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Navi対抗馬はどれだけ“SUPER”なのか? 「GeForce RTX 2060/2070 SUPER」を試す

 NVIDIAは2日、Turing世代の新たなGPUである「RTX SUPER」を発表した。今回は、7月9日より発売開始となる「GeForce RTX 2070 SUPER」および「GeForce RTX 2060 SUPER」のベンチマークレポートをお届けする。

既存のGeForce RTX 20 シリーズを強化・更新する「RTX SUPER」

 NVIDIAのRTX SUPERは、既存のGeForce RTX 20 シリーズと同じTuringアーキテクチャをベースに、12nm FFNプロセスで製造されたGPUだ。RTX SUPERの登場によって、GeForce RTX 20 シリーズはラインナップの強化と更新が行なわれ、一部モデルは終売となる。

 GeForce RTX 2070 SUPERは、既存のGeForce RTX 2070を置き換えるハイエンドGPUだ。GPUコアには、従来のGeForce RTX 2070が採用していた「TU106」ではなく、GeForce RTX 2080と同じ「TU104」を採用しており、2,560基のCUDAコア、320基のTensorコア、40基のRTコアを搭載。メモリ周りのスペックは旧モデルと同等で、14Gtps動作の8GB GDDR6メモリと、256bitのメモリインターフェイスで接続している。消費電力は175Wから215Wに増加した。

 GeForce RTX 2060 SUPERは、既存のGeForce RTX 2060の上位モデルとしてラインナップに加わるミドルレンジGPUだ。GPUコアは旧モデルと同じTU106を採用しているが、演算ユニットは増強されており、2,176基のCUDAコア、272基のTensorコア、34基のRTコアを備える。メモリ周りも強化されており、メモリインターフェイスも192bitから256bitに強化され、メモリ容量も6GBから8GBに増加した。消費電力も160Wから175Wに増加している。

【表1】GeForce RTX SUPERの主な仕様
モデルナンバーGeForce RTX 2070 SUPERGeForce RTX 2060 SUPERGeForce RTX 2070GeForce RTX 2060
アーキテクチャTuring
製造プロセス12nm FFN
GPUコアTU104TU106TU106TU106
CUDAコア2,560基2,176基2,304基1,920基
Tensorコア320基272基288基240基
RTコア40基34基36基30基
ベースクロック1,605MHz1,470MHz1,410MHz1,365MHz
ブーストクロック1,770MHz1,650MHz1,620MHz1,680MHz
メモリ容量8GB (GDDR6)8GB (GDDR6)8GB (GDDR6)6GB (GDDR6)
メモリスピード14Gtps14Gtps14Gtps14Gtps
メモリインターフェース256 bit256 bit256 bit192 bit
メモリ帯域448GB/s448GB/s448GB/s336.1GB/s
消費電力215W175W175W160W

デュアルファンGPUクーラーを搭載するRTX SUPERのリファレンスモデル

 今回のテストには、NVIDIAより借用したGeForce RTX 2070 SUPERと、GeForce RTX 2060 SUPERのリファレンスモデルを利用する。

 RTX SUPERのリファレンスモデルは、デュアルファンタイプのGPUクーラーを搭載している。このGPUクーラーは外装の一部が変更されているものの、基本的なデザインはGeForce RTX 20 シリーズのFounders Editionに採用されていたものと同様だ。

GeForce RTX 2070 SUPER
GeForce RTX 2070 SUPERのリファレンスボード。占有スロット数は2
裏面には金属製バックプレートを装備。カード長は約267mm
補助電源コネクタは8ピン+6ピンの2系統
画面出力端子。DisplayPort 1.4×3基、HDMI 2.0×1基、VirtualLink(USB Type-C)×1基
GeForce RTX 2070 SUPERのGPU-Z実行画面
GeForce RTX 2060 SUPER
GeForce RTX 2060 SUPERのリファレンスボード。占有スロット数は2
カード裏面。金属製バックプレートを搭載している。カード長は約228mm。
補助電源コネクタは8ピン1系統。コネクタはカード後部に配置されている。
画面出力端子はDisplayPort 1.4×2基、HDMI 2.0×1基、DVI-D×1基、VirtualLink(USB Type-C)×1基
GeForce RTX 2070 SUPERのGPU-Z実行画面

テスト機材

 今回、RTX SUPERの比較用製品として、GeForce RTX 2060をオーバークロックして搭載したASUS製ビデオカード「ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING」を用意した。本来ならGeForce RTX 2070も比較に加えるべきところだが、今回は機材調達の関係で用意できなかった。残念ではあるが、ご了承願いたい。

