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ゲーミングPCはビデオカードが強ければOK?答えはノー!! 「CPU」と「ストレージ」も見逃すな!
ビデオカード一点豪華主義じゃもったいない!? ゲーミングPCの性能を底上げを図る
- 提供:
- テックウインド株式会社
2022年6月10日 06:00
ゲーミングPCにおいて、最重要パーツは「ビデオカード」であることに疑う余地はない。ゲームにおけるフレームレート(1秒間の描画コマ数)はビデオカードの性能がもっとも影響するからだ。しかし、ビデオカードだけが突出していても、その実力を発揮し切れないことがある。今回は、高性能ゲーミングPCの実力を底上げする“CPU”と“ストレージ”の2点について解説しよう。
4コアCPUではハイエンドビデオカードのピーク性能を引き出せない!?
以前から「ゲームは4コアCPUで十分」と言われることがあるが、実はこれは、組み合わせるビデオカードしだいというほうが正確だ。フルHD解像度でも性能限界に到達しやすいエントリークラスのビデオカード(=GPU)では、CPUの性能がゲームのフレームレートに影響することは少なく、4コアCPUで足りる場面も多い。
しかし、アッパーミドル~ハイエンドビデオカードでは事情が異なってくる。ビデオカードがボトルネックになりにくいフルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)の解像度でゲームをプレイすると、CPU性能が足を引っ張ってフレームレートが伸びないことがある。eスポーツ系のゲームを高リフレッシュレートのゲーミングモニターと組み合わせて可能な限り高フレームレートを維持してプレイしたい、フルHD~WQHD解像度の液晶でレイトレーシングを効かせた美麗なグラフィックスのAAA級ゲームを60fps以上で遊びたい、といった場合にはCPUの性能も不可欠なのだ。
そこで今回は、GeForce RTX 3080搭載のビデオカードに、第12世代Coreシリーズで最上位の「Core i9-12900KS」と4コア8スレッドのCPUとして人気の「Core i3-12100F」を組み合わせた場合でゲームのフレームレートがどう変わるのかテストしていく。
テストに用いるCore i9-12900KSは8コア16スレッドのPコアと、8コア8スレッドのEコアを搭載した16コア24スレッドのCPU。最大クロックをCore i9-12900Kの5.2GHzから、5.5GHzまで向上させた“スペシャル”な存在だ。PBP(Processor Base Power)は150W、MTP(Maximum Turbo Power)は241Wと発熱や消費電力も相応に高い。5.5GHz動作はCPU温度が50℃以下のときなど条件はなかなか厳しく、デスクトップCPUで最速クラスの性能を持っているが、それを引き出すためには強力な冷却環境が必要なことも覚えておきたい。
一方のCore i3-12100Fは4コア8スレッドのPコアのみで構成されているCPU。実売価格が15,000円と手頃な価格で第12世代Coreのパワーを手にできることもあって高い人気を獲得している。「F」型番なので、GPUは内蔵しておらず、映像の出力には別途ビデオカードが必要だ。最大クロックは4.3GHzで、PBP(Processor Base Power)は58W、MTP(Maximum Turbo Power)は89W。コア数が少ないこともあって、Core i9-12900KSに比べると発熱や消費電力はかなりマイルドだ。
ビデオカードがボトルネックになりにくい時ほどCPUの差が強く出る
では、早速テストを実行していこう。テスト環境は以下のとおりだ。マザーボードのパワーリミットは無制限(PL1/PL2=4,096W)、Resizable BARは有効にしている。ビデオカードのドライバーはバージョン512.77を使用した。
マザーボード | Intel Z690チップセット搭載マザーボード |
メモリ | DDR5-4800メモリ 32GB(PC5-38400 DDR5 SDRAM 16GB×2) |
ビデオカード | NVIDIA GeForce RTX 3080搭載ビデオカード |
システムSSD | M.2 NVMe SSD(PCI Express 4.0 x4、1TB) |
CPUクーラー | 36cmクラスラジエータ搭載簡易水冷クーラー |
電源 | ATX 1000W 電源(80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro |
まずは、軽めのFPSでeスポーツでも人気の「レインボーシックス シージ」から試そう。ゲーム内のベンチマーク機能でフレームレートを測定している。
