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NVIDIAジェンスン・フアンCEO公認の飯を台北で喰らう
2026年6月8日 06:12
我が名はぴーたん。今日も元気にIT火消し人として世界の平和を守っている。
ちょうど先週のこと。台北で現場に缶詰になってるときだ。COMPUTEX TAIPEIと同時開催されたNVIDIA GTC Taipeiのキーノート録画を見ていたら、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが錚々たるテックパートナーの中に紛れさせたお気に入りの台北グルメの店を紹介するオヤジギャグをかましていた。
いま台湾では、ジェンスン・フアン氏がどこに食事にいったかがTVニュースになるほど、グルメインフルエンサーとしての絶大な影響力がある。
NVIDIAのサプライチェーンエコシステムを構成するハイテク企業と、高級店でもない街の食堂や果物屋が並んでブランドロゴが紹介されるのもシュールな光景だ。
出てきた店の名前、食べたことはないはずだが記憶にあると思ったら、宿泊先ホテルの部屋の窓から目の前に見えていて、長い行列が出来ている店だった。ほかも調べてみると紹介された店のほとんどが台北の現場から歩ける範囲にある。
たまにしか寄稿しない筆者ぴーたん(完全無職時はぷーたん)はLLM無職の料理研究家・中華料理ライターだ。仕事の都合で台北にいるので、昼間のCOMPUTEXは行けなくても、昼食と夕食の自由時間にジェンスン・フアン氏が推す庶民価格のレストランを回ってみることにした。名付けて「ジェンスン飯(ハン)レビュー」だ。
結論から言うと、ジェンスン・フアン氏の好みは「台湾平均より油少なめ甘さ控えめ」だ。年齢からしてもジャンキーでヘビーなものではなく、サッパリ系が好きなようだ。
豚足の名店: 富覇王豬腳極品餐廳
「富覇王豬腳極品餐廳」は、台北中心の大通りの一本裏手、地下鉄駅から3分程度のところにあるお店だ。通行人に見せつけるように店先で豚足をガンガンとぶった斬って、テイクアウトもイートインも飛ぶように売れていく。閉店19時30分で、仕事を終えて行ったら、ほぼ最後の客だった。売り切れ仕舞い。料理は日本でいう牛丼みたいなものなので回転は無茶苦茶早く、20分ほどで入店できて即座に料理が出てきた。
ここの名物は豚足の煮込みだ。柔らかくコラーゲンたっぷりなスネ肉の部分が特に有名らしいが、筆者が訪れたときにはすでに売り切れていたので、味わうことができなかった。注文のコツは、レジのお兄さんが片言の日本語を話せるので、「おすすめを教えてください」と言うことだ。
同行の若者は味玉の旨さにやられていた。一人2個注文すべき旨さだった。上質な豚の旨みのタレをかけたメンマも圧倒的に旨い。繁盛店だからこそ製造ボリュームで生み出せる旨さがあった。店の奥の調理スペースはガラス張りで、立派な食品製造機械が入っており、機材が良いのも味の秘密だと感じた。
台湾や東南アジアで店頭で調理するのは「見えないところで衛生問題となるような変なことをしていませんよ」というアピールだ。そのうちこの店にもレジ端末にRTX Sparkとか入って、製造も温度管理などデジタル化されるに違いない。
スープに入っている白い物は「緑竹筍」と呼ばれる夏の味覚だ。台湾の緑竹筍は日本の孟宗竹よりアクが少なく、茹でてマヨネーズをつけるだけのサラダのような食べ方をする。台湾でチャンスがあったらぜひ味わってほしい。
気をよくした我々調査隊は日を改めて次の店に向かった。
台湾四川料理 花娘小館
「花娘小館?この店すごく有名よ」と仕事現場の女性社員が言うほど大人気の店だ。仕事をあがって夕食時間には早めに着くようダッシュで向かったら、店員のお姉さんに「次の予約までの1時間限定なら入れてあげる」と言われ、ラッキーにも味を試すことができた。
