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スティック型SSDのおすすめな使い方あります。お手軽増設で容量不足を解決
2024年9月9日 06:19
昨今は、動画の高画質&高解像度化、ゲームの大容量化などが進み、動画編集をするにしても、複数のゲームをプレイするにしてもストレージ容量の確保に苦労することが多い。いろいろダウンロードしていたら、Cドライブの容量が少なくなっていたなんて経験はないだろうか?特に拡張性が限られるノートPCでは、ストレージの問題が起きやすい。
そこでおすすめしたいのが「コンパクトな外付けSSD」の活用だ。USB接続の外付けSSDなんて、大容量ファイルを扱う動画編集で実用的なの?ゲームも問題なく動くの?ダウンロード先に指定してトラブル起きない?と思う人もいるはず。ここでは設定方法やパフォーマンスを含めて検証していこう。
バッファローのコンパクトな外付けSSDを活用
USB接続の外付けSSDは数多く存在するが、今回用意したのはバッファローのスティックSSDと小型SSD。どちらもコンパクトでUSBポートに直接挿すタイプなので、USBメモリ感覚で手軽に使えるのが強みだ。
1つはスティック型のSSD-SCTU3Aシリーズ。長さ68.2mmで約17gと、とにかく軽くて扱いやすい。それでいて、米軍調達規格の「MIL-STD-810G」準拠という頑丈さも持つ。接続はUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)だ。端子はスライドで格納が可能、速度はリード600MB/s以上、ライト500MB/s以上となっている。容量は500GB/1TB/2TBの3種類で、カラーはブラックとホワイトの2色だ。今回は1TBモデル(SSD-SCT1.0U3-BA)使用する。
もう1つは、超小型のSSD-PST1.0U3-BAシリーズ。長さ28mm、約4.5gという超軽量コンパクトサイズ。USB端子を挿し込むと、出っ張る部分は約17mmだけと、ノートPCに取り付けたままでもあまりジャマにならないのが便利。
こちらも接続はUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)だが、Type-Cへの変換アダプタは備えていない。速度はリード600MB/s以上、ライト500MB/s以上で、容量は250GB/500GB/1TBの3種類で、カラーはブラックのみ。今回は1TBモデル(SSD-PST1.0U3-BA)使用する。
デスクトップPCの場合
今回は内蔵SSDと外付けSSDのパフォーマンス比較も行なう。そのため、まずはそれぞれの環境紹介とデータ転送速度をチェックしておこう。スティック型SSD「SSD-SCT1.0U3-BA」はデスクトップPCと組み合わせる。自作PCを利用しており、スペックは以下の通りだ。
CPU : Core i9-14900K(24コア32スレッド)●マザーボード : ASRock Z790 Nova WiFi(Intel Z790)●メモリ : Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)●ビデオカード : GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition●システムSSD : Western Digital WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0(PCI Express 4.0 x4、2TB)●CPUクーラー : Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス)●電源 : Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)●OS : Windows 11 Pro(23H2)
内蔵SSDはWestern DigitalのWD_BLACK SN850 NVMe(2TBモデル)。公称シーケンシャルリードは7,000MB/s、ライトは5,100MB/sのハイエンドモデルだ。
シーケンシャルリード/ライトを見ると10倍ほど内蔵SSDのほうが高速だ。これがゲームのロードや動画の書き出しではどうなのかに注目したい。
ノートPCの場合
小型SSD「SSD-PST1.0U3-BA」は、そのサイズの小ささからノートPCと組み合わせる。用意したのはASUSの14型ノートPC「Zenbook 14 OLED」(型番UX3405MA-U7161W)だ。CPUにCore Ultra 7 155Hを搭載、メモリはLPDDR5X-7467が16GB、ストレージはGen 4接続のNVMe SSDが1TBというスペックになっている。
ノートPCのUSBポートがUSB 3.2 Gen 1(5Gbps)接続なので、公称の速度には若干届いておらず、シーケンシャルリード、ライトとも約450MB/sとなった。内蔵SSDとは、こちらもシーケンシャルリードは10倍以上の差がある。それでも、超小型、軽量であることを考えれば、十分高速とは言えるが……。
「ドキュメント」の場所を外付けSSDに変更する
前置きが長くなったが、ここからは本題である外付けSSDの活用法に移ろう。