4Kでは、RTX 3080でもビデオカードがボトルネックになってCPU性能差がほとんど出ていない。しかし、WQHDでは平均で17fps、最小だと23fpsの差が付き、フルHDでは平均で170fps、最小で144fpsと非常に大きな差となった。フレームレートが伸びきらない原因はCPUの性能不足にあるのだ。
ゲーミングモニターはフルHDなら360Hzのモデルも登場している。Core i9-12900KSなら、最小448fpsなので360Hzのリフレッシュレートを常に活かせるだけのフレームレートが出ているが、Core i3-12100Fは最小304fpsに低下し、360fpsを切ってしまう。高フレームレートを維持してガチンコの勝負に集中したい、ということであればCore i9-12900KSのほうが有利と言える。
次は、定番MMORPGの「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」を実行する。レポート出力に記載される平均フレームレートと最低フレームレートを集計した。
レインボーシックス シージと同じ傾向だ。4Kではほとんど差はないが、WQHDから差が広がってくる。ビデオカードがボトルネックにならない解像度なら、CPUパワーがフレームレートに影響することがここでも分かる結果だ。
では、重量級のゲームではどうだろうか。オープンワールドアクションRPGの「アサシンクリード ヴァルハラ」の内蔵ベンチマーク機能でフレームレートを測定する。
最高画質設定だとさすがに重いゲームなので、ビデオカードがボトルネックになる4K解像度ではCPUによる差はあまり大きくない。しかし、注目はフルHDの最小fpsだ。Core i3-12100Fは、48fpsと快適なプレイの目安である60fps以下になっている。Core i9-12900KSは63fpsで踏みとどまっており、CPU性能が高いとフレームレートが落ちにくいのが分かる。
レイトレーシング対応のゲームとして「サイバーパンク2077」も試そう。画質は最高のレイトレーシング:ウルトラにし、DLSSをバランス設定で有効化してゲーム内のベンチマーク機能でフレームレートを測定した。DLSSを使用しているとはいえ、画質設定は非常に重い設定と言える。
アサシンクリード ヴァルハラと似た傾向だが、WQHD以下で影響が顕著に出た。4Kだとビデオカードが完全にボトルネックとなってCPU性能差が出ていないが、WQHDでは最小のフレームレートがCore i9-12900KSが大きく上回り、フルHDでは平均、最小ともCore i9-12900KSが上回っている(最小フレームレートはWQHD時以上に大幅に低下)。このゲームを遊ぶなら、CPUもパワフルなものにしたほうがプレイ環境としては快適度が上がる。
同じく重量級でレイトレーシングにも対応する「ファークライ6」も実行してみよう。最高画質に設定、レイトレーシング関連もすべて有効化してゲーム内のベンチマーク機能でフレームレートを測定している。これも条件としてはかなり重い設定だ。
ファークライ6は、WQHDとフルHDで最小、平均ともCore i9-12900KSが上回った。特にフルHDの最小は22fpsもの差が付いており、負荷が大きいシーンでもフレームレートを落ちにくくするにはCPUパワーが効果的であることが見て取れる結果となった。eスポーツ系のゲームで可能な限りフレームレートを稼ぎたいときに有効なCore i9-12900KSだが、重量級ゲームをいくつかテストした結果、超美麗な映像のゲームをプレイする際のフレームレートの落ち込みをなるべく防ぎたい、というコダワリ派にとっても価値のあるCPUだと言えるだろう。
ゲーム性能のチェックの最後に、消費電力もチェックしておこう。今回はラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用してシステム全体の消費電力を測定している。OS起動10分後をアイドル時、3DMark-Time Spyデモモード実行時の最大値を3DMark時とした。
Core i9-12900KSのMTPは241W、Core i3-12100FのMTPは89Wと理論上の消費電力の差は152W。今回のテストでの差は3DMark時で161Wと、仕様に近い妥当な結果。コア数が多く、クロックも高いだけに消費電力が大きいCore i9-12900KSを運用するとなると、組み合わせるCPUクーラー(36cmクラス以上のラジエータ搭載の水冷タイプが最適)、マザーボード(品質のよい電源回路を搭載したものがオススメ)、大出力の電源ユニット(ハイエンドビデオカードを利用するなら1,000Wクラスがほしい)をチョイスするなど、総合的なパーツ選びの検討も重要になってくる。
システムドライブがSSDなのは当たり前。2台目のストレージもSSD化すればゲームの起動・ロードが高速化!!
