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Steam Deckだけじゃない。手元でPCゲームを楽しむ携帯型ゲーミングPC「松竹梅」を比較してみた

「Steam Deck」5万9,800円~、「ROG Ally」8万4,800円~、「ONEXPLAYER 2 Pro」15万7,000円~

 ポータブルゲーミングUMPCの選択肢が増えてきた。ゲーマーにとっても、モバイラーにとっても嬉しい状況だ。

 しかし、どの製品がどの程度の性能なのかピンと来ない方も多いかと思う。そこで今回の記事では、ポータブルゲーミングUMPCの代表的な製品として「Steam Deck」、「ROG Ally」、「ONEXPLAYER 2 Pro」を選出し、スペック、外観、パフォーマンス、ディスプレイ品質などを比較してみた。年末年始のお供を探している方の参考になれば幸いだ。

「Steam Deck OLED」を含めた4機種のスペックを比較

 まずはスペックを比較していこう。下記にSteam Deck、ROG Ally、ONEXPLAYER 2 Proのスペック表を掲載している。この記事の作成中にSteam DeckのOLEDディスプレイ搭載モデルが発表されたので、スペック表に追加している。ただし今回はOLEDディスプレイ搭載モデルを借用していない。以降のレビューパートではLCDディスプレイ搭載モデルを使用していることをご了承いただきたい。

 さて、各機種の主な違いについて触れていこう。まず一番大きな違いはプロセッサだ。Steam Deckは「AMD APU(AMD Custom APU 0405)」、ROG Allyは「Ryzen Z1 Extreme」または「Ryzen Z1」、ONEXPLAYER 2 Proは「Ryzen 7 7840U」を搭載している。AMD APUはCPUがZen 2、GPUがRDNA 2アーキテクチャ、Ryzen Z1 ExtremeとRyzen 7 7840UはCPUがZen 4、GPUがRDNA 3アーキテクチャだ。当然性能が大きく異なるが、どのぐらいの差があるかはベンチマークでご覧いただこう。

 なおSteam DeckのプロセッサはCPUとGPUの世代は同じだが、製造プロセスが7nmから6nmへと微細化されている。消費電力と発熱の低減などの恩恵を受けられるわけだ。

 ストレージで目を引くのがONEXPLAYER 2 Proが1TBまたは2TBのPCIe Gen4 x4接続SSDが採用されていること。ストレージが高速なのもメリットだが、2TBのSSDではより多くのゲームを保存しておけるわけだ。

 プロセッサと同じぐらい重要なのがディスプレイの違い。Steam Deck LCDは7型IPS液晶(1,280×800ドット、60Hz)、Steam Deck OLEDは7型OLED(1,280×800ドット、90Hz)、ROG Allyは7型IPS液晶(1,920×1,080ドット、120Hz)、ONEXPLAYER 2 Pro は8.4型IPS液晶(2,560×1,600ドット、60Hz、ペン対応)を搭載している。

 簡単にまとめると、Steam Deck OLEDは画質と90Hzのリフレッシュレート、ROG Allyは120Hzのリフレッシュレート、ONEXPLAYER 2 Proは8.4型の大画面と2,560×1,600ドットの高解像度、そしてペン対応が売りということになる。

 インターフェイスについてはONEXPLAYER 2 Proがぶっちぎりに充実している。Steam DeckとROG Allyはスペース的にUSB Type-Aを搭載できなかったのだろうが、せめてUSB Type-Cをふたつ搭載してほしかった。なおROG AllyはROG XG Mobileインターフェイス、ONEXPLAYER 2 ProはUSB 4経由で外部GPUボックスと接続できる点もアドバンテージだ。

 バッテリはSteam Deck LCDが40Wh、Steam Deck OLEDが50Wh、ROG Allyが40Wh、ONEXPLAYER 2 Proが65.5Whを搭載している。バッテリ駆動時間についてはメーカーごとに表現が異なるので単純に比較できない。同じ条件のバッテリ駆動時間についてはベンチマークの章を参照してほしい。