OSがインストールされているCドライブの容量が減ってしまう原因の1つに、多くのアプリの標準保存先がCドライブにある「ドキュメント」になっていることがある。作成したファイルだけではなく、アプリの設定やログ、ゲームのセーブデータなどの保存にも使われることが多く、気付いたら膨大なデータ量になっていることも。
このドキュメントは別のドライブに設定が可能だ。スタートメニューから設定を呼び出し、「システム」→「ストレージ」→「ストレージの詳細設定」→「新しいコンテンツの保存先」とメニューをたどり、「新しいドキュメントの保存先」に外付けSSDのドライブを選択して、「適用」ボタンを押す。これで、外付けSSD内に「ユーザー名(これはPCによって異なる)」→「Documents」という階層のフォルダが作られ、アプリの標準保存先がこちらに移る。
なお、Cドライブの「ドキュメント」フォルダにあるデータはそのまま残っているので、容量を空けたければ、外付けSSDにコピーするのもよいだろう。
また、外付けSSDが取り外された場合は自動的にCドライブの「ドキュメント」に再設定される。再び、取り付ければ外付けSSDの「ドキュメント」が設定される。外付けSSDの抜き挿しで自動的に設定を切り換えてくれるのはありがたいところ。なお、ミュージック、ピクチャ、ビデオといったフォルダも外付けSSDに設定が可能だ。
「ダウンロード」の場所を外付けSSDに変更する
もう一つ、いつの間にか容量を圧迫しやすいのが「ダウンロード」フォルダだ。これはブラウザごとに設定する必要がある。まず、外付けSSDにダウンロードファイルの保存先となるフォルダを作成。そこに、ブラウザごとのダウンロード先設定を割り当てるという流れだ。ここでは、定番ブラウザということでEdgeとGoogle Chromeの設定方法を紹介していく。
Steamのゲームインストール先を外付けSSDにすると利便性が超アップ
外付けSSDの活用で、ゲーマーの筆者としておすすめしたいのが、Steamで購入したゲームのインストール先にすることだ。最近のゲームは大容量化が進んでおり、たとえば人気のApex Legendsのインストールサイズは71.89GB、Starfieldは129.83GBにも達する。
そのため、複数のゲームをプレイしようと思ったら、大容量のストレージは必須だ。外付けSSDがあれば、インストール先の確保につながる。便利なのは、ゲームをインストールした外付けSSDは、別のPCでもSteamからすぐに認識できること。もし、PCの買い換えが発生しても、時間のかかる再ダウンロード不要で新しいPCへとゲーム環境を移行できるわけだ。
外付けSSDをインストール先に加えるのは簡単だ。Steamアプリの左上の「Steam」をクリックしてメニューを開き、「設定」を選択。左側のメニューから「ストレージ」をクリック。プルダウンメニューから「ドライブを追加」を選択して、外付けSSDのドライブを選んで「追加」ボタンを押せばOKだ。外付けSSD内にゲームをインストールするための「SteamLibrary」フォルダが自動的に作られる。
これで、ゲームのインストール先に選択が可能になるという流れだ。このとき、外付けSSDにすでにSteamのゲームがインストールされていれば、自動的に認識してプレイ可能になる。
ここで気になるのが、外付けSSDだとゲームのロード時間が遅くならないのか? デスクトップPC、ノートPCの両方で内蔵SSDと外付けSSDでStarfieldとサイバーパンク2077のロード時間を測定した。テストは3回行ない、平均値を掲載する。
サイバーパンク2077は、内蔵SSDでも外付けSSDでもロード時間の差はわずか。実際のプレイで気になるレベルではない。Starfieldは、ロード時間にバラツキが出やすかった。デスクトップPCでは約8秒、ノートPCでは約4秒の差とハッキリと差が出た。ゲームによっては外付けSSDのほうが多少遅くなることある、ということだろう。
外付けSSD上で動画編集の素材を保存、編集して書き出しても大丈夫?
次は、Apple ProRes形式の4K動画(2分、12.2GB、826Mbps)を、内蔵SSDと外付けSSDのそれぞれに保存し、動画編集ソフトのAdobe Premiere Proで編集を行ない、H.264のフルHD解像度で書き出すのにかかった時間を測定する。外付けSSD上で素材の取り扱いから書き出しまで問題なく行なえるのか試してみよう、という趣旨だ。デスクトップPC、ノートPCの両方で試している。
その前に、Apple ProRes形式の4K動画(2分、12.2GB)を内蔵SSD内でコピーするのと、内蔵SSDから外付けSSDにコピーするのにかかった時間を見ておこう。
さすがに内蔵SSDと外付けSSDでは、データ転送速度が違うので差は大きくなる。特に高速な内蔵SSDを使っているデスクトップPCでは差が大きい。
書き出しは、それぞれGPUのハードウェアエンコーダを使用し、H.264/VBR/1pass/20Mbpsの設定で書き出している
デスクトップPCのほうがハイエンド環境なので書き出しは早く終わっている。内蔵SSDと外付けSSDの1秒以下の差とほとんど変わらなかった。ノートPCでもわずか約6秒だけ。4Kまでの動画ファイルなら外付けSSDだけで動画編集を完結しても大丈夫と言えそうだ。動画素材はストレージを圧迫するだけに、容量不足に悩んだら外付けSSDの導入はアリだ。