西川和久の不定期コラム

Sora 2超えでSeedance 2.0に迫る!動画AI「MiniMax H3」が凄まじいクオリティだった

 去年(2025年)からローカル動画AI生成に関してはWan 2.2とLTX-2.3をベースにご紹介してきた。これは正直、ほかに選択肢がないからだ。今年(2026年)になって超高性能なSeedance 2.0が登場してもこの状況は変わらず、悔しい思いをしていたところに新生の如く登場したのが「MiniMax H3」だ。今回は「え?これローカル生成できるの!?」という部分を中心にご紹介したい。

MiniMax H3とは?

 MiniMax H3 は、MiniMax(中国・上海拠点のAI企業)が開発した汎用マルチモーダル生成モデル(オムニモーダル)。 テキスト/画像/動画/音声を1つの文脈として統合理解し、ネイティブステレオ音声付きの動画を最大1080p解像度/15秒まで生成できる。パラメータ数33.1Bに加え、テキストエンコーダはQwen3-VL-32Bを使用する。以下、特徴や仕様など。

  • H3は単一モデルに全タスクを統合(text-to-video / image-to-video / first+last frame / リファレンス生成 / 編集 / 音声生成をすべて1本)
    音声は後付け合成ではなく動画と同時に同一のTransformer内で生成される(音ズレが構造的に出ない設計)
    ※ 前世代(Hailuo 01 / 02)はT2V・I2V・編集・リファレンスなどタスクごとに専門モデルを分割していた
  • 2026年7月31日に発表 → 2026年8月3日にオープンウェイト公開
  • 生成尺: 4~15秒
  • フレームレート: 24 FPS(固定)
  • 解像度: 最大1080p
  • 音声: 32kHzステレオ(動画と同時生成。H.264/H.265+AAC/MP3の1本のMP4で出力)
    11言語を安定的にサポート: アラビア語・中国語・英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・韓国語・ポルトガル語・ロシア語・スペイン語(他言語も部分的対応)
  • プロンプト長: 最大7,000文字

 使えるモードは2つあり、それぞれウェイトファイルが別になっている。

  • H3-Base-FL2VA(先頭・末尾フレームモード)
     T2VA(テキストのみから映像+音声)
     I2VA(先頭フレーム→展開)/L2VA(末尾フレームへ収束)
     FL2VA(先頭+末尾フレーム間を補間)
  • H3-Base-Ref2VA(オムニリファレンスモード)
     画像≦9枚
     動画≦3本(各2秒から15秒、合計15秒まで)
     音声≦3本(各2秒から15秒、合計15秒まで。画像または動画と併用必須・音声単独入力は不可)
     合計ファイル数≦12ファイル

ざっとこれだけ見ても何か凄そうな感じがする(笑)。以降、映像を中心にその内容をお伝えしたい。

LTX-2.3で苦労したTimeline付きプロンプトも難なく生成

 7月に以下のような記事を書いた。これは常用しているLTX-2.3が、Seedance 2.0などで見られるTimeline付きのプロンプトを理解できないので、それに無理無理対応させたものだ。

 ところがMiniMax H3は最新鋭ということもあり、これを難なくこなす。以下、簡単なTimeline付きのプロンプトから生成した動画となる。

 なおComfyUIが0day対応し、テンプレートにWorkflowも標準で用意。高速化は工夫が必要だが、環境さえあれば簡単に扱うことができる。

720p/10秒。ComfyUI標準搭載のMiniMax H3 Workflow(t2v)にTurbo LoRA(0.8/8 steps) + Patch Sage Attention KJ + Patch Sol-Attn高速化を追加

integrated_multimodal_description:

[Shot 1] 00:00-00:03, a medium shot frames a young Japanese woman in a white sundress sitting on the edge of a sunny outdoor pool, her feet in the water, saying in a cheerful voice (S1): <d>[Japanese] ひさびさにプールきた!</d>

[Shot 2] 00:03-00:05, the camera cuts to a close-up of her smiling face as she stands up and shouts: <d>[Japanese] えい!</d>

[Shot 3] 00:05-00:10, the camera cuts to a wide shot as she dives into the clear blue water, splashing, then resurfaces laughing: <d>[Japanese] あーつめたい(笑)</d>

overall_soundscape: Gentle splashing water and summer birdsong.

non_diegetic_music: A light ukulele melody at a relaxed tempo, fading out at the end.

