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メルカリやヤフオクで高く売るためのコツ

 前回の「落札編」に続いて、今回はネットオークション初心者のための出品についてまとめてみたい。落札金額を左右する大きな要素である「写真撮影」(ブツ撮り)を中心に、タイトルや商品説明の付け方のポイントを解説する。

 ちなみにブツ撮りのテクニックは「ヤフオク!」はもちろん、「メルカリ」などほかのサービスでも活用できるため、今回はまとめてご紹介しよう。出品の際の参考にしていただければ幸いだ。

分かりやすい写真を心がける

 ネットオークションやフリーマーケットの出品で、まず準備しなければならないのはアイテムの写真だ。できるだけ多くの人に関心を持ってもらい、高値での落札に繋げるためには「きれい」、「正確」、「分かりやすい」といった部分に注意して撮影すると良い。

 出品したいアイテムは、付属品があれば一緒に写真を撮るために用意しておく。付属品や元箱は高値に繋がるので、あるなら忘れずに揃えておくことが重要だ。

 撮影前には、アイテムを清掃しておくことをオススメする。これはきれいな写真に繋げるためで、特に中古品のホコリやヨゴレなどは最低限取り除いておきたい。もちろん未使用品や未開封品ならそのままで問題ない。

 ブツ写真のクオリティを追求すれば、ミラーレスカメラなどに軍配が上がるが、今回は手軽さを重視してスマホでの撮影を前提にする。スマホ撮影特有のポイントをいくつか実践すればそれなりに見栄えのする写真にできる。

 室内で撮ることが多いと思うが、部屋をできる限り「明るく」しておくのが第一歩。光が少ないとノイズが目立ってきれいに撮れない。自然光が入るならできるだけ利用し、夜などは部屋の明かりを最大にしておく。

 必要に応じて「レフ板」を使うのも効果がある。光を反射させて暗い部分を明るくさせるアイテムだ。段ボールの板に白紙を貼ると簡単に作れる。

レフ板で光を反射させる
ホワイトバランスが調節できる機種では、必ず合わせておこう

 スマホは広角レンズがデフォルトなので、被写体の形が引き伸ばされて歪みが生じやすい。これだとアイテムが安っぽく見える原因になるほか、形も正確に伝えられなくなってしまう。これを防ぐのが「望遠にして離れて撮る」というテクニックだ。

 スマホに望遠カメラが付いている場合はそれに切り換え、広角カメラの場合は3倍程度の望遠にズームする。当然写る範囲が狭くなるので、そのぶん離れて撮ることになるが、これで歪みを抑えて本来の形に近い写真を撮ることが可能だ。

広角の状態で近づいて撮ると形が歪む
3倍のズームにして離れて撮ると歪みが減る

次にどんな写真を撮るかだが、「何を見せたいのかを明確にする」のかが重要だ。オークションの写真では、「全体を見せる写真」と「部分を見せる写真」は分けて撮ると見やすくなるので、「全体→細部」という具合に撮り進めていくと良い。

全体が分かる写真は必須。小物はこのように真上から撮るのもありだ
このようにして6面全てを撮っていくとパーフェクト

 掲載する最初の1枚目はサムネイルとして一覧に表示されるため、その際の見栄えも考慮したい。アイテムの種類にもよるが、筆者の経験では、あえて全体を見せずに特徴的な部分をアップにしたものをサムネイルにするのも効果があるようだ。

1枚目の代表カットの例。大胆にトリミングした構図もありだろう

 ヤフオク! やメルカリは複数枚の写真を掲載可能で、5~10枚程度を載せている人が多いようだ。写真の枚数は多い方が落札者には親切なので、多めに撮るのは歓迎される。大きな傷など瑕疵がある場合は、その部分のアップも載せておくとトラブルが避けられる。

 よく見受けられるが、同じ位置から少しアングルを変えただけといった「似たような写真」をたくさん載せることはあまり意味がないので避けるようにする。

傷などがある部分はアップで載せておくと後々トラブルになりにくい

タイトルの付け方にも工夫を

 タイトルもシンブルかつ、分かりやすく付けるのが良い。「メーカー名、型番、状態」などが定番で、ヤフオク! の場合は「1円スタート」や「送料込み」で出品する場合、それを前後に付けるのもよく見かける。一例としては下記のような具合だ。

【1円スタート】キヤノンEOS 5D Mark II 完動品!【送料込み】

 ちなみに1円スタートはヤフオク! では落札者に人気なので、入札者がある程度いて落札価格がつり上がることが予想できるなら試してみてほしいオプションだ。逆に入札がほとんどなさそうなアイテムを1円スタートにすると、1人の入札のみの場合1円で落札されてしまうので、希望の落札価格を設定しておこう。

 一方で、ユーザー層がヤフオク! と異なるメルカリは、アイテムへの詳しい知識がない人が購入する可能性が高いとも言えそう。そこで、そのアイテムの一般名称に加えて、メーカー希望小売価格や実際の購入価格などを入れておくとどれくらいの価値だったのかが分かりやすい。

 メルカリのタイトルはカジュアルな感じで、星やハートで区切りを入れるのもよく見られる。例えば以下のようなイメージになる。

フルサイズ一眼レフ★キヤノンEOS 5D Mark II★実用品お買い得★購入時22万円!

 いずれも、検索時の表記揺れ(キヤノンとCanon、Mark IIとマーク2など)はある程度吸収できるシステムのようだが、ブランド名や型番は公式Webサイトからコピーするなどできるだけ正確に入力しておけば安心だ。また、「激レア」、「珍品」、「希少」などの文言は陳腐な感じがするので、使用には注意したいところだ。

丁寧な商品説明を心がけたい

 商品説明も分かりやすく正確に書くことが重要。中古品の場合はどの程度の使用感なのかを明らかにしておく。

 外観はもとよりだが、機能面の動作不良も分かる限り記載しておきたい。分からなければ正直に「ノーチェック」の旨を記載するのもありだ。各動作に問題がなければ「完動品」というワードも使える。付属品がある場合は箇条書きで列挙しておくと分かりやすい。

 また、「ご覧いただきありがとうございます!」や、「ご入札よろしくお願いします」などと入れると丁寧な感じがするので、筆者もよく使っている。

 出品の詳細な手順は割愛するが、登録時にカテゴリを間違えないように辿っていくことも大切だ。たまに違ったカテゴリに入っている出品があるが、探してもらえずもったいないことになる。

 その後、無事落札されて入金が確認できたら遅くならないうちに発送したい。緩衝材はケチらずアイテムを外箱の中に浮かすようなイメージでしっかり梱包しよう。

 ネットオークションや個人売買は参加者が真摯に対応することで信頼が生まれ、成り立っているシステムだ。みんなが気持ちよく満足した取引ができるよう、相手を思いやりつつ楽しみたいところだ。

著者プロフィール

 武石修。1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ/写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行なう。2018年からフリーのライター、フォト/ビデオグラファーに。