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1週間充電いらずのスマートウォッチ!おすすめ3機種をApple Watchなどと比較検証してみた結果……
2024年7月5日 06:05
「スマートウォッチはバッテリが持たない」と思っている人は非常に多いと思う。確かに、日本で最も売れているであろうApple Watchは、スタンダードな「Apple Watch Series 9」で最大18時間、最もバッテリ容量が大きいであろう「Apple Watch Ultra 2」で最大36時間とされており(いずれも低電力モード非使用時)、1~2日持てばいいほうである。
だがApple Watchの電池持ちが短いからと言って、すべてのスマートウォッチのバッテリ持ちがそこまで短いのかというと、そうとは限らない。Apple Watchシリーズに近い機能・性能を持つ「Pixel Watch」シリーズなど、OSに「WearOS by Google」を搭載した機種のバッテリ持続時間もApple Watchシリーズと大きく変わらないが、それ以外のスマートウォッチに目を向けるとかなり状況が違っていることが分かる。
実はApple WatchやWearOS by Google搭載機種以外のスマートウォッチは、大半が7~10日程度は連続して使用できるとされているのだ。 電池持ちが短い機種の人気が非常に高いがために、スマートウォッチはバッテリが持たないというイメージがついてしまっているだけであり、スマートウォッチは結構バッテリ持ちがよいのである。
とはいうものの、そうした機種は本当に1週間も持続するのか?と疑問を抱く人もいることだろう。そこで今回は、長期間のバッテリ持ちを謳う機種をいくつかピックアップし、実際にどれくらいバッテリが持続するのかを試してみた。
(1) 調査対象のスマートウォッチ3機種を紹介
(2) 10日とはいかないが、連続で8~9日は使える
(3) 公称28日間持続を謳うスマートウォッチも
調査対象のスマートウォッチ3機種を紹介
今回、調査に使用したのは下の3機種。機能・性能にはいくつか差があるものの、いずれも7日以上のバッテリ持続を謳う機種で、発売から1年以内、かつ2024年5月現在も販売されている比較的新しいモデルである。
Garmin vivoactive 5
「vivoactive 5」は米Garminが2023年10月に発売したスマートウォッチで、健康管理に重点を置き手軽さに重点を置いたモデル。実売価格は3万円台前半と同社製品の中では低価格の部類に入る。だがGPS機能や30種類のトレーニングに対応したスポーツアプリ、コーチ機能付きの睡眠モニタリングに加え、Garmin独自の「Garmin Pay」に対応しており「Suica」などでの決済にも使えるなど、機能的の充実度は高い。
そして気になるバッテリ持続時間だが、vivoactive 5はスマートウォッチモードで約11日間稼働するとされている。ただしGPSなど衛星を補足しようとするとを使用するとバッテリ消費が増え、「GPSモード」では約21時間、「マルチGNSSモード」では約17時間にまで減少する。
Amazfit Cheetah
「Amazfit Cheetah」は、中国Zepp HealthがAmazfitブランドで展開しているスマートウォッチの1つ。同社製品の中では中間クラスに位置し、価格は3万9900円であることからvivoactive 5と近いクラスの製品となるが、デュアルバンド円偏波GPSアンテナの搭載で高い位置測位制度を誇り、なおかつAIによるコーチング機能を備えるなど、ランニングに重点を置いているのが大きな特徴となる。
それでいてバッテリでの稼働時間は標準的な使用で最大14日間、ハードな使用で最大7日間とアピールされている。ただしこちらも「自動GPSモード」にすると最大44時間、「高精度GPSモード」にすると最大26時間にまで稼働時間は減少する。
HUAWEI WATCH FIT 3
「HUAWEI WATCH FIT 3」は、中国Huawei Technologiesが2024年5月に発表したばかりのスマートウォッチ新製品。価格は2万円台前半とほかの2機種より安価だが、そのぶん機能面では削ぎ落されている部分もいくつかあることから、エントリークラスに位置するモデルと言えるだろう。
こちらもフィットネスや健康管理などに重点を置いたライトユーザー向けのモデルとなっており、ワークアウトや睡眠管理などの基本的な機能に加え、専用の「HUAWEI Health」アプリで食事のカロリーも記録・管理できる仕組みなどが備わっている。なおバッテリの持続時間は通常使用で最大10日間、ヘビーユースで最大7日間、画面常時点灯機能をオンにすると最大4日間とされている。
【お詫びと訂正】初出時にHUAWEI WATCH FIT 3についてGPS非対応としていましたが、正しくは対応しており、該当箇所を修正いたしました。お詫びして訂正させていただきます。
なお、これら3機種はいずれもバッテリ容量は非公表。バッテリに影響する要素としては1つに無線通信が挙げられ、スマホの接続などに用いるBluetoothについては、Amazfit CheetahがBluetooth 5.3、HUAWEI WATCH FIT 3が同5.2を採用するとされているが、vivoactive 5はバージョンの記載がない。