 各ビデオカードの検証を行なうベース機材には、Intelの8コア/16スレッドCPU「Core i9-9900K」を搭載したIntel Z390環境を利用する。グラフィックスドライバに関しては、RTX SUPERにはレビュアー向けのベータ版「GeForce Game Ready Driver 431.16」、GeForce RTX 2060ではテスト時点での最新版である「GeForce Game Ready Driver 430.86」を使用した。

【表2】各ビデオカードのテスト時動作仕様
GPUGeForce RTX 2070 SUPERGeForce RTX 2060 SUPERGeForce RTX 2060 OC
ビデオカードベンダーNVIDIANVIDIAASUS
製品名リファレンスリファレンスROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING
ベースクロック1,605MHz1,470MHz1,365MHz
ブーストクロック1,770MHz1,650MHz1,830MHz
メモリ容量8GB (GDDR6)8GB (GDDR6)6GB (GDDR6)
メモリスピード14Gtps14Gtps14Gtps
メモリインターフェース256 bit256 bit192 bit
メモリ帯域448GB/s448GB/s336GB/s
【表3】テスト機材一覧
GPUGeForce RTX 2070 SUPERGeForce RTX 2060 SUPERGeForce RTX 2060 OC
CPUCore i9-9900K
CPUクーラーASUS ROG RYUJIN 240
マザーボードASUS TUF Z390-PLUS GAMING (UEFI: 2417)
メモリDDR4-2666 8GB×2 (2ch、16-16-16-36、1.35V)
システム用ストレージIntel SSD 760p (256GB SSD/M.2-PCIe 3.0 x4)
アプリケーション用ストレージSanDisk Ultra 3D SSD (1TB SSD/6Gbps SATA)
電源玄人志向 KRPW-GK750W/90+ (750W/80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 431.16 DCH (26.21.14.3116)GeForce Game Ready Driver 430.86 DCH (26.21.14.3086)
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 1903 / build 18362.207)
電源設定高パフォーマンス
室温約25℃
GeForce RTX 2060搭載ビデオカード「ASUS ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMING」
ASUS ROG-STRIX-RTX2060-O6G-GAMINGのGPU-Z実行画面

ベンチマーク結果

 今回実行したベンチマーテストは、「3DMark(グラフ1~8)」、「VRMark(グラフ9~10)」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(グラフ11)」、「FINAL FANTASY XVWINDOWS EDITION ベンチマーク(グラフ12)」、「Forza Horizon 4(グラフ13)」、「F1 2019(グラフ14)」、「バトルフィールド V(グラフ15~16)」、「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー(グラフ17~18)」、「フォートナイト(グラフ19)」、「オーバーウォッチ(グラフ20)」、「アサシン クリード オデッセイ(グラフ21)」、「モンスターハンター:ワールド(グラフ22)」、「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(グラフ23)」、「ゴーストリコン ワイルドランズ(グラフ24)」だ。

 3DMarkの高負荷テストでは、高負荷テストの「Time Spy」「FireStrike」と、中負荷テストの「Night Raid」および「Sky Diver」、DirectX Raytracing (DXR)を用いるリアルタイムレイトレーシングテスト「Port Royal」を実行した。

 高負荷テストでGeForce RTX 2060 SUPERが記録したスコアは、Time Spyで約8~10%、Fire Strikeでは約8~15%の差をつけてGeForce RTX 2060を上回った。どちらも高解像度になるほどスコアの差が拡大しており、メモリ帯域幅の強化が効果を発揮していることがうかがえる。

 GeForce RTX 2070 SUPERは、GeForce RTX 2060 SUPERに対してTime Spyで約13~14%、Fire Strikeでも約8~15%の差をつけており、1ランク上のGPUとして順当なパフォーマンスを発揮している。

【グラフ01】3DMark v2.9.6631「Time Spy」
【グラフ02】3DMark v2.9.6631「Time Spy Extreme」
【グラフ03】3DMark v2.9.6631「Fire Strike」
【グラフ04】3DMark v2.9.6631「Fire Strike Extreme」
【グラフ05】3DMark v2.9.6631「Fire Strike Ultra」

 中負荷テストにおけるGeForce RTX 2060 SUPERのGeForce RTX 2060に対するリードは約2~4%で、GeForce RTX 2070 SUPERは、GeForce RTX 2060 SUPERからさらに約6~8%高いスコアを記録した。

