDと同等あるいはそれ以上の感覚で扱えるため、常時接続してデータドライブとして活用するのも現実的だ。

  フロントにSDカード/microSDカードスロットを標準で備える点も見逃せない。デジタル一眼カメラで主流のSDカード、アクションカメラなどでよく使われているmicroSDカードからアダプタなしで直接データを取り込めるのは非常に便利だ。

SD/microSDカードスロット装備など豊富な端子類
前面には2基のUSB 3.2 Gen 1(旧表記USB 3.0) Type-A、ヘッドフォン、マイクのほか、SDカード/microSDカードスロットを搭載しており、カメラからのデータの取り込みに便利だ
7基あるUSB Type-Aのうち2基がUSB 3.2 Gen 2対応、Type-CもUSB 3.2 Gen 2に対応している。有線LANは、一般的な1000BASE-Tよりも2.5倍高速な2.5Gigabit Ethernet。BTOでWi-Fi 6、Bluetooth 5.2も追加可能だ

メンテナンスと拡張性が優秀。カスタマイズしても保証継続

 raytrek XV 写真&動画編集向けモデルの筐体は、メンテナンス性にも優れる。背面の手回しネジを外せばサイドパネルが独立して外れ、マザーボード全域にアクセス可能だ。 内部の構造もシンプルで分かりやすく、PCの自作やアップグレードをした経験がある方なら、自分でパーツの交換や増設作業をするのは容易だろう。

 PCケース、マザーボードともに拡張性に優れており、自分でパーツを増設する余地は多数残されている。M.2ソケットは標準で2基が空いているし、2.5インチベイは3基がすぐアクセスできる場所にある。マザーボードには、空きのPCIe 4.0 x16スロットもあるので、映像編集のリアルタイムプレビューやキャプチャをするためのキャプチャカードなどを増設したい場合にも対応できる。こうした拡張を意識してか、電源ユニットの容量は最大850Wまで選択できるようになっている。

 そして、 raytrekシリーズは、購入者がパーツの増設や交換をした場合も、保証期間内であれば保証は失効しない(※増設や交換が原因で起きた不具合や破損は除く)。取り付けたパーツを外して購入時の状態に戻せば、修理などのサポートが受けられる。将来的に自分でカスタマイズしたいユーザーにとってはこうした柔軟な姿勢はありがたいところ。

メンテナンス性抜群の作り
手回しネジを2本外せばサイドカバーのみが独立して外れる。内部はとてもシンプルな構造だ
アクセスしやすい位置に2.5インチシャドウベイを3基搭載。2.5インチSSDの追加は容易に行なえる。また、2.5/3.5インチシャドウベイは8基備えている。マザーボードのSATAポートは4基だ
マザーボードのメモリソケットは4本。標準で2基が空いているので、後から追加が可能だ。BTOでも最大128GBまで積める
マザーボード上にはPCIe 4.0 x4対応のM.2ソケットが3基ある
M.2ソケットのうちの2基は標準で空きスロット
電源ユニットは650W。80PLUS Bronze認証取得の高変換効率電源だ

ベンチマークで検証! かなり高性能なraytrekシリーズ

 それでは、ベンチマークテストでraytrek XV 写真&動画編集向けモデルの性能をチェックしよう。比較対象として、raytrekシリーズの実力が分かりやすいように、ハイエンドモデルの「raytrek ZG 写真&動画編集向けモデル」と、エントリーモデルの「raytrek MX 写真&動画編集向けモデル」を加えたほか、PCの買い換えサイクルと言われる3年ほど前のPCを想定し、CPUにCore i9-9900Kを搭載した旧世代デスクトップPCを用意した。

  raytrek ZG 写真&動画編集向けモデルは、Core i9-12900とGeForce RTX 3080を搭載したハイエンドモデル。raytrek MX 写真&動画編集向けモデルは、コンパクト筐体のエントリーモデルで、CPUはraytrek XV 写真&動画編集向けモデルと同じCore i7-12700だが、GPUはGeForce GTX 1650(4GB)を採用している。 それぞれの主なスペックは表にまとめた。

