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Intel SSDが次のステップに向け、新会社「ソリダイム」で新たにスタート。アマギフ当たるキャンペーンも!

Intel SSD 670p

 昨年(2021年)末の話になるが、IntelのSSD部門が、韓国のSK hynix社に事業部ごと譲渡され、新会社「Solidigm」として新たにスタートを切った。

 IntelのSSD事業は、2008年にスタートし、近年では「Intel SSD 760p」や「Intel SSD 670p」といったM.2フォームファクタ製品が自作PCユーザーなどに人気を博してきた。サーバー向けにもXeon Scalable Processor(Xeon SP)などのCPUに最適化された存在としてデータセンターでのシェアを獲得してきた。

 そうしたIntelのSSD部門だが、Optaneメモリ関連の事業のみがIntelに残され、クライアント向けおよびデータセンター向けSSDに関しては、SK hynix傘下のSolidigmに移管され、今後はSolidigmが製品販売、サポートをしていく形となる。

 従来のIntel SSDは今後、何がどう変わり、あるいは何が変わらないのか? インテルからソリダイム・ジャパンへと移籍した住吉敏治氏(ディストリビューション営業統括本部本部長)に話しを伺った。

ソリダイム・ジャパンの住吉敏治氏(ディストリビューション営業統括本部本部長)

IntelブランドのSSD事業はSK hynix資本の新会社Solidigmへ移管

 自作PCユーザーにとって、IntelブランドのSSDはおなじみの製品ではないだろうか。Intel SSD事業の歴史は、2008年の9月8日に発表された1.8インチ形状のX18-M、2.5インチ形状のX25-Mという2つのメインストリーム向け製品から始まっている。実際にIntelがフラッシュメモリの製造を開始したのはこれよりも少し前だが、ボックス製品と通称される化粧箱に入った一般消費者向けの製品として販売が開始されたのは、この2製品が最初となる。

X18-MとX25-M

 これらを皮切りにIntel製SSDは、主に自作PC市場で瞬く間に人気を博するようになった(ノートPCに標準搭載される例も多かった)。要因は、メインストリーム向けとして比較的高い性能を実現していたことと、なんといってもPCプラットフォームを提供しているIntelの純正SSDということで、高い信頼性や良好なサポート体制などが期待できたからだ。

 現在では終了しているが、当時はまだIntelブランドのマザーボードが販売されており、Intel製CPU、Intel製マザーボード、そしてIntel製SSDというIntelブランドで固めてガチガチに安定度が高そうなPCを組むということが可能だったのだ(残念ながらIntel製メモリモジュールはその当時も今もない)。

 そうしたIntelブランドのSSDは、近年はデータセンター向けSSD、クライアント向けSSD、そしてSCM(Storage Class Memory)に分類されDRAMに近いスピードを実現しながらストレージ並みに大容量なOptane、という3本柱で製品展開されていた。

 だが、2020年の10月に、Intelはクライアント向けとデータセンター向けのストレージ事業を韓国のSK hynixに譲渡することを発表。この契約にはOptane関連を除くフラッシュメモリ事業が含まれ、Intelが中国の大連に持っていた製造工場もSK hynixに譲渡された。

 その発表から約1年が経過し、米国、韓国、そして工場がある中国などの規制当局の承認を得て、2021年12月30日にSK hynixを親会社とした独立企業として「Solidigm」がスタートしたのだ。

Intel SSD事業部の社風が色濃いSolidigm

 この新会社「Solidigm」の日本語での発音は「ソリダイム」で、Solidigmの住吉氏によれば、「SolidigmはSSDのソリッドステートドライブの“Solid”と“Paradigm”を掛け合わせた造語で、SSDの新しいパラダイムを作っていくという意味がこめられている」という。

 現時点では多くの社員がIntelからの移籍組で、住吉氏自身も日本市場でIntelのSSD事業のセールス&マーケティングを担当する事業部に所属し、移管に伴いIntelからSolidigmに移籍した。

 「事業移管後間もないため、社内の雰囲気もIntel時代と変わりなく今はIntel色が強い会社になっている」(住吉氏)とのことだが、Solidigmの米本社でも、そのCEOはIntelでフラッシュメモリ事業部を長年に渡って率いてきたロブ・クルーク氏が務めており、上級幹部もIntelからの移籍組となる。つまり、Solidigmは、現状ではIntelのフラッシュメモリ事業部がそのままスピンアウトした企業ということだ。

ロブ・クルーク氏

IntelブランドのSSDは今後も販売。保証やサポート体制などもIntel体制を継続しスタート

 新たにSolidigmが販売することとなったIntelブランドのSSDだが、Intel時代に販売した製品ラインアップは継続して販売していく。

 住吉氏によると「現状Solidigmが販売しているのは、Intelブランドの製品で、引き続きIntelブランドで販売します。パッケージやパーツナンバーなども同様で、今まで通りIntelブランドのパッケージやパーツナンバーで提供していきます。販売チャンネルもこれまでと変わらず、お客さまに影響がないよう、これまでと同じ体制でスタートしています」とのことで、今後もしばらくは「Intel SSD」が流通する。

