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お荷物になってしまった240GB等の小SSDたち。実は“記憶域スペース”で大容量化可能。余ったSSDの有効活用方法とは

ゲームのインストール用としては使いにくい複数の小容量SSDをWindowsの「記憶域スペース」で1つのドライブとして束ねてみる

 昔からSSDを使っている人なら、240GBクラスの小容量モデルを複数持て余していたりするかもしれない。USB接続の外付けケースと組み合わせて、ちょっとしたデータ保存用に使うのもよいが、ゲームのインストール目的だと容量不足感は否めない。

 たとえば、2024年2月上旬現在でStarfieldのインストール容量は「124GB」、Call of Duty: Modern Warfare 3は「188GB」だ。この2本だけで、240GBクラスのSSDには収まらない。複数のゲームをインストールしたいなら、最低でも500GB以上の容量は欲しいところだ。

 複数のSSDをPCに接続して、ゲームごとにインストール先を変えるという手もあるが、それは面倒だし、効率的とは言えない。 そこで便利なのが、Windows 10や11に備わっている「記憶域スペース」と呼ばれる機能だ。ソフトウェアRAIDと言えるもので、複数のストレージを1つのドライブとして束ねられる。

 マザーボードのRAID機能のように、ドライバのインストールといった作業が不要で手軽に使えるのが強み。複数のSSDの容量を合わせて1つのドライブとして扱えるので、ゲームのインストール先として使いやすくできる。今回は240GBと500GBのSATA接続のSSDを束ねる手順と、パフォーマンスの変化をチェックしてみたい。

※動画でも解説しています

「記憶域の作成」で簡単に束ねることが可能

 ここでは、Crucial BX500(240GB)とCrucial MX500(500GB)というSATA接続のSSDを用意。それを束ねて1つのドライブとして扱えるようにする。検証環境は以下の通りだ。

【検証環境】

CPU:Core i5-14500(14コア20スレッド)
マザーボード:ASRock Z790 Nova WiFi
メモリ:Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(16GB×2)
ビデオカード:MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC
システムSSD:WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0
OS:Windows 11 Pro(23H2)

 まずは、SSDをPCに接続して起動。検索窓に「記憶域」と入力して、検索結果に出てくる「記憶域の管理」を選択する。「新しいプールと記憶域の作成」をクリックして、束ねたいSSDを選択する。記憶域の名前、ドライブ文字、ファイルシステムを決め、回復性の種類を「シンプル(回復性なし)」を選択。これは冗長性はないが、複数のストレージを1つのドライブに束ねられる機能となる。最後に「記憶域の作成」をクリックすれば、複数のストレージが1つのドライブとして認識される。

記憶域の作成手順

【手順1】
今回は240GBのCrucial BX500(左)と500GBのCrucial MX500(右)を1つのドライブに束ねていく
【手順2】
検索窓に「記憶域」と入力して、「記憶域の管理」を選択する
【手順3】
表示される画面から「新しいプールと記憶域の作成」をクリック
【手順4】
1つのドライブとして束ねたいSSDにチェックを入れる。ここではディスク0とディスク1。フォーマット済みのSSDだと「フォーマット済みドライブ」と表示され、ファイルが含まれている可能性があると警告が出る。必要データある場合は事前にバックアップしておこう
【手順5】
名前、ドライブ文字、ファイルシステムを設定。ここでは、「記憶域」、「D : 」、「NTFS」とした。基本的にはデフォルト設定で問題ない。回復性の種類を「シンプル(回復性なし)」にし、「記憶域の作成」をクリック
【手順6】
2つのSSDが1つのドライブとして認識される

 記憶域プールの機能で作成されたドライブは、Windows上からは1台のストレージとして認識される。Steamのインストール先にも問題なく設定が可能だ。

束ねたドライブはSteamのインストール先として問題なく利用できる

 古いSSDだと耐久性が気になる人もいるだろう。記憶域プールのシンプル設定で作ったドライブは冗長性がないのでどちらか1台トラブルが起きたらデータにアクセスできなくなってしまう。そのため、大事なデータを保存する場所には向いていない。ゲームならほとんどの場合、再ダウンロードが可能でセーブデータも最近はクラウド上に保存するケースが多い。万が一トラブルが起きてもダメージは少ないと言える。

 なお、記憶域で設定したSSDを戻すには下記の通りにやればよい。

記憶域で設定したSSDを元に戻す方法
SSDを元に戻したいときは「記憶域の管理」から記憶域の削除→記憶域プールの削除を実行する。このとき保存したデータはすべて消えるので注意したい

パフォーマンスをチェックする

SSDを束ねたことでパフォーマンスがどうなるのか気になるところ。記憶域プールのシンプル設定は複数のストレージにデータを分散して書き込むので「RAID 0(ストライピング)」と同じだ。そのため、パフォーマンスの向上も期待するところでもある。

 ここでは、Crucial BX500、Crucial MX500、記憶域プールのシンプルでSSDを束ねた場合の3パターンで、SSDのデータ転送速度を測る「CrystalDiskMark 8.0.4c」と「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」のローディングタイムで性能をチェックしてみた。

 4K Q32T1のランダムリード、ライトだけは2台への分散効果があったのか記憶域のほうがデータ転送速度が高速になったが、それ以外はほぼ変わらずと言ってよい。RAID 0のような劇的なデータ転送速度向上は望めないのが分かる。

 なお、同じ記憶域でもPowerShellでコマンド入力することで作成すればデータ転送速度は向上するが、難易度は一気に上がってしまう。ゲーム目的なら、このままの速度でロードに不満が出ることはほとんどないはずだ。

 記憶域プールは、後からさらにSSDを追加して容量を拡大することもできる。余っているSSDをゲームインストール用のドライブとして使っていくテクニックとして活用してみてはどうだろうか。