Timeline付きの簡単なPrompt(720p/10秒)。RTX 5090(500W駆動)で144秒前後

 ご覧のように、あっさり対応できている。t2vなのでテキストからの動画生成だが、これでこれだけ綺麗ならキャラに特化するような映像でもない限り、画像を用意する必要もない。

 また生成時間は、720p/10秒の映像で、GeForce RTX 5090(500W駆動)を使って144秒前後。GeForce RTX 5090を使ってもこれだけかかるため処理自体はかなり重い。とはいえ、サービス系だと何分も待つことも多く、このクオリティでこの生成時間なら納得ではないだろうか。

もちろんMVでリップシンクもOK

 次は音楽関係。まずこれを見てほしい。PC Watch、IT/スマホ関連をラップにした映像となる。これまでローカルで使ってきたWan 2.2やLTX-2.3とは全く別次元というのがお分かりいただけるだろう。ある意味凄まじい(笑)映像だ。

PC Watchを題材としたラップ

 上記はt2vで声もMiniMax H3が同時に生成。次は音源を別に用意してリップシンクするパターンだ。

 この記事ではHeartMuLaで音源を生成、AメロBメロなどキリのいいところで切って、それぞれに合う動画を生成、最後にマージする。ちょっとしたコツがあり、正確にリップシンクさせるには声と音楽を分離(Mel-Band RoFormerを使用)、声だけをモデルに渡す必要があった。

 これ実はキリのいいところで音源を切るのが一番大変だったりするので(人間業)、今回はAメロのみでお許し頂きたい。

音源を使い歌わせる場合はいろいろあるのだが、これが今のところ一番楽。リファレンス画像あり
リファレンス画像を使いつつ音源でリップシンクしたMV。音源はSuno

 驚くべきは、声と音楽を分離せずそのままモデルに渡してこれだけリップシンクできること。一手間省けるというわけだ。

筆者の写真と声、カメラをリファレンスにした仮想撮影風景

 Sora 2のカメオ(アカウント自身の顔と声で動画生成できる機能)で散々遊んだのだが、筆者の顔と声をリファレンス(加えてカメラも)にして撮影風景を再現したものだ。なお声に関しては声質をリファレンスにするだけで(PADの収録から9秒ほど抽出)、実際のセリフはプロンプトで書いている。

リファレンスに画像x2、音x1のWorkflow
Sora 2超えの映像が出た!

 MiniMax H3が出た当初から「これはSora 2を超えているのでは?」と思っていたが、この映像を見て確信した。ちょっとどころか結構超えている。

 ただ、Sora 2はプリプロセッサが優秀で、“筆者が白ホリのスタジオでモデル撮影”的なことを書くだけでこの手の映像になったが、MiniMax H3は事前にLLMを使いプロンプトを作り込まないとこうはならない。画像生成エンジンの性能は超えてしまったという意味となる。

 余談になるがスタジオ撮影系は、ほかのモデルでも出るには出るが、照明の位置やサイズ感がめちゃくちゃになることが多い。そう考えるとまだちゃんとしている方ではないだろうか。

ちょっと変わった使い方Part1

 2025年に動画用Wan 2.1で画像生成した話を書いたが、MiniMax H3でも画像だけを生成できる。ただ後半の同社次の一手は?で少し触れるが、MiniMax H3ベースの画像生成モデルも考えているらしく、それが出るまでのお遊び的な要素となる。

 MiniMax H3は最小が5フレームらしく、フレーム数を指定するLatentの数は5からしか設定できない。つまり一度に5枚生成される。

MiniMax H3で画像を生成するWorkflow。リファレンス画像あり
実際生成した画像(1080p)