 さて最後に価格だ。Steam Deckは5万9,800~9万9,800円、ROG Allyは8万9,800~10万9,800円、ONEXPLAYER 2 Proは15万7,000~18万8,000円となっている。価格的にはSteam Deckが梅、ROG Allyが竹、ONEXPLAYER 2 Proが松と位置づけられる。なお、記事執筆時点でONEXPLAYER 2 Proの16GB/1TBモデル(15万7,000円)が完売となっているので、実質最低価格が17万8,000円となっている点には注意してほしい。

製品名Steam Deck LCDSteam Deck OLEDROG AllyONEXPLAYER 2 Pro
OSSteamOS 3.0(Archベース)、KDE PlasmaWindows 11 Home
プロセッサAMD APU(15W、7nm)AMD APU(15W、6nm)RC71L-Z1E512:AMD Ryzen Z1 Extreme、RC71L-Z1512:AMD Ryzen Z1(30W、4nm)AMD Ryzen 7 7840U(30W、4nm)
CPUZen 2アーキテクチャ
4コア、8スレッド、2.4~3.5GHz(最大448GFLOPS FP32)
Zen 4アーキテクチャ
RC71L-Z1E512:8コア、16スレッド、3.3~5.1GHz、RC71L-Z1512:8コア、16スレッド、3.2~4.9GHz
Zen 4アーキテクチャ
8コア、16スレッド、3.3~5.1GHz
GPURDNA 2アーキテクチャ
8CU、1.6GHz(1.6TFLOPS FP32)
RDNA 3アーキテクチャ
AMD Radeon Graphics
RC71L-Z1E512:12CU(最大8.6TFLOPS FP32)、RC71L-Z1512:4CU(最大2.8TFLOPS FP32)
RDNA 3アーキテクチャ
AMD Redeon 780M
12CU、2.7GHz
メモリ16GB(LPDDR5-5500、オンボード)16GB(LPDDR5-6400、オンボード)16GB(LPDDR5-6400、オンボード)16GB/32GB(LPDDR5X-7500、オンボード)
ストレージ256GB(PCIe Gen3 x4接続SSD、M.2 2230)512GB/1TB(PCIe Gen3 x4接続SSD、M.2 2230)512GB(PCIe Gen4 x4接続SSD、M.2 2230)1TB/2TB(PCIe Gen4 x4接続SSD、M.2 2280)
ディスプレイ7型IPS液晶(1,280×800ドット、216ppi、400cd/平方m、60Hz、タッチ対応、ペン非対応)7型OLED(1,280×800ドット、216ppi、600cd/平方m[SDR]、1000cd/平方m[HDR]、90Hz、0.1ms、110% P3、タッチ対応、ペン非対応)7型IPS液晶(1,920×1,080ドット、315ppi、500cd/平方m、120Hz、7ms、光沢、タッチ対応、ペン非対応、Corning Gorilla Glass Victus)8.4型IPS液晶(2,560×1,600ドット、358ppi、輝度非公表、60Hz、光沢、タッチ対応、ペン対応)
ワイヤレス通信Wi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 5.0Wi-Fi 6E(11ax)、Bluetooth 5.3Wi-Fi 6E(11ax)、Bluetooth 5.1Wi-Fi 6E(11ax)、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB 3.2 Gen2 Type-C(データ転送、映像出力、給電対応)×1、microSDカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1ROG XG Mobileインターフェイス×1、USB 3.2 Gen2 Type-C(データ転送、映像出力、給電対応)×1、microSDカードスロット(UHS-II)×1、3.5mmコンボジャック×1USB 4(データ転送、映像出力、給電対応)×1、USB 3.2 Gen2 Type-C(データ転送、映像出力、給電対応)×1、USB 3.0 Type-A×1、microSDカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1
カメラ-
サウンドステレオスピーカー、デュアルアレイマイクステレオスピーカー(1W×2、Dolby Atmos対応)、ハイレゾ対応(イヤフォン利用時)、デュアルアレイマイクステレオスピーカー(HARMAN AudioEFX認証)、マイク
バッテリ容量40Wh50Wh40Wh65.5Wh
バッテリ駆動時間(最大)2~8時間のゲームプレイ3~12時間のゲームプレイJEITA2.0:約10.2時間、ヘビーゲーム:約2時間、クラウドゲーム:約6.8時間、動画再生:約6.8時間ゲームプレイ:約3時間以上、動画再生:約8~9時間
バッテリ充電時間非公表約1.6時間40分で50%まで充電
本体サイズ約298×117×49mm約280.0×111.38×21.22~32.43mm約310×127×23~40mm
重量約669g約640g約608g約709g
ゲームパッド十字キー、表示ボタン、サムスティックL3、トラックパッド左、Steamボタン、サムスティックR3、メニューボタン、ABXYボタン、トラックパッド右、クイックアクセスボタン、R1/R2ボタン、電源ボタン、音量ボタン、L1/L2ボタン、R4/R5ボタン、L4/L5ボタン左スティック、十字キー、表示ボタン、コマンドセンターボタン、メニューボタン、Armory Crateボタン、ABXYボタン、右スティック、R1/R2ボタン、電源ボタン、音量ボタン、L1/L2ボタン、M1/M2ボタン左スティック、十字キー、バックボタン、Xboxボタン、スタートボタン、ABXYボタン、右スティック、モードボタン、LEDボタン、RB/RTボタン、turboボタン、X1/X2ボタン、電源ボタン、LB/LTボタン、右ロックボタン、左ロックボタン
セキュリティ-指紋認証センサー一体型電源ボタン-
同梱品ケース、ACアダプタ(45W、1.5m)、説明書ケース、ACアダプタ(45W、2.5m)、説明書ACアダプタ(65W、2m)、スタンド、説明書ACアダプタ(100W)、USB Type-Cケーブル、説明書
カラーブラックホワイトミッドナイトブラック、スノーホワイト
価格5万9,800円512GB:8万4,800円、1TB:9万9,800円RC71L-Z1E512:10万9,800円、RC71L-Z1512:8万9,800円16GB/1TB:15万7,000円、32GB/1TB:17万8,000円、32GB/2TB:18万8,000円