台湾は客家料理などで、田舎に行くと鶏肉が抜群にうまいのだが、ここの店の鶏肉は人生でベスト3に入る旨さだった。非の打ち所がない加熱でパサつきが全くなく、旨みとゼラチン質が凄い。皮は少し黒い地鶏だ。ちなみにもう1つの筆者の人生ベスト3入りは、自転車製造業ジャイアントの創始者、キング・リウ氏の行く店で、やはり台湾だった。
ネギの切り方も美しく綺麗に揃っていて、タレの調味も非の打ち所がない。「余計なものが1つもなく、足りないものも全くない」という隙のない料理だった。
このお料理は明らかに包丁技術と温度管理に優れた料理人が作っていて、お料理の1つ1つに綺麗なエッジが立っていた。
台湾ではメニューにあったら頼むべきなのはモツ料理だ。このモツも処理が完璧で、大腸の臭みを完全に取り除いており、焼肉でシロコロと呼ばれる部位の余計な脂も多すぎず少なすぎず処理されていた。
中華料理ライターの立場だと「ジェンスン・フアン氏すげえ、こんなの食ってるのか」と驚愕する仕上がりだった。お店の店員さんに確認すると、「黃仁勳?この間、奥の仕切りの宴会スペースに来てたわよ」と気楽に答えてくれた。
辛さに慣れない日本人にとって心配なのは四川料理というジャンルであるが、辛さの心配は無用だ。台湾の四川料理はほぼ台湾化されているので、日本のガチ四川とは違い全然辛くない。予約必須の人気店なので、訪問する場合は現地知人に頼むなどして空振りしないようにして欲しい。
台南風ちまき: 王記府城肉粽
ここは作業で滞在していたホテル部屋の窓から目の前に見えている店だ。作業現場事務所の日本人駐在員に話したら、駐在員氏同僚の通称「おじさん氏」の行きつけということで、顔の効く「おじさん氏」以下作業メンバー全員で向かった。
お店は行列ができており、昼時間なのでランチ客がガンガン入ってくる。ランチに少し早いオープン時間だと近所の老人がテイクアウトでビニール袋をパンパンにして買っていく。ジェンスン・フアン氏もお土産に買っていくというので、おそらく冷凍で長期間保存できる野菜ちまきや小豆ちまきを買って帰るのだろう。
ちまきの作りは筆者の知見と比較してちょっと不思議だった。ここは台北だが、このちまきは南部の製造法だ。台湾には大きく分けて3種類のちまきがある。
- 北部粽: いったん、油で炒めた醤油油飯を竹の皮で包んで蒸す。味は甘め濃いめ。
- 南部粽: 生の餅米を竹の皮で包んで長時間茹でて作られる。味は薄め。
- 客家粽: 半導体やPC産業で有名な新竹あたりで食べられる。しょっぱめで干しエビや切り干し大根が入る。
たとえば日本のお好み焼きには広島と大阪スタイルがあり、ご存知の通り本物はどちらかで譲れない争いが発生するのだが、台湾において5月6月のちまきシーズンにはネット掲示板上でちまきの正統性をめぐる仁義なき戦いが風物詩になっている。
台北にある店にも関わらず、南部のちまきを出すのがこの店のスタイルだった。店名の「府城」は台南を表す単語で、台南スタイルのちまき屋さんだ。
ジェンスン・フアン氏は台南市出身と伺っているので、台北に寄った際でもこの店の南部スタイルちまきが好みなのだろうと筆者は推測している。
FRUIT LADY阿婆水果攤
ご飯のあと、タクシーを飛ばして少し離れた夜市に向かった。有名どころでもなく、アクセスの悪いこの夜市になぜかCOMPUTEXの入場券を首から下げたポロシャツ姿の欧米人が数組うろついていたのは、FRUIT LADYが英語で読めて、すぐ調べがつきやすい店名だったからだろう。
夜市の中をずっと歩いてお目当てのFRUIT LADYを探したのだが、行きすぎて、改めて夜市を入り口方向に戻ると、あるべき場所に何かがあった。




