次はストレージに目を向ける。OSをインストールするシステムドライブがSSDなのは当たり前だ。しかし、データの保存用やゲームのインストール用とする2台目のストレージはGB単価の安いHDDという人もまだ多いのではないだろうか。しかし、最近ではM.2タイプのNVMe SSDにも低価格で大容量のモデルが登場。SATA接続よりも高速で、ケーブル配線不要で取り付け可能とそのメリットは非常に大きい。もちろんHDDと比べると、データ転送速度はケタ違いに高速だ。
そこで、ここではSolidigm(旧Intel)の「670p」に注目したい。QLC NANDを採用することで高いコストパフォーマンスを実現するエントリークラスのNVMe SSDだ。インターフェイスはPCI Express 3.0 x4で、2TB版でシーケンシャルリード3,500MB/s、シーケンシャルリード2,700MB/s、1TB版でシーケンシャルリード3,500MB/s、シーケンシャルリード2,500MB/sとPCI Express 4.0 x4接続のNVMe SSDに比べると速度は落ちるが、SATA接続のSSDはシーケンシャルリード、ライトとも550MB/s前後が限界なので、それに比べるのはるかに高速だ。
また、670pは最大速度ではなく実アプリにおけるパフォーマンスを重視したチューニングが行なわれているのも特徴だ。ゲーム1本で100GBを超えることもめずらしくなくなっているので、1TB以上のセカンドSSDを、ゲームのインストール先として使うのもよいだろう。細かい書き込みが連続する用途はTLC NANDよりも苦手とされているQLC NANDのSSDだが、リード性能に関しては不利は少ないので、ゲームのインストール先としては必要十分なパフォーマンスを持っている。
今お手頃なのは1TBモデルだが、ちょっと先を見越すならさらに大容量の2TB版もアリ。1台で2TBの容量となれば、ゲームのインストール先としてだけでなく、データの保存先としてHDDの代わりに活用することも十分視野に入ってくる。
そこで今回は、670pとHDDでどこまで速度差があるのかベンチマークやファイルのコピー、ゲームの起動やロード時間でテストしていく。670pは2TB版と1TB版を用意。HDDはSMR仕様で5,400rpmの6TBモデルを用意した。2台目のストレージとして、SSDかHDDかを迷っている人はぜひとも参考にしていただきたい。
まずは、最大速度を見るCrystalDiskMarkの結果から見ていこう。
HDDとの差は歴然だ。シーケンシャルリードとライトでも20倍以上の差があるが、注目はランダムリードだ。670pの2TBとHDDを比べた場合、その差は約650倍。OSやアプリ動作はその多くが小さな容量のランダムリード。HDDのレスポンスが遅いと感じるのは、このランダムリードが遅いのが最大の原因と言ってよい。
次は、システムSSDの容量が少なくなったので、2台目のストレージを導入してデータの一部をコピーするというシーンを想定。ここでは、アサシンクリード ヴァルハラのインストールデータ(113GB、526ファイル)をPCI Express 4.0 x4接続のシステムSSDからコピーするのにかかった時間を測定した。
670pが1分以内にコピーを終えているのに対して、HDDは13分49秒もかかっている。ファイルのバックアップにしても、ゲームデータの移動にしても、HDDよりもSSDのほうが圧倒的に優位なのが分かる結果だ。
ゲーム用途ではどうだろうか。まずは、3DMarkのStorageテストを実行する。これは、ゲームのロードや録画などゲームに関するさまざまな処理をエミュレートしてストレージの性能を測るというものだ。