各製品でコントローラの配置、数は大きく異なっている

 デザインについては好みが大きく分かれる。個人的には造形的にはROG Allyが一番好きだ。Steam Deckはベゼルがちょっと太すぎるように思う。ただSteam Deckは将来的に、ボディはそのままで大画面ディスプレイを搭載するための布石だったのかもしれない。ONEXPLAYER 2 Proはミッドナイトブラックとスノーホワイトの2色から選べるのが嬉しいところだ。

 コントローラの配置、数は異なっているが、基本的には慣れで対応できると思う。操作感についても今回試用した限りは大きな差はないと感じた。なお、Steam Deckは唯一トラックパッドを搭載しているが、筆者は使ったことがいまのところない。

 コントローラの構成で1つ注意しておきたいのが、ONEXPLAYER 2 Proに背面ボタンが存在しないこと。ONEXPLAYER 2 Proは背面に右/左ロックボタンが配置されているが、これはコントローラをはずすためのものだ。つまり背面ボタンを使用する方にONEXPLAYER 2 Proは向かないということになる。

 しかしその一方で、ONEXPLAYER 2 Proのみがコントローラを取り外すことでタブレット端末として利用でき、カバーキーボードを装着すればノートブックスタイルで活用可能だ。さまざまなスタイルに変形できることは、ONEXPLAYER 2 Proの大きなアドバンテージである。

