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いざという時に困らないために……モバイルバッテリの処分方法まとめ
2020年4月13日 06:00
数あるPC周辺機器のなかで、処分方法がもっとも面倒なのは、モバイルバッテリではないだろうか。通常のハードウェアであれば、各自治体のルールにしたがって不燃ごみとして出せば済むが、モバイルバッテリはそう簡単ではない。
使い古して不要になった製品、あるいは大容量のモデルに買い替えたことで不要になった製品を、どうやって処分するか困ったことがある人もいるはずだ。とくに現在は、在宅での作業が多くなったことで、従来持ち歩いていたモバイルバッテリが不要になったという人もいることだろう。
今回は、そんなモバイルバッテリの処分方法についてまとめてみた。なお以下の方法はいずれも2020年4月時点のもので、将来的に変更される場合もある。また地域によっても異なる可能性があるので、あらかじめお含み置きいただきたい。
モバイルバッテリの誤った処分方法で相次ぐ火災
モバイルバッテリを「有害ごみ」としてではなく、「不燃ごみ(燃えないごみ)」または「燃えるごみ」として出すのは、たいへん危険な行為だ。なぜかというと、モバイルバッテリに搭載されている電池の多くを占めるリチウムイオン電池は、外部から強い圧力が加わることで、爆発炎上する危険があるからだ。
以下はNITE((独)製品評価技術基盤機構)が公開している実験動画だが、ごみ収集車に積み込まれたモバイルバッテリが、圧力によって発火、さらには爆発する様子が再現されている。回収する側にとっては、なかにこのような危険な品がまぎれていてはたまったものではない。
事実、2018~2019年にかけて武蔵野クリーンセンターで発生した火災のように、バッテリを含む有害ごみの混入が原因と見られる火災事故は、各地で相次いでいる。ごみ収集車に投入するときにチェックするのは事実上不可能なだけに、自治体にとっては頭の痛い問題になっている。
ポイントは「JBRCに加入しているメーカーか否か」
それゆえ、利用者の側が、適切な処分方法を選択するのはなにより重要になるわけだが、そんなモバイルバッテリの処分方法は、大きく2つのパターンに分けられる。まず1つは、一般社団法人JBRCが指定する窓口、具体的には家電量販店やホームセンターに持ち込む方法だ。
このJBRCは、モバイルバッテリのメーカーや輸入販売を行なっている事業者が会員として名を連ねており、共同で回収・リサイクルを行なっている。JBRCのサイトでは会員、つまりメーカーの一覧が掲載されており、ここに含まれていれば、同法人指定の窓口で回収してもらえる。
最寄りの回収窓口は、JBRCのホームページ上で地域を指定して検索すればよい。その店舗で購入した製品でなくとも、上記の対象メーカーの製品であればかまわない。足を運ぶ手間さえ問題なければ、もっとも手軽な方法と言えるだろう。
なお回収窓口となる店舗には、小型充電式電池専用の「リサイクルBOX」が設置されているので、そこに投入すればよい。もっとも対象外の製品を投入されるのを防ぐためか、多くの店舗ではバックヤードに置かれているようで、筆者は店頭で現物にお目にかかったことがない。たとえばヨドバシカメラの場合、窓口に申し出れば受け取ってくれるので、まずは尋ねてみるとよいだろう。
JBRC未加入のメーカーは個別の問い合わせが必要
一方、前述のJBRCに加入していないメーカーのモバイルバッテリは、メーカーに処分方法を問い合わせて指示を仰ぐことになる。著名メーカーだとアンカーがそれで、同社はJBRCには加入していないため、ホームページ上の問い合わせフォームから回収キットを申し込み、それに入れて返送するかたちになる。
筆者が過去に試したかぎりでは、アンカー以外にも、着払いで回収してくれるメーカーが多いようだが、海外メーカーは問い合わせ窓口すら不明瞭な場合も少なくない。JBRC未加入のメーカーの製品は、アンカーのようにホームページ上で窓口をすぐに探せる場合を除き、なるべく購入自体を避けたほうが無難というのが筆者の意見だ。
リサイクルで買い取ってもらう場合の注意点とは?
ところで、前述の2つの方法以外にもう1つ、そのままのかたちで誰かに再利用してもらうことを前提に、中古買取の店舗に引き取ってもらう方法もある。近所にそうした中古買取の店舗があれば手軽な方法だが、注意すべき点もいくつかある。
1つは、一般的な周辺機器を持ち込む場合と異なり、買取価格は期待できないことだ。そもそもモバイルバッテリは、劣化具合が外見から判断できない。一度も使っていない新品と、500回以上使って劣化している製品とで、見た目は(ヨゴレや痛みはあるにせよ)まったく同じだ。中古買取の店舗にとっても、査定が非常にやりにくい品と言える。
そのため、ほぼ新品状態であっても、値段がつけばマシというレベルだ。数千円払って新品を購入し、その後ほとんど利用しなかったにもかかわらず、50円や100円という査定になることもめずらしくない。むしろ値段がつけばラッキーくらいに考えておいたほうがよい。
もう1つ、PSEマークがついていないモバイルバッテリは、買取の対象とならないことも注意しておきたい。2019年1月以前に販売されたモバイルバッテリのなかには、現在では日本国内での販売に必須である、PSEマークを取得していない製品も少なくない。
中古販売店にとって、こうした製品はたとえ回収したところで販売が不可能なため、買取対象とみなされず、また無償での引き取りすらも断られる。PSEなしのモバイルバッテリについては、前述の方法による回収一択になると考えておいたほうがよいだろう。