 GPU性能を反映しているGraphics Scoreに注目すると、GeForce RTX 2070 SUPERとGeForce RTX 2060 SUPERの差が約14~16%であるのに対し、GeForce RTX 2060 SUPERとGeForce RTX 2060の差は約5~7%となっている。メモリアクセスへの要求が比較的小さい中負荷テストでは、GeForce RTX 2060 SUPERの強化されたメモリ帯域幅の効果が薄いことが影響しているようだ。

【グラフ06】3DMark v2.9.6631「Night Raid」
【グラフ07】3DMark v2.9.6631「Sky Diver」

 DXRによるリアルタイムレイトレーシングを行なうPort Royalでは、GeForce RTX 2060 SUPERがGeForce RTX 2060を約20%上回った。GPUやメモリ周りの強化に加え、レイトレーシング処理専用コアであるRTコアが4基増強されていることもあって、DXR利用時の性能は大きく向上しているようだ。

 一方、40基のRTコアを備えるGeForce RTX 2070 SUPERは、GeForce RTX 2060 SUPERより約18%高いスコアを記録している。DXRを利用する場合は、上位モデルのアドバンテージはより大きなものとなることが分かる結果だ。

【グラフ08】3DMark v2.9.6631「Port Royal」

 VR性能を確認するベンチマークテストであるVRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」を実行した。

 最軽量のテストである「Orange Room」では、3モデルの結果がほぼ横並びとなっている。これはGPU負荷が軽いためにCPUのボトルネックが発生しているためで、平均フレームレートも250fps前後で頭打ちとなっている。

 唯一のDirectX 12テストである「Cyan Room」では、CPUのボトルネックがほぼ解消されており、GeForce RTX 2060 SUPERがGeForce RTX 2060を約8%上回り、GeForce RTX 2070 SUPERはそれを約18%上回っている。

 5K解像度で実行される高負荷テストの「Blue Room」でも、GeForce RTX 2060 SUPERがGeForce RTX 2060を約9%上回り、GeForce RTX 2070 SUPERはそれを約20%上回った。いずれのGPUも、ベンチマークテストの目標フレームレートである109fpsには届いていないが、GeForce RTX 2060 SUPER以上は60fps以上を達成している。

【グラフ09】VRMark v1.3.2020「スコア」
【グラフ10】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

 ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画設定「最高品質」に設定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でテストを実行した。

 フルHD解像度ではCPUのボトルネックが発生するため、各GPUのスコア差が詰まっているが、WQHD以上の画面解像度では、GeForce RTX 2060 SUPERがGeForce RTX 2060を約8~9%上回り、GeForce RTX 2070 SUPERはGeForce RTX 2060 SUPERを約14~18%上回った。

【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

 FINAL FANTASY XVWINDOWS EDITION ベンチマーク v1.2では、描画設定を「高品質」に設定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でテストを実行した。

 ここでは、GeForce RTX 2060 SUPERはGeForce RTX 2060を約6~11%上回り、GeForce RTX 2070 SUPERはGeForce RTX 2060 SUPERを約13~18%上回っている。

【グラフ12】FINAL FANTASY XVWINDOWS EDITION ベンチマーク v1.2

 DirectX 12専用タイトルであるオープンワールドレースゲーム「Forza Horizon 4」では、描画設定を「ウルトラ」に設定して、フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。

 Forza Horizon 4ではGPUコアの性能がフレームレートに反映されやすいようで、GeForce RTX 2060 SUPERのGeForce RTX 2060に対するリードは約2~4%に留まる一方、GeForce RTX 2070 SUPERはGeForce RTX 2060 SUPERを約17~20%上回った。

 本作は30fpsから遊べるゲームではあるが、快適にプレイするなら60fpsが欲しいところ。GeForce RTX 2070 SUPERは比較製品の中で唯一4K解像度で60fpsを上回っており、画質に妥協することなく本作をプレイできる実力を備えていると言える。

【グラフ13】Forza Horizon 4 (v1.317.19.2)

 6月末に発売となったF1公式ゲームの最新版「F1 2019」では、DirectX 12モードで描画設定を最高の「超高」に設定。フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 2060 SUPERが記録したフレームレートは、GeForce RTX 2060より約4~7%高い。GeForce RTX 2070はそれよりも約20~24%も高く、Forza Horizon 4以上にGPUコアの性能がフレームレートに反映されている。

