PC短評

Ryzen 7 7840Uにパワーアップした「ONEXPLAYER 2 Pro」

ONEXPLAYER 2 Pro(エヴァンゲリオンコラボモデル、日本未発売)

 One-Netbookの「ONEXPLAYER 2 Pro」は、(以下Pro)8.4型の液晶を備えたポータブルゲーミングPCだ。同社は3月末に「ONEXPLAYER 2」(以下無印)という先代にあたるモデルを日本で発売したばかりなのだが、半年足らずで刷新したことになる。今回は日本では販売されていないものの、スペック的には同等のエヴァンゲリオンコラボモデルを入手したので、簡単に使用感をお伝えしたい。

 なお、人気からか直販では既にメモリ16GB+SSD 1TBモデルは完売となっており、それ以上のモデルしか用意がなく、“第3ロット”として発送が9月下旬になる見込み。直販価格は32GB+1TBで17万8,000円、32GB+2TBで18万8,000円。

 Proは、無印からCPUをRyzen 7 6800UからRyzen 7 7840Uに変更したのが最大のトピック。1世代のアップグレードとなるわけだが、CPUコアはZen 3+からZen 4になりIPC(クロックあたりの命令数)は向上、GPUコアもRDNA 2からRDNA 3になり効率と性能が高まった。新たにNPU「Ryzen AI」も内蔵し、プロセスルールも6nmから4nmに微細化された。

 余談だが、One-Netbookに確認したところ、このProはRyzen AIを搭載しているとのことだが、少なくとも手元のモデルではUSB接続のWebカメラを接続しても、AIを利用したカメラエフェクトが利用できる「Windows Studio」が使用できず、詳細は不明だ。以前にRyzen AIを搭載した「Razer Blade 14」を試用した際も、デバイスマネージャーにRyzen AIと思しきデバイスの存在が確認できなかったため、本機とて確認の術がなさそうだ。

 話を戻そう。本機はCPUが刷新された以外は、実は大きな変更はない。2,560×1,600ドット表示対応の8.4型高解像度液晶の採用や、Nintendo Switchのような着脱式コントローラの装着機構は無印と同様。コントローラはポゴピンによる接続のため、安定した接続が可能と謳われている。着脱も非常にスムーズだ。

本体正面
液晶の輝度は明るく視野角も広いが、暗所では少し眩しいと感じるかもしれない
本体上部。電源ボタンやユーティリティ起動ボタン、デスクトップ表示ボタン(X1)、ソフトウェアキーボード表示ボタン(X2)などを搭載する。ちなみに従来背面にあった音量ボタンなどが省かれたのは少し惜しい
本体底面は別売りキーボード接続用のポゴピン
本体背面
キックスタンドを内蔵しており、机の上で自立できる

 肝となるコントローラの使い勝手だが、初代ONEXPLAYERと同様に、いい意味で“ポータブルゲーム機”らしからぬゆったりとした作り。ボタンの大きさやストロークといい、トリガーの深さや反発力といい、高精度なジョイスティックといい、まさに据え置きゲーム機ばりの完成度だ。

 また本体フォルムは、特に背面を中心に初代から大きく変わり、よりなめらかで大きく盛り上がった形状グリップとなったことで、ホールド感が大きく高まった。初代のスリム性は若干失われた印象だが、家の中で移動しながら使うことが中心なら、さほど気にならないだろう。

 本機がユニークなのはコントローラを取り外して、別売りの無線アダプタ「ワイヤレスジョイスティックコネクター」をつければ、無線で操作できるという点。本体をTVに接続して、ソファでゆったり座りながらプレイすることを想定している……ようなのだが、筆者としては内蔵のキックスタンドを使って机の上に本体を置いて、コントローラを手元に持って操作するスタイルも「アリ」だと思った。特に長時間プレイするなら、こちらの姿勢の方が楽だろう。

コントローラ部。据え置きゲーム機ばりのゆったりとした作りだ
グリップ部は初代(写真上)と比較して手のひらに当たる部分も大きく盛り上がった設計となった
横幅も大きくなった
コントローラは着脱対応になった
このように背面の黒いボタンを押しながらロックを解除してスライドで取り外す
別売りの「ワイヤレスジョイスティックコネクター」
接続はUSB無線式。ドングルは内蔵可能だ
コントローラをつなげたところ

 オプションでタッチパッド付きの「カバーキーボード」も用意されている。こちらもポゴピン接続で、特にペアリング作業を意識せず、堅牢な接続が可能。ただ、キーピッチやストロークなどからして、ビジネス用でバリバリ長文入力、というより、どちらかと言えばIDとパスワードの入力、チャットでサッと一言入力したいニーズに応えたものだろう。

別売りの「カバーキーボード」(8,980円、こちらも未発売のエヴァンゲリオンコラボモデル)
ファンクションキーがなく、DeleteキーもFnとBackSpace同時押しとやや変則的なキーボードだが、オンラインゲームにおいてID/パスワードの入力やちょっとしたチャットで重宝する
ちなみにエヴァンゲリオンコラボモデルはパッケージも特別だった
「ポータブルゲーム機」としての重量は850gとヘビー級
「タブレット」として持ち運ぶなら708gとなる
キーボードやワイヤレスジョイスティックコネクターも同時に持ち運ぶと1,123gとなる。このほか、「フルで」と考えるなら電源ケーブルやACアダプタも必要

 最後にベンチマークから見ていきたい。今回はユーティリティ上からTDPを最大の30Wまで引き上げて評価を行なっているが、3D周りのテストはざっくり無印から1割程度の向上と言ったところ。無印ユーザーからの買い替えを促進するほど……ではないが、初代やそれ以前のポータブルゲーミングPCからの乗り換えや、新規購入なら、魅力的な性能だ。

PCMark 10の結果
3DMark Solar Bayの結果
3DMark Speed Wayの結果
3DMark Time Spyの結果
3DMark Wild Lifeの結果
3DMark Fire Strikeの結果
3DMark Night Raidの結果
地味なところでは、実は無印からSSDがPCI Express 3.0対応から4.0対応となり高速化されていたりする