Steam Deckの外観
ディスプレイは7型IPS液晶(1,280×800ドット、216ppi、400cd/平方m、60Hz、タッチ対応、ペン非対応)。コントローラは十字キー、表示ボタン、サムスティックL3、トラックパッド左、Steamボタン、サムスティックR3、メニューボタン、ABXYボタン、トラックパッド右、クイックアクセスボタンを用意
背面にはR4/R5ボタン、L4/L5ボタンを配置
上面にはR1/R2ボタン、電源ボタン、USB 3.2 Gen2 Type-C(データ転送、映像出力、給電対応)×1、3.5mmコンボジャック×1、音量ボタン、L1/L2ボタン、下面にはmicroSDカードスロット×1を装備
右側面と左側面
ケース、ACアダプタ(45W、1.5m)、説明書が同梱(※写真はストレージ512GB版)
実測重量は675g
ROG Allyの外観
ディスプレイは7型IPS液晶(1,920×1,080ドット、315ppi、500cd/平方m、120Hz、7ms、光沢、タッチ対応、ペン非対応、Corning Gorilla Glass Victus)。コントローラは左スティック、十字キー、表示ボタン、コマンドセンターボタン、メニューボタン、Armory Crateボタン、ABXYボタン、右スティックを用意
背面にはM1/M2ボタンを配置
上面にはR1/R2ボタン、電源ボタン、音量ボタン、ROG XG Mobileインターフェイス×1、USB 3.2 Gen2 Type-C(データ転送、映像出力、給電対応)×1、microSDカードスロット(UHS-II)×1、3.5mmコンボジャック×1、L1/L2ボタンを装備
右側面と左側面
ACアダプタ(65W、2m)、スタンド、説明書が同梱
実測重量は610g
ONEXPLAYER 2 Proの外観
ディスプレイは8.4型IPS液晶(2,560×1,600ドット、358ppi、輝度非公表、60Hz、光沢、タッチ対応、ペン対応)。コントローラは左スティック、十字キー、バックボタン、Xboxボタン、スタートボタン、ABXYボタン、右スティック、モードボタン、LEDボタンを用意
背面にはコントローラを取り外すための右ロックボタン、左ロックボタン、キックスタンドを配置
上面にはRB/RTボタン、microSDカードスロット×1、USB 3.0 Type-A×1、USB 4(データ転送、映像出力、給電対応)×1、3.5mmコンボジャック×1、turboボタン、X1/X2ボタン、電源ボタン、LB/LTボタン、下面にはカバーキーボード接続端子、USB 3.2 Gen2 Type-C(データ転送、映像出力、給電対応)×1を装備
右側面と左側面
本体パッケージにはACアダプタ(100W)、USB Type-Cケーブル、説明書が同梱。カバーキーボード、スタイラスペン、ワイヤレスジョイスティックコネクターは別売り
コントローラ込みの実測重量は856.5g
カバーキーボードを装着すれば2in1 PCとして利用できる。コントローラをはずせばタブレット端末としても活用可能だ

気になるベンチマークスコアは?

 今回はSteam Deck LCD、AMD Ryzen Z1 Extremeを搭載するROG Ally、ONEXPLAYER 2 Proの3製品でベンチマークを実施している。それぞれの詳しいシステム情報については、下記の「HWiNFO64 Pro」で取得したシステムの概要をご覧いただきたい。

 なおバッテリ駆動時間以外のすべてのベンチマークは、ACアダプタに接続し、最高パフォーマンス設定で行なっている。またSteam DeckはmicroSDメモリカードにインストールしたWindows環境でベンチマークを実施している点もご了解いただきたい。

「HWiNFO64 Pro」で取得したSteam Deckのシステムの概要
「HWiNFO64 Pro」で取得したROG Allyのシステムの概要
「HWiNFO64 Pro」で取得したONEXPLAYER 2 Proのシステムの概要

 まずCinebench R23だが、CPUのコア数、スレッド数、アーキテクチャから予想できた通り、ROG Ally、ONEXPLAYER 2 ProがSteam Deckを大きく上回っている。特にCPU(Multi Core)ではROG AllyはSteam Deckの約344%のスコアだ。

Cinebench R23.200

 しかしGPU性能についてはCPUほどの差はない。3DMarkのスコアはROG AllyとONEXPLAYER 2 Proはほぼ同じで、ROG AllyはSteam Deckと比較してもTime Spyで約185%相当、Fire Strikeで約178%相当、Wild Lifeで約160%相当となっている。

3DMark v2.28.8205

 ストレージ速度については、Steam DeckはKDE Plasma上で「KDiskMark」、ROG AllyとONEXPLAYER 2 Proは「CrystalDiskMark 8.0.4」で計測している。ここでもダントツの速度を記録したのがONEXPLAYER 2 Proで、シーケンシャルリードは7,111.28MB/s、シーケンシャルライトは6,201.76MB/sと、一般的なモバイルノートPCのフラグシップ並みとなっている。