 描画設定「超高」で平均60fps以上での動作を実現できるのが、GeForce RTX 2060 SUPERはWQHD解像度までである一方、GeForce RTX 2070 SUPERなら4K解像度でも60fps以上の平均フレームレートを達成している。

【グラフ14】F1 2019 (v1.03)

 バトルフィールド Vでは、DirectX 12で描画設定を「最高」にした場合と、それに加えてDXRによるレイトレーシングと、Tensorコアを活用するアンチエイリアシング「DLSS」を有効にした場合の2パターンで、フルHDから4Kまでの画面解像度でのフレームレートを測定した。

 GeForce RTX 2060 SUPERとGeForce RTX 2060の比較において、4K解像度では50%以上もの大差がついている。これはメモリ容量が6GBのGeForce RTX 2060では、メモリ容量の不足による性能低下が発生しているためだ。4K解像度を除いた場合、DXR+DLSS無効時で約10~11%、DXR+DLSS有効時は14~30%の差でGeForce RTX 2060 SUPERがリードしている。

 GeForce RTX 2070 SUPERはGeForce RTX 2060 SUPERに対し、DXR+DLSS無効時で約14~17%、DXR+DLSS有効時は8~15%の差をつけて上回っている。

【グラフ15】バトルフィールド V (v1.0.74.11040)
【グラフ16】バトルフィールド V 「DXR + DLSS有効」 (v1.0.74.11040)

 シャドウ オブ ザ トゥームレイダーでは、DirectX 12で描画設定を「最高」にした場合と、それに加えてDXRとDLSSを有効にした場合の2パターンで、フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークを実行した。

 GeForce RTX 2060 SUPERのGeForce RTX 2060に対するリードは、DXR+DLSS無効時で約7~10%、DXR+DLSS有効時は13~27%だった。一方、GeForce RTX 2070 SUPERは、DXR+DLSS無効時に約19~26%、DXR+DLSS有効時は13~15%の差をつけて、GeForce RTX 2060 SUPERを上回った。

【グラフ17】シャドウ オブ ザ トゥームレイダー (v1.0/build 292.0_64)
【グラフ18】シャドウ オブ ザ トゥームレイダー 「DXR + DLSS有効」 (v1.0/build 292.0_64)

 人気のバトルロイヤルTPS「フォートナイト」では、描画設定を最高の「エピック」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。

 GeForce RTX 2060 SUPERの平均フレームレートは、GeForce RTX 2060を約11~24%上回った。特に4K解像度での差が大きいが、これはバトルフィールド Vとは違ってメモリ容量不足は発生していない。純粋にメモリ帯域幅の強化が効いた結果だろう。

 GeForce RTX 2070 SUPERのGeForce RTX 2060 SUPERに対するリードは約13~15%だった。

【グラフ19】フォートナイト (v9.30)

 オンラインFPSの「オーバーウォッチ」では、描画設定を最高の「エピック」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。

 GeForce RTX 2060 SUPERはGeForce RTX 2060を約10~13%上回り、GeForce RTX 2070はそれを約10~17%上回った。

 いずれのGPUも4K解像度で60fpsを上回っており、GeForce RTX 2060 SUPER以上ならWQHD解像度で120fpsを超えている。RTX SUPERを用いれば、かなり高画質な設定を適用した状態でも高フレームレートでプレイできるだろう。

【グラフ20】オーバーウォッチ (v1.37.0.1.59008)

 アサシン クリード オデッセイでは、描画設定を「最高」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークを実行した。

 GeForce RTX 2060 SUPERのGeForce RTX 2060に対するリードは約9~20%。GeForce RTX 2070 SUPERは、そこからさらに約13~16%高いフレームレートを記録した。

【グラフ21】アサシン クリード オデッセイ (v1.3.0)

 モンスターハンター:ワールドでは、描画設定を「最高」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。

 GeForce RTX 2060 SUPERはGeForce RTX 2060に約6~7%の差をつけて上回り、GeForce RTX 2070 SUPERはそれを約16~22%上回った。

 プレイ可能なフレームレートの基準を30fpsとした場合、描画設定「最高」で基準をクリアできる画面解像度は、GeForce RTX 2060 SUPER以下はWQHDまでで、GeForce RTX 2070 SUPERなら4Kまでとなる。より滑らかな映像が得られる60fpsを基準にすると、それぞれ一段低い解像度までとなっている。

【グラフ22】モンスターハンター:ワールド (Revision 167589)

 フロムソフトウェアのアクションアドベンチャー「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」では、描画設定を「最高」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でフレームレートを測定した。