670pのほうが、約18倍もスコアが高いという結果に。結果を細かく見ると、ゲームの録画やゲームのセーブなど書き込み関係のテストが特にHDDの遅さが目立った。HDDはすでにゲーム向きのストレージではないと言ってもよいだろう。
ゲームの起動やロード時間もチェックする。最初は「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」のレポート出力で確認できるローディングタイムを見てみよう。
HDDのほうが約3.9倍もロード時間がかかっている。ゲームにおいてロード時間を短くしたいなら、SSDを選ぶべきだろう。
ここからは実際のゲームを使って起動とロード時間を測定する。ストップウォッチを使った手動計測なのでブレを避けるため、5回測定を行ない、一番速いタイムと遅いタイムを除いた3回の平均時間を掲載している。
まず、「アサシンクリード ヴァルハラ」を試す。Ubisoft Connectのプレイボタンを押してからタイトル画面が出るまでを「起動」、メニューの「続ける」を押してからゲームプレイ開始までを「ロード」とした。
起動時間はほとんど変わらなかったが、ロード時間は670pのほうが約3倍も高速だ。頻繁にプレイする人にとってロード時間が毎回30秒以上違うのはかなり大きな差になるはずだ。
次は「サイバーパンク2077」だ。ランチャのプレイボタンを押してからムービーが表示されるまでを「起動」、メニューの「続ける」を押してから続行の表示が出るまでを「ロード」とした。
こちらは意外にもSSDとHDDで大きな差がなかった。これはHDDのバッファメモリやメディアキャッシュが有効に働いた結果と考えられる。集計値に含まれない一番遅いタイムはHDDでの1回目の計測で、そのときのロード時間は約32秒。2回目以降は掲載したグラフの値に近い時間まで短縮された(起動時間は大きな変化なし)。
連続して起動→ロードを繰り返してかつ最速の結果と最遅の結果を集計に含まないというテスト方法がハマったということもあるが、それにしても大差がつかなかったことを考慮するとゲームの作り的にストレージアクセスが効率的なのではないかとも考えられる。一般的にはアサシンクリード ヴァルハラのような結果になることがほとんどだが、ゲームによってはこういう結果が出ることがある、という例だろう。
ゲームをより快適にプレイしたいならCPUやストレージにもこだわりたい
ビデオカードの予算をガッツリ確保する一点豪華主義的なプランは魅力的ではあるのだが、せっかくのビデオカードのポテンシャルを活かすなら総合的なバランスを考えたい。特に“最高のゲーミング環境”を目指すなら、CPUやストレージにも気配りしたプランを考えてみてほしい。
ゲームをガッツリ遊ぶのに最適な“ゲーミングモニター”は、高リフレッシュレートのフルHDやWQHD解像度のモデルがまだまだ主力。今回のテスト結果を見ると、ハイエンドビデオカードのパートナーにはその性能を存分に活かせる「Core i9-12900KS」がベストと言える。また、ストレージにしても、HDDは確かにGB単価は圧倒的に安いが、ゲームをサクサクとノンストレスでプレイしたい、というなら速度的に厳しい。ゲームを快適にプレイしたいなら、容量単価にも優れた670pのようなNVMe SSDを追加するのが幸せというものだ。
前述したように、ハイエンドCPU&ビデオカードを使うとなると、マザーボードやCPUクーラー、電源ユニットなどとの組み合わせも検討しなければならなくなるが、そういったやりくりも自作PCの醍醐味。ぜひその過程も楽しんでいただきたい。
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