もう1つの要素となるのはディスプレイだが、いずれも素材に有機EL(OLED)を採用しており、vivoactive 5は1.2インチ、Amazfit Cheetahは1.39インチ、HUAWEI WATCH FIT 3は約1.82インチとなっている。ただHUAWEI WATCH FIT 3はディスプレイが四角で、ほかの2つが丸型であることから、実際に並べてみると数値ほど大きな違いはないように感じる。
10日とはいかないが、連続で8~9日は使える
具体的な調査方法について説明しておくと、基本的には筆者が各機種を装着して1日おきにバッテリの残量を記録。それをバッテリがなくなるまで繰り返すというベーシックな形を採っている。
いずれの機種も初期状態の設定で使用することとし、バッテリ残量が少なくなった時にも省電力モードは使わないこととした。なお3機種ともに有機ELを採用しているが、初期設定ではディスプレイが常時オンではないことも付け加えておく。
ほかにもバッテリに影響が出る要素を挙げておくと、GPS機能は使用せず、Bluetoothもスマホ以外の接続には使用しないこととする。また公道でバッテリ消費に差が出ないよう、ワークアウトも実施せず生活パターンもなるべく合わせるようにしている。
とはいえ筆者の生活の都合上、日によってどうしても外出する機会が生じる場合があるため、ある程度行動にムラが生じてしまう点はご了承いただきたい。
なお、今回はこれら3機種に加え、比較対象として「Apple Watch Series 9」と「Pixel Watch 2」でも同様の調査を実施している。これら2機種もテストの条件は同じだが、3機種の動作と合わせるためディスプレイの常時オン設定だけは「オフ」にしている。
以上の条件を踏まえて調査を進めた結果が以下のグラフとなる。
結果を見てもらえば分かるのだが、 3機種ともに10日には達しなかったものの、1週間は余裕でバッテリが持つことが分かった。 いずれの機種も1日に消費するバッテリ量は多くて15%未満。1日に3分の1から半分程度のバッテリを消費するApple Watch Series 9やPixel Watch 2と比べると、いかにバッテリ消費が少ないかが分かるだろう。
なお、上記のグラフは1日ごとのバッテリ残量を示しているに過ぎず、詳細な時間の違いは反映されていない。そこでバッテリが切れるまでのおおよその時間を示しておくと、次のようになった。
- Garmin vivoactive 5
214時間30分(8日と22時間30分) - Amazfit Cheetah
201時間20分(8日と9時間20分) - HUAWEI WATCH FIT3
222時間40分(9日と6時間40分)
こちらもApple Watch Series 9やPixel Watch 2の結果と比較したものをグラフにしてみたので、違いを見比べてみてほしい。
今回の調査結果はあくまで1つの事例に過ぎず、ワークアウトを頻繁に実施したり、GPSを頻繁に利用したりすればバッテリの減りはもっと早くなることが予想される。だがそれでも、Apple WatchやWearOS by Google搭載機種と比べれば、バッテリが非常に良く持つことは間違いないと言える。
Apple WatchやWearOS by Google搭載機種以外のスマートウォッチは、モバイル通信や決済などの機能が備わっていない、あるいは充実度が低いという部分で弱みがあることは確かだ。だがスマートウォッチの主要機能であるエクササイズや健康管理に関する機能は、それらに引けを取らないものが増えている。
それだけに、スマートウォッチの主な利用用途が健康管理で、なおかつ決済やモバイル通信などをあまり使っていないというのであれば、バッテリの持ちを重視した製品を選んだほうが満足度は高いかもしれない。
公称28日間持続を謳うスマートウォッチも
最後に余談となるが、実は今回紹介した機種より一層、バッテリの持ちに力を入れたスマートウォッチが存在するので紹介しておこう。
その代表例となるのが、Garminのソーラー充電機能を備えたスマートウォッチ。これらは主にアウトドアでの使用を意識し、充電が難しい環境でもソーラー充電を使うことで長期間の利用が可能になるというもの。中でも「Instinct 2」シリーズはディスプレイがモノクロながらソーラー充電で無制限にバッテリ稼働できるなど驚異的な持続時間を実現しており、遭難時などでも安心して使えるGarminらしいタフさがある。45mm系のInstinct 2は通常動作で28日間の動作を謳っている。
またWearOS by Google搭載機種の中にもバッテリ持ちを意識した機種があり、それが中国Mobvoiが販売している「TicWatch」シリーズだ。
こちらは通常のディスプレイに加え最小限の情報を表示するモノクロのディスプレイも備えた二層ディスプレイ構造を採用しており、双方を切り替えて使用することで通常のWearOS by Google搭載機種より長時間バッテリが持続する仕組みを備えている。FeliCaに対応していないなどの弱点はあるが、WearOS by Googleの機能は失いたくないもののバッテリはもっと持たせたいという人なら検討の余地がありそうだ。