ハイエンドモデルの「raytrek ZG 写真&動画編集向けモデル」
raytrek ZG 写真&動画編集向けモデルは、4Kを超える動画編集や高画素データの写真編集を想定したハイエンドモデル。CPUは16コア24スレッドのCore i9-12900、GPUはGeForce RTX 3080(10GB)を搭載する。筐体はraytrek XV 写真&動画編集向けモデルと共通だが、マザーボードは異なっており、背面のUSB Type-Cは、USB 3.2 Gen 2x2(20Gbps)に対応する。価格は33万9,980円(2022年7月1日現在)から
詳細なスペックはこちら(別ページに掲載)
エントリーモデルの「raytrek MX 写真&動画編集向けモデル」
raytrek MX 写真&動画編集向けモデルは、写真編集とHD動画編集を想定したエントリーモデル。ミニタワー型のmicroATXケース(EM041)を採用しており、コンパクトで軽く扱いやすい。GPUはクリエイティブ向けの最低ラインと言えるGeForce GTX 1650(4GB)を採用。CPUはraytrek XV 写真&動画編集向けモデルと同じCore i7-12700を搭載している。価格は14万4,980円(2022年7月1日現在)から
詳細なスペックはこちら(別ページに掲載)

 なお、以下の表およびベンチマークのグラフでは、性能順で分かりやすいように、以下の順番になっているので注意されたい。

  • raytrek ZG 写真&動画編集向けモデル
  • raytrek XV 写真&動画編集向けモデル ※今回メインで検証
  • raytrek MX 写真&動画編集向けモデル
  • 旧世代PC
【表】検証機の主なスペック
raytrek ZG
(写真&動画編集向けモデル)
raytrek XV
(写真&動画編集向けモデル)
raytrek MX
(写真&動画編集向けモデル)
旧世代PC
CPUCore i9-12900Core i7-12700Core i7-12700Core i9-9900K
CPUコア/スレッド数16コア24スレッド
(8Pコア+8Eコア)
12コア20スレッド
(8Pコア+4Eコア)
12コア20スレッド
(8Pコア+4Eコア)
8コア16スレッド
CPU周波数Pコア:2.4G~5.1GHz
Eコア:1.8G~3.8GHz
Pコア:2.1G~4.9GHz
Eコア:1.6G~3.6GHz
Pコア:2.1G~4.9GHz
Eコア:1.6G~3.6GHz
3.6G~5GHz
メモリ32GB(16GB×2 、PC4-25600)32GB(16GB×2 、PC4-25600)
※標準16GBからカスタマイズ
32GB(16GB×2 、PC4-25600)
※標準16GBからカスタマイズ
16GB(8GB×2 、PC4-21300)
SSD1TB(PCIe 4.0 x4)
※標準SSDからカスタマイズ
1TB(PCIe 4.0 x4)
※標準SSDからカスタマイズ
1TB(PCIe 4.0 x4)
※標準SSDからカスタマイズ
512GB(PCIe 3.0 x4)
グラフィックス機能GeForce RTX 3080
(ビデオメモリ10GB)
GeForce RTX 3060
(ビデオメモリ12GB)
GeForce GTX 1650
(ビデオメモリ4GB)
Intel HD Graphics 630
OSWindows 11 HomeWindows 11 HomeWindows 11 HomeWindows 11 Pro

CPU性能をチェック

 まずはCPU性能の結果を見よう。Cinebench R23はシンプルにCPUの馬力を見るテスト。Core i9-12900、Core i7-12700ともに、Pコアは8コア16スレッドだが、8コア16スレッドの旧世代のCore i9-9900Kをはるかに上回っている。新しいAlder Lakeアーキテクチャの優秀さを物語っている。

 あえてシングルスレッドでレンダリングしてシングルスレッド性能を計測するCPU(シングルコア)のスコアも大幅に良くなっていることも見逃せない。

SSDの性能をチェック

 ストレージの性能は、CrystalDiskMark 8.0.4で測定した。raytrekの3台は同じSSDなのでスコアもほぼ同じ。公称値に近いスコアが出ており、PCIe 4.0 x4対応高速SSDの性能はしっかり引き出せていることが分かる。

PC全般の性能をチェック

 PCMark 10は、実際のアプリを使って、Webブラウズなどの日常操作(Essentials)、オフィス作業(Productivity)、クリエイティブアプリでのコンテンツ制作(Digital Content Creation)をシミュレートする内容。ここでもraytrekの3台は旧世代PCを圧倒するスコアを出している。中でもコンテンツ制作ではもっとも差が大きく、raytrekのクリエイティブ適性の高さが感じられる。

