UnveiledでAMD Fusion APU搭載VAIOやThinkPadなどが展示
CESの公式イベントで、多数のメーカーがCESでの展示品の一部を開幕前に紹介する「Unveiled」が現地時間の4日に開催された。
CES自体が家電寄りであるため、UnveiledにおいてずばりPCという展示は少ないのだが、先立って初のFusion APUを発表したAMD自身、そしてLenovoが同プロセッサ搭載ノートを展示した。
AMDのブースにあったのは、Sony、Lenovo、ASUSTeK、そしてMSIのFusion APU搭載機。いずれも、製品の細かな仕様までは分からないが、SonyはVAIO、LenovoはIdeaPad、ASUSTeKはEee PCブランドのついた製品となっている。画面サイズは12~13型クラスで、ネットブックやCULVに近い位置付けと思われる。
Fusion APU搭載のLenovo IdeaPad S205 | ASUSTeKのFusion APU搭載Eee PC | MSIのFusion APU搭載ノート |
これとは別にLenovoのブースでは、Fusion APUを搭載したThinkPad X120eが展示された。こちらも細かな仕様までは確認できなかったが、CPUはAMD Eシリーズ(Brazos)を採用し、液晶は11.6型。6セルバッテリを搭載し、重量は約1.36kg、駆動時間は約6.6時間。価格は399ドルからで、米国では2月に出荷される。
このほか同社は、Sandy Bridge搭載のThinkPad Edge E220s/E420s/E420/E520や、カラーバリエーションの豊富なIdeaPadの新モデル各種を展示。さらに、2010年のCESで公開した、液晶部分を取り外してタブレットとして使える製品の改良版とおぼしきものも展示していた。同社ブースに限らず、Unveiledは混雑が激しく、細かな製品仕様などを聞けないことが多いのだが、Lenovoについては後日製品担当者から詳しい話しを聞く機会があるので、細かい点については追ってお伝えする予定だ。
LexmarkとHewlett-Packardは、それぞれ興味深いプリンタを展示した。Lexmarkの製品は、正面から見ると質感がピアノ調で、中央に液晶タッチパネルがあることから、ちょっと大きめな多機能フォトフレームといった出で立ちが目につく。
しかしこの製品のキモの部分はスキャナ部にある。液晶パネルがある部分は手前に開くようになっており、そこに読み取る原稿をほぼ垂直に近い形でセットする。通常のスキャナは、イメージセンサーが移動しながらライン毎に読み取りを行なうが、この製品はR/G/Bの各センサーがデジタルカメラで撮影するように、1ショットでスキャンする。各センサーのスキャン時間は1秒程度で、計3秒という短時間でスキャンを終えるのがこの製品の最大の特徴である。同社では「All-In-One」ではなく「Now-In-One Printer」というキャッチフレーズをつけている。
Lexmarkの新製品は複合機と言われてもピンとこない斬新なデザイン | 液晶パネルの部分が手前に開いて、原稿はほぼ垂直にセット。ガラス台の奥にはR/G/Bのイメージセンサーが内蔵 | 用紙は背面にセットし、前面下から排出される |
HPの製品は、日本では登場していないが、米国では発表済みの「Photosmart eStation e-All-in-One Printer - C510a」というもの。同社の直近の製品の一部モデルは「アプリdeプリント」という機能が搭載され、プリンタに独自のアプリをインストールし、例えば天気予報や割引クーポンなどその出力結果をタッチパネルで操作し、印刷することができる。
C510aにもその機能はあるのだが、本製品では7型のタッチパネルの部分が、取り外し可能で、そのままAndroidタブレットとしても利用できるのが他機種にない特徴。Android Marketなど、機能面で何らかの制限を加えている可能性はあるが、展示機を少し触った限りでは、普通のAndroidタブレットとして使える感じだった。
Photosmart eStation e-All-in-One Printer - C510a | タッチパネルの部分は取り外して、普通にAndroidタブレットとして使える | 背面にはカードスロット、音量ボタン、イヤフォン端子などもある |
技術系では、Serial ATA International Organization (SATA-IO)が、Seagate Technologyと共同で「Universal Storage Module (USM)」の発表と展示を行なった。
USMはSATA HDD/SSDを、外付けのドッキングベイなどで利用するのを規格化したもの。ドライブは裸ではなく、ケースに包まれるが、コネクタはSATAそのもの。用途としては、PCケースにUSMのスロットをつけ、そこに高速なSSDをデータドライブとして接続しておき、必要な場合に取り外して、USB変換ケーブルをつけることで、ポータブルドライブとして持ち運んだりするほか、iVDRのようにTVやレコーダの記録媒体として使うことなども想定しているようだ。
基本的に信号/電気的には従来のSATAと同じで、形状面での規格なので、従来のマザーボードと互換性がある。
USMのカートリッジ | インターフェイスはSATAそのまま |
USMスロットのついたケース試作品 | こちらはレコーダーやメディアプレーヤーのイメージモック |
nPower PEG。変換アダプタを使ってiPhoneを充電してるところ |
最後にPCとは直接関係ないが、興味深かった製品としてTremont ElectricのnPower PEGを紹介しておく。これは各種ポータブル機器の予備バッテリなのだが、持ち運ぶことで発生する運動エネルギーから蓄電を行なう。身につけているだけで充電する腕時計があるが、それと同じイメージだ。
本体は筒状で、直径が約38mm、長さが約223mmと少し大ぶりだが、カバンの中などにはすっぽり収まるサイズ。その形状やチタニウム製の筐体は、見た目では何をするのか分からず、そこが返ってガジェット好きの好奇心を煽る。
出力端子はUSB。容量は1,000mAhで、出力は5V/500mA。コネクタの変換が必要だが、iPhone 3/4だとバッテリ容量がおよそ1,200~1,400mAh程度なので、この製品を使うと7~8割程度駆動時間を延ばせる計算になる。
(2011年 1月 5日)
[Reported by 若杉 紀彦]