 このままでも1枚選べばいいのでさほど手間でもないのだが、Batch Selectorノードを使い、一番初めの1枚だけ取り出している。

 人気のZ-Imageや最近出てきたKrea 2などと比較すると劣るものの、MiniMax H3 1つで画像も動画も揃えてしまうのも手だろう。リファレンス機能がそのまま生きるため、何かに似せる画像はLoRAを作るより手軽だったりする。

 そうそう、LoRAに関してはまずai-toolkitが対応済みだ。Kohya Tech氏のmusubi-tunerも現在準備中。学習環境は整っている。実際いくつか作ったが(今回の作例でも紛れ込んでいる)、写真からだと学習も速くサクッとできる。

ちょっと変わった使い方Part2

 もう1つ変わった使い方。冒頭でアラビア語・中国語・英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・韓国語・ポルトガル語・ロシア語・スペイン語(他言語も部分的対応)に対応していると書いたが、これをTTS(Text-to-Speech)としてMiniMax H3を使う方法だ。

 MiniMax H3の最小画像は32x32ピクセル。これに台詞や歌をメインにプロンプトを書き、音だけ抜き出す。720p/10sの動画でもGeForce RTX 5090で144秒前後。それを32x32ピクセルで生成するのだから爆速だ。

MiniMax H3でTTSするためのWorkflow。といってもt2v用の解像度を32x32にするだけ

integrated_multimodal_description:

[Shot 1] Live-action, cinematic, a static medium shot frames a young Japanese woman with a gentle smile, looking toward the camera. She says in an off-screen voiceover: <d>[Japanese] みなさんこんにちは。暑い日が続きますがお元気ですか?</d> while her lips remain completely closed.

実際生成した音声。生成時間はたったの1秒

 MiniMax H3の声の部分に関しては、プロンプトで<d>[Japanese] こんにちは!</d>などと書けば良い。もちろん[Japanese]を[English]にすることも可能。面白いのはしゃべる言葉は英語なのに[Japanese]を指定すると、ちょっと英語が苦手な日本人的な発音になること“も”ある。

延長も可能

 さてここからがMiniMax H3の真骨頂!なんと作った映像を延長できるのだ。またその仕掛けは初めからMiniMax H3に組み込まれている。ここでは例を2つご紹介したい。

 1つ目はComfyUI-H3-Motion-Contextを使った手動による延長。たとえば10秒動画を作って「あ、続きもう少し」と思うことがしばしばある。こんなときに有効なカスタムノードとそれを使ったWorkflowとなる。

動画を延長するためのWorkflow。右側に作った画像をセットし、再生成すると続きが作られる

 仕掛けとしては作った画像の情報を保存しておき(中央緑のノード)、延長時、その情報を取得(その右側にあるもう1つの緑のノード)してから生成を始めるというものだ。これによって画像はもちろんBGMなど音に関しても一貫性が担保される。もちろんプロンプトだけは続きの内容を書かないと似た映像がもう1つ作られるだけとなる。

最初の10秒
次の10秒
ffmpegでマージした約20秒の映像

 いかがだろうか?まず継ぎ目は分からない。この方法、保存するファイル名に番号をつけ、手動で何本でもつなぐことが可能。また1080pはGeForce RTX 5090でも速度/VRAM的に厳しいのだが、5秒であれば大丈夫。つまり5秒を3つ作って15秒ならいきなり15秒作るより現実的な生成時間で終了する。

 ただし、制限が1つだけ。“のりしろ”が必要なため、2つ目以降は5秒作っても実質4秒になること。生成時間を2つ目以降+1秒するかしないかは内容次第といったところか。

 2つ目の必殺技。ComfyUI-MiniMaxH3-Contex-Loop、このWorkflowはクリップ数だけ生成が可能。つまり10秒のクリップを60書けば600秒の映像が出来上がる。

 実際ドラマや映画などを観ていると映像が切り替わるまでおおよそ10秒から15秒。もっと短いこともある。つまりシナリオを作りそれに沿ったクリップを用意すれば独自のマイクロドラマを作ることが可能だ。