3D性能をチェック

 3D描画性能の定番テストである3DMarkも実行している。Fire StrikeはDirectX 11、Time SpyがDirectX 12、Port RoyalはDirectX Raytracing(DXR)の技術を利用してゲームシーンを描画している。

 さすがにGeForce RTX 3080を搭載するraytrek ZG 写真&動画編集向けモデルの強さが目立つが、raytrek XV 写真&動画編集向けモデルも十分優秀なスコア。フルHD解像度であれば一通りのゲームタイトルを良い画質で楽しむことができるだろう。

Lightroom/Premiere Proの性能をチェック

 UL Procyon Benchmark Suitesは、実際のアプリケーションを活用してクリエイティブ作業をシミュレートするテストだ。

 Photo Editingは、PhotoshopとLightroom Classicを利用した写真編集のテスト。JPEG画像の顔検出、RAWファイルの現像(プリセット適用)などを行なう「Batch Processing」。PSD形式のファイルにさまざまなフィルタをかける「Image Retouching」といった処理を行なう。raytrek MXでも比較対象の旧世代PCを圧倒するスコアで、raytrek XV、ZGはさらにそれを大幅に上回る。

 Premiere Proを利用したVideo Editingでは、2種類のプロジェクトを「フルHD(H.264)」「4K(H.265)」で出力する内容。こちらもraytrekエントリーモデルのMXでも旧世代PCを圧倒。XV、ZGはそのMXよりもさらに大きく上回っており、上位グレードのモデルならばさらに快適に利用できることがスコアに現われている。

Lightroom ClassicでRAW現像の性能をチェック

 より実践的なクリエイティブ性能を測るため、Lightroom Classicでのテストも行なった。計測したのは以下の4つの工程だ。

  1. 500枚のRAWデータ(4,240万画素)をカタログへ読み込み、プレビューを作成
  2. 読み込んだ500枚のデータにプリセットの現像パラメータを適用し、プレビューを更新
  3. 現像パラメータを適用した500枚のデータを長辺3,000ピクセルのJPEGファイルとして出力
  4. 50枚のRAWデータ(2,420万画素)を「スーパー解像度」機能による超解像処理でピクセル数を4(2×2)倍にする

 結果はご覧の通りで、3までの処理はraytrekシリーズの3台の間ではあまり差がなかったが、旧世代のPCとはそれなりに差が付いている。特にJPEG出力では大きな差だ。

 スーパー解像度は、GPU、特にTensorコアを搭載しているNVIDIA RTXシリーズの機能を活用するため、搭載GPUで決定的な差が付いている。今はまだ写真編集においてはこれほどGPUで差がつく処理は少ないが、NVIDIAは積極的に活用を促していることから、今後は徐々に増えていくことが予測される。

Premiere Proで映像編集の性能をチェック

 Premiere Proでは、フルHD(60p)と4K(60p)のビデオクリップ(MP4、H.264)を用意し、それぞれ映像編集工程の時間を手動で計測した。

  1. 新規プロジェクトを作成し、11個(合計約10分)のビデオクリップを新規シーケンスのタイムラインに配置
  2. 配置した11クリップ全体にプリセットのLUT(Look Up Table)を適用。BGMをつけてクリップ間にトランジションエフェクトを設定し、エフェクト部分を挟む50秒をレンダリング
  3. 上記のプロジェクトをソースファイルと同じ解像度/フレームレートでMP4(H.264)に書き出し

 クリップの配置については測定ごとにムラがあるため、優劣の判断は難しいが、実際にどのくらいの時間がかかるかの目安としてあえて掲載した。数字は3回実行した平均値だが、こちらについては旧世代PCも含めて、あまり大きな差はなかった。

 プレビューのレンダリングとプロジェクトの書き出しは同傾向だ。raytrekの3台はいずれも旧世代PCより格段に短い時間で処理ができており、raytrekの映像編集適性の高さを実証する結果と言える。

 raytrekの3台の比較では、フルHDではあまり大きな差ではないが、4K解像度になるとGPUのグレードの差、とくにRTXとGTXの差が表面化している。raytrek XV 写真&動画編集向けモデルのバランスの良さが光る結果と言えるだろう。

