Enhanced Experienceを搭載したノートPC |
レノボ・ジャパン株式会社は27日、Windows 7の高速起動で話題を呼んでいた「Windows 7 Lenovo Enhanced Experience」について、大和事業所で説明会を行なった。
Windows 7 Lenovo Enhanced Experienceとは、レノボ製のPCであるThinkPadやIdeaPadにWindows 7を搭載することで、パフォーマンスやより良いコンピューティング環境を提供することを目指すもの。レノボとMicrosoftの協力により生まれた最適化技術の総称である。
具体的には、Windows 7に最適化されたパフォーマンスと、マルチタッチなど新機能のサポート、ThinkVantageテクノロジの強化によって提供する。同社マーケティングオペレーション担当シニアマネージャーの伊藤重雄氏は、「Windows 7を快適に体感できるようにするもの」とまとめた。
●パフォーマンスの向上レノボ 柴谷淳治氏 |
パフォーマンスの向上においては、Windows 7の起動と終了速度について説明された。
これまでのニュースリリースやイベントで明らかにされてきた通り、レノボはThinkPad T400s(SSD搭載)において20秒での起動と5秒程度のシャットダウンを実現している。これは、40秒強のWindows XP、35秒前後のWindows Vistaと比較してなお速い結果だ。
その開発にあたりレノボは、デバイスドライバやBIOS、ThinkVantageソフトウェアなどの起動シーケンスを最適化。結果起動時間が60秒弱から20秒強へと57.3%向上、シャットダウン速度は15秒前後から9秒前後へと39.7%向上した(いずれも開発時のデータ、環境と設定により速度は異なる)。
同社TVT・ノートブック ソフトウェア開発 Windows 7プロジェクト・マネージャーの柴谷淳治氏は、「MicrosoftがWindows 7を正攻法でチューニングし、同時にレノボはOEMと共同でPC全体のパフォーマンスを高めた」と説明。
Windows Velocity Toolを用いて、オーバーヘッドの大きいコンポーネントを切り分け、モジュール単位で実行時間を計測、待ち時間を発生させるロジックを改善し、最適な処理を行なうようにソフトウェアを改善した。具体的には、BIOSの全面的な見直しやドライバやThinkVantageソフトウェアのコード修正、サードパーティーアプリケーションのコード最適化、起動直後に必要ではないサービスを遅らせて実行させる、といった調整を起動シーケンスに施した。
また、シャットダウンについては、約5秒を要するワイヤレスドライバを修正して0.2秒に短縮、同様にThinkVantageやサードパーティーのアプリケーションの修正、OSの初期設定の調整などが行なわれた。スリープやレジュームにおいても、ドライバのコードを修正して高速化したという。
7/Vista/XPの起動時間を比較(レノボにより最適化済みの設定) | Enhanced Experience適用前後での速度比較 |
起動時の挙動を解析し、一部のプロセスを起動完了後に実行するなどの修正が施されている | シャットダウン時も同様に、終了に時間がかかっているプロセスが最適化された |
【動画】起動速度の比較。CPUの負荷が減ったところで起動終了を判定 |
【動画】シャットダウンの速度比較 |
●ThinkVantageの強化と新機能のサポート
ThinkVantageの強化においては、その各機能をWindows 7のツールバーへの登録し、ネットワーク設定や診断機能、バッテリ状況などへ簡単にアクセス可能になった。また、無線接続管理ツール「Access Connections」が強化され、11n対応無線LANや3Gモバイルブロードバンド、4G WiMAXをサポートした。
ThinkVantageの強化 | Access Connectionsの強化 |
新機能としては、T400sとX200 tabletで静電容量式タッチパネルを採用し、マルチタッチをサポートしたほか、Windows 7の「デバイスとプリンター」のカスタマイズなどにも対応した。
タッチ機能のハードウェア面においては、静電容量式を採用。パネルの外周のみを接着するといった工夫で薄型軽量なスクリーンを実現。また、タッチ入力時にディスプレイが倒れない保持力を備える、タッチに最適化したヒンジを採用した。
タッチ機能は、Windows 7においてジェスチャ機能(WM_GESTURE)をサポートし、右クリック(プレス&タップ)、2本指タップ、パンも独自にサポートする。また、SimpleTapとして、2本指タップ(または右上の赤丸をタッチ)で、ThinkPadのFnキーと同じ機能にタッチでアクセス可能。サウンドや画面輝度などを簡単に変更可能となっている。
マルチタッチのハードウェア | SimleTap | 輝度調整の様子 |
●ラボの一部も公開
同社は初めて、ThinkPadなど同社のハードウェアをテストするラボの一部をプレス向けに公開した。今回、5つの部屋が公開されたが、写真撮影が許可されたのは、音響試験室と環境試験室の2つのみだ。
音響試験室は、壁と天井を音を反射しない構造とし、PCなどから発生する音、具体的にはHDDやインバータ、コイルなどの音を測定する施設。残響試験室が併設されており、指向性が強い音や周波数が高い音の総量(音響パワーレベル)を測定できる。
環境試験室は温度や湿度を設定した部屋で、PCの耐久性を試験する施設。今回は摂氏40度、湿度10%で試験中で、試験室の外側でも蒸し暑い状態だった。
音響試験室 | 床を除いて音を反射しない構造になっている |
環境試験室の操作盤 | 試験中のThinkPad |
(2009年 10月 28日)
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