 本作は60fpsが上限フレームレートであるため、いずれのGPUもWQHD以下の画面解像度ではこの上限に到達している。GPUによる差が生じているのは4K解像度のみで、GeForce RTX 2060 SUPERはGeForce RTX 2060に約12%の差をつけて上回り、GeForce RTX 2070 SUPERはそれを約14%上回った。

【グラフ23】SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE (v1.04)

 オープンワールドシューティングの「ゴーストリコン ワイルドランズ」では、描画設定を「ウルトラ」に設定し、フルHDから4Kまでの画面解像度でベンチマークを実行した。

 GeForce RTX 2060 SUPERのGeForce RTX 2060に対するリードは約6~13%で、GeForce RTX 2070 SUPERはそれを約10~18%上回った。

 本作は30fpsからプレイできるタイトルなので、平均で37.19fpsを記録したGeForce RTX 2070 SUPERなら4K解像度かつ描画設定「ウルトラ」でもプレイは可能だが、PCならではの滑らかな映像でのプレイを希望するなら、画面解像度をフルHDに引き下げるか、WQHDで描画設定を調整することになるだろう。

【グラフ24】ゴーストリコン ワイルドランズ (v3747852)

消費電力とGPUモニタリングデータ

 コンセント側に設置した電力計を用いて、アイドル時の消費電力とベンチマーク実行中のピーク消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。

 アイドル時消費電力については34W前後でほぼ横並びとなっている。各GPUの省電力機能がしっかりと機能した結果であると言えよう。

 ベンチマーク実行中のピーク消費電力については、最も高いのはGeForce RTX 2070 SUPERで、GeForce RTX 2060 SUPERとの差は4~56Wと、おおむね50Wほど高い電力を記録している。

 GeForce RTX 2060 SUPERはVRMark Orange Room以外のテストで、オーバークロック仕様のGeForce RTX 2060より低い消費電力を記録している。オーバークロックは電力効率より性能を優先して動作クロックを高めているため、消費電力の逆転現象が生じたようだ。

【グラフ25】システムの消費電力

 GPU-Zのモニタリング機能を利用し、FINAL FANTASY XVWINDOWS EDITION ベンチマーク実行中のGPU温度などを取得してみた。ベンチマークは4K解像度かつ高品質設定で実行している。

 GeForce RTX 2070 SUPERの場合、ブースト動作の基準となる温度ターゲットは83℃に対し、ベンチマーク中のピーク温度は72℃であり、常にブースト動作が可能な温度をキープできている。ファン回転数も最大約1,770rpmと控えめで、それほど大きな騒音は発生していない。また、アイドル時でも約1,500rpmでファンが回転し続けているため、動作音の変化が気になりにくいのも特徴だ。

【グラフ26】GeForce RTX 2070 SUPER のモニタリングデータ

 GeForce RTX 2060 SUPERでは、温度ターゲットの83℃に対してピーク温度は71℃で、こちらもブースト動作が可能な温度までGPUを冷却できている。ファン回転数は最大約1,700rpmで、ファンノイズに関してはGeForce RTX 2070 SUPERと大差ない印象だ。

【グラフ27】GeForce RTX 2060 SUPER のモニタリングデータ

競合製品との競争の行方に注目したいRTX SUPER

 GeForce RTX 2060 SUPERは、GeForce RTX 2060ベースのオーバークロックモデルに1割前後の差をつけて上回っており、GPUとして明らかにワンランク上の性能を備えていることが分かる製品だ。残念ながら今回は新旧比較が出来なかったが、GeForce RTX 2070 SUPERもGeForce RTX 2070相手に同様の差をつけられるGPUであろうことは、GeForce RTX 2060 SUPERとの性能差からうかがえる。

 GeForce RTX 20シリーズのラインナップを更新するマイナーチェンジモデルとしては、順当なモデルといった印象のRTX SUPERだが、その投入時期的に考えて、7月7日発売解禁予定のAMD「Radeon RX 5700シリーズ」への対抗製品であろうことは明らかに思える。

 GeForce RTX 2060 SUPERやGeForce RTX 2070 SUPERが、現時点でPCゲーマーにとって魅力ある性能を持った製品であることは間違いないが、ユーザーの人気を獲得するためには、Radeon RX 5700シリーズとの競争に勝利する必要がある。

 ビデオカードの購入を検討しているユーザーにとって、RTX SUPERとRadeon RX 5700シリーズの競争の行方は、大いに注目すべきものとなるだろう。