マルチカメラなど凝ったシーケンスの編集もテンポよく行なえる

 今回、Premiere Proで実際に映像編集を行なってみたが、raytrek XV 写真&動画編集向けモデルの使用感はとにかく快適だ。旧世代のPCだと重く感じるプロジェクトもサクサクと軽快に作業できた。

 動画にしたのはその過程の一例だ。プロジェクトとしては、3本の動画クリップ(4K60p/H.265)からマルチカメラシーケンスを作成。BGMを追加し、カメラの切り替えポイントを数点指定してシーンが切り替わるタイミングでビデオ/オーディオトランジションエフェクトとテロップを入れた内容だ。動画全体には調整レイヤーでプリセットの「LUT」を当てるとともに、暗いシーンではトーンカーブで少し明るさの調整もしている。

 Premiere Proには「コマ落ちインジケータ」というプレビュー中のコマ落ちを表示する機能がある。トランジションエフェクトとテロップを挟む約15秒のプレビューをする間、旧世代PCでは800フレーム近いコマ落ちが発生して表示も明らかにカクカクしているのに対し、同条件のraytrek XVではコマ落ちなし。まれにコマ落ちすることがあっても15秒なら数フレームあるかどうかというところだ。

 これくらいの内容になると、 旧世代PCだとプレビューの表示がコマ落ちする場面がかなり多くなり、使用感が良くない。一方、raytrek XV 写真&動画編集向けモデルではとてもスムース。コマ落ちがまったく発生しないというわけではないが、終始サクサクと編集作業を行なうことができた。

 こうしたコマ落ちはランダムに発生するが、統一した条件下の数字でもはっきり違いが出た。Premiere Proには「コマ落ちインジケータ」というプレビュー中のコマ落ちを表示する機能があるが、 トランジションエフェクトとテロップを挟む約15秒のプレビューで、旧世代PCでは800フレーム近いコマ落ちが発生して表示も明らかにカクカクしているのに対し、同条件のraytrek XV 写真&動画編集向けモデルではコマ落ちなし。まれにコマ落ちすることがあっても15秒なら数フレームあるかどうかというところだ。

 なお、編集中に細かい部分までしっかり確認したい場合は、部分的にレンダリング(ファイルとしてキャッシュに保存される)を行なったり、あるいは最終出力形式に書き出しまでしてしまうのが確実だが、前出のベンチマークテストで計測しているように、そのレンダリング時間や書き出し時間も大違いなので、編集のテンポ、トータルの所要時間が大きく変わってくる。

クリエイティブに本格的に取り組むなら「raytrek(レイトレック)」

 冒頭でも述べたように、 写真のRAW現像や映像編集などのクリエイティブワークではPCのパフォーマンスが作業効率、生産性に直結する。特に高解像度のデータを扱ったり、凝った作業をするようになるとハイスペックなPCが欲しくなるだろう。

 その点で、ベンチマークテストで実証したraytrekのパフォーマンスは非常に魅力的だ。 特に写真のRAW現像やビデオ編集を想定した用途では、マルチスレッド性能の高いCore i7-12700とGeForce RTX 3060の組み合わせは費用対効果が極めて高い。BTOによるカスタマイズでメモリとストレージを調整すれば、RAW現像、映像編集の道具として、満足感の高いPCに仕上がるだろう。

 raytrek XV 写真&動画編集向けモデルのドスパラでの直販価格は、標準構成で18万9,979円(2022年7月1日現在)だ。カスタマイズで今回の評価機と同じメモリ32GB、PCIe 4.0の1TB NVMe SSDの構成にしても21万8,479円となっている。今の相場から言えばプライスもリーズナブル。コストパフォーマンスの高さも強調できるだろう。

  raytrekシリーズには、今回テストした3モデル以外にも、著名な写真家が監修したモデルを始め、多彩なラインナップが用意されている。ラインナップの一覧からスペックで選ぶだけでなく、想定用途(イラスト制作、映像編集、CG制作など)から入って選ぶこともできる。用途別の選び方のポイントなども記載されているので、スペックに詳しくない方も参考になるはずだ。

 クリエイティブワークで使うPCを検討しているならば、まずraytrek(レイトレック)シリーズのWebサイトを訪れてみてほしい。