「KDiskMark」で計測したSteam Deck(512GBモデル)のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は2,386.40MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は1,841.55MB/s
「CrystalDiskMark 8.0.4」で計測したROG Allyのシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は4,306.06MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は1,819.48MB/s
「CrystalDiskMark 8.0.4」で計測したONEXPLAYER 2 Proのシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7,111.28MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は6,201.76MB/s

 さて実際のゲームでのパフォーマンスについては「Cyberpunk 2077」のフレームレートで比較した。解像度は1,280×720ドット、品質は「Steam Deck」に設定している。結果としては、ROG AllyはONEXPLAYER 2 Proに対して約108%相当のフレームレート、Steam Deckに対して約138%相当のフレームレートを記録した。

 CPU性能ではROG AllyはSteam Deckの約344%のスコアを記録しているが、GPU性能が大きな影響を及ぼすゲームではその差は大きく縮まるわけだ。

Cyberpunk 2077
Steam DeckでCyberpunk 2077ベンチマークを実施した際の結果画面
ROG AllyでCyberpunk 2077ベンチマークを実施した際の結果画面
ONEXPLAYER 2 ProでCyberpunk 2077ベンチマークを実施した際の結果画面

 バッテリ駆動時間については、ディスプレイ輝度50%で「PCMark 10 Gaming Battery Life」を実行したところ、Steam Deckは1時間27分、ROG Allyは59分、ONEXPLAYER 2 Proは1時間39分という結果になった。処理性能という点ではROG Allyが最も優れたスコアを記録していたが、その処理性能に対して40Whのバッテリは少ないということなのだろう。

PCMark 10 Gaming Battery Life

 最後にディスプレイの色域を計測してみたが、Steam DeckのsRGBカバー率は67.2%、ROG AllyのsRGBカバー率は94.1%、ONEXPLAYER 2 ProのsRGBカバー率は94.7%となった。Steam Deckの色域が突出して狭いが、400cd/平方mと輝度が明るいので実際の画質としてはそれほど劣っているようには見えないので安心してほしい。

 なお現時点で気になるのはOLEDディスプレイ搭載版のSteam Deckの画質。今後PC Watchで掲載されるであろうレビュー記事をお待ちいただきたい。

Steam DeckのsRGBカバー率は67.2%、AdobeRGBカバー率は49.8%、DCI-P3カバー率は49.6%
ROG AllyのsRGBカバー率は94.1%、AdobeRGBカバー率は73.2%、DCI-P3カバー率は72.7%
ONEXPLAYER 2 ProのsRGBカバー率は94.7%、AdobeRGBカバー率は73.4%、DCI-P3カバー率は77.5%
画面サイズはSteam DeckとROG Allyが7型、ONEXPLAYER 2 Proが8.4型。老眼が始まっている筆者としては、色域よりも画面サイズを優先させたいところだ

コスパ、ゲーム機としての性能、2 in 1 UMPCとしての汎用性のどれを重視する?

 さて今回3機種について比較レビューをお届けしたが、どれを購入するかは悩ましい。

 まず前提として、Steam DeckにはSteamOS 3.0がインストールされており、Steam以外のプラットフォームのゲームをインストールすることは困難だ。Windows環境を構築すればほかのプラットフォームも利用できるが、そのハードルがやや高いことは間違いない。

 また性能差については、現時点では画質を調整すればその差を埋められる。ただし長く利用することを考えると、Steam Deckが早く限界を迎えることは確かだ。5万9,800円から購入できるSteam Deck LCDは最も安価に手に入るが、どのぐらいのスパンでポータブルゲーミングUMPCを買い替えていくのかを考えて購入するべきだ。

 ROG AllyとONEXPLAYER 2 ProについてはポータブルゲーミングUMPCというくくりでは同じジャンルだが、価格差が大きく、製品コンセプトも異なる。

 結論としてはコスパ重視ならSteam Deck、ゲーム機としての性能重視ならROG Ally、2 in 1 UMPCとしても活躍させたいのならONEXPLAYER 2 Pro……というのを基本方針にして、あとはデザインやコントローラの好みを加味して購入する製品を選んでほしい。