 SolidigmのWebサイトには現行のクライアント向け製品として、M.2の670pと660pという2つの製品がラインアップされている。

 旧Intel SSD製品を含めたサポート体制も同様だ。「エンドユーザー様のサポート、製品保証に関してはこれまで通りで、当面Intel窓口を通じて行なわれます。製品によって保証期間が決まっていますが、それも継続されます」とする。Intelのサポートが得られるという理由で購入したユーザーは、その点は変わらずにこれからもIntelのサポートを利用できるわけだ。

 SK hynixの傘下になり、SK hynix自体が行なっているフラッシュメモリの事業との兼ね合いについては、検討中とのことで、しばらくはSK hynixブランドのSSDはSK hynixから、旧IntelブランドのSSDはSolidigmからという棲み分けで行くようだ。

ダイナミックSLCキャッシュで性能を引き上げたSolidigm 670pが主力

 現在Solidigmが自作PC市場向けの主力製品として展開しているのが「Solidigm 670p(旧Intel SSD 670p)」となる。Intel SSD 670pは昨年発売された最新製品で、最大の特徴は144層QLCのフラッシュメモリを採用していることだ。

 現代のフラッシュメモリは、3D NANDと呼ばれるNANDセルを縦に積層する構造になっている。Intel SSD 660pでは64層QLCが採用されており、その後継となるIntel SSD 665pでは96層QLCに、そして最新製品のIntel SSD 670pでは144層QLCへと強化された。

 層数が増えるメリットはシンプルにコスト低下で、大容量をより低価格で提供可能になる。Intel SSD 660p、Intel SSD 665p、そして現行製品のIntel SSD 670pは高いコストパフォーマンスを実現しているのが多くのユーザーに支持されている要因だ。

670pは660pより、耐久性や書き込み性能が向上

 また、Intel SSD 600pシリーズには「ダイナミックSLCキャッシュ」という高速化の手法が取り入れられている。SSDに利用されているNANDメモリは、1つのセルあたり何bitのデータを格納するかが種類によって変わるが、現在主流になっているのは1セルあたり4bitを格納するQLCだ。

 Intel SSD 660p、Intel SSD 665p、Intel SSD 670pに採用されているのもQLCだが、1つのセルに4種類のデータを格納する関係上、1つのセルに1bitのデータだけを格納するSLCには性能面ではかなわないという制限がある。

 一方、SLCでは大容量が実現できないので、この点は明確にトレードオフなのだが、Intel SSD 600pシリーズで採用されているダイナミックSLCキャッシュは、このSLCの高性能とQLCの大容量のいいとこ取りを実現する機能なのだ。ダイナミックSLCキャッシュでは、QLCセルをSLCとして利用する。これにより、SLCに匹敵する書き込み性能を実現できる。

 ただし、そのままでは容量が4分の1になってしまうので、あくまでSLCのように使うのはキャッシュとしてのみで、永続的に保存するデータはQLCに保存される。Intel SSD 600pシリーズではこのSLCキャッシュとして使う容量を動的に変更可能で、空き容量に応じて増やしたり減らしたりできる。実はIntel SSD 670pではSLCキャッシュの性能が、Intel SSD 660pに比べて約11%向上しており、Intel SSD 670pのコストパフォーマンスの良さに大きく寄与している。

ダイナミックSLCの性能も660pから1割程度強化されている

新製品は「こうご期待」

 ユーザーとしては新製品の投入も気になるところだが、この点について住吉氏は、「SSD専業の会社になったことが最大の違いで、よりSSDにフォーカスした製品展開が可能になり、SSDを使っていただけるお客さまを増やしていけるようなマーケティング活動なども強化たいと考えています。新製品に関して、今の時点では発表できる事はないですが、ご期待いただきたいです」と語る。

 と言うことで、今後ユーザーが「Solidigm」の名を目にしたとき、それはそのままIntel SSDのことだと思っていい。製品や信頼性、サポートもIntel時代のままだ。むしろ国内でのIntel SSDの販売はより強化される。

 具体的にはこの3月からクライアントPC向けのプロモーションが展開される。名称は「最大4,000円のAmazon ギフト券がもれなくもらえる!春のソリダイム(TM) 670p (旧インテル(R))SSDキャンペーン」となっており、その名の通り、Intel SSD 670pを購入すると、最大で4千円のAmazonギフト券がもらえる内容となっている。

 キャンペーンサイトのURLはhttps://info-plus.jp/ssd/。Intel SSDの性能と信頼性を低コストで手に入れられるこのチャンスをぜひ活用したいところだ。