【IFA 2011レポート】
Magic TrackPadを10キー化する「The Magic Numpad」
~iZONEで見つけたMac向け各種周辺機器を紹介

会期:9月2日~7日
会場:Messe Berlin



 IFA 2011の15.1と16ホールはiZONEと名付けられたMacやiOSデバイスのApple向け周辺機器を中心に展示するブースが集まっている。Mac向けとiOSデバイス向けに分けて、iZONEで目にした新しい周辺機器の数々をそれぞれ紹介する。

●Magic Trackpadをテンキーにする「The Magic Numpad」
「The Magic Numpad」のNUM10を貼り付けた「Apple Magic Trackpad」。NUM10の場合は10キーの入力とパッド左側でトラックパッド操作が行なえる

 先日、日本の代理店であるプレアデスシステムデザインを通じて、Apple Wireless KeyboaardやMagic Trackpadを置くだけの充電に対応させる「The Magic Bar」を発売した米Mobee Technologyは、IFA 2011開催にあわせて新製品の「The Magic Numpad」を発表した。同社既存の2製品と同様に、Apple純正入力機器に対し一工夫を加えて使い勝手を向上させるという同じコンセプトが貫かれている。

 「The Magic Numpad」が対応するのは「Apple Magic Trackpad」。新OSのLionがマルチタッチによるジェスチャ操作を標準化したこともあり、2010年の発売直後に続いて、再び大きな需要の波が訪れている製品である。「The Magic Numpad」はこのMagic Trackpadに専用ソフトウェアで仮想的なキーを配置。タップで任意の数字キー入力やファンクションあるいは任意のアプリケーションを起動するホットキーなどを入力できるようになる。「Apple Magic Trackpad」のパッケージに含まれているのは、3枚のシール、シールを気泡なく上手に貼るためのカード、指先と同じ静電容量入力に対応したペン、そしてソフトウェアのダウンロードコードとなる。

 ユーザーは3枚のシールのなかから用途にあったものを選んで手持ちのApple Magic Trackpadに貼り付ける。ダウンロードコードを使ってダウンロードしたソフトウェアをインストールすれば準備完了。Magic TrackPadを使って10キー入力操作ができる。本来のトラックパッド機能と10キー機能の切り替えは、MagicTrack Padの右上隅に専用のエリアが仮想キーとして用意され、そこをタップすることで自由に切り替えが可能。切り替えはキーボード側のファンクションキーやスクリーンのメニューバーからも行なえる。

 付属する3枚のシールは、それぞれに特徴がありNUM10、NUM20、NUM30と名称がついている。NUM10は右側にシンプルな10キーのみを配置。そのかわりに左側は10キー入力のモードでも、トラックパッドとしての機能が使えるようになっている。NUM20はスタンダードな10キー+カーソルキーの構成で、Apple Wireless Keyboardと組み合わせると標準的なフルサイズとほぼ同じキーレイアウトにできる。そしてNUM30はNUM20からカーソルキーにあたる部分を排して、代わりに6個のカスタマイズできるキー部分が設けてある。ユーザーは任意にキーボードショートカットや、アプリケーション起動のホットキーなどに割り当てるという仕掛けだ。

 展示ブースでしばらく触らせてもらったところ、ソフトウェア部分が現時点で開発途上ということでトラックパッド機能と10キー機能の切り替えにややもたつくときがあったが、製品発売までに解消するとのこと。実際のキーのように押下できるわけではないので打鍵感はないものの、10キー入力程度であればさほど意識しなくてもある程度操作することができた。切り替えも右上隅に指を動かしてタップするだけなので、慣れるまでにさほど時間は要しないものと思われる。トラックパッド機能と10キー機能の切り替わりはスクリーンにも表示される。

「The Magic Numpad」のパッケージと同梱される3枚のシール。自己吸着タイプで、貼り直しや貼り替えもできるようだこちらはNUM20。Apple Wireless Keyboardと組み合わせること、ほぼフルサイズのキー配列になる設定用のソフトウェア。ファンクションキーに任意の機能を割り当てられる
10キー入力モードに切り替えるとデスクトップに数秒のスクリーン表示同様にトラックパッドモードに戻しても、数秒のスクリーン表示が行なわれるWireress KeyboardとMagic Trackpadの左側の凸部は無接点充電にするための「The Magic Bar」。それに「The Magic Numpad」を加えた米Bobee Technologyの製品群

 10月には欧州エリアでの発売予定しており、価格は29.90ユーロ。米国も同時発売で為替レートに応じた価格が設定されるという。想定するなら34~39ドルといったところだろうか。もちろん日本でも発売を予定しているという。ただし価格について現時点では未定。

 この製品、各種のフルサイズキーボードが周辺機器として販売されているWindowsメインのユーザーにはピンとこないかも知れない。現在、Appleの一体型デスクトップ製品であるiMacは10キーレスのコンパクトなApple Wireless Keyboardが付属している。CTOであればポインティングデバイスとしてMagic MouseとMagic Trackpadが選択できる。Mac miniやMac Proなどの入力デバイスが付属しないMac向けには、これらの入力デバイスは周辺機器として単体でも販売されている。

 ちなみに従来型のiMacには有線のApple Keyboardが付属していて、こちらには10キーが付いていた。現在もApple Storeや家電量販店で周辺機器としては購入可能だが、iMacでの標準化をみるように、主力は10キーなしへと動いている。Appleが10キー付きのWireless Keyboardを出せば、それなりの需要はありそうな気はしないでもないのだが、同社の製品については先の見通しは付きにくい。

 また、旧デザインのキーボードには10キー付きWireless Keyboardがあったので、10キーレス化の推進はAppleなりの意図があってのことなのだろう。「The Magic Numpad」は、そうしたユーザーニーズとApple製品の隙間を埋める製品でもある。もちろん、10キーとトラックパッドの2つを用意するより手元が広く使えるというのも見逃せないポイントだ。

□Mobee Technologyのサイト
http://www.mobeetechnology.com/

●2つめのMagic Mouse対応無接点充電器が登場

 前述のMobee Technologyの「The Magic Charger」は以前レビューで紹介しているが、似た製品が他社からも登場している。iOSデバイスやMac向けのアクセサリを広範に取り扱っている独ArtWizzの製品だ。

 「Induction Charger」は、機能としては「The Magic Charger」とほぼ同一で、電源として利用する単3電池を無接点充電に対応したバッテリパックに置き換えることで、Magic Mouseの充電を容易にするというもの。細かな違いとしては、「The Magic Charger」が置くだけであったことに対し、「Induction Charger」の方は、磁石を併用することで充電台中央にしっかりと収まるという点があげられる。また、充電台のデザインもiMacやCinema Displayのスタンド部分のカーブに合わせたとしている。

 価格は充電台とバッテリパックがセットの「Induction Charger」が39.99ユーロ、増設、交換用のバッテリパックが9.99ユーロとのこと。日本市場向けの出荷はまだ販売代理店等が無い状態のため、検討中とのこと。

「Induction Charger」。磁石がついているため、充電時はMagic Mouse本体が自動的に中央に収まるという独ArtWizzの出展ブース。


□ArtWizzのサイト(独文/英文)
http://www.artwizz.de/

●エコな竹素材を使ったユニークなノートPC冷却台

巨大なファンと竹素材が目をひく「EcoFanXL」。17型級のノートブックに対応

 海外のトレードショーレポートでは代表的なMac向け周辺機器メーカーとしてたびたび紹介しているMacallyの新製品。必ずしもMac専用ではないがノートPC用の冷却台だ。素材として竹を利用している。ご存じの通り竹は生長が早いため、他の木材に比べると森林伐採の影響が少ないとされるエコ素材だ。

 展示されていたのは2モデルで、1つは17型のノートPCにも対応できるという据え置き型の製品で、底面に巨大なクーリングファンが付いている。面積が大きいため、回転速度はさほど上げずに冷却が可能とのこと電源はUSBから供給する。名称は「EcoFanXL」。39.95ユーロで10月頃から出荷される。

 もう1つはやや小型の製品だが、こちらは手が込んでいる。中型の冷却ファンが付いた平面としての冷却台としても利用できるほか、組木細工のようにパーツをスライドさせていくことで、ある程度角度を自由に変更できるスタンド型の冷却台にもなる仕組みだ。こちらは15型までの対応で、名称は「EcoPad Pro」。先の製品と同様に39.95ユーロで10月頃から出荷の予定。Macalleyは日本国内にも販売代理店を持っているが、これらの製品が日本市場でも流通するかどうかは現時点では未定とのこと。

こちらは「EcoPad Pro」。ラップトップの名の通り、膝の上などで使う際にはこうした平面の状態スリットと、やはり木製のだぼを利用して、器用に組み替えていくと……角度をもったスタンドタイプの冷却台に変わる。台には溝が刻んであるので、段階的に角度調整も可能だ。


□Macallyのサイト(英文)
http://www.macally.com/

●エクスターナルバッテリ用のケーブルを自作するキットが登場

 2011年2月にサンフランシスコで開催されたMacworld Expoでは出展予告のみがあって、実際にはお目にかかることができなかった米Sanhoの「Hyper Juice Magic Box」。HyperJuiceは、MacBookやMacBook Pro、そしてiOSデバイスの外部バッテリとして、ヘビーユーザーに知られている製品だ。Mac向け製品では16,000mAhから最大容量61,000mAhのものまでが用意されている。

 このHyperJuiceだが、MacBook等で利用する場合はちょっと変わった接続で充電を行なうことになっている。MacBook側のACコネクタと言えばMagSafeが利用されているのはMacユーザーならご存じの通り。しかしMagSafeはAppleによる特許で、サードパーティ向けにはコネクタ部分のライセンスが降りない。

 そこで、Appleが純正品として販売している「MagSafe Airline Adaper」(航空機内専用コンセントや車のシガーソケットから電源をとるための純正アダプタ)を介して、外部バッテリからMacへと給電する仕組みをとっている。そのためHyperJuiceにはシガーソケットのメス側アダプタ付きのケーブルが付属している。ちなみにHyperJuiceの販売当初は、Apple純正のACアダプタをSanhoが購入してケーブルを切断加工していたのだが、これはあまりにもグレーということで、上記の純正Airlineアダプタを介する形に変更された経緯がある。

 という前置きをもとに「Hyper Juice Magic Box」を紹介すると、これは1つの純正MagSafe対応アダプタから、「HyperJuiceが直結できるMagSafe対応ケーブル」と、「HyperJuiceに充電できるアダプタ」の2つを“自分で作る”という周辺機器となる。何より最初の手順が、MagSafe対応ACアダプタのケーブルを自分で切断するというものだ。その上でパッケージに入っているMagicBox 1をACアダプタ側に接続加工。MagicBox 2をMagSafeコネクタ側に接続加工する。こうすると、いずれも一端がHyperJuiceの電源コネクタに合致するコネクタになるという仕組みだ。

 実際に利用する際には、HyperJuiceからMacへの給電はMagicBox 2を使ったケーブル。HyperJuiceへの充電はMagicBox 1を使ったアダプタで行なうという仕組みだ。切断前と同じ状態で使う(ACアダプタからMacへ給電する)場合は、この2つを組み合わせて使うことになる。ほか、パッケージにはMagicBox 2と組み合わせてシガーソケットから給電するアダプタも付属している。

 純正ケーブルを切断して加工するという行為は筆者としても本誌としても決して薦めるべき内容ではないかも知れないが、外部バッテリであるHyperJuiceのニーズもヘビーユーザーにはそれなりにあるので、こうした周辺機器があるということのみを紹介をさせていただく。作業自体は改造にあたるので、作業を行なう場合は自己責任となる。

「Hyper Juice Magic Box」。言うなればMagSafeコネクタを利用したACアダプタをサードパーティが作成できないための苦肉の策とも言える「Hyper Juice Magic Box」のケーブル作成手順と利用方法の紹介。手順の一番最初が、ケーブルの切断という大胆なものである


□HyperJuiceシリーズのサイト(英文)
http://www.hypershop.com/

「KANEX SNAP X」。現在は69ドルで予約中となっており、出荷は10月を予定

 Mini DisplayPort用の変換アダプタなどでたびたび紹介しているKANEXの新製品「KAMEX SNAP X」。いわゆるKVMスイッチボックスで、1つのApple LED Cinema Displayを、2台のMini DisplayPort出力を持つMacから利用できる。トグル式スイッチの押下で、ディスプレイに表示される画面と利用できるキーボードとマウス、iSightカメラを含む音声入出力、USBハブの接続などが自動的に切り替わる仕組みである。その他、エリア内で見かけた新製品やトピックスは写真で紹介する。

□KANEXのサイト(英文)
http://www.kanexlive.com/

ドイツのMac専門誌がiZone内で構えていたブース。最新となる10月号の表紙は、先日CEOを辞したスティーブ・ジョブズに氏に対する感謝とさよならの文字日本では関東電子が販売代理店となっているMoshiのMac向けバックライト付きキーボード

(2011年 9月 5日)

[Reported by 矢作 晃]