 今回、エージェント(DeepSeek V4 Flash 0731)と相談しながら作ったのがこの映像。まずシナリオを考え、それを10秒×4クリップに分け、一気に生成する。またリファレンス画像も4つ用意。これは登場人物用の画像プロンプトを同じくエージェントに作ってもらい生成している。

Workflow。複雑だが左側にクリップ×4、その右側にリファレンス画像x4。右の内側の画面がクリップごとの進捗、一番右側の画面が最終(4つつながったもの)。かかった時間は約16分
10秒×4クリップからなる映像。一応(笑)ストーリー仕かけになっている

 いかがだろうか?それっぽい映像になっているのがお分かりいただけるだろうか?これがプロンプトと画像さえセットすれば後は完全自動で出来上がる。

 ただ実際やって思ったのは、もはや一人の人間だけでこれを作るのは不可能に近いことだ。英語得意不得意は無関係にだ。

 ストーリーを考え、キャラクタデザイン、クリップへの割り振り、そしてMiniMax H3形式と画像生成用のプロンプトへと落とし込む……よほど好きな人でもない限り無理(笑)。

筆者自作のハーネスを使いAI(DeepSeek V4 Flash 0731)と相談しながら不都合を修正中の画面
相談しながら各キャラのビジュアルを決めている画面

 筆者一人で何とかなっているのは、以前ご紹介したハーネスが現在GUI版になっており、常用中。MiniMax H3など、各種モデルの公式プロンプトリファレンスをSkill化、Z-image/Krea 2画像生成やLTX-2.3の動画生成などもSkill化した環境で、AIと相談しながらできるからだ。それでも一発では上手く行かず何往復もしている。

同社次の一手は?

 ここで気になるのがいきなりオープンの世界に登場したMiniMax、今後の話なのだが、Redditで開発チームから興味深いことが多く投稿されている。内容は、

  • H3-Regenerate-2K(アップスケールモデル)の公開
  • 低ステップ版(4/8ステップ)の開発(公式20ステップ→4/8ステップ版)
  • スパースアテンション(MSA)適用版。公開予定
  • 画像生成モデル・画像編集モデル。H3派生モデルとしてオープン公開予定
  • 今後のモデルのオープン方針。著作権問題が解決したらApache License 2.0への移行

といった感じだ。H3-Regenerate-2Kは、生成後2Kにアップスケールする仕掛けで現在APIのみで利用可能。試したところなかなかの性能。加えてリファレンス画像なども渡せるため、さらに精度を上げることもできる。画像生成モデル・画像編集モデルも予定している。

 またライセンスに関しては現状ウェイトを公開しただけで、いろいろな国で使用不可(おそらく面倒なことを言われるのを避けるためだろう。日本は含まれていない)、完全なオープンとは言いがたい状況なのだが、これも状況が整えばApache License 2.0へ移行とのこと。

 とにかく公開からたった1週間足らずで、Spectrum高速化ノード登場、Turbo LoRA登場(公開3日後、20step→4stepで約5倍速に)。現在何種類もあり、評価するだけでも大変、公式AMA(2Kアップスケール・低ステップ版・スパースアテンション版・画像生成/編集モデルをすべてオープン公開予定と明言)、Motion Context、ComfyUI VAE最適化マージ、Contex Loop、GGUF/W4A8混合量子化……など、これだけのことが起こるお祭り騒ぎになっている。

 筆者も楽しいこともあり付き合っていたが、仕事が止まってしまう状態だ(笑)。まさにコミュニティパワー爆発といったところ。


 今回はMiniMax H3を作例中心にご紹介した。Seedance 2.0一歩手前も誇張ではないことがお分かりいただけたのではないだろうか?これだけのものが手元で生成可能になった意味は大きく、また執筆中(8月12日)にLTX-2.5がリリース、そして今後、MiniMax H3と同じレベルらしいFLUX.3 devも控えている。今年後半、ローカル環境での生成AI動画はかなりホットな状況になりそうだ。