LenovoはCES会期中、会場に隣接するレストランを貸し切り、報道関係者などに対して同社新製品を展示した。すでにその一部は、Unveiled編で簡単に紹介したが、製品担当者に詳しい話を聞くことができたので、改めてここに紹介する。
IdeaPad U1 Hybridは2010年のCESで初めて公開された、液晶部分が分離してタブレットになる端末。2010年のデモ機では、タブレット時はLinuxをカスタマイズした独自OSが起動するようになっていた。これに対し、今回のデモ機はAndroid 2.2ベースへと変更された。その理由は、使い勝手、特にAndroid Marketを通じた多数のアプリケーションが存在する環境の方が、ユーザーにとって好ましいと判断したからという。
また、ノートブックスタイルでの利用方法も若干変更された。2010年のモデルでは、キーボードステーションにドッキングさせてノートブックスタイルにすると、自動的にOSがWindowsへと切り替わったが、今回のモデルは接続後にスイッチをスライドさせないと切り替わらないようになった。これは、キーボードのある状態でAndroidを使いたいという要望に応えてのもの。
このキーボードステーションには、バッテリ以外に、x86 CPUとHDDが入っている。つまり、Windows 7用のハードウェアとOSはこちら側に全て内蔵しており、ドッキング時タブレット部はただの液晶ディスプレイとして機能している。OSの切り替えは割とスムーズで、AndroidからWindowsへは2秒程度、逆ではほぼ瞬時に切り替わる。
担当者はそのように言わなかったが、本製品はどちらかというとタブレット(Android)モードでの利用を重視しているように見受けられる。ノートブックスタイルでも、Androidが使えるようになったのもその理由の1つだが、今回の展示ではオプションとして、単純なキーボードドックも用意された。
本製品は第1四半期中に中国で発売の予定で、価格は約1,300ドル。そしてLePadという製品名でタブレット部のみも単体発売され、その価格は520ドル。ドック部分の単価は不明だが、単純に考えるとおよそ800ドルとなる。その価格を払ってまでWindowsを使おうとは思わないが、単純にAndroidでキーボードを利用したいというユーザーはいるだろう。前述のキーボードドックはそういうユーザー向けに用意されたものだ。
また、Android OSにはカスタマイズが施されている。デスクトップUIは、アプリ、音楽、ビデオ、電子書籍の4つに分割されている。各エリアには、ユーザーが自由にアイコンやファイルを追加かのうだが、中心部の丸いアイコンをドラッグすると、それに合わせて各エリアのサイズが変わるので、アプリは少なめに、動画は多めに表示といった分配を自由に決定できる。
さらに、WindowsモードからAndroidモードへ移行する際には、Windowsモードで閲覧していたWebのURLが自動的にAndroid側へと渡される仕組みになっており、そのまま同じページの閲覧を続けることができるようになっている。これについては、URL以外の情報も共有できるよう開発中だという。同社独自のアプリマーケットも用意する。
Ideapad U1 Hybrid | ヒンジ付近のスイッチでWindowsとAndroidを切り替える | Androidに切り替えたところ |
液晶部は取り外してAndroidタブレットとして利用可能 | もちろん縦向きでも利用できる | タブレット部の背面 |
取り外した後のキーボード部 | キーボード部のパネルはカラーバリエーションもある | タブレット用のキーボードと充電だけ用のドックもある |
【動画】OSの切り替え |
【動画】Androidの独自UI |
ハードウェアの主な仕様は、タブレット部がSnapdragon 1.3GHz、メモリ1GB、SSD 16/32GB、1,280×800ドット表示対応10.1型液晶、3G、IEEE 802.11b/g無線LAN、Bluetoothなどを装備。ノートブック部は、Core i5-540UM(1.2GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ2GB、HDD 320GB、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth、USB、HDMI出力などを備える。
本体サイズと重量は、タブレット時が263×188×12.9mm(幅×奥行き×高さ)/760g、ノートブック時が270×210×33.2mm(同)/1.8kg。バッテリ駆動時間は前者が約8時間、後者が約3~4時間。
また、同社ではこれとは別に、Windowsベースのタブレット製品を予定している。細かいことは未定だが、CPUにはIntelの次期ハンドヘルド向けプロセッサOak Trailを採用予定という。
Oak Trailを採用するWindowsタブレットの試作機 | 指だけではなくペンによる操作も可能 |
このほかの主な製品のスペック詳細を紹介する。
ThinkPad X120eは、AMD E-350(1.6GHz、ビデオ機能内蔵)/E-240(1.5GHz、同)、メモリ最大4GB、HDD 160/320GB、1,366×768ドット表示対応11.6型液晶、Windows 7 Professional、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、無線WAN、USB 2.0×3、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、カードリーダ、Webカメラを搭載。本体サイズは282×189×15.6~29.5mm(同、3セルバッテリ時)、重量は約1.31kg(3セルバッテリ時)。価格は399ドルより。
ThinkPad X120e | キーボード部 | 側面にHDMI出力を装備 |
ThinkPad Edge E220sは、超低電圧版Core i3/i5/i7(ビデオ機能内蔵)、メモリ最大4GB、HDD 250/320GB、SSD 80/128GB、12.5型液晶を搭載。
ThinkPad Edge E420sは、通常電圧版Core i3/i5/i7(同)、メモリ最大8GB、HDD 250/320GB、SSD 80/128GB、14型液晶、DVDドライブを搭載。
インターフェイスはほぼ共通で、USB 2.0×3(内1つはeSATA/Powered USB対応)、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、カードリーダ、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、WiMAX、Webカメラなどを搭載。
本体サイズと重量はE220sが313×213.5×29mm(同)/約1.6kg、E420sが349×236×23.1~31.2mm(同)/約1.9kg。
なお、2011年より出荷される一部製品は、同社がMicrosoftと共同開発したEnhanced Experience 2.0に準拠する。これは、Windowsのあらゆるドライバや、BIOS、その他コンポーネントなどをすべてについて、最適化を図り、起動や終了時間の短縮を実現した技術。同技術のないPCに比べ、OSの起動時間は20秒以上短縮。さらにRapidDriveと呼ばれるSSDとHDDのハイブリッドドライブを採用したIdeaPad Y570/Y470などは10秒未満での起動を実現した。初代と2.0との違いは、前者がBIOSベース、後者がUEFIベースを意味する。
ThinkPad Edge E220s | ThinkPad Edge E420s | 派手な色が特徴的なIdeaPad Z470 |
音波式タッチセンサー搭載のIdeaCentre B320 | 継ぎ目のないフレームで静電容量式タッチセンサー搭載のIdeaCentre B520。3D Visionにも対応 | Enhanced Experience 2.0対応機はステッカーが貼られる |
【動画】Enhanced Experience 2.0+RapidDrive機の起動の様子 |
(2011年 1月 11日)
[Reported